3-(2) 化学物質審査手続の簡素化

市場開放問題苦情処理推進会議第6回報告書(平成12年3月16日)

3-(2) 化学物質審査手続の簡素化

○ 問題提起者：東京商工会議所

○ 所管省庁：通商産業省、厚生省

○ 問題提起内容

パソコンのプリンターやコピー機・ファックスのカートリッジを輸入するに際し、カートリッジ内のトナー、インクに入っている新規化学物質に対して化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律が適用され、厚生大臣及び通商産業大臣に届けなければならない。その手続きにおいて、ドキュメンテーションの作成が複雑である等手続が煩雑となっているので、手続きの簡素化を図るべきである。

○ 所管省庁における対処方針

(1) 届出手続きの簡素化について

「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」（以下、「化審法」という。）は、厚生省と通商産業省の共管となっている。そのため、化審法に係る新規化学物質の製造・輸入の届出は、厚生省、通商産業省の両省に対して行うこととされているが、その際に添付される試験報告書等についても、必要に応じ各様式の統一が図られている。しかしながら、審議会等での指摘事項等に対応するために提出する必要がある資料については、各々の指摘等に応じて、その内容も異なる場合が生じる。

なお、化審法に基づく新規化学物質の届出、少量新規化学物質の申出については、届出手続きの簡素化を図るため、現在、電子媒体を用いた届出システムを構築しているところであり、平成12年度から電子媒体を用いた届出の受付を開始する予定である。

(2) 化審法における「製品」について

化審法の規制は、いわゆる完成した「製品」に着目するのではなく、製品を構成する「化学物質」に着目して行っている。このため、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の運用について」（昭和62年3月24日薬発第291号・62基局第171号厚生省薬務局長・通商産業省基礎産業局長連名通知）の記Ⅰ．(4) に示してあるとおり、固有の使用形状を有するものや、混合物のうち混合することによってのみ商品となるものであって原則として当該商品が最終用途に供されるようなもの（すなわち、一般消費者が使用するような形態となっているもの）は、「製品」として概念して扱っており、化審法第3条に基づく届出の対象外としている。

したがって、新規化学物質が含まれるトナー、インクのカートリッジの輸入に当たっては、上記の「製品」に該当すれば化審法に基づく新規化学物質の事前届出が不要であり、該当しなければ化審法に基づく新規化学物質の輸入届出が必要となる。具体的には、カートリッジ内に封入され、かつ一般消費者が使用するような形態で一般消費者向けに供されるトナー、インクであれば化審法上「製品」として扱われ得るものの、トナー、インク、カートリッジといっても多種多様の取引形態が想定されるため、上記の「製品」に該当するかどうかを一律に判断することはできない。

なお、化審法に基づき指定された第一種特定化学物質（PCB等9物質）又は第二種特定化学物質（トリクロロエチレン等23物質）が使用されている「製品」の輸入等に当たっては、化審法第13条等で別途規制がかけられることになる。

（備考）
問題提起者は当面この対処方針で了解。

フォローアップ(平成12年12月7日)

3-(2) 化学物質審査手続の簡素化

化審法に基づく新規化学物質の届出、少量新規化学物質の申出について、手続きの簡素化を図るため、平成12年度中に電子媒体を用いた届出の受付を開始すべく、現在、システムの改良、関係する省令等の改正等の作業を進めているところである。