7-(7) 水産物輸入割当の一部撤廃及び輸入割当に係る申請手続の簡素・合理化

OTOデータベース HOME

市場開放問題苦情処理推進会議第7回報告書(平成14年3月18日)

7-(7) 水産物輸入割当の一部撤廃及び輸入割当に係る申請手続の簡素・合理化

○ 問題提起者：東京商工会議所

○ 所管省庁：経済産業省

○ 問題提起内容

水産品の一部については、日本の漁業者保護を目的として、外国からの輸入数量を輸入割当制度により制限している。（輸入貿易管理令第９条）

非自由化品目のうち、にしん、さば、いわし及びあじについては、各事業者が消化しきれない程大量な数量が輸入割当枠として割り当てられている状況にあり、上記品目については、実質的に輸入割当制度で輸入を制限する意味がなくなっている。

加えて、当該非自由化品目については、輸入制限の意味がないにもかかわらず、輸入枠の申請や毎月の通関実績報告等煩瑣な事務手続を求められている状況。

また、上記品目に限らず、輸入割当に係る事務手続については、以下の問題がある。

1)　輸入枠の申請において、輸入業者の事務担当者の源泉徴収票の写し等不必要と思われる書類の添付が求められている状況。

2)　当該申請の際、申請日、時間、場所が一方的に指定されるため、時間的猶予が全くなく、かつ、当日も抽選等のため拘束時間が長い。また、申請場所も東京の経済産業省本省に限られている（新規及び先着順割当）ことから、地方の輸入業者にとっては、特に過大な負担となっている。

3)　輸入割当証明書（IQ）取得後、個別の契約毎に、IQから輸入承認証（I/L）への切替申請が必要となり、その都度、指定場所へ出向き申請することが求められているが、諸申請の電子化が図られている中、依然として持参提出を求められることは、過大な負担となっている。

また、上記輸入承認証には、輸入数量を記載するが、この数量については、別途、毎月、輸入通関数量報告として報告することが求められている状況。

したがって、経済産業省は、下記の措置を講じてほしい。

１．上記品目を自由化品目とし、輸入制限を撤廃すること。

２．上記品目に限らず、輸入割当に係る事務手続の簡素・合理化を図ること。

(1)　輸入枠の申請書類について、添付の必要性等を見直し、簡素・合理化を図ること。

(2)　輸入枠の申請日時については、例えば、受付のみの日を数日間設定し、後日、抽選を行うこととするなど、時間的な余裕を確保すること。
また、申請場所については、各経済産業局への申請や電子申請を認めるなど、地方の輸入業者の負担を軽減するための措置を取ること。

(3)　輸入割当証明書（IQ）から輸入承認証（I/L）への切替については、オンライン上の提出あるいはファックス送付による提出など持参提出以外の方法を認めること。
また、輸入数量については、輸入承認を受ける際提出していることから、これと重複する「輸入通関実績報告書」は廃止すること。

○ 所管省庁における対処方針

１．にしん、さば、いわし及びあじを自由化品目とし、輸入制限を撤廃すること。

水産物ＩＱ（輸入割当）制度は、我が国沿岸・沖合漁業者等の主要漁獲物であるアジ、サバ等を対象にしており、その多くは近隣諸国と漁場・資源を共有している。このような共有資源の保存管理については我が国漁業者に対する規制のみで資源保存の効果をあげることは不可能であり、ＩＱ制度は我が国の漁業者に対して講じられているＴＡＣ制度、許可制度等の資源管理措置を補完する重要な役割を果たしている。この機能は今後とも必要であると考えており、これらの魚種について輸入制限を撤廃することはできない。

上記品目に限らず輸入割当に係る事務手続の簡素・合理化を図ること。

輸入枠の申請書類について、添付の必要性等を見直し、簡素・合理化を図ること。

先着順輸入割当ての必要書類及びその必要性は以下のとおりである。必要最小限の書類しか要求していないことから、提出書類の見直しは困難である。

1)　輸入割当申請書２通
輸入貿易管理規則（昭和２４年通商産業省令第７７号）第２条第１項第１号ハに基づく輸入者が輸入割当を受けるために必要な書類である。１通は原本として輸入者に交付するためのもので、残りの１通は、経済産業省で控えとして保存するためのものである。

2)　輸入契約書の原本及びその写し
輸入する意思を証明するためのもので、原本は確認後直ちに返還し、写しは経済産業省で保存するものである。

3)水産物を自己の名と計算において輸入通関することが確実であることを証する書類１通及び以下の２種類の添付書類
これらの書類は、法人又は個人が輸入する意思と能力があるか及び同一企業等が重複して申請をしていないかを審査するために必要な書類である。

3)―１　添付書類１（１通）
（株式上場会社の場合）
・直近１か年の有価証券報告書
（その他の法人の場合）
・法人の登記簿謄本の写し
・事務所の不動産登記簿謄本の写し又は賃貸借契約書の写し
（個人の場合）
・住民票、国民健康保険証、免許証等

上記の書類は法人が現在存在し、現に事業を行っていることを証明するための書類である。

3)―２　添付書類２（１通）
（法人の場合）
・法人税に係る直近の確定申告で税務署に提出した確定申告書のうち別表一の写し（税務署の受付印が押印されているもの又は申告書の受付証明があるものに限る。）
（個人の場合）
・確定申告書等（前年会社員だった個人が本年退社し、個人で事業を行う場合には、源泉徴収票の写し等）

輸入割当てを受けた者は、当該割当貨物を輸入した際に貨物代金を支払うことになる。上記の書類は支払能力があることを証明するための書類である。

輸入枠の申請年月日については、例えば、1)受付のみの日を数日間設定し、後日、抽選を行うこととするなど、時間的な余裕を確保すること。2)また、申請場所については、各経済産業局への申請や電子申請を認めるなど、地方の輸入業者の負担を軽減するための措置を取ること。

1)受付のみの日を数日間設定し、後日、抽選を行ったとしても、申請に当たり、重複提出を防ぐため本人の持参による申請を求めていることから、地方の申請者は申請時と抽選時の２回上京することが必要となる。これは、地方の申請者の利益を著しく侵害することから、この方法をとることは困難である。

2)申請場所については、各経済産業局への申請や電子申請を認めることは困難である。理由は以下のとおり。

（�　某柔措圓陵徊召砲海燭┐晋�燭蔽蠢�亮損�
先着順割当ては、申請者が多いため抽選を行っている。抽選は、同一申請者の重複を防ぎ、公正かつ迅速な審査を行うため、申請者全員を一同に集めた上で、申請者が抽選札を引き、当たり札を引いた者を当選者として確定し、さらに書類審査で合格した者に割当てを行っている。多くの申請者は、抽選が申請者の監視のもとで行われることを強く要望していることから、申請者の目前で申請者により抽選を行うこととしている。
電子申請ではこのような申請者の面前での抽選を行うことができないため、電子申請を認めることはできない。

（�◆某該困凌彗�④粒諒�
電子申請、郵送又は地方経済産業局への提出を認めた場合、申請者は提出のために上京することは必要なくなる。しかしながら、審査の際には抽選に参加するため上京することが必要であることに変わりはない。従って、この方法をとったとしても申請から輸入割当証の発給までの時間がのびるだけであり、かえって申請者の利益を侵害することとなる。

輸入割当証明書（IQ）から輸入承認証(I/L)への切替については、1)オンライン上の提出あるいはファックス送付による提出など持参提出以外の方法を認めること。2)また、輸入数量については、輸入承認を受ける際提出していることから、これと重複する「輸入通関実績報告書」は廃止すること。

先着順については、申請者の監視のもとで抽選を行う必要があるため、オンライン申請を認めていない。仮に、切替のみオンライン申請を認めたとしても、切替を行うためには原本の提出が必要であり、結局、申請者の労力の削減にはつながらない。

また、IQからI/Lへの切替に当たっては、IQ原本への必要事項の記載が必要であるため、ファックスで申請を行うことを認めることは困難である。

2)輸入割当ての際提出を求めている輸入数量は申請数量であり、輸入が確実に行われたことを報告する輸入通関実績報告書とは性質及び目的が異なるものであり、廃止することは困難である（IQ受給者は国内の需要を満たすために原則申請量全量を輸入することが求められている。）。

（現在の検討状況）
問題提起者は当面この対処方針で了解。