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市場開放問題苦情処理推進会議第6回報告書(平成12年3月16日)

1-(6) 海苔輸入手続の改善

○ 問題提起者:駐日韓国大使館

○ 所管省庁:農林水産省、通商産業省

○ 問題提起内容

1998年の韓日水産物貿易に関する実務者会議で日本側は、海苔協会の独占的な輸入制度を廃止し、割当方式による輸入制度に変えることとした。

しかし、新たな海苔輸入制度においては、割当量の3分の2が需要者割当分となっているが、その申請資格を海苔協会に限定しているので、従来の海苔協会の独占的な輸入制度と変わらず、実質的には輸入制限効果をもたらしている。更に、乾燥海苔と味付け海苔の輸入比率は固定されている(1999年の場合、乾燥海苔80%に対し味付け海苔20%)。

したがって、両国の輸出入商社により輸入割当量の範囲内で自由な取引ができるようにするべきである。

また、平成10年度に創設された先着順割当枠への申請資格は、10万ドル以上の輸入実績のある者とされているが、この要件を緩和すべきである。

更に、通商産業省の海苔の輸入公告は毎年2月であるが、韓国では海苔の生産時期である12月には輸出物量を事前に準備しているので、輸入公告を毎年12月にすべきである。

○ 所管省庁における対処方針

(1) のりは、我が国沿岸漁業者の主要生産品目であり、無秩序な輸入がこれら漁業者に悪影響を与えないよう輸入割当(IQ)の対象としている。

(2) のりの輸入手続きについては、1997年の駐日韓国大使館による問題提起等を受けて、開催された1998年1月及び9月の日韓両国政府間の水産物貿易に関する実務者会合における議論を踏まえ、以下の内容を含む輸入手続きの変更を1999年2月に行ったところであり、1999年3月に開催された当該会合の場で韓国側も、我が国が韓国の要請に配慮して多くの点で制度の見直しを行ったことにつき謝意を表したところである。
1) 輸入割当限度数量(1999年2月公表)については、これまでの輸入実績、輸入の伸び、国内受入状況等を総合的に勘案した実際の日本ののり市場の需給実勢に応じた数量として、69百万枚(前年輸入実績比33%増)を設定
2) 輸入のりの売買に関する基本契約の原本及びその写しを所管省庁に提出する義務を撤廃し、のり協会による一元輸入を廃止
3) 新規参入を希望する者に対して、自由な取引が志向されるよう先着順割当て枠を創設し5百万枚の割当てを行うとともに、輸入実績の尊重という観点を踏まえ、実績商社割当て18百万枚、需要者割当て46百万枚を割当て

(3) 日韓両国間の水産物貿易に関して韓国側において問題提起がある場合には、これまでと同様毎年定期的に開催されている日韓両国政府間の水産物貿易に関する実務者会合の場で議論を深めることで両国の見解は一致している。

(参考)
・ 実績商社割当て:韓国産ののりを輸入した実績のある商社へ割当てを行う方式
・ 先着順割当て:新規参入を希望する商社へ割当てを行う方式
・ 需要者割当て:韓国産のりを加工原料等として扱うのり加工業者やのり流通業者等が必要とするのりを安定的に確保することを目的として、これらの者が加入する団体に割当てを行う方式。割当てを受けた団体は輸入商社に必要な荷を発注し、納品させた上で、傘下会員に配分を行う。

(備考)
本件は、その後、2000年2月1日付通商公示において、

(1) 総割当限度数量を昨年の6900万枚から1億2000万枚(前年比74%増)に増枠する中で、需要者割当の総割当限度数量に占める割合を67%から63%に引き下げるとともに先着順割当てを5倍に増加、

(2) 先着順割当て申請者資格において、10万ドル以上の輸入実績のある者という要件を廃止、

(3) 公示の時期を2月末から2月初めに前倒しにする等の改善措置が示され、

これをもって問題提起者は了解した。