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市場開放問題苦情処理推進会議第5回報告書(平成10年3月17日) [本部決定] [フォローアップ]

8-(1) 関税見直しメカニズムの明確化

○ 問題提起者:駐日オーストラリア大使館、駐日ニュージーランド大使館、在日米国商工会議所

○ 所管省庁:外務省、大蔵省、農林水産省、通商産業省

○ 問題の背景

外国政府等の関税に関する要望については、これまで主としてGATTあるいはWTOの下における累次の多国間政府交渉の場で対応されてきた。個別要望については外務省が受付け、大蔵省及び物資所管省庁にも伝えており、外交ルートを通じ対応されている。

また、国内の事業者等からの要望については、物資所管省庁で受け付けている。物資所管省庁では、これら外国政府等や国内事業者等からの要望について、国内産業との関係を勘案し、その適否を総合的に検討の上、大蔵省に要望として提出している。

大蔵省は物資所管省庁からの要望を踏まえ、大蔵大臣が関税率審議会に諮問し、その答申も踏まえ、国会の議決をもって関税率改正を行っている。

○ 問題提起内容

日本政府に、関税率の見直し要望をした場合、制度所管省庁と物資所管省庁との間で窓口となるべき省庁が不明確であり、要望の取扱い方も不透明である。必要であれば、独立した、関税率に関する要望の窓口となるメカニズムを設立するなど、関税率見直しに係るメカニズムを文書にて明確化すべきである。

○ 検討結果

関税率の改訂についての他国との交渉は、多角的貿易体制を旨とするWTOの場で多国間の政府交渉を通じ、関税率譲許の形で外交交渉が行われるのが基本である。また関税率改訂の検討の際には、それぞれの国の国内産業や雇用に与える影響等も考慮する必要がある。このため、他国政府・企業から出された個別の要望の全てが実現されるとは限らないと考えられる。

一方、我が国では、行政の情報公開を推進し、政策決定の透明性の度合いを高めることが、国民からも求められており、政府が政策決定過程を分かりやすく説明する必要性は現在一層高まっている。これは関税率の決定過程についても当てはまるが、我が国が片務的にその決定過程の透明化を進めるあまり、かえって関税交渉において不利な立場に追い込まれてしまう可能性も否定できないので、その透明化には限界もある点に留意すべきである。

以上を踏まえ、所管省においては、諸外国における状況も参照しつつ、以下の措置を講ずるべきである。

(1) 所管省は、関税率見直しに係る手続きについて、政府部内で文書化することとしている。こうした対応は評価できるものであり、速やかに文書化を行い、公表すべきである。その際、文書化の内容は可能な限り詳細かつわかりやすいものとし、英訳も同時に作成・公表すべきである。

(2) 関税率審議会においては、従来から答申内容について新聞発表を行っているほか、平成7年度から議事要旨を公開するとともに、平成8年度より、これを答申内容とともにパソコン通信及びインターネットに掲載する等、運営の透明性の確保に努めてきている。こうした対応は評価できるものであるが、所管省は、引き続き関税率審議会の運営の一層の透明化に努めるべきである。


OTO対策本部決定(平成10年3月23日) [報告書] [フォローアップ]

8-(1) 関税見直しメカニズムの明確化

(1) 関税率見直しに係る手続きについて、速やかに文書化を行い、公表する。その際、文書化の内容は可能な限り詳細かつわかりやすいものとし、英訳も同時に作成・公表する。

(2) 関税率審議会の運営の一層の透明化に努める。


フォローアップ(平成11年11月16日) [報告書] [本部決定]

8-(1) 関税見直しメカニズムの明確化

(1) 「関税改正の流れ」については、昨年12月関税率審議会議事要旨の参考として、大蔵省ホームページに、その英訳とともに掲載した。

[大蔵省、通商産業省、外務省、農林水産省]

(2) 従来から関税率審議会の答申・議事要旨については、大蔵省ホームページに掲載する等、運営の透明化に努めてきたところであるが、本年9月に開催した関税率審議会総会からはその議事録を公開しているところである。

[大蔵省、通商産業省、外務省、農林水産省]