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市場開放問題苦情処理推進会議第5回報告書(平成10年3月17日) [本部決定] [フォローアップ]

7-(1) 外国郵便物の課税に対する納税方法の改善

○ 問題提起者:日本貿易会、東京商工会議所

○ 所管省庁:大蔵省、自治省

○ 問題の背景

(1) 外国から送られてきた郵便物が関税を納付すべき内容であるときは、税関から郵政官署を経て、当該郵便物の名宛人に対し、課税通知書が送付される。郵政官署は当該郵便物を交付する前に課税通知書を名宛人に送達しなければならない。

その際、関税等(関税、内国消費税及び地方消費税)の課税額が1万円以下の外国郵便物については、課税通知書と同時に配達され、関税等の納付と引き換えに郵便物が名宛人へ交付される。課税額が1万円を超える外国郵便物については、まずその課税通知書が名宛人に送付される。名宛人は、郵便物が留め置かれた郵便局に出向き、税額相当の金銭を納付した後、その郵便物を受け取ることができる。(関税法第77条、国際郵便規則第72条)

(2) 課税貨物に課される地方消費税は、当該課税貨物を保税地域から引き取る者に対し当該保税地域所在の都道府県(課税貨物を保税地域以外の場所から輸入する場合は、課税した税関長の所在する税関所在の都道府県)により貨物割(輸入取引について、課税貨物に係る消費税額を課税標準として課される)として課税される。貨物割の賦課徴収は、国が、消費税の賦課徴収の例により、消費税の賦課徴収と併せて行うこととされている。

国に納付された貨物割は、国税収納金整理資金に一旦受け入れられた上で、同資金から保税地域所在の都道府県(課税貨物を保税地域以外の場所から輸入する場合は、課税した税関長の所在する税関所在の都道府県)に払い込まれる。(地方税法第72条の78、第72条の100 、第72条の103 、国税収納金整理資金に関する法律第2条)

○ 問題提起内容

従来、外国郵便物への課税は、収入印紙で納付していたが、地方消費税の導入により現金納付に変更となった。現金納付の場合、仮払いもしくは社員の立替え払いで現金化して納付しなければならないので、小型の外国郵便物は、この取扱いが非常に煩雑になっている。サンプル品等輸入時の租税納付の効率化のため、外国郵便の租税納付について、従前通りの収入印紙による納付も認めるべきである。

○ 検討結果

行政府が常に「納税者の利便」の最大化を図るべきことは言うまでもない。所管省は、地方消費税の導入に伴い、外国郵便物に課される関税等の徴収方法が収入印紙から現金へと変更となった理由として、(1)収入印紙に係る収入は国の一般会計の歳入に計上されるので、地方税である地方消費税分を収入印紙で納付することができないこと、(2)国税分を印紙、地方税分を現金というように異なる方法で徴収することは、納税者の利便の観点からも望ましくないため地方消費税は消費税と一体として納付することが税法上定められていること、を挙げている。

このように所管省が納税者の利便に配慮している点は評価できるが、残念ながら行政府の想定する納税者の利便と納税者の実感が必ずしも一致しない場合もあり、現に問題提起者は現金納付に不便を感じている。

また、所管省は、問題提起者に対して、社員の立替え払い等の問題は経理システムの工夫により対応できる旨指摘しているが、行政府の側も、既存の方法にとらわれることなく、納税者の利便を実質的に図るという姿勢が望まれる。

以上を踏まえ、所管省としては、以下の措置を講ずるべきである。

問題提起者からは、外国郵便物について、現金納付に加えて、収入印紙と都道府県が発行する収入証紙との組み合わせによる納付方法も認めるよう要望があったが、この方法の可否等につき、直ちに検討を開始し、平成10年度中にはその検討結果を出すべきである。


OTO対策本部決定(平成10年3月23日) [報告書] [フォローアップ]

7-(1) 外国郵便物の課税に対する納税方法の改善

外国郵便物について、現金納付に加えて、収入印紙と都道府県が発行する収入証紙との組み合わせによる納付方法の可否等につき、直ちに検討を開始し、平成10年度中に検討結果を出す。


フォローアップ(平成11年11月16日) [報告書] [本部決定]

7-(1) 外国郵便物の課税に対する納税方法の改善

(1) 外国から送られてきた国際郵便物が、関税等(関税、内国消費税及び地方消費税)を納付すべき内容であるときは、税関から郵政官署を経て、当該郵便物の名宛人に対し、課税通知書が送付される。当該郵便物を受け取ろうとする者は、課税通知書に記載された税額に相当する金銭を郵便局に納付しなければならない。(関税法第77条、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律第7条)
課税貨物に課される地方消費税は、当該課税貨物を保税地域から引き取る者に対し、当該保税地域所在の都道府県(課税貨物を保税地域以外の場所から輸入する場合は、課税した税関長の所属する税関所在の都道府県)により貨物割(輸入取引について、課税貨物に係る消費税額を課税標準として課される)として課税される。貨物割の賦課徴収は、国が、消費税の例により、消費税の賦課徴収と併せて行うこととされている。また、貨物割の納税義務者は、貨物割を、消費税の納付の例により、消費税の納付と併せて国に納付しなければならない。国に納付された貨物割は、国税収納金整理資金に一旦受け入れられた上で、同資金から保税地域所在の都道府県(課税貨物を保税地域以外の場所から輸入する場合は、課税した税関長の所属する税関所在の都道府県)に払い込まれる。(地方税法第72条の78、第72条の100、第73条の103、国税収納金整理資金に関する法律第2条)

(2) 従来、国際郵便物に係る関税及び内国消費税は、印紙をもって納付されていたが、平成9年4月の地方消費税導入に伴い、その納付を現金で行うこととされた。これは、

1) 地方消費税を収入印紙で納付した場合、当該印紙収入は国の一般会計の歳入に計上されることとなるが、地方税を国の一般会計の歳入に計上することは採り得ないこと、
2) 同一の課税物件に対して国(消費税)と地方公共団体(地方消費税)が別々に賦課徴収することは、納税者に対して事務負担を強いることとなり、またできる限り徴税コストの軽減を図る観点から、地方消費税については、国が消費税と併せて賦課徴収することとし、その納付は消費税と併せて国に対して行うこととされたこと、
3) 特に、郵便物については、国民一般が広く利用するものであり、また一個の課税郵便物に係る課税額は低額であることから、徴税方法はできる限り簡便かつ合理的なものとする必要があること、等の理由によるものである。

(3) 国際郵便物に係る納税について、現行の現金納付に加えて、収入印紙と都道府県が発行する収入証紙との組み合わせによる納付方法の可否等につき、検討を行った結果は以下のとおり。

○ 検討結果

1) 地方消費税を証紙により徴収することについて 国際郵便物に係る地方消費税について、現行の現金納付のほか、証紙による納付も可能とすることとした場合、その賦課徴収のあり方としては、以下の2案が考えられ、それぞれについて対応の可否を検討した。
(案1)税の賦課徴収は、本来、同一の主体が一貫して行うべきものであり、証紙納付と現金納付それぞれの場合における制度の整合性を図る観点から、証紙納付、現金納付のいずれについても都道府県において賦課徴収を行う。
(案2)案1の原則によりつつ、可能な限り効率的に賦課徴収を行う観点から、地方消費税について、現金納付による場合は現行どおり国において賦課徴収を行い、証紙収入による場合は賦課を国で、徴収を都道府県で行う。
1] 案1「地方消費税に係る賦課徴収を都道府県が行う」こととした場合 地方消費税に係る課税通知書は、納付方法にかかわらず都道府県が作成することとなるため、以下の手続によることとなる。
・税関は(郵政官署を通じ)、賦課徴収を行う都道府県に地方消費税に係る課税標準(消費税額)を通知
・都道府県は課税通知書を作成の上、郵政官署に当該通知書を送付
・郵便物が配達され、名宛人は郵便物の配達時に課税通知書に証紙を貼付することにより地方消費税を納付
このような制度とした場合には、賦課徴収の一体性は維持されるものの、地方税法及び各都道府県における県税条例や収入証紙条例等を改正する必要があるほか、以下の問題を生じる。
・都道府県において地方消費税に係る課税通知書を作成することにより、先述の事務が生じる結果、郵便物の配達が遅延する。
・課税都道府県を現行どおり郵便物の呈示がなされた税関所在の都道府県とした場合、名宛人は課税都道府県別に異なる証紙を用意する必要がある。
(注)国際郵便物を扱う税関(外郵出張所)は、現在全国8都道府県に8官署あるため、国際郵便物に係る課税都道府県は8都道府県となっている。
・郵便物に係る地方消費税を証紙により納付した後、名宛人が過誤納金を発見した場合の還付請求、あるいは戻し税手続きを行う場合、関税、消費税等国税については税関に、地方消費税については課税都道府県にそれぞれ別途行う必要がある。
2] 案2「地方消費税について、現金納付の場合は国が賦課徴収を行い、証紙納付の場合は賦課を国で、徴収を都道府県で行う」こととした場合 地方消費税に係る課税通知書は、納付方法にかかわらず、税関において作成することとなるが、この場合でも上記1)-i)及びii)の問題が生じるほか、証紙納付の場合における徴収は都道府県において行うこととなるため、一の課税物件に係る税について、賦課決定権者(国)と徴収権者(都道府県)とが別になり、納税者に対する税務官庁の責任の所在が不明確となること等の問題を生じる。
2) 関係機関の対応について
1] 都道府県における事務・コスト負担
課税通知書に貼付された証紙の照合等の事務が新たに生じるほか、都道府県に直接納付された地方消費税については、都道府県間の清算に当てるため、厳格に区分して資金管理を行う必要があるが、証紙は売りさばき時点で都道府県の収入となるため、証紙収入のうち郵便物に係る地方消費税分を別途管理する必要があるなど、課税都道府県において資金管理のための事務負担及びコスト負担を新たに負うこととなる。
2] 税関におけるコスト負担
現在、税関においては、課税通知書の作成、収納管理について、電算機を用いているが、印紙及び証紙による納付に対応して、課税通知書様式の変更(印紙、証紙を貼付する欄を設ける)、印紙及ぴ証紙で納付された郵便物に係る収納管理のため、当該電算機のプログラム改変を行う必要があり、コスト負担を伴う。
3] 郵便局における実務上の問題
郵便物の名宛人が印紙及び証紙で納税しようとする場合、郵便局の配達員は印紙及び証紙の真偽を確認しなければならないが、特に証紙の確認に当たっては、課税都道府県別に数種類の証紙の印影を把握していなければならず、実務上対応困難である。

(4) 以上のとおり、「外国郵便物について、現金納付に加えて、収入印紙と都道府県が発行する収入証紙との組み合わせによる納付」について検討した結果、問題が多く現実的ではなく、また税制の簡素化にも反することから、むしろ現行の現金納付が最も合理的かつ利便性があるとの結論となった。

[大蔵省、自治省]