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市場開放問題苦情処理推進会議第5回報告書(平成10年3月17日) [フォローアップ]

3-(14) 圧力容器等に関する規制緩和

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:通商産業省、労働省

○ 問題提起内容

コンプレッサー、ボイラー、熱交換器などの圧力容器の設計・製造法・検査について、複数の官庁(通産省、労働省)が複数の法令により複雑かつ不明確な技術基準と煩雑な手続きで規制を行っている。現行のままでは、余分な時間、労力が必要となり、非効率である。規制により、海外品の持ち込みコスト、納期の点で、非常に不利となっているので以下の改善策を講ずべきである。

(1) 技術基準をJISに統一する。圧力容器に関しては、JISB8270 (圧力容器基盤規格) に統一する。

(2) 将来的には、技術基準の国際化を図る。

1) JISとASMEの相互承認制度
2) 国際基準であるASMEをベースとして、追加仕様の削減・明確化
3) 海外企業用の海外指定検査機関(ロイド等)を認定し技術基準、検査を国際化

(3) 海外品持ち込みに関する国際的な具体的・明確な手続きマニュアルを作成する。

(4) 検査項目、検査書類の削減・簡略化と検査書類等の日本語への翻訳最小化を図る。

(5) 検査業務・権限はすべて民間検査会社に委譲する。

○ 所管省庁における対処方針

(1) 圧力容器については、圧力容器関連のJIS規格の改正作業を平成9年度中に着手し、関係省庁が連携して可能な限り強制法規(高圧ガス保安法、ガス事業法、電気事業法、労働安全衛生法)との整合性を図ることとしている。

[通商産業省]

労働災害防止のための強制法規である労働安全衛生法と強制法規でなく品質の改善等まで含まれた工業標準化法では、法律の目的、内容、効力等が大きく異なるので、労働安全衛生法の技術基準である構造規格と工業標準化法の技術基準であるJIS規格を同一にすることは適切でないが、JIS規格との整合化については、今後とも努めてまいりたい。

[労働省]

(2)
1) 圧力容器については、工業標準化法上、認証制度がない場合があるため、検討を要する。

[通商産業省]

圧力容器の分野については、JIS規格に認証制度が無く、ASME規格との相互認証制度にはなじまない。

[労働省]

2) 高圧ガス保安法における技術基準については、現在、特定設備(高圧ガスの爆発その他の災害の発生を防止するため、設計の検査、材料の品質の検査又は製造中の検査を行うことが特に必要なもの)の材料として、ASME規格を認めている。

電気事業法における技術基準については、材料・構造等を具体的に規定することを可能な限り回避することにより、保安レベルが確保される限りにおいて、国内はもとより、ASME(米国機械学会)のような海外の公正な民間規格の適用を認めている。

ガス事業法における技術基準については、材料、構造等を規定化するに当たり、JIS規格を一部引用しており、さらに事業者の選択の幅を広げるため、材料に関しては、技術基準に適合するものと同等以上の機能的性質を有するものとして、通達によりASME、ISO等の海外規格を一部認めている。

なお、現在、技術基準を性能規定化する方向で平成10年度中に結論を出す予定で検討しているところであり、その場合は、審査基準に、JIS規格や海外規格等が取り入れられる予定である。

[通商産業省]

2) 労働安全衛生法においては、構造規格に定める標準的な基準を用いる圧力容器はもとより、標準的な基準と同等以上の安全性を明らかにした上でASME規格の圧力容器も認めている。

なお、同等以上の安全性を明らかにする資料については、案件に応じて具体的に示すとともに必要最小限のものに限っている。

[労働省]

3) 高圧ガス保安法においては、特定設備を輸入する場合、特定設備検査に必要な資料が提出されるときは、国内での試験を省略している。また、高度な品質管理体制を有しているものとして通産大臣の登録を受けた外国特定設備製造業者は、自ら特定検査設備検査を実施することが可能となっている。

電気事業法においては、輸入品の溶接検査は製造国における製造業者等の施工及び検査の記録を受け入れている。

ガス事業法においては、検査業務は国で行っているところであるが、現在、第三者検査機関の在り方について検討中であり、平成10年度中に結論を出す予定である。

[通商産業省]

労働安全衛生法においては、既にロイドを始め5機関が指定外国検査機関として認められている。

[労働省]

(3) 高圧ガス保安法においては、検査方法及び手続方法に関するマニュアルとして「輸入高圧ガス設備の申請と検査(高圧ガス保安協会発行)」(日英)を配布している。

電気事業法においては、「溶接検査申請書及び輸入品溶接検査申請書作成の手引き(財団法人発電設備技術検査協会発行)」により、手続を公表しており、透明性に配慮している。

ガス事業法においては、「使用前検査要領」、「定期検査要領」を作成し、各ガス事業者は購入できることとなっている。

[通商産業省]

圧力容器を輸入する際の労働安全衛生法上の手続については、法令等により明確になっていると考えられるが、必要に応じて関係団体とも連携を図りつつ、手続マニュアルの作成について検討し、平成10年度末を目途に結論を出す予定である。

[労働省]

(4) 高圧ガス保安法においては、特定設備の範囲を見直すとともに、特定設備ごとに工程中検査を削減することを検討中である。また、検査においては英文でも検査に必要な資料を受け付けている。

電気事業法においては、輸入品の溶接検査は、国内で溶接する耐圧工作物と比較して検査の簡略化が図られている。また、検査においては英文でも検査に必要な資料を受け付けている。

ガス事業法においては、検査項目、検査書類については必要最小限のものとなっている。また、検査等の対象設備については、技術進歩、保安レベルの向上等を踏まえ、順次、規制の合理化を図ってきたところであり、例えば、平成9年2月、工事計画の認可、届出、使用前検査の対象範囲の縮小化等を図っている。また、検査においては英文でも検査に必要な資料を受け付けている。

[通商産業省]

現行の検査項目等については、必要最小限のものと考える。

また、外国語の申請では、人の生命、身体に重大な影響を及ぼす安全に関する事項について、申請者の意図を誤って解釈してしまうおそれがある等適正な審査が期待できないので、労働安全衛生法においては日本語以外の外国語による申請が認められない。

[労働省]

(5) 高圧ガス保安法においては、民間の検査会社による特定設備検査を可能としている。

電気事業法においては、溶接検査を行う指定検査機関として民間企業を加えることを含め、制度の見直しを検討中であり、平成10年中に結論を出す予定である。

ガス事業法においては、検査業務は国で行っているところであるが、現在、第三者検査機関の在り方について検討中であり、平成10年度中に結論を出す予定である。

[通商産業省]

労働安全衛生法においては、昭和60年に指定外国検査機関制度を導入し、国外の製造地においてロイド等の指定外国検査機関による検査を受ければ、国内において改めて検査を受けなくてもよい取扱いを行っている。

[労働省]


フォローアップ(平成11年11月16日) [報告書]

3-(14) 圧力容器等に関する規制緩和

(1) 圧力容器については、圧力容器関連のJIS規格の改正作業を平成9年度中に着手し、関係省庁が連携して可能な限り強制法規(高圧ガス保安法、ガス事業法、電気事業法、労働安全衛生法)との整合性を図ることとしている。

[通商産業省]

労働災害防止のための強制法規である労働安全衛生法と強制法規でなく品質の改善等まで含まれた工業標準化法では、法律の目的、内容、効力等が大きく異なるので、労働安全衛生法の技術基準である構造規格と工業標準化法の技術基準であるJIS規格を同一にすることは適切でないが、工業技術院ににおいて、圧力容器関連のJIS規格の見直し作業が行われており、強制規格の目的、適用対象、認証方法等からみて支障のない範囲で整合化を図ることとして、検討が行われている。

[労働省]

(2)
1) 圧力容器については、工業標準化法上、認証制度がない場合があるため、検討を要する。

[通商産業省]

圧力容器の分野については、JIS規格に認証制度がなく、ASME規格との相互認証制度にはなじまない。

[労働省]

2) 高圧ガス保安法における技術基準については、現在、特定設備(高圧ガスの爆発その他の災害の発生を防止するため、設計の検査、材料の品質の検査又は製造中の検査を行うことが特に必要なもの)の材料として、ASME規格を認めている。
ガス事業法における技術基準については、性能規定化する方向で産業構造審議会基準認証部会において報告がとりまとめられており(平成11年1月)、引き続き所要の措置を講ずるべく検討が進めてられている。
電気事業法における技術基準については、材料・構造等を具体的に規定することを可能な限り回避することにより、保安レベルが確保される限りにおいて、国内はもとより、ASME(米国機械学会)のような海外の公正な民間規格の適用を認めている。

[通商産業省]

労働安全衛生法においては、構造規格に定める標準的な基準を用いる圧力容器はもとより、標準的な基準と同等以上の安全性を明らかにされた場合はASME規格の圧力容器も認めている。
なお、同等以上の安全性を明らかにする資料については、案件に応じて具体的に示すとともに必要最小限のものに限っている。

[労働省]

3) 高圧ガス保安法においては、特定設備を輸入する場合、特定設備検査に必要な資料が提出されるときは、国内での試験を省略している。また、高度な品質管理体制を有しているものとして通産大臣の登録を受けた外国特定設備製造業者は、自ら特定検査設備検査を実施することが可能となっている。
電気事業法においては、輸入品の溶接検査は製造国における製造業者等の施工及び検査の記録を受け入れている。現在、検査は国又は指定検査機関が行っているところであるが、これを廃止し、新たに設置者による自主検査とすること等を内容とする電気事業法改正案を第145回通常国会に提出し、平成11年8月6日付けをもって公布されたところ。(平成12年7月1日施行予定)
ガス事業法においては、検査業務は国で行っているところであるが、現在、第三者検査機関の在り方について検討中であり、現在、ガス事業法においては検査業務は国が行っているところであるが、これを廃止し、安全確保上重要と認められる設備等については、第三者機関の適合性検査を義務付ける等を内容とするガス事業法改正法案を第145回通常国会に提出した。本法は平成11年8月に公布されたところ。(平成12年10月施行予定)

[通商産業省]

労働安全衛生法においては、既にロイドを始め4機関が指定外国検査機関として認められている。

[労働省]

(3) 高圧ガス保安法においては、検査方法及び手続方法に関するマニュアルとして「輸入高圧ガス設備の申請と検査(高圧ガス保安協会発行)」(日英)を配布している。
電気事業法においては、「溶接検査申請書及び輸入品溶接検査申請書作成の手引き(財団法人発電設備技術検査協会発行)」により、手続を公表しており、透明性に配慮している。
ガス事業法においては、「使用前検査要領」、「定期検査要領」を作成し、各ガス事業者は購入できることとなっている。

[通商産業省]

ボイラー及び圧力容器を輸入する際の労働安全衛生法上の検査及び手続に関するマニュアルを年度内に発行する予定である。

[労働省]

(4) 高圧ガス保安法においては、特定設備の範囲を見直し、特定設備の工程中検査の削減を行った。また、検査においては英文でも検査に必要な資料を受け付けている。
電気事業法においては、輸入品の溶接検査は、国内で溶接する耐圧工作物と比較して検査の簡略化が図られている。また、検査においては英文でも検査に必要な資料を受け付けている。
ガス事業法においては、検査項目、検査書類については必要最小限のものとなっている。また、検査等の対象設備については、技術進歩、保安レベルの向上等を踏まえ、順次、規制の合理化を図ってきたところであり、例えば、平成9年2月、工事計画の認可、届出、使用前検査の対象範囲の縮小化等を図っている。
また、検査においては英文でも検査に必要な資料を受け付けている。

[通商産業省]

労働安全衛生法においては、現行の検査項目等については、必要最小限のものと考える。
また、外国語の申請では、人の生命、身体に重大な影響を及ぼす安全に関する事項について、申請者の意図を誤って解釈してしまうおそれがある等適正な審査が期待できないので、日本語によるか、日本語の併記を求めているところである。

[労働省]

(5) 高圧ガス保安法においては、民間の検査会社による特定設備検査を可能としている。
電気事業法においては、現在、検査は国又は指定検査機関が行っているところであるが、これを廃止し、新たに設置者による自主検査とすること等を内容とする電気事業法改正案を第145回通常国会に提出し、平成11年8月6日付けをもって公布されたところ。(平成12年7月1日施行予定)
現在、ガス事業法においては検査業務は国が行っているところであるが、これを廃止し、安全確保上重要と認められる設備等については、第三者機関の適合性検査を義務付ける等を内容とするガス事業法改正案を第145回通常国会に提出した。本法は、平成11年8月に公布されたところ。(平成12年10月施行予定)

[通商産業省]

労働安全衛生法においては、昭和60年に指定外国検査機関制度を導入し、国外の製造地においてロイド等の指定外国検査機関による検査を受ければ、国内において改めて検査を受けなくてもよい取扱いを行っている。

[労働省]