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市場開放問題苦情処理推進会議第7回報告書(平成14年3月18日)

7-(4) のりの輸入割当申請手続きの簡素・合理化

○ 問題提起者:札幌商工会議所

○ 所管省庁:経済産業省

○ 問題提起内容

食用海草(のり)は、外国為替及び外国管理法、輸入貿易管理令等に基づく非自由化品目となっており、輸入割当を受けないと輸入できない品目となっている。

この輸入割当の申請については、現在、実績割当について、JETRASによる電子申請が可能となっているが、先着順割当及び新規割当については、経済産業省本省へ出向き申請を行わなければならず、北海道等遠隔地の事業者にとっては、過大な負担となっている。

特に、平成13年度上期の場合、経済産業省の予想を大幅に上回る申請者が来省したため、先着順割当にもかかわらず、急遽、抽選を行い、その抽選に当選した者を先着順割当の対象とする措置が取られたところ。(先着順を信じて札幌から東京へ出向いても、当日、急遽、抽選とされ、その抽選にはずれた場合、その時間的、金銭的損失は大きく、計画的に業務を営むことができない。)

したがって、遠隔地の事業者が簡易に当該申請を行えるよう、先着順割当及び新規割当について、1)電子申請や郵送等による申請を認める、あるいは、2)各地方経済産業局への提出を認めてほしい。

(再意見)

1.経済産業省は、先着順割当を抽選により行ったことについて、平成13年3月27日付け輸入発表によったとしているが、同輸入発表においては、「輸入割当申請数量の総計が輸入割当限度数量を超える場合には、抽選により順位を決定し」とされ、単に抽選により順位を決定する場合の条件が記載されている(その可能性が記載されている)にすぎず、輸入業者から見れば、実際に抽選が行われるか否かを確定的に知り得るものではない。

抽選により順位を決定する場合、先着順受付当日の混乱を避け、効率的な事業活動を確保するためにも、予め抽選によるか否かを確定し、その旨を事前に公表するよう、先着順割当の方法自体を改善すべきである。

また、平成13年度の申請においては、経済産業省が抽選予定会場を急遽変更しなければならない程(3,000人以上)の申請者が集まり、会場は、非常口も分からない程混雑・混乱し、火災等の発生時には大惨事が危惧される状態であった。

平成14年度は、日韓交流の促進等から申請件数が昨年度の2〜3倍になるとの見込みもあり、更なる混雑・混乱が予想される。

経済産業省は、このような状態にどう対処するつもりなのか明らかにすべきである。

さらに、上記のような混雑・混乱を避けるためにも、下記のとおり、遠隔地の事業者がわざわざ東京へ出向かなくともすむよう申請方法を改善すべきである。

2.経済産業省は、申請者の面前で申請者が抽選札を引くことが公正かつ迅速な審査に資すると主張するが、実際に抽選札を引いていた者は、申請者自身ではなく学生や主婦であり、これらの者は、東京在所の大手商社が関連会社の名義をも使って申請するために雇ったアルバイトであった。

かかる状況をみれば、経済産業省の主張は詭弁としか言い得ない。

また、経済産業省は、抽選により、申請者の重複を防ぎ、公正かつ迅速な審査が確保されるとするが、およそ前時代的発想である。

申請者の重複排除は、電子化による方が確実性が高く、事務量も少なくてすむものであり、また、申請から輸入割当証の発給までの期間についても電子化された環境による方が短縮される。

したがって、経済産業省は、1)先着順申請者の管理及び抽選を電子化された環境で行い、2)当該環境で確定された候補者についての書類審査を各地方経済産業局で実施する措置を講ずることにより、遠隔地の事業者の申請手続について簡素・合理化を図るべきである。

(再々意見)

経済産業省からの再対処方針について、詭弁に詭弁を重ね自己の業務を正当化しようとする回答には驚きました。当日に何人の申請者が来場するのか知ることができないからこそ、事前書類の出先機関での受付又は電子受付等を行う必要がある。経費の面から見ても中小零細企業者はそれを願う。

自己の面前での抽選を希望していた時代は過去のことである。昨年の抽選会場に来た者の話では話した者全員が「申請者を一同に集めた」現在の抽選方法に疑問を抱いていた。

時の政府の大きな目標である構造改革の柱である許認可申請業務などの電子化は経済産業省でも真剣に取り組んでいることでしょう。新規事業や創業の参入者などへの対策に取り組んでいる経済産業省への我々零細企業者として真剣に改革をお願いするところです。

代理申請者、会場変更、会場の危険性等々の問題は、言った言わない、聞いた聞かないの次元の話になりますのでこれ以上のお話は致しません。

しかし、受付業務の簡素化は申請者にとっても、経済産業省にとっても時代が必要としていることではないでしょうか。近い将来ぜひ取り入れてください。

○ 所管省庁における対処方針

1)電子申請や郵送等による申請
2)各地方産業局への提出

のいずれかを認めて欲しい。

この要望については、以下の理由により認められない。

(理由)

1.申請者の要望にこたえた公平な抽選の実施

のりの先着順割当ては、申請者が多いため(平成12年度は、230人の申請書類受領者に対し、1274人の申請)平成13年3月27日付け輸入発表第52号記の6に基づき抽選を行っている。

抽選は、申請者の重複を防ぎ、公正かつ迅速な審査を行うため、申請者全員を一同に集めた上で、申請者が抽選札を引き、当たり札を引いた者を当選者として確定し、さらに書類審査で合格した者に割当てを行っている。

大多数の申請者は、抽選が申請者の監視のもとで行われることを強く要望していることから、申請者の目前で申請者により抽選を行うこととしている。

電子申請ではこのような申請者の面前での抽選を行うことができないため、電子申請を認めることはできない。

2.審査の迅速性の確保

電子申請、郵送又は地方経済産業局への提出を認めた場合、申請者は提出のために上京することは必要なくなる。しかしながら、審査の際には抽選に参加するため上京することが必要であることに変わりはない。従って、この方法をとったとしても申請から輸入割当証の発給までの時間がのびるだけであり、かえって申請者の利益を侵害することとなる。

以上のとおり、大多数の申請者の要望及び審査の迅速性の確保の必要性を総合的に判断すると、現在の方法をとることはやむを得ないと考えている。

(再対処方針)

問題提起者は、予め抽選によるか否かを確定し、その旨を事前に公表するべきとしているが、当省においても当日まで何人の申請者が来場するか知ることはできないため事前に公表することは困難である。また、平成13年度の抽選に関し、問題提起者の言うような会場の変更等の事実はない。本年も多数の申請者が予想されるので、迅速に抽選を行えるよう適当な場所を確保する等の努力を行っているところである。

申請者の多くがアルバイトであったとする問題提起者の指摘もあるが、抽選を行った者は書類上「自己の名と計算において輸入する者」としての要件を満たしており、名義使用等の事実はないものと考えている。現在のところ、大多数の申請者が自己の面前での抽選を希望している以上、電子申請による抽選を導入することは困難であると言わざるを得ない。

(再々対処方針)

ご指摘の受付業務の簡素化は重要な課題と認識しており、今後ともどのような方法がとれるのか検討して参りたい。なお、申請の電子化については、これを積極的に進めたいと考えているが、現在のところなお技術的問題があることをご理解頂きたい。

(現在の検討状況)
問題提起者は当面この対処方針で了解。