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市場開放問題苦情処理推進会議第6回報告書(平成12年3月16日)

5-(1) 地方自治体発注の公共事業における経営事項審査の評点基準の改善

○ 問題提起者:駐日韓国大使館

○ 所管省庁:自治省

○ 問題提起内容

公共事業への入札参加資格のひとつである経営事項審査総合評点は、建設省の直轄工事においては原則として1,250点に設定されているが、地方自治体発注の公共事業においては2,000点あるいはそれ以上に設定されているケースがある。例えば、平成9年11月の埼玉県立スタジアムの入札公告では2,100点、平成10年6月の群馬県立美術館の入札公告では2,000点、平成11年5月の和歌山県立五稜病院再建築の入札公告では2,000点、平成11年7月の神戸ポートアイランド護岸工事の入札公告では2,000点、平成11年8月の川崎市消防局関係工事の入札公告では2,000点となっていた。この地方自治体が設定する点数は高すぎるため、事実上、外国企業の入札参加が排除されている。

入札参加資格は契約履行能力を有していることを確保する上で不可欠なものに限定されるべきであり、地方自治体においても建設省の直轄工事の場合と同じように原則として1,250点に設定されるよう周知すべきである。

○ 所管省庁における対処方針

入札参加資格は、各地方公共団体において自主的に定めることができるものであり、国が一律に一定の水準にすることを求めることはできないものである。

しかしながら、政府調達に関する協定は、都道府県及び指定都市にも適用されているところであり、協定において、「入札の手続への参加のためのいかなる条件も、供給者が当該入札に係る契約を履行する能力を有していることを確保する上で不可欠なものに限定されなければならない(協定第8条(b))」とされていることに鑑み、自治省は、建設省とともに、事業の内容等からみて過度に高い点数を設定することによっていたずらに競争参加者を絞り込むことのないよう、地方公共団体に対し通知により要請しているところである。

なお、駐日韓国大使館からの問題提起内容においては、若干の事実誤認があるので、指摘すると以下のとおりである。
・経営事項審査総合評点については、平成10年7月に制度改正があり、平成11年4月以降の建設省の直轄工事においては経営事項審査の評点(客観点数)の基準が原則として1,250点に設定されているが、それ以前においては、原則として1,500点に設定されていたこと。
・平成11年7月の神戸ポートアイランド沖合護岸築造工事及び平成11年8月の川崎市消防局総合庁舎新築工事の当初の入札公告では、それぞれ2,000点ではなく1,500点に設定されていたこと。
・したがって、建設省の直轄工事が原則として1,250点に設定してから、地方公共団体が2,000点以上に設定した例はないこと。
・さらに、例示されている5事例においては、すべて各団体が政府調達協定との整合性等について慎重に再検討を行った上、点数を下方調整していること。

(備考)
問題提起者は当面この対処方針で了解。

なお、所管省(自治省)は、建設省とともに、政府調達に関する協定が適用になる地方公共団体の公共工事の競争入札参加資格としての経営事項審査点数の適切な設定を図るため、平成12年2月16日付けで都道府県及び政令指定都市宛に通知を発出した。