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市場開放問題苦情処理推進会議第6回報告書(平成12年3月16日) [フォローアップ]

1-(8) 植物検疫基準の見直し

○ 問題提起者:駐日韓国大使館

○ 所管省庁:農林水産省

○ 問題提起内容

日本の検疫当局の過度な検疫基準の適用により、韓国産の新鮮野菜類(胡瓜、茄子、唐辛子、レタス、キャベツ)及び花卉類(薔薇、百合、菊等)の対日輸出において、燻蒸消毒による商品性の低下や不要な検疫費用の負担等の支障が生じている。

特に、下記五つの主な病害虫については、現在、日本で広く分布しているものであり、過度な検疫措置であることから、早期に非検疫病害虫として指定すべきである。
1) Thrips palmi(ミナミキイロアザミウマ)
2) Franklinniella occidentalis (ミカンキイロアザミウマ)
3) Myzus persicae(モモアカアブラムシ)
4) Macrosiphum euphorbac(チューリップヒゲナガアブラムシ)
5) Acarus siro(アシブトコナダニ)

○ 所管省庁における対処方針

韓国から非検疫有害動植物として指定すべきと要請されている害虫5種のうち、ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、モモアカアブラムシ、チューリップヒゲナガアブラムシの4種の害虫については、我が国の発生予察事業の対象となっている重要な害虫である。国は、発生予察の結果、必要な場合において、防除計画の大綱を定め、または、防除に関する勧告を行い、地方公共団体等が、これに基づき防除を実施することとしている。このことから、これらの害虫は公的防除の対象病害虫として位置づけられるものであり、IPPC(International Plant Protection Convention:国際植物防疫条約)の植物検疫用語集における検疫有害動植物に該当する。

ただし、アシブトコナダニについては、非検疫有害動植物の対象とすることができるか否かにつき検討することとしたい。

(その後の状況)
問題提起者は、所管省の対処方針において、「4害虫は公的防除の対象病害虫として位置づけられる」とされたことに対し、(1)公的防除に対する定義及び運用については、IPPCにおいても未だ異見が多い、また、(2)病害虫が発見された場合、国内植物に対しては防除勧告である一方、輸入品に対しては「消毒又は廃棄」という強制処分を行うことは受け入れがたい、さらに本件は「韓日植物検疫実務者会議」においても引き続き議論したいとしている。

これに対して所管省では、要望があれば平成12年2月に開催が予定されている「日韓植物検疫実務者会議」の場で話し合いを継続していきたいとの回答を行った。

(備考)
本件は、「韓日植物検疫実務者会議」の場で引き続き議論していくことで両国の見解は一致している。

(委員意見)
本件については、委員から、「病害虫が発見された場合、国内産は防除勧告にとどまり、輸入品には消毒または廃棄処分を課するのはダブルスタンダードではないか。」との質問が出された。これに対し所管省は、「国内農産物に付着している有害動植物についても、都道府県の指導の下で、生産現場において濃密な防除が行われており、国内農産物及び輸入農産物ともに防除の措置がとられている。」との回答を行ったところ、委員から、所管省からのこれ以上の回答は求めないとした上で、「農薬による育成中の国内農産物の防除と、くん蒸、廃棄による収穫後の輸入品に対する防除の現状比較によって内外を公平に扱っていると納得されるものなのか。」との意見が述べられた。


フォローアップ(平成12年12月7日) [報告書]

1-(8) 植物検疫基準の見直し

アシブトコナダニについては、これまで、文献検索等により本種の生物学的な分類、生態、食性等を調査し、病害虫危険度解析の手法を用いて、技術的観点から再評価をしたところであり、現在、得られたデータの確認及び調査結果の総合的評価を行っているところである。今後は、当該評価結果が良好であれば、幅広く関係者の意見を聴取の上、当該病害虫を検疫有害動植物から外すことの是非につき決定することになる。