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市場開放問題苦情処理推進会議第6回報告書(平成12年3月16日)

4-(1) キャンピングカー等に関する車幅の上限の見直し及び特殊車両通行許可等のあり方の見直し

○ 問題提起者:駐日米国大使館

○ 所管省庁:建設省、運輸省

○ 問題提起内容

(1) キャンピングカー等に関する車幅の上限の見直し

我が国では、道路法及び道路運送車両法に基づき車幅は2.5mが最高限度となっている。しかしながら、米国製のキャンピングカー等(ナンバーの取得を前提としたもの)の車幅は、現在、上記上限を僅か数センチ程度超える(2,540mm〜2,578mm)ものが大半となっており、上記上限が米国製キャンピングカー等を日本に輸入する際の大きな障壁となっている。

一方、日本では、大型バス・トラック等は、車体外に取り付けられた後写鏡等を車体に設置すると幅が2.5mを超え、3m近くとなる場合であっても、後写鏡をとりはずした状態で2.5m以下であれば、道路運送車両の保安基準上は、上限以下との扱いになっている。このように実態上3m近くの車幅を有する大型バス・トラック等が車幅の上限を満たすとされているにもかかわらず、キャンピングカー等は僅か数センチであっても上限を超えるとされるのは不合理である。

したがって、キャンピングカー等についても、その幅が2.5mを超える場合であっても、上述のような大型バス・トラック等の幅と同様に、安全上問題がなければ、日本の道路を何らの制限もなく通行させることができるような措置を講じるべきである。

(2) 特殊車両通行許可等のあり方の見直し

車幅が2.5mを超える場合は、特殊車両等とみなされ、特殊車両通行許可等が必要となるが、キャンピングカーは頻繁に使用するものではなく、国内普及台数も少ないこと、また、現在でも車幅2.5m近くのキャンピングカー保有者は事前に走行ルートの車幅の余裕等を十分に調査した上で走行していることから、キャンピングカー等については特殊車両通行許可等の際に、通行経路、通行時間に関しては利用者の自己責任にゆだねるべきである。

○ 所管省庁における対処方針

(1) キャンピングカー等に関する車幅の上限の見直し

道路の構造は、一定の諸元を有する車両(設計車両/車両幅は2.5m)を想定し、その車両が安全かつ円滑に通行できるように設計されている。車両制限令に規定される車両幅等の最高限度は、この設計車両の諸元を基に定められている。(車両幅の最高限度については、「道路交通に関する条約」に規定されている車両幅と同値である。)

したがって、安全かつ円滑な車両の一般的な通行を確保しつつ、車両幅の最高限度を引き上げることについては、道路の拡幅等の大規模な改築が必要となるため、現状においては措置困難である。

道路運送車両の保安基準における車両幅の規定の方法は米国国内法規と相違するものではない。車両制限令における車両幅の考え方も、積載貨物が車体からはみ出していない限り、上記省令の規定に準ずるものである。

[建設省]

自動車の車幅については、道路、橋梁、トンネル等の関係において、自動車の幅を制限しないと、他の交通に非常に大きな影響を与えることから、国内の道路事情を勘案し、通常何の制限もなく走行することができる自動車の車幅の限度を定めているものである。

また、道路交通に関する条約の「国際交通の車両の寸法及び重量」に規定されている自動車の車幅の規定とも同寸法であり、車幅の規定の方法についても、米国国内法規と相違するものでもなく、日本国内の車幅の規定は、世界的に特異な規制ではないと考えている。

したがって、現状においては、自動車の車幅要件を緩和することは困難である。

なお、御指摘のとおり、後写鏡については、車幅寸法に含まれていないが、安全確保のため、他の交通等に接触した場合に折りたたまる等により、衝撃を吸収する構造とするよう義務付けられている。

[運輸省]

(2) 特殊車両通行許可等のあり方の見直し

最高限度を超える車両であっても、道路管理者が車両構造又は積載貨物が特殊であるためやむを得ないと認める場合は、必要な条件を付して通行を許可することができる(道路法第47条の2第1項)が、車両幅2.5m超のキャンピングカーについては、車両構造の特殊性は認められないので上記許可の対象とすることはできず、通行することはできない。

[建設省]

分割が不可能な長大な物品等を運搬するために、自動車の構造上、基準を超す車幅が必要な自動車については、道路運送車両の保安基準の緩和認定を行っているところではあるが、これは、積載物品が大きいことや自動車の構造上やむを得ない場合に認定が可能なものであり、キャンピング車のように、日本国内の基準の範囲でも十分に対応が可能である自動車について、緩和認定を行うことは認められない。

[運輸省]

(備考)
問題提起者において検討中。

(委員意見)
キャンピングカーの車幅に関し、委員から、「寸法超過について3、4年の猶予期間を与えてそれ以後は2,500ミリ以上は認めないとするなら問題提起者は納得するはずである。」との意見が出された。これに対し所管省は、「委員指摘の措置は、規制値を改正した時の経過措置として考えられる場合もあり得るが、本件規制値のように過去継続して施行され十分に周知されているものについて実施する理由はない。」等とする回答を行った。