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市場開放問題苦情処理推進会議第6回報告書(平成12年3月16日) [本部決定] [フォローアップ]

5-(2) 消防法における火気設備設置基準の見直し

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:自治省

○ 問題の背景

(1) 消防法における火災予防規制の仕組み

消防法は、国民の生命、身体及び財産を火災から保護することを目的とし、火を使用する設備(以下、「火気設備」という。)の取扱い等については、市町村条例で定めるとしている。自治省消防庁は、火災予防条例準則(以下「準則」という。)を定め、消防庁長官名で都道府県知事あてに、条例を定める主体である各市町村に準則に則った火災予防条例の発案準備にとりかかるようご指導願いたい、との通知を発している。さらに、この通知を補足するものとして、消防庁課長名で運用上の留意事項が各都道府県消防主管部長あて通知されている。

(2) 基準・認証

1) 火気設備に関する基準
火気設備に関する基準は、火災予防条例準則に則り市町村条例で定められており、火気設備と建築物等及び可燃性の物品の間に火災予防上安全な距離(離隔距離)を保つこととされている。具体的な離隔距離については、消費熱量の小さいものについては別表において規定するとともに、消費熱量が大きいものについては、離隔距離を一律に決めず、その都度消防機関において判断することとしているものが多い。このように、消費熱量の大きい火気設備については、多くの市町村条例において一律の離隔距離の定めがない。

条例の定めのないもののうち、(財)日本ガス機器検査協会において防火性能評定が行われ、合格・認証表示が行われている業務用ガス機器については、当該協会内に設置されているガス消費機器設置基準調査委員会において「業務用ガス機器の設置基準」がまとめられている。消防庁においては、課長名で都道府県消防主管部長あてに、「(財)日本ガス機器検査協会の防火性能評定の合格・認証表示が行われている業務用ガス機器について、この基準により設置するよう指導願いたい」旨通知し、各市町村ではこれを条例運用にあたっての具体的判断基準として使用している。「業務用ガス機器の設置基準」は、(財)日本ガス機器検査協会による検査合格・認証表示が行われた機器のみを対象としており、同協会による表示が行われていない機器に対しては基準は示されておらず、その都度消防機関において判断している。

2) 消防機関の安全性の確認
消防機関は火気設備の設置届出に際し、条例に定める基準に適合しているか否かの確認を個別に行っている。多くの市町村の火災予防条例において離隔距離の定めのないものについては、例えば、特に消費熱量が大きい業務用ガス機器に関しては、設置場所の周囲の構造、当該機器の試験データ、(財)日本ガス機器検査協会の防火性能評定合格表示等により、消防機関は当該業務用ガス機器の安全性の確認を行っている。

○ 問題提起内容

外国から業務用ガス機器を輸入し、使用しようとしたが、消防署の指導により、(財)日本ガス機器検査協会の検査に合格し、かつ防火性能評定委員会の認定を受けた機器を使用するように指導された。これらの機器は外国の規格・基準に合格しているが、日本で使用するためには、費用と時間をかけて再度検査を受けなければならない。

現状では、自治省消防庁により、特定の公益法人の認証表示がされた一部の製品についてだけ、条例運用にあたっての具体的な判断基準が定められているが、そのことが外国製品の市場参入阻害要因となっている。また、業務用ガス機器の防火性能の評定は、(財)日本ガス機器検査協会だけでしか実施されておらず、外国での試験データの受入れすらされていない。

自治省消防庁は特定の公益法人に認証された機器についてだけでなく、すべての機器に関して具体的な判断基準を明確化すべきである。

○ 検討結果

所管省によると消費熱量の大きい火気設備の離隔距離を一律に定めることは困難であるので、消防機関が現場で火気設備の試験データ等と建物の構造から離隔距離を判断しているとのことである。しかしながら、一律にガイドラインが定められていない火気設備について、個々に試験データ等から離隔距離を判断するに際して、消防機関の中には、十分な対応が困難なところもあり、結果として、問題提起にあるような混乱が一部の現場で起こっているとの指摘であるので、所管省は市場アクセスの改善のため、また火災予防のためにも離隔距離に関して何らかのガイドラインを示すべきである。

また、所管省は、(財)日本ガス機器検査協会が認証した業務用ガス機器については、同協会が作成した業務用ガス機器の設置基準により設置するようにという通知を各都道府県に出しているが、特定の協会の認証製品以外のものについても、試験データ等を基に個別に離隔距離の確認等を行う必要がある旨を各消防機関に徹底すべきである。

以上を踏まえ、所管省においては、火気設備の離隔距離について、以下の対応を取るべきである。

(1) 消費熱量の大きい火気設備のうち、離隔距離等の類型化の可能なものについて、平成12年度中にガイドラインを策定し、消防機関に示すべきである。

(2) (財)日本ガス機器検査協会等の検査合格・認証表示品以外のものについても、各消防機関において火災予防上の安全性について確認する必要があることを、通知等適当な方法で早急に消防機関に徹底すべきである。


OTO対策本部決定(平成12年3月21日) [報告書] [フォローアップ]

5-(2) 火災予防条例における火気設備設置基準の見直し

火気設備の離隔距離に関し、以下の対応を取る。

(1) 消費熱量の大きい火気設備のうち、離隔距離等の類型化の可能なものについて、平成12年度中にガイドラインを策定し、消防機関に示す。

(2) (財)日本ガス機器検査協会等の検査合格・認証表示品以外のものについても、各消防機関において火災予防上の安全性について確認する必要があることを、通知等により早急に消防機関に徹底する。


フォローアップ(平成12年12月7日) [報告書] [本部決定]

5-(2) 火災予防条例における火気設備設置基準の見直し

学識経験者等により構成される「火気設備等の規制のあり方に関する調査研究委員会」を設置し、調査・検討しているところであり、平成13年3月に設置ガイドラインを策定し、消防機関へ通知する予定である。
平成12年7月7日付消防予第150号により通知済。通知により、(財)日本ガス機器検査協会等の検査・認証等がないものについて、製造メーカーが作成した試験データ等を活用して火災予防上安全であることを確認する必要があることを消防機関等に徹底した。