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市場開放問題苦情処理推進会議第5回報告書(平成10年3月17日) [フォローアップ]

7-(3) 加工再輸入手続きの簡素化

○ 問題提起者:日本貿易会、東京商工会議所

○ 所管省庁:大蔵省

○ 問題提起内容

(1) 輸入時における減税計算は、輸出時に申請する加工・組立輸出貨物確認申請書に表記する金額を基にして行われる。加工・組立輸出貨物確認申請書は、契約ごとにスタイルの加工明細を添付して申請している。各契約は複数のスタイルを加工契約するのが常である。輸入時における減税計算は、スタイルごとに行われているため、その計算に時間がかかり、通関の遅延につながっている。したがって、契約ごとの数量で按分するなど簡便な計算方式を導入すべきである。

(2) 外衣類等の海外委託加工貿易について、当該商品の輸出時に、当該商品の輸入に至るまでの一切の資料提出が必要(例-マーキングシート、生地サンプル、原価計算の過程を示す計算書類等) だが、提出書類の縮減等、簡素化を図るべきである。

(3) 加工の手直しのため、一度海外へ返品し再輸入する場合、該当商品の立証が困難なため結果的には関税を2回払うことになる。輸入時のI/D、インボイスを活用して関税の二重徴収を回避すべきである。

○ 所管省庁における対処方針

(1) 加工再輸入減税制度(関税暫定措置法第8条)は、我が国から原材料を輸出して外国で加工又は組立ての上、製品として我が国に輸入される場合に、その製品に使用された輸出原材料相当分の関税を製品の関税から軽減する制度である。

したがって、本制度の適用に当たっては、同一の税番・税率の製品について、使用された輸出原材料分の課税価格と製品の課税価格とを比較して減税額を計算する必要があるため、原則として製品のスタイルごとに減税計算をする必要がある。(通常、スタイルによって税番・税率が異なるほか、使用される輸出原材料の割合等も異なる。)

しかしながら、スタイルが異なっても同一税番に分類される製品で、加工賃が同一かつ用尺の差が当該製品のサイズ違いによるものである場合は、複数のスタイルのものについては、一括して減税計算できる簡易な取扱いを認めており、その旨改めて税関に文書にて周知徹底することとしたい。

(2) 加工再輸入減税制度に係る減税額の計算に当たっては、使用された輸出原材料の数量等を的確に把握する必要があることから、原材料の輸出申告に際し、貨物(製品)の加工又は組立ての明細等を記載した「加工・組立輸出貨物確認申告書」の提出を求めている。また、外衣類等の場合には、製品の輸入の際に、原材料の確認が迅速にできるよう、あらかじめ原材料輸出の際に、生地見本の提出を求めているものである。

また、マーキング仕様書についても、未裁断の生地から製品一着を製造するために何メートルの生地が必要かを迅速に確認できるので輸入申告の際に提出を求めているものである。

いずれにせよ、製品と輸出原材料の同一性を迅速に確認したり、適正な減税額の計算に資するために資料の提出をお願いしているものであって、減税額を計算する際に必ずしも必要不可欠でない資料(例えば、「原価明細表」)については、提出を求めることのないよう改めて税関に文書にて周知徹底することとしたい。

(3) 関税定率法第20条の違約品に係る戻し税の規定は、関税を納付して輸入された貨物であって、品質又は数量等が契約の内容と相違するため返送することがやむを得ないと認められるものを輸出するときは、当該貨物をその輸入の許可の日から6カ月(1年以内において延長可)以内に保税地域に搬入することにより、その関税を払い戻すことができるとしている。

したがって、この規定が適用されれば、輸入した製品を修理・補修のため輸出し、再輸入する際に再度関税を納付することとなるものの、当初納付した関税については、払い戻されることとなり、関税の二重払いは、解消される上、再輸入時に我が国から輸出されたものであることを立証する必要はないことから、具体的事例に基づいて最寄りの税関に相談していただきたい。

(備考)
問題提起者の見解は以下のとおり。
(1)、(2)、(3)「当面はこの対処方針で了解」


フォローアップ(平成11年11月16日) [報告書]

7-(3) 加工再輸入手続きの簡素化

(1) 加工再輸入減税制度(関税暫定措置法第8条)は、我が国から原材料を輸出して外国で加工又は組立ての上、製品として我が国に輸入される場合に、その製品に使用された輸出原材料相当分の関税を製品の関税から軽減する制度である。
したがって、本制度の適用に当たっては、同一の税番・税率の製品について、使用された輸出原材料分の課税価格と製品の課税価格とを比較して減税額を計算する必要があるため、原則として製品のスタイルごとに減税計算をする必要がある。(通常、スタイルによって税番・税率が異なるほか、使用される輸出原材料の割合等も異なる。)
しかしながら、スタイルが異なっても同一税番に分類される製品で、加工賃が同一かつ用尺の差が当該製品のサイズ違いによるものである場合は、複数のスタイルのものについては、一括して減税計算できる簡易な取扱いを認めており、その旨税関に文書にて周知徹底を図っている。

(2) 加工再輸入減税制度に係る減税額の計算に当たっては、使用された輸出原材料の数量等を的確に把握する必要があることから、原材料の輸出申告に際し、貨物(製品)の加工又は組立ての明細等を記載した「加工・組立輸出貨物確認申告書」の提出を求めている。また、外衣類等の場合には、製品の輸入の際に、原材料の確認が迅速にできるよう、あらかじめ原材料輸出の際に、生地見本の提出を求めているものである。
また、マーキング仕様書についても、未裁断の生地から製品一着を製造するために何メートルの生地が必要かを迅速に確認できるので輸入申告の際に提出を求めているものである。
いずれにせよ、製品と輸出原材料の同一性を迅速に確認したり、適正な減税額の計算に資するために資料の提出をお願いしているものであって、減税額を計算する際に必ずしも必要不可欠でない資料(例えば、「原価明細表」)については、提出を求めることのないよう税関に文書にて周知徹底を図っている。

(3) 関税定率法第20条の違約品に係る戻し税の規定は、関税を納付して輸入された貨物であって、品質又は数量等が契約の内容と相違するため返送することがやむを得ないと認められるものを輸出するときは、当該貨物をその輸入の許可の日から6月(1年以内において延長可)以内に保税地域に搬入することにより、その関税を払い戻すことができるとしている。
したがって、この規定が適用されれば、輸入した製品を修理・補修のため輸出し、再輸入する際に再度関税を納付することとなるものの、当初納付した関税については、払い戻されることとなり、関税の二重払いは、解消される上、再輸入時に我が国から輸出されたものであることを立証する必要はないことから、具体的事例に基づいて最寄りの税関に相談していただきたい。