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市場開放問題苦情処理推進会議第6回報告書(平成12年3月16日) [本部決定] [フォローアップ]

3-(1) 港湾業務への市場原理導入

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:運輸省

○ 問題の背景

(1) 港湾運送事業の現況
港湾運送事業は、港湾運送に関する秩序を確立する観点から、港湾運送事業法第4条に基づき免許制による参入規制が行われている。また、港湾運送事業は運輸省令で定めるところにより、運賃及び料金を定め、運輸大臣の認可を受けなければならないとされており、これを変更するときも、同様としている。

(2) 港湾運送事業法の改正に至る経緯
平成9年12月に行政改革委員会の最終意見が取りまとめられ、港湾運送事業については、事業免許制(需給調整規制)を廃止し許可制に、料金認可制を廃止し届出制にすべきとされた。本最終意見を踏まえ、平成10年5月から運輸政策審議会では、規制緩和の具体的実施策のあり方等について議論を開始し、平成11年6月に、港湾運送事業の規制緩和の具体的方策(市場原理の導入)等に関する最終答申をとりまとめた。運輸省ではこの最終答申の具体化を図るため、港湾運送事業法改正法案を平成12年2月に国会へ提出した。

○ 問題提起内容

港湾業務の荷役料や運送料等は高く、その処理速度も遅い。海外の港から日本の港までの海上運賃と、日本の港から近隣の市内までの陸上運賃がほぼ同額であるといわれることや、国内の港を利用して積替えるより、韓国の釜山で積替えを行った方が安い場合があること等で示されるように、日本の港湾業務のコストが高すぎるために、輸入品が国産品に比べて価格競争の点で不利となっている。また、夜間荷役、日曜荷役等が不十分であることによる貨物引取の遅延が見られる。港湾業務に市場原理を導入し、港湾の荷役・輸送コストを縮減し、業務の迅速化を図るべきである。

行政改革委員会の最終意見がすでに平成9年12月に出されているが、実施が平成12年内と時間がかかり過ぎている。東京商工会議所の会員は、90%以上が中小企業・零細企業であり、現在の経済環境下で、非常に厳しい経営を余儀なくされており、コストの削減は一刻を争う問題である。規制緩和の早急な実施を要望する。

○ 検討結果

港湾業務の荷役料や運送料等が東アジアの港湾と比較して高いことについては、港湾運送事業法により港湾業務への参入が規制され、免許を受けた既存の港湾業務の事業者が、類似の運送業務を行う他の一般事業者との競争に晒されずに保護されているため、業務効率が劣っていることが主な原因の1つとなっている。

その結果、日本の港を利用するコストが国際的にみて高い水準にあり、シンガポール、釜山、高雄等の港に比べて日本の港湾諸料金は約2倍となっている。過去10年の貨物取扱量は、香港、シンガポールが4〜5倍へと増加しているのに対し、神戸は横ばい、横浜は1.5倍にも達しておらず、重要な物流拠点たる港湾の利用において日本の港の地位が大きく低下している。

対応を遅らせて保護を続けるほど港湾業務の効率化は遅れ、国際競争力を更に失ってしまうことから、早急に諸外国と劣らず効率的な港湾業務の体制を確立すべきである。

所管省は、政令で指定する特定港湾(コンテナ貨物取扱量の太宗を占める京浜港、千葉港、清水港、名古屋港、四日市港、大阪港、神戸港、関門港、博多港の主要9港)にて先行的に規制緩和(事業免許制を許可制に(需給調整規制の廃止)、料金認可制を届出制に)を実施し、協同組合化による事業者の集約・協業化を通じて事業の効率化やサービスの向上を推進することを内容とした港湾運送事業法の改正法案を、平成12年2月に第147回国会(通常会)へ提出したところであり、平成12年内にこれら規制緩和を実施したいとしている。

これらの規制緩和の実効性を確保するため、競争力を有する良質な事業者の港湾業務への新規参入を保証し、カルテルの形成等が起こることのないよう業者間の競争を推進・確保することにより、港湾業務の諸料金・運賃等の低減、業務処理時間の短縮等を早急に実現させるべきである。

以上を踏まえ、所管省においては、港湾業務への市場原理導入に関し、以下の対応を取るべきである。

(1) 競争による港湾業務の効率化、サービスの向上を早急に実現させるため、コンテナ貨物取扱量の太宗を占める主要9港(京浜港、千葉港、清水港、名古屋港、四日市港、大阪港、神戸港、関門港、博多港)において、港湾運送事業の免許制を許可制へ(需給調整規制の廃止)、料金の認可制を届出制へ移行する規制緩和措置を、平成12年の可能な限り早い時期に実施すべきである。

(2) 規制緩和の実効性を確保するため、新規事業者の参入を妨げることのないようにすべきである。


OTO対策本部決定(平成12年3月21日) [報告書] [フォローアップ]

3-(1) 港湾業務への市場原理導入

港湾業務への市場原理導入に関し、以下の対応を取る。

(1) 競争による港湾業務の効率化、サービスの向上を早急に実現させるため、コンテナ貨物取扱量の太宗を占める主要9港(京浜港、千葉港、清水港、名古屋港、四日市港、大阪港、神戸港、関門港、博多港)において、港湾運送事業の免許制を許可制へ(需給調整規制の廃止)、料金の認可制を届出制へ移行する規制緩和措置を、平成12年の可能な限り早い時期に実施する。

(2) 規制緩和の実効性を確保するため、新規事業者の参入を妨げることのないようにする。


フォローアップ(平成12年12月7日) [報告書] [本部決定]

3-(1) 港湾業務への市場原理導入

競争原理の導入による港湾運送事業の効率化、サービスの向上を図ることを目的として、日本におけるコンテナ貨物取扱量の95%を占める主要9港(京浜港、千葉港、清水港、名古屋港、四日市港、大阪港、神戸港、関門港、博多港)において、港湾運送事業の免許制を許可制へ(需給調整規制の廃止)、料金の認可制を届出制へ移行すること等を内容とする港湾運送事業法の一部を改正する法律が平成12年5月に成立し、同年11月1日より施行されたところ。