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市場開放問題苦情処理推進会議第7回報告書(平成14年3月18日)

7-(3) 関税法等改正に係る法施行の事前周知について

○ 問題提起者:広島商工会議所

○ 所管省庁:財務省

○ 問題提起内容

中国からパジャマを輸入しているが、これまで、当該物品については、特恵税率(無税)の適用を受けていた。ところが、急遽、「関税定率法等の一部を改正する法律」(平成13年法律第21号)が施行され、平成13年度については、4月以降、8.5%の税率が課せられることとなってしまった。

当該物資について、本件事業者は、例年、3月に商品を日本へ運び、4月に輸入手続をしており、今回も3月に商品を入れ、4月に輸入手続を行おうとしたところ、上記改正により、これまで無税であったものが、税金を支払うことになってしまった。

本件については、平成13年1月末、「経済産業公報」に掲載された関税率審議会の答申を基に、通関業者から、「当該物資については、法改正により、4月以降、特恵税率の対象から外れる可能性が高く、3月末に国会で改正法が成立すれば最終的に確定する。」との話を聞いたのみである。しかし、通常、実際の輸入の3か月前には、具体的な輸入予定数量の決定や現地業者との契約締結等を行っている商慣行を勘案すると、当該変更措置が取られる3か月には確定的に特恵関税に係る変更事項を把握している必要があり、改正法の施行については、国民に対し直接何らの拘束力もない審議会答申をもって事前周知し公布日翌日に即施行するという方法を取るのではなく、改正法公布後3か月程度の周知期間を取った上で、法施行するようにしてほしい。

(再意見)

現行やむを得ないと思うが、「国民への公報」として審議会答申段階でも税関の職員にも周知徹底を図るなど、公報活動のより一層の強化を要望する。

○ 所管省庁における対処方針

1.年度改正のスケジュール

関税定率法等の改正は、会計年度ごとに原則行われている。関税収入見積もりが税収見積もりの一部を構成しており、関税改正が税制改正同様、単年度である予算措置に組み込まれていることがその背景である。したがって、関税の年度改正の施行期日を4月1日に設定している。関税改正作業のスケジュールは予算編成や税制改正の作業とほぼ同じである。具体例は以下参考のとおり。

(参考)7月:関係省庁等へ改正要望調査依頼、8月末:改正要望の概要提出締切、9〜12月:改正要望に関する関係省庁等との協議、審議会での調査・審議、12月末:次年度関税改正に係る審議会答申、1月:法案作成作業・内閣法制局審査、2月:閣議決定を経て国会へ法案提出(法案成立時は国会の審議次第だが、過去の実績では3月中下旬。改正法施行のための政令・省令の改正作業は、法の施行期日に間に合うように進められる。)

2.改正案の作成方法

国会において審議される関税定率法等の改正案は通常内閣提出となっており、法案作成作業は財務省が担当している。法令において、関税・外国為替等審議会が「財務大臣の諮問に応じて関税率の改正その他の関税に関する重要事項を審議すること」(財務省設置法第8条、関税・外国為替等審議会令第6条)が規定されており、審議会が審議の結果として提出する年度改正の答申を改正法案作成の指針としている。

3.国民への公報

過去の実績によれば、関税に係る法律・政令・省令の改正内容の官報への掲載時期は、上記で述べられた年度改正の性格上3月末である。

公布から施行までの期間が短いことに配慮して、財務省関税局としては、年度改正の指針となる審議会答申を12月末新聞発表・インターネットへの掲載等(通商公報にも掲載)を行い、更に閣議決定された改正法案を2月初旬にインターネットへの掲載を行うことにより、予測される関税改正内容について国民へ随時周知している。

特に、関税率の改正については、閣議決定された法律案は当然のことながら、審議会答申においてもその内容を明確かつ具体的に記載しております。

4.結論

以上のとおり、法律の成立が例年3月中下旬ごろであるため、官報の公布日と法律の施行日まで期間がほとんどないものの、関税の年度改正の作業スケジュールは、予算措置の一部である税制改正とほぼ同様年末に内容が固まるのが通例であるので、法律の成立時期を含む改正作業スケジュールを変更させてこれ以上早めることは困難である。

しかし、関税の年度改正に関する事前予測に資するため、品目毎の関税率の改正を含めて、年度改正の指針となる審議会答申や国会へ提出した法律案を国民へ周知することに財務省としては取り組んでいる。

なお、法定されている審議会による答申は、国会の議決を経たものではないものの、関税の学識経験者から成る委員による議論を経た決定であり、これに沿って当局は法律案の作成作業を行っているため、関税改正の内容を予測する上で極めて有効な資料であるということを承知いただきたい。

(再対処方針)

指摘された再意見については、既に前回の回答に記載した事項のほか、審議会答申段階での税関職員への周知も行っている。

今後とも税関職員への周知徹底を図る等により、国民への公報活動により一層力を入れていく方針である。

(現在の検討状況)
問題提起者は当面この対処方針で了解。