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市場開放問題苦情処理推進会議第5回報告書(平成10年3月17日) [本部決定] [フォローアップ]

8-(3) 外国企業の日本国内支店に対する住民税算出基準の改善

○ 問題提起者:駐日大韓民国大使館

○ 所管省庁:自治省

○ 問題の背景

(1) 法人課税の種類

法人に対して課税される税の種類には、国税である法人税のほか、地方税としては地方税法に基づく事業税(道府県税)及び法人住民税(道府県民税、市町村民税)がある。

(2) 法人住民税の内訳

法人住民税の課税額は、法人税額を基準として課税する「法人税割」と「均等割」の合算額となる。このうち均等割については、「地域社会の費用についてその構成員である法人にも幅広く負担を求めるという性格を有するもの」(昭和59年1月 政府税制調査会答申)であり、法人に所得がない場合(収益事業の有無に関わらず、例えば企業の寮のみの所在等)でも、均等割分のみは課税される。

(3) 均等割の納税義務者

納税義務者は、都道府県及び市町村内に事務所、事業所又は寮等を有する法人及び法人格のない社団・財団で代表者又は管理人の定めがあるものとなる。外国法人の場合については、課税対象となる事業所等の範囲を地方税法施行令第7条の3の5で定めている。

(4) 算出基準と標準税率

均等割については、資本の金額・出資金額と資本積立金額の合計額に応じて、標準税率(地方公共団体が課税する場合に通常よるべき税率)に基づき課税される。

標準税率は、資本等の金額の多寡によって法人等の税負担能力に差があること、あるいは、中小法人等に対して負担の軽減を図る必要があること等の趣旨から、道府県民税は2〜80万円の5段階、市町村民税では5〜300万円(制限税率は6〜360万円)の9段階で設定している。

この区分は道府県民税においては、資本等の金額の多寡によってのみ設定されているが、市町村民税においては、資本等の金額のほか、従業者数50人超・以下の条件を加えた区分を設定している。

(注)制限税率とは、超過課税をする場合でも、これを超えてはならないという最高限度の税率。超過課税とは、財政上の特別の必要があると認める場合に制限税率の範囲内でこれを超えて課税すること。

○ 問題提起内容

外国企業の支店から住民税を徴収する場合、地方税法上、税額算出の基礎となる資本金が本国にある本店の資本金規模を基準に定められている。支店の規模にかかわりなく、多額の地方税が課せられる場合がある。

以上のことから、住民税を計算する際に適用する外国法人支店の資本金算出基準を、接待費あるいは、寄付金限度額の計算時に適用する資本金算出方法(本店の資本金×支店資産/総資産)に変更するように要望する。

○ 検討結果

所管省によれば、法人住民税均等割の基本的な考え方は、地域社会の構成員である法人にも幅広く負担を求めるという性格を有するものであって、法人の税負担能力を考慮して、その資本金や従業員数に応じて段階的に定額により課税されているということである。これについては、道府県民税への従業員数基準の導入等、従業員数に応じた税率の設定について見直しを求める意見もあった。ただし、このような見直しにより、かえって増税となるケースが生じる可能性も考えられるので、法人住民税の税率の見直しは、他の地方税との関係等も含め、多面的に検討すべき課題である。

また、法人住民税均等割の税率等は、内国法人と外国法人の区別なく適用されていることから、内外無差別であるところである。これについては、さらに外国との税制の差異についても検討すべきではないかという意見もあった。

地方の法人課税については、今後、税制調査会において検討が進められるところであるが、所管省においても、公平・中立・簡素の観点を基本として、企業が活動しやすい環境の整備等にも配意しつつ、法人住民税均等割の税率のあり方等も含め、幅広く検討を行うべきである。


OTO対策本部決定(平成10年3月23日) [報告書] [フォローアップ]

8-(3) 法人住民税均等割のあり方についての検討

地方の法人課税については、税制調査会等における検討を踏まえ、公平・中立・簡素の観点を基本として、内外の企業が活動しやすい環境の整備等にも配意しつつ、法人住民税均等割の税率のあり方等も含め、幅広く検討を行う。


フォローアップ(平成11年11月16日) [報告書] [本部決定]

8-(3) 外国企業の日本国内支店に対する住民税算出基準の改善

地方の法人課税に関する事項については、税制調査会等により幅広く検討を行っているところ。