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市場開放問題苦情処理推進会議第5回報告書(平成10年3月17日) [フォローアップ]

8-(4) 著作権法の運用による楽譜コピーの禁止

○ 問題提起者:在日ドイツ商工会議所

○ 所管省庁:文部省

○ 問題提起内容

国内のミュージックライブラリーは購入した楽譜を無償で貸し出すサービスを行っているが、オーケストラ等に貸し出された楽譜は、コピーされ楽団員に配布されている可能性がある。

ドイツにおいては、楽譜の複写は著作権法により禁止されているが、日本ではまだ禁止にいたっていないようである。この現状はドイツの音楽出版関係者の間で非常に大きな問題となっており、これが解決されない場合は、日本市場に対する相応の対策を検討している。

○ 所管省庁における対処方針

著作権の保護については、各国国内法間のハーモナイゼーションを図るため関係国による詳細な交渉・検討を経た上で、ベルヌ条約、万国著作権条約及びTRIPS協定という多国間条約が制定されている。

我が国の国内における外国の著作物の保護は著作権法によって行われているが、我が国は上記の3条約のすべてを批准するとともに、その義務をすべて満たしている。

著作権法第30条の権利制限規定は、「家庭内その他これに準じる限られた範囲内において使用」するため、「その使用する者」本人が複製する場合にのみ適用されるので、ご指摘のような行為(コピーして楽団員に配布すること)が行われているとすれば、同条の対象とならず侵害となる。

著作権は私権であるため、個別の侵害事件については、権利者自身が条約の規定に従って整備されている民事・刑事の救済システムを活用して救済を求めるべきこととなる。

問題提起者が提起している「問題状況」は、上記のように現行の著作権法上も「違法」な行為であり、現行法上既に違法である行為を重ねて禁止する必要はないので、楽譜の複製を全面禁止する根拠にはならない。

仮に「現行の著作権法において禁止されていない行為」によって大きな損害が生じていると主張するのであれば、証拠を示されたい。また、他の欧州諸国など、ドイツのような禁止規定を持たない日本以外の国々に対してどのような要請をしているのか示されたい。


フォローアップ(平成11年11月16日) [報告書]

8-(4) 著作権法の運用による楽譜コピーの禁止

著作権の保護については、各国国内法間のハーモナイゼーションを図るため関係国による詳細な交渉・検討を経た上で、ベルヌ条約、万国著作権条約及びTRIPS協定という多国間条約が制定されている。 我が国の国内における外国の著作物の保護は著作権法によって行われているが、我が国は上記の3条約のすべてを批准するとともに、その義務をすべて満たしている。
著作権法第30条の権利制限規定は、「家庭内その他これに準じる限られた範囲内において使用」するため、「その使用する者」本人が複製する場合にのみ適用されるので、ご指摘のような行為(コピーして楽団員に配布すること)が行われているとすれば、同条の対象とならず侵害となる。
著作権は私権であるため、個別の侵害事件については、権利者自身が条約の規定に従って整備されている民事・刑事の救済システムを活用して救済を求めるべきこととなる。
問題提起者が提起している「問題状況」は、上記のように現行の著作権法上も「違法」な行為であり、現行法上既に違法である行為を重ねて禁止する必要はないので、楽譜の複製を全面禁止する根拠にはならない。
仮に「現行の著作権法において禁止されていない行為」によって大きな損害が生じていると主張するのであれば、証拠を示されたい。また、他の欧州諸国など、ドイツのような禁止規定を持たない日本以外の国々に対してどのような要請をしているのか示されたい。