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市場開放問題苦情処理推進会議第5回報告書(平成10年3月17日) [フォローアップ]

8-(3) 日本における外国法事務弁護士に係る規制緩和等

○ 問題提起者:在日米国商工会議所

○ 所管省庁:法務省

○ 問題提起内容

日本の法務サービス市場では、外国の弁護士と日本の弁護士双方について、包括的なグローバルサービスを顧客に提供することが妨げられている。日本の市場開放が進むにつれて、こうした国際法務サービスの必要性が日本でも急速に高まっており、世界の他のビジネス・金融の中心地で容易に受けることができる国際法務サービスは日本でも受けられるようにすべきである。

ついては、以下の事項について措置すべき。

(1) 弁護士と外国法事務弁護士(外弁)のパートナーシップの自由を認めること。

(2) 弁護士が外弁を雇用することが認められているのと同様、外弁が弁護士を雇用する自由も認めること。

(3) 外弁が第三国の法律について弁護士と同程度の助言を行うことを認めること。

(4) 5年の実務経験要件を2年に短縮し、外弁の事務所であるか弁護士の事務所であるかにかかわらず、日本を含む全ての法域の国際法律事務所での実務経験年数を全てこの要件に加算すること。

(5) 最高裁判所司法研修所に受け入れる司法修習生の人数を少なくとも提案されている年間1,500 人まで増やすことによって弁護士を大幅に増員すること。

(6) 効果的な事業組織としてほとんどの先進商業中心国において広く認められ、使用されている専門家法人を法律専門家の組織形態として認めること。ただし、既に日本で業務を行っている国際法律事務所のパートナーシップと比べて差別的で不利なものとならないようにすること。

(7) ロイヤーの広告に関する過度に厳しい規制を緩和し、ロイヤーが自らのサービスについて一般大衆により合理的に知ってもらうことができるようにする。

○ 所管省庁における対処方針

(1) 弁護士と外国法事務弁護士(外弁)とのパートナーシップについては、平成7年1月施行の法改正により、弁護士と外弁とが共同の事業を営む道を開いているが、有識者等から構成される外国弁護士問題研究会(法務省及び日本弁護士連合会共催)は、平成9年10月30日、外国弁護士受入制度の在り方に関する報告書(以下「報告書」という。)を提出した。法務省は、報告書を踏まえ、今国会において、渉外的要素を有する法律事件に関し、この共同の事業の目的に関する制限を撤廃して、外弁と弁護士が、それぞれの職務範囲において包括的・総合的な協力関係に基づく法律サービスを、最終的な解決に至るまで、すなわち訴訟事務等に至るまで一貫して提供し得るような制度に改めるための所要の法改正措置を講ずる。

(2) 外弁による弁護士の雇用について、報告書は、我が国の資格制度との関連等において極めて困難な問題を生ずるとしており、(弁護士による外弁雇用にはこのような問題は生じない。)これをにわかに許容することはできないとしつつ、(1)により外弁と弁護士との総合的・包括的な協働を制度的に保障する事業形態を可能にすることで、実質的には雇用に関するニーズにこたえることができるものとしている。法務省はこれを踏まえ、雇用に関する問題の回答として(1)の措置を講ずる。

(3) 第三国法について、外弁は、依頼者保護等の観点から、これを取り扱うことを認められていないが、法務省は、報告書を踏まえ、今国会において、第三国法についても、当該第三国の外国弁護士であって、外国弁護士となる資格に基づき当該外国法に関する法律事務を行う業務に従事している者からの書面による助言に基づき取り扱うことができることとするための所要の法改正措置を講ずる。

(4) 実務経験要件について、法務省は、報告書を踏まえ、今国会において、これまで5年以上とされていた実務経験期間を3年以上とするとともに、これまで原資格国に限定されていた実務経験地を原資格国以外の外国において一定の条件の下で原資格国法に関する法律事務を行う業務に従事した期間も算入できることとするための所要の法改正措置を講ずる(米国は、外国弁護士制度を有するのは約20州にすぎないが、そのうち3年以上の実務経験要件を定めるものが2州であり、その余は、4年ないし5年以上の実務経験要件を設けている。また、原資格国以外の外国における実務経験を算入できる州も2州にすぎない。)。なお、我が国国内において、弁護士等に雇用されて補助的業務を行う者については、報告書を踏まえ、特に、通算して1年を限度として実務経験期間に算入することができるものとする法改正措置を講ずる。

(5) 法曹三者は、平成9年10月、司法修習制度を改革するとともに、現在700 人程度の司法試験合格者を平成10年度は800 人程度へ、平成11年度以降は 1,000 人程度へ増加させることを合意した。同合意に基づき所要の措置が講ぜられ、司法試験合格者の増加により弁護士数も増加することが見込まれている。また、司法試験合格者の1,500 人程度への増員についても、上記改革の結果や社会の法的ニーズの動向等を引き続き調査・検討した上で三者協議会において協議することが合意されている。

(6) 法律事務所の法人化については、平成9年3月に再改定された「規制緩和推進計画」に沿って、実態調査を行うとともに検討を続けているところであり、平成10年度中に結論を得て、これを踏まえ、速やかに所要の措置を講ずる。

(7) 弁護士の広告制限については、平成9年3月に再改定された「規制緩和推進計画」に沿って、実態調査を行うとともに検討を続けているところであり、平成10年度中に結論を得て、8これを踏まえ、速やかに所要の措置を講ずる。


フォローアップ(平成11年11月16日) [報告書]

8-(3) 日本における外国法事務弁護士に係る規制緩和等

(1) 弁護士と外国法事務弁護士(外弁)とのパートナーシップについては、平成7年1月施行の法改正により、弁護士と外弁とが共同の事業を営む道を開いているが、有識者等から構成される外国弁護士問題研究会(法務省及び日本弁護士連合会共催)は、平成9年10月30日、外国弁護士受入制度の在り方に関する報告書(以下「報告書」という。)を提出した。法務省は、これを踏まえ、「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律」(平成10年法律第60号、平成10年5月13日公布)により、この共同の事業の目的に関する制限を緩和し、渉外的要素を有する法律事件に関し、外弁と弁護士が、それぞれの職務範囲において包括的・総合的な協力関係に基づく法律サービスを、最終的な解決に至まで、すなわち訴訟事務等に至まで一貫して提供し得るような制度に改めるための所要の法的措置を講じた。(平成10年8月13日施行)

(2) 外弁による弁護士の雇用について、前記報告書は、我が国の資格制度との関連等において極めて困難な問題を生ずるとしており、(弁護士による外弁雇用にはこのような問題は生じない。)これをにわかに許容することはできないとしつつ、1)により外弁と弁護士との総合的・包括的な協働を制度的に保障する事業形態を可能にすることで、実質的には雇用に関するニーズにこたえることができるものとしている。法務省はこれを踏まえ、雇用に関する問題の回答として1)の措置を講じた。

(3) 第三国法について、外弁は、従前、これを取り扱うことを認められていなかったが、法務省は、前記報告書を踏まえ、1)の法律により、外弁の職務範囲を拡充し、指定法に関する法律事務以外の特定外国法(第三国法)に関する法律事務の取扱いについても、一定の要件を充たす外国弁護士等の書面による助言を受けて、これを行えることとする所要の法的措置を講じた。

(4) 実務経験要件について、法務省は、前記報告書を踏まえ、これを緩和することとし1)の法律により、外弁となる資格の承認の基準の一つである外国弁護士としての実務経験について、必要とされる実務経験の年数を従前の5年以上を3年以上とするとともに、外国弁護士が外国弁護士となる資格を取得した外国(資格取得国)以外の外国において、外国弁護士となる資格を基礎として当該資格取得国の法に関する法律事務を行う業務に従事した経験も、上記実務経験の年数に含むものとし、また、実務経験の年数に算入できる我が国における労務提供は、通算して1年を限度とする所要の法的措置を講じた。

(5) 「司法試験法の一部を改正する法律」(平成10年法律第48号、平成10年5月6日公布)及び「裁判所法の一部を改正する法律」(平成10年法律第50号、平成10年5月6日公布)により、司法試験合格者の1,000人程度への増加のための所要の措置を講じた。
司法試験合格者の1,500人程度への増加については、改定規制緩和推進3か年計画(平成11年3月30日閣議決定)において、修習の内容や方法の改善、司法修習生の修習先への受入れ態勢等について継続的に調査・検討を行った上で、国民各層からの意見を反映した新たな中立的立場で行う検討の結果をも踏まえて、適切かつ迅速に検討を進め、早急に結論を得て、所要の措置を講ずることとされている。
本年7月に内閣に設置された司法制度改革審議会の審議状況等を踏まえつつ、検討を行っていきたい。

(6) 法律事務所の法人化については、平成9年3月に再改定された「規制緩和推進計画」に沿って、実態調査を行うとともに検討を続けてきたものであるが、改定規制緩和推進3か年計画(平成11年3月30日閣議決定)のとおり、法人化の具体的在り方等につき、さらに調査・検討を進め、これを踏まえて、速やかに所要の法的措置を講ずる(平成11年度調査検討、平成12年度措置)。

(7) 弁護士の広告制限については、平成9年3月に再改定された「規制緩和推進計画」に沿って、実態調査を行うとともに検討を続けてきたものであるが、改定規制緩和推進3か年計画(平成11年3月30日閣議決定)のとおり、弁護士広告制限の緩和ないし撤廃につき、平成11年度中に、日本弁護士連合会に対し、必要な協力を行うとともに、所要の措置が早期に講じられるように要請する。