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市場開放問題苦情処理推進会議第7回報告書(平成14年3月18日)

1-(4) 家畜輸入規制における農林水産省と厚生労働省の統一的対応の確保

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:農林水産省、厚生労働省

○ 問題提起内容

欧州での狂牛病多発を背景に、1)農林水産省は、家畜伝染病予防法に基づき2001年1月1日以降汚染地域から船積される牛肉等の輸入を当分の間停止した。一方、2)厚生労働省は、食品衛生法に基づき2000年12月に船積された牛肉等についても、事実上輸入不許可とし、その後食品衛生法の改正を行ったところ。

農林水産省と厚生労働省の対応が区々となり、また、食品衛生法の改正に当たっては、同改正法が遡及適用された結果、輸入業者及び海外事業者に多大の混乱と不利益が生じた。

今後、類似の問題が発生した場合には、同一対象品目について、所管省庁間で調整を図り、省庁間で対応を区々とすることがないようお願いしたい。また、法改正に当たっては、事業者等に与える影響が大きいことから遡及適用をすることがないようお願いしたい。

○ 所管省庁における対処方針

1.農林水産省では、海外から輸入される動物及び畜産物等を介して我が国への家畜の伝染性疾病の侵入を防止する観点から、動物検疫所において家畜伝染病予防法に基づく輸入検疫を実施している。

2.農林水産省としては、平成12年、EU諸国等において牛海綿状脳症の発生が拡大していることから、我が国への当該疾病の侵入防止に万全を期すため、平成13年1月よりEU諸国等から輸入される、牛肉、牛臓器及びその加工品等並びに動物性加工蛋白(肉骨粉、肉粉、骨粉等)を、また、平成13年3月より同諸国等からのめん羊及び山羊の肉、臓器及びその加工品等の輸入停止措置を講じたところである。(なお、肉骨粉等の検疫措置については、我が国における牛海綿状脳症の発生を受けて、平成13年10月に見直しを行ったところである。)

3.これらの措置は、家畜伝染病予防法に基づく家畜防疫上の観点から農林水産省が講じた措置であり、厚生労働省が食品衛生法に基づき公衆衛生上の危害を防止するために講じた措置とは、完全に統一的な対応が確保できるものではないが、輸入者等の混乱をできるだけ最小限にとどめるために、今後とも厚生労働省の連携を図って参りたい。

[農林水産省]

  厚生労働省においては、EU諸国等における牛海綿状脳症の発生状況を勘案して、平成12年12月22日付けで同日以降、EU諸国等から牛肉等が輸入されることのないよう関係営業者の指導方、各検疫所長あてに通知し、さらに、平成13年2月15日に食品衛生法施行規則(省令)を改正し、伝染性海綿状脳症にかかり、又はその疑いがある獣畜由来の肉、臓器及び食肉製品の輸入を法的に禁止したものである。これにより、EU諸国等でとさつ、解体、分割又は細切された牛肉等については、伝染性海綿状脳症にかかった疑いがある牛が処理されたおそれがあるため、同法に基づき輸入を禁止する措置をとったところである。

上記の一連の措置は、輸入食肉等の安全性を確保し、国民の健康を守る観点から、実施されたものであり、また、公衆衛生上の迅速な危害防止策が必要であったことから、経過措置を設ける性質のものではないと認識している。

また、2月15日に公布、施行された食品衛生法施行規則改正は、同日時点で輸入手続中の牛肉等を含め、同日以降に行われる伝染性海綿状脳症にかかった疑いのある牛肉等の輸入行為を法令上禁止したものであり、法令の遡及適用ではない。

なお、公衆衛生上の観点から厚生労働省が食品衛生法に基づき実施する措置と、家畜防疫上の観点から農林水産省が家畜伝染病予防法に基づき実施する措置とは、完全に統一的な対応ができるものではないが、できる限り事業者等への混乱を最小限にとどめるために、今後とも関係省庁間で連携を図って参りたい。

[厚生労働省]

(現在の検討状況)
問題提起者は当面この対処方針で了解。