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市場開放問題苦情処理推進会議第6回報告書(平成12年3月16日)

7-(6) 無償提供した金型を用いて生産した貨物の輸入通関時の消費税免除

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:大蔵省

○ 問題提起内容

国内の得意先に売却した金型を預り、それを海外へ無償出荷して生産されたものを輸入する場合、金型の価値分も課税価格に含まなければならない。その場合、国内で一度金型の消費税が発生しているにもかかわらず、二度にわたって課税対象となり、制度として不合理である。

以上のような場合、国内で1度消費税を支払っているので、輸入の際は消費税を免除すべきである。

○ 所管省庁における対処方針

輸入品に係る消費税の課税標準は、
・ 従価税である消費税の納税義務の発生は、輸入品については保税地域からの引取時であることを考慮すれば、輸入品の引取時の価格(時価)を課税標準とすることが適当であること、
・ また、この価格は、輸入品が国内に入るときの価格であり、国内取引価格とバランスのとれた価格にもなっていること、
を踏まえ、関税の課税価格を基礎として算出することとしており、付加価値税を採用する主要国においても同様の算出方法がとられている。

また、関税の課税価格の算出方法は、関税定率法第4条から第4条の4において規定されており、これは国際的な取決めである「1994年関税及び貿易に関する一般協定第7条の実施に関する協定(関税評価協定)」を準拠したものである。

すなわち、本件のように、無償で提供された金型を使用して製造された商品を輸入する場合には、関税定率法第4条第1項第3号ロの規定により、当該金型の費用を加算して課税価格を算出することとされている。なぜなら、この場合は、売手が金型を購入して輸入貨物を製造した場合に比べて、金型費用が安価となっているために通常の(無償提供しなかった場合の)価格とするものであり、関税はこの課税価格を課税標準として課されることから、その課税価格に関税を加えたものが取引時の価格(時価)となり、これを課税標準として消費税を課すことは、合理的であると考えられる。

なお、消費一般に負担を求める消費税は、取引の各段階における事業者の売上げに対して課税されるが、税の累積が生じないよう前段階(仕入れ先及び輸入時)で課された税額を控除する方式(仕入税額控除制度)が採用されているため、複数の取引段階にわたって課税されても、仕入税額控除の仕組みを通じ、事業者に負担を求めることのない、中立的な税制になっている。

具体的には、事業者は、課税期間(個人は暦年、法人は事業年度)中の売上げに対して課税された消費税額から、その売上げに要した仕入れに係る消費税額(輸入時を含む。)を控除し、その差額を税務当局に納税すればよいこととなっている(売上げに対する消費税額よりも仕入れに係る消費税額が超過する場合には還付される。)。このことから、本件のように輸入時に商品に課税された消費税は、加算評価により課税標準に含まれた金型価値に係る分を含め、仕入税額控除することにより、本件輸入者の負担となるものではない。

(備考)
問題提起者は当面この対処方針で了解。