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市場開放問題苦情処理推進会議第7回報告書(平成14年3月18日)

7-(14) 簡易申告制度の改善

○ 問題提起者:広島商工会議所

○ 所管省庁:財務省

○ 問題提起内容

簡易申告制度は予め税関長の承認を受けた輸入者が継続的に輸入する指定を受けた貨物について、納税申告前に、貨物を引き取ることを可能とする制度である。

本制度における「引取担保」は全ての指定貨物に課される関税等の納付見込額又は前年における納税額の12分の1に相当する額のどちらか多い額の担保を前月末日までに提供しなければならない。一方、納税申告は翌月末日までであるが、納期限延長の承認申請を行えば2ヶ月以内の納期限の延長が可能であり輸入した月の3ヶ月後に納税することが可能である。

引取担保の提供は中小業者にとって資金を固定することになり負担となっているためこの制度の利用が増えない理由の一つである。

したがって、輸入しようとする月の前月末日までに提供する「引取担保」の額を前年納付実績の月平均額として1年間据え置くこととし、また、納期限延長の承認申請を行うことなく3ヶ月毎に納税申告を行い、まとめて納税すれば簡易申告制度を前向きに利用できる。

○ 所管省庁における対処方針

1.引取申告に係る担保は、簡易申告の指定を受けた貨物の、前年における納税額の12分の1(すなわち、前年納付実績の月平均額)又は当該月において輸入しようとする貨物の納税見込み額とのいずれか多い額の担保(いわゆる引取担保)を、当該月の前月末日までに提供しなければならないとされている。これは、簡易申告制度においては、関税等を納めることなく貨物を引き取ることから、関税等の額に見合った額の担保を提供させ、もって関税等の債権の確保を図るものである。(関税法第7条の8第1項)

また、特例申告を行うことにより確定した納税額について、納期限の延長を受けたい者は、当該税額に相当する担保の提供を行い、当該担保額を超えない範囲内において、当該納期限を2カ月以内に限り延長することができる。これは、延長された関税等の額に相当する担保を提供させ、もって関税等の債権の確保を図るものである。(関税法第9条の2第3項)

2.ご提案された制度は、1カ月分の引取担保を提供するだけであるから、結果として次のような制度を提案されていることとなる。

1)ある月(例えば9月、以下「当該月」という。)の輸入について、引取担保(前年納税額の12分の1)を提供し簡易申告制度を利用、さらに、その担保をもって納期限(当該月の翌月末日)を2カ月延長する。

2)当該月の翌月(10月)の輸入については、引取担保を提供することなく、簡易申告制度を利用し、さらに納期限延長の担保を提供することなく、納期限を1カ月延長する。

3)当該月の翌々月(11月)の輸入については、引取担保を提供することなく、簡易申告制度を利用する。

4)当該月の3カ月後の月(12月)の輸入については、引取担保を提供することなく、簡易申告制度を利用、さらに納期限延長の担保を提供することなく、納期限を2カ月延長する。

(当該月の4カ月後の月(1月)の輸入については、当該月(9月)の輸入について当該月の3カ月後の月(12月)の月末に納税されていることから、1)で提供した引取担保が解除されるので使用することが可能になると考えられる。)

3.したがって、4カ月の輸入のうち、1カ月分の引取担保を提供するだけで、他の3カ月の輸入については、何ら担保を提供することなく、簡易申告制度及び納期限延長制度を利用することとなり、結果として少なくとも3カ月分の輸入に対する関税等の債権の確保はできなくなることから、ご提案された制度の導入は困難であると考える。

(現在の検討状況)
問題提起者は当面この対処方針で了解。