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市場開放問題苦情処理推進会議第7回報告書(平成14年3月18日)

5-(2) 外国製木製防火戸の輸入促進

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:国土交通省

○ 問題提起内容

外国製木製防火戸については、日本の認定試験と同等の試験により認定された製品であっても、当該輸出国における認定がそのまま有効となるのではなく、新規に日本の認定試験を受け、認定書を取得することが求められているところ。
(この点については、平成12年の改正建築基準法の施行による防火戸についての性能規定化等の規制緩和によっても変更がなかった。)

1.しかし、欧州等では、木製防火戸が広く一般的に使用されており、その性能検査についても、むしろその知見が日本より蓄積しておりその信頼性は高く、また、日本においても、最近、木製防火戸の需要が急増していることから、外国製木製防火戸については、1)欧州等輸出国の認定結果をそのまま受け入れ、日本における認定は不要とする、あるいは、2)外国における検査データを受け入れ、それを基に日本においての審査・認定を行うなど、簡便に日本の基準への適格が認められ、その輸入が促進されるようにして欲しい。

2.また、海外の製造業者が予め承認認定機関による認定を受ける「型式適合認定」制度については、現在、承認認定機関とされている機関が皆無であり、改正法が本来予定していた制度を活用することができない状況にある。更に、本制度は、仮に今後承認認定機関として海外の機関が承認された場合においても、海外の製造業者との継続的取引がないと利用し難く、また、海外の製造業者が認定を受けるためには、実質的に日本企業が指導しなければならず、当該コストも過大な負担となることが予想される。

したがって、国土交通省は、法が本来予定していた「承認認定機関」に係る制度を活用できるための措置を講じてほしい。

3.更に、当該法律は、平成10年法律第100号により改正され性能規定化されたが、当該規定に基づく、建築基準法施行令や防火設備の構造方法を定めた建設省告示においては、依然、性能規定ではなく、当該物資の素材や厚さによる条件付けを行った規定振りとなっている。本来の法趣旨である性能規定の考え方に立った「〜の性能を有するもの」といった規定振りに改め、技術進歩や国際的な建築基準の設定方向に柔軟に対応するための措置を講じて欲しい。

(再意見)

1.日本の性能規定とそれを証明する試験方法が、外国のそれと異なることが問題であり、この点について国土交通省はどのように考えるのか。

承認性能評価機関の制度を活用しようとしても、この点がネックとなり、円滑に活用できないのではないか。

2.外国の性能評価機関が国土交通大臣の承認を得るための手続を具体的に教示願いたい。

当該手続及び申請書類の英文のものの入手方法を教示願いたい。

3.外国を業務範囲に含めている指定認定機関とは、具体的にどのような機関があるのか。この指定認定機関は、承認性能評価も行っているのか。

また、国土交通省は、承認認定機関が皆無となっている現状をどう認識し、今後、海外の製造業者が予め承認認定機関による認定を受けることにより型式適合認定を取得するというスキームをどのようにすべきと考えているのか。

もし当該スキームが有用だと考えるならば、承認認定機関の承認を促すための積極的措置として、今後どのような方策を講ずる予定か。

(再々意見)

再対処方針の1. 及び 2. に関しては了解しました。

3. に関して"外国を業務範囲に含めている"というのは外国での性能試験を評価している日本の機関はあるか?と言う意味です。外国産の防火戸を日本で試験して評価できるというのはあたりまえのことで聞くまでもありません。

現在, 香港製の木製防火戸の輸入を検討しておりますが、歴史的背景により香港では英国のBS規格に従って認定しております。具体的には BS476に規定されている試験方法で性能評価しています。回答 1. にも書いてあるように日本の試験方法がISOとの整合をとった結果、ほぼ日本の試験方法と同じであります。

現状では日本で防火戸として認定を取るには香港ではすでに試験済み、認定済みであるにもかかわらず、ほぼ同じような試験を再度行わなければならない状況です。個別認定となりますので、金額的にも ドア- 1種類で約300万円ぐらい発生します。これは大きな輸入障害です。

香港に限らずISOに準拠している国は多いのですから、海外の国家に認定されているものは、書類の審査だけで十分であり、わざわざ同じ試験を繰り返し行う必要は無いと思います。

○ 所管省庁における対処方針

1.外国製防火戸等について、当該国での試験データを活用して日本の防火性能基準に合致することを認定するために、平成10年に建築基準法を改正(平成12年6月施行)し、外国の性能評価機関であっても国土交通大臣の承認を受ければ、その性能評価機関(承認性能評価機関という)の性能評価書をもって国土交通大臣の認定を受けることができることとしたので、承認性能評価機関の制度を活用されたい。

2.「型式適合認定」を行う認定機関の指定(国内)又は承認(外国)にあたっては、内外の区別なく同等の要件を課しているところであり、要件を満たしている機関からの申請があれば、承認認定機関として承認することが可能である。

さらに、現状においても既に外国を業務範囲に含めている指定認定機関があり、それらの機関であれば、外国の製造業者であっても型式適合認定を取得することが可能であることから、外国を業務範囲に含めている指定認定機関により、型式適合認定制度を活用されたい。

3.平成10年に建築基準法を改正(平成12年6月施行)し、防火設備の建築基準について性能規定化を行った。その結果、建築基準法施行令では、使用部位に応じ、20分又は1時間の遮炎性能を有するものであれば、材料や厚さ等にかかわらず国土交通大臣の認定を受けることが可能となっている。従って、問題提起で、「本来の法趣旨である性能規定の考え方に立った「〜の性能を有するもの」といった規定振りに改め」とある点は、既に改正済みである。

また、「防火設備の構造方法を定めた建設省告示においては、依然、性能規定ではなく、当該物質の素材や厚さによる条件付けを行った規定振りとなっている」とあるが、これは、当該告示が所要の性能を有する仕様の例示を定めたものであるためであり、所要の性能を満たせばこの告示による必要はない。

所要の性能を満たす外国製木製防火戸があれば、現行の建築基準法の性能基準を活用されたい。

(再対処方針)

1.日本の建築基準法における防火戸の耐火試験法は国際標準規格であるISO3008と整合をとっている。外国の試験方法と異なるのであれば、どの点が異なるのか具体的にご教示されたい。

2.国土交通省としては、性能評価機関の指定/承認にあたって、建築基準法第77条の57及び建築基準法に基づく指定確認検査機関等に関する省令第72条から第79条に基づき審査を行っている。

具体的な申請にかかる手続の詳細については、必要に応じて国土交通省住宅局建築指導課までご相談されたい。

3.構造方法等の認定とは、建築基準法の例示仕様規定されていないものについて、所要の性能を有することについて、指定/承認性能評価機関の性能評価をもとに国土交通大臣が認定する制度。型式適合認定とは、建築基準法の一定のまとまりの基準(防火、構造等)に適合していることを予め指定/承認認定機関が認定し、建築確認の一部を省略することが出来る制度である。本件については、防火戸の構造方法等の認定に係るご意見であると考えられるので、指定/承認性能評価機関について回答する。

外国を業務範囲に含めている指定性能評価機関には以下のようなものがあり、これらの性能評価機関において、外国産の防火戸についても耐火試験を行い、性能評価することが可能である。

財団法人日本建築センター
財団法人ベタ−リビング
財団法人日本建築総合試験所

また、承認性能評価機関の承認にあたっては、国内の指定性能評価機関の指定と同様の要件を課しているところである。現時点では、承認性能評価機関が存在しないため、海外の製造業者については、外国を業務範囲に含めている指定性能評価機関による性能評価を活用することが可能である。

(再々対処方針)

1.平成12年6月に施行された改正建築基準法により、海外の試験機関であっても、公正・中立な審査体制、高度な技術審査能力、適切な試験実施体制等を有する機関であれば国土交通大臣の承認を受けることが既に可能となっている。承認にあたって、国内の機関、海外の機関を問わず、同じ審査基準が適用される。

2.承認を受けた試験機関において実施するISOに準拠した試験方法による防火戸の性能評価を経れば、国土交通大臣の防火戸の認定を取得することが可能であり、日本国内において再度試験を行う必要はない。

3.なお、現在、数カ国において機関の承認に向けた手続きが進行中である。(香港の試験機関からの承認性能評価機関の申請に係る相談は現在まで受けていない。)

(現在の検討状況)
問題提起者は当面この対処方針で了解。