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市場開放問題苦情処理推進会議第6回報告書(平成12年3月16日) [本部決定] [フォローアップ]

4-(2) インターネットを活用したNACCS等通関手続の改善

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:大蔵省

○ 問題の背景

(1) NACCSへの接続方法

NACCS(通関情報処理システム、Sea-NACCS及びAir-NACCSの2種)は、海上貨物及び航空貨物の輸出入通関手続を、運営体である通関情報処理センターと税関、通関業者、船会社・航空会社、銀行等が専用回線と専用端末装置で繋がれたコンピュータ・ネットワークを通じて迅速・確実に行うシステムである。

NACCSを利用するには、通関情報処理センターと契約した上で同センターに対し利用料や接続料等を支払う必要がある。平成11年10月のSea-NACCS更改の際には、接続の際の端末装置に市販のパソコンや企業内ネットワーク等を利用することが可能となったが、接続の方法については依然として専用回線によるもののみとなっている。

(2) 事前教示制度

事前教示制度は、輸入貨物の税番・税率につき、輸入者が予め税関に照会を行い、回答を受けることができる制度で、現在、文書によるもの、口頭によるもの、Eメールによるものがある。

文書によるものの場合、回答書を輸入申告書に添付すれば基本的には通関審査時にこの税番・税率が用いられるが、Eメールによるものの場合は、口頭によるものと同様の参考情報として扱われることとなっており、文書によるものと同じ効力は認められていない。

(3) 分類情報検索システム

分類情報検索システムは、過去の事前教示の事例をデータベース化したものであるが、全国の主要な税関官署内に設置された専用端末機のみにより利用する方式となっている。

○ 問題提起内容

(1) NACCSを利用した通関手続は現在、通関情報処理センターのホスト・コンピュータと専用回線により接続して行う方法に限られているが、通産省の外為法関連手続のように、通関手続についてもインターネットを通じた接続により行えるよう、NACCSを改善すべきである。

(2) 事前教示の制度を利用して税番・税率の照会を頻繁に行っているが、Eメールによる照会・回答は、文書によるものと同等の効力を有さない取扱となっているため、どうしても文書による照会・回答によらざるを得ず、効率が悪い。Eメールによる照会・回答についても、文書による照会・回答と同じ効力を持たせるべきである。民間では、銀行取引や株式売買といった資金移転を伴う商取引さえもがインターネットを利用して安全かつ活発に行われており、こうした現在の技術レベルを考えると、Eメールによる回答書に関するセキュリティ問題、電子情報の容量の問題は技術的に克服できるものと考える。

(3) 事前教示の過去の事例を調べようとした場合、現行の分類情報検索システムでは、税関官署に出向かなければ利用できないことから実務上不便であるため、過去の照会内容・回答事例をインターネットを通じた接続により検索できるような方式でデータベース化すべきである。

○ 検討結果

NACCSは、昭和53年に初めて航空貨物に導入され、電子政府の先駆けとして評価されてきた。今後のインターネット導入についても、所管省は、技術的にセキュリティの問題が克服でき、民間利用者からインターネット導入の要望が強いのであれば、そうした方向も検討していきたいとしている。

Eメールによる事前教示について、所管省は、Eメールで入手できる限られた情報の範囲でも可能な限り参考となる回答をすべく努めており、Eメールの利用に積極的に対応していきたいとしている。

分類情報検索システムについて、所管省は、容量等の問題が克服できれば、インターネットの導入を進めていきたいとしている。

以上を踏まえ、所管省においては、インターネットを利用したNACCS等通関手続の改善に関し、以下の対応を取るべきである。

(1) NACCSについては、平成13年秋のAir-NACCS更改等の機会を捉えてインターネットを活用できるよう前向きに取組むべきである。また、平成11年10月に更改されたSea-NACCSについても、次期更改予定の平成19年を待たずに出来る限り早い時期にインターネットの活用に取組むべきである。

(2) Eメールによる事前教示については、その全てについて文書によるものと同じ効力を認めないとするのでなく、分類が簡単で情報量が十分なものは、文書によるものと同等の効力を認める方向で検討し、その実現の方法について平成12年中に結論を出すべきである。

(3) 分類情報検索システムについては、税関に設置された専用端末機での閲覧・検索方法だけでなく、インターネットを通じて閲覧・検索できるような新たなシステムの構築に向けた検討を平成12年中に終えるべきである。


OTO対策本部決定(平成12年3月21日) [報告書] [フォローアップ]

4-(2) インターネットを活用したNACCS等通関手続の改善

インターネットを利用したNACCS等通関手続の改善に関し、以下の対応を取る。

(1) NACCSについては、平成13年秋のAir-NACCS更改等の機会を捉えてインターネットを活用できるよう前向きに取組む。また、平成11年10月に更改されたSea-NACCSについても、次期更改予定の平成19年を待たずに出来る限り早い時期にインターネットの活用に取組む。

(2) Eメールによる事前教示については、その全てについて文書によるものと同じ効力を認めないとするのでなく、分類が簡単で情報量が十分なものは、文書によるものと同等の効力を認める方向で検討し、その実現の方法について平成12年中に結論を出す。

(3) 分類情報検索システムについては、税関に設置された専用端末機での閲覧・検索方法だけでなく、インターネットを通じて閲覧・検索できるような新たなシステムの構築に向けた検討を平成12年中に終える。


フォローアップ(平成12年12月7日) [報告書] [本部決定]

4-(2) インターネットを活用したNACCS等通関手続の改善

(1) Air-NACCS及びSea-NACCSのインターネットの活用について来年度中に検証作業を開始する方向で検討を行っている。

(2) Eメールによる事前教示を拡充し、文書によるものと同等の効力を認めることについては、
イ)利用者が文書によるものと同等の効力を認めることを希望し、分類が利用者から提出された情報で決定できる場合に限り、当該取扱いを認めることとし、
ロ)その実現方法については、電子政府実現にあたって整備される認証基盤に含めることとした。
具体的手続等を今後更に検討することとしたい。

(3) 分類情報検索システムのインターネット公開については、来年度中の実現に向け、現在方策を検討中である。