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市場開放問題苦情処理推進会議第7回報告書(平成14年3月18日) [本部決定]

2-(1) 家電リサイクル法に基づくリサイクル料金設定

○ 問題提起者:在日大韓民国大使館

○ 所管省庁:経済産業省、公正取引委員会

○ 問題の背景

(1) 平成13年4月1日に施行された特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)は、製造業者及び輸入業者が、特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に必要な行為に関する料金(以下「リサイクル料金」という。)を、引取りを求めた者に対し請求することができると規定する。(第19条)
   ※「特定家庭用機器」としては、1)エアコン、2)ブラウン管式テレビ、3)電気冷蔵庫、4)電気洗濯機が政令で指定されている。 

(2) 家電リサイクル法上、このリサイクル料金は、各製造業者等がそれぞれ独自に設定することが可能となっており(法第20条)、国は、各製造業者等が設定した料金が「適正な原価を著しく超えているとき」等の場合に、是正勧告・措置命令を行うことができるとされている(法第21条)。

(3) 例えば、電気冷蔵庫の場合、製造業者等が設定した料金は、4,600円〜5,600円となっている。(平成14年1月22日公表時点)

○ 問題提起内容

 リサイクル料金は、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の各品目毎に一律に決まっており、例えば、冷蔵庫の場合、製品のメーカーや大きさにかかわらず、日本の大手家電メーカーが設定した金額は一律4,600円である。
 一方、韓国の家電メーカーは、主に小型の低価格製品を生産・販売しており、リサイクル料金として大型・小型を区分せず一律の料金が適用されることとなると、日本の製品に比べ付加価値の低い製品に同額のリサイクル処理コストがつき、これを消費者に転嫁する形となるため、これが結果的に韓国企業の価格競争力を弱めている。
 また、1)例えば、韓国企業が独自に小型冷蔵庫について、日本企業よりも安い料金を設定しようとしても、一方で、日本の大手家電メーカーが共同で運営するリサイクル処理工場(以下「共同施設」という。)の処理料が上記日本の大手家電メーカーが一律に設定した料金を基に設定されているため、それを下回るリサイクル料金を設定することは事実上できない状況(注)となっており、また、2)本来、リサイクルに要する経費は小型の方が安いはずにもかかわらず、大小一律の料金設定となっていることは不合理なことから、日本政府は、当該リサイクル料金の設定については、民間レベルの問題とせず、むしろ、国(経済産業省)が、製品の大小を勘案した料金設定の基準を作成し、かかる不合理を是正すべきである。
 (注)韓国をはじめとする外国家電メーカーは自ら日本国内でリサイクル処理工場を運営することが困難なことから、上記共同施設等に再商品化等の処理を委託せざるを得ない状況。
 これに関し、経済産業省は、リサイクル料金は自由競争の原理によりメーカーが自主的に決めるものであり、制度的な介入は難しいと説明しているが、1)日本の大手家電メーカーが、本件対象の家電製品のリサイクル料金を一律横並びに設定しているのは、市場支配力を利用した一種の談合的料金設定に当たると思われ、自由競争に反すると判断される。2)このような料金設定行為は、省エネ型の小型家電製品を製造・販売している韓国メーカー等にとって、マーケットアクセスを妨げる要因として働いている。3)これは、結局、消費者販売価格に転嫁され、公害防止・省エネ・環境改善等家電リサイクル法の本来の目的を害する結果を招くおそれがあるものと思われる。
 すなわち、製品の大きさを区分せずリサイクル料金を一律に設定することは、自由競争原理の阻害、家電リサイクル法の目的との乖離、消費者負担の拡大等の観点から問題があると思われ、家電リサイクル法第21条に従い、政府が積極的に介入し、指導・是正すべき事案であると考えられる。
 したがって、リサイクル原価に応じてリサイクル対象品目(TV、冷蔵庫、エアコン、洗濯機)ごとに大小を区分して、リサイクル料金を設定するよう、日本国政府は指導・是正すべきである。

○ 検討結果

(1) 家電リサイクル制度は、平成13年4月1日に施行された新しい制度であり、施行後まだ1年を経ておらず、いわば制度の「立ち上げ」の時期である。
 リサイクル・コストについても、法施行後の実績を踏まえたデータの蓄積は、未だ不十分であり、また、今後の製品の多様化や企業努力等状況の変化により、今後も変動がありうるものである。
 また、リサイクル料金は、リサイクル・コストを適正に反映したものであり、かつ、その設定に当たっては、透明性が確保されたものであることが必要である。
 以上を踏まえ、所管省においては、リサイクル料金の適正原価について情報の公開に努め透明性を確保すべきであり、また、これによりリサイクル料金が今後の製品の多様化や企業努力等の状況により生ずるリサイクル・コストの変化に見合うものとなるよう十分監視すべきである。

(2) リサイクル・システムの構築は、リサイクル市場を創出し、リサイクル市場において新たな取引機会を拡大するものである。
 しかし、今回、問題提起者からは、リサイクル料金について、「市場支配力を利用した一種の談合的料金設定に当たる」との指摘がなされている。
 問題提起者は、独占禁止法に違反するおそれがあると考える場合には、公正取引委員会に相談・指摘すべきである。
 一方、公正取引委員会においては、事業者が共同して具体的なリサイクル料金の額を決定することや、新たなリサイクル・システムの構築が不当に制限されること等により、製品市場及びリサイクル市場における競争が制限されることのないよう注視すべきである。


OTO対策本部決定(平成14年3月20日) [報告書]

2-(1) 家電リサイクル法に基づくリサイクル料金設定

特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に基づくリサイクル料金設定に関し、以下の対応を取る。

ア リサイクル料金の適正原価について情報の公開に努め透明性を確保する。また、これによりリサイクル料金が今後の製品の多様化や企業努力等の状況により生ずるリサイクル・コストの変化に見合うものとなるよう十分監視する。

イ 事業者が共同して具体的なリサイクル料金の額を決定することや、新たなリサイクル・システムの構築が不当に制限されること等により、製品市場及びリサイクル市場における競争が制限されることのないよう注視する。