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市場開放問題苦情処理推進会議第7回報告書(平成14年3月18日) [本部決定]

4-(1) Air-NACCSの料金体系の見直し

○ 問題提起者:在日米国商工会議所(ACCJ)

○ 所管省庁:財務省

○ 問題の背景

(1)NACCS(ナックス 通関情報処理システム:Nippon Automated Cargo Clearance System)は、貨物の輸出入通関手続及び関連民間業務(貨物の物流等)をコンピュータ・ネットワークにより迅速・確実に行うシステムで、海上貨物を扱うSea-NACCSと、航空貨物を扱うAir-NACCSの2種類からなり、財務省の認可法人である通関情報処理センターが運営している。

(2)NACCSは、通関情報処理センターと税関、通関業者、船会社・航空会社、銀行等が専用回線で繋がれており、その運営経費は税関及び民間利用者の利用料金で賄われており、これを利用しようとする者はセンターと利用契約を結び、センターが定める利用料金を支払う必要がある。

(3)NACCSは8年毎にシステムの更改を行っている。平成11年10月にSea-NACCSのシステム更改が、13年10月にはAir-NACCSのシステム更改が行われた。

○ 問題提起内容

 今回、Air-NACCS更改に伴い料金体系が定額制から従量制に変更された結果、小口の多くの宅配便を扱う国際宅配便業者の費用負担が増加することになった。今回の変更に関しては、利用者に説明、情報提供が十分に行われずに形式的に手続が進められて変更された。したがって、Air-NACCSの料金体系については、多角的な視点から慎重に検討を行う中立的な機関を設置して、見直しを行うべきである。

 NACCSの料金は、総経費を賄うように決められるため、コスト削減のインセンティヴが働きにくい。また、システム開発・運営が長年にわたり特定企業に固定されており、競争原理が働いているとはいえない。したがって、競争入札の活用や業務の外部化等により業務の効率化を図ることにより総経費を削減して、利用料金の低廉化を図るべきである。

 NACCSの利用者は、NACCSを使用せざるを得ず、決められた料金を支払うことになる。通関情報処理センターは料金について説明責任を有しており、利用者等による不断の監視に資するためにも情報公開を進めて、料金に関する透明性を高めるべきである。

○ 検討結果

 通関情報処理センターはNACCSを独占的に運営・管理している上に、総経費を賄うように利用料金が設定されるためコスト削減のインセンティヴが働きにくい。また、総経費の大半をシステムの開発・運営等の費用が占めており、特定企業が長年にわたりシステムの開発・運営を担当している。このような現状を踏まえれば、競争条件の整備を図る等、業務の効率化・適正化を進めて総経費を削減すべきである。

 所管省によれば、センターは事前に意見の募集及び検討会の開催等利用者からの意見を踏まえてAir-NACCSの料金改定を行ったとしているが、問題提起者が指摘しているように十分納得できるような説明、情報提供が行われなかったことが今回の問題提起の一因である。センターは料金設定の考え方として、4年ごとに収支が均衡するように料金を設定し、5年目に全面的に見直し、経済動向等に合わせて弾力的に見直すとしているが、結果的に剰余金・引当金が多額に累積している点等を勘案すると、必ずしも見直しが弾力的に行われているとは言いがたい。また、今回のような料金体系の大幅な変更にあたって、4年ごとに収支が均衡するように料金を設定する中で3年間にわたる激変緩和措置を便法的に取らざるを得なかったのは準備不足と言われても仕方がない。したがって、料金体系について、総経費の削減方策、利用者における費用負担のあり方等多角的な視点から検討するため、中立的な検討の場を設ける等新たな料金体系の見直し方策を講じるべきである。その際には、規模の経済性を反映する等実際のコストに基づいた合理的な料金設定にすべきである。同時に、不断の監視に資するためにも利用料金に関する情報公開を一層推進し、透明性を高めるべきである。

 また、利用者の利便性を高める観点等から、NACCS等輸出入関連手続に関して、各省庁のシステムを相互に接続、連携することによりワンストップサービスを推進することは重要であり、このことは「e−Japan」重点計画等電子政府を推進する上においても重要である。

 以上を踏まえ、所管省においては、NACCSの料金体系に関し、以下の対応を取るべきである。

(1)NACCSについては、情報公開を一層進め、利用料金の透明性を高めるとともに、システム開発に係る競争入札の徹底、業務の外部化等について、平成14年度から速やかに講ずべき措置の具体化に取り組むことによって、業務の実施について更なる効率化・適正化を推進し、利用料金の一層の低廉化を実現するべきである。

(2)さらに、NACCSの利用料金のあり方については、総経費の削減方策、利用者における費用負担のあり方等多角的な視点から中立的な立場で審査等を行うため、有識者を含めた適切な場を速やかに設置する等新たな料金体系の見直し方策を講じるべきである。Air-NACCSについては、遅くとも激変緩和措置が終わる平成16年9月までに利用料金の体系を見直すべきである。その際には、規模の経済性に配慮しつつ合理的な料金設定のあり方について検討すべきである。


OTO対策本部決定(平成14年3月20日) [報告書]

4-(1) Air-NACCSの料金体系の見直し

NACCSの料金体系に関し、以下の対応を取る。

ア NACCSについては、情報公開を一層進め、利用料金の透明性を高めるとともに、システム開発に係る競争入札の徹底、業務の外部化等について、平成14年度から速やかに講ずべき措置の具体化に取り組むことによって、業務の実施について更なる効率化・適正化を推進し、利用料金の一層の低廉化を実現する。

イ NACCSの利用料金のあり方については、総経費の削減方策、利用者における費用負担のあり方等多角的な視点から中立的な立場で審査等を行うため、有識者を含めた適切な場を速やかに設置する等新たな料金体系の見直し方策を講じる。Air-NACCSについては、遅くとも激変緩和措置が終わる平成16年9月までに利用料金の体系を見直す。その際には、規模の経済性に配慮しつつ合理的な料金設定のあり方について検討を行う。