行政改革大綱(抄)

平成12年12月1日
閣議決定

3 規制改革の推進

(1) 新たな3か年計画の策定

ア 新計画の策定

現行「規制緩和推進3か年計画(再改定)」(平成12年3月31日閣議決定)の着実な実施を図る。

現行計画終了後も規制改革を引き続き推進するため、本年中に予定される規制改革委員会の見解や産業新生会議の議論を踏まえた「経済構造の変革と創造のための行動計画」(平成12年12月1日閣議決定)、IT戦略会議の検討を経て決定される「IT国家戦略」、内外からの意見・要望等を踏まえ、平成13年度を初年度とする新たな「規制改革推進3か年計画」を平成12年度末までに策定する。

イ 策定に当たっての考え方

新計画の策定に当たっては、次のようにIT革命の推進など近年の社会経済情勢の変化への対応を重視するとともに、医療・福祉、雇用・労働、教育などの社会システムの活性化に資するものをはじめ、各分野の規制改革の推進に積極的に取り組むとともに、市場機能をより発揮するための競争政策の積極的展開を図る。

また、規制改革の推進に当たっては、例えば、原子力、自動車、乳製品、院内感染、遺伝子組み換え食品等に対する国民の不安、疑念の蔓延状況にかんがみ、特に国民の安全を確保する見地から、企業における自己責任体制を確立し、情報公開等の徹底を図るものとする。

(ア) IT関連規制改革

規制改革委員会の見解「ITに関する規制改革について」(平成12年9月20日)やIT戦略会議の検討を経て決定される「IT国家戦略」等を踏まえ、情報通信ネットワークの円滑な整備の実現など情報通信分野における規制改革はもとより、各般の分野においてIT革命の推進のための規制改革を積極的に推進する。

(イ) 策定に当たっての考え方
  1. 医療については、医療を取り巻く環境及び国民のニーズの変化に対応するため、医療の持つ特性を踏まえた上で、医療機関相互の競争を促すことにより、医療サービスの質の向上と効率化が図られるよう検討する。

  2. また、福祉については、少子高齢化の進展に対応するため、多様な事業者の参入、競争等を通じた利用者の選択の拡大、規制の緩和等を進める。

(ウ) 雇用・労働

労働者の適正な労働条件の確保、安定した雇用機会の確保や高年齢者・障害者の雇用の促進などの目的に留意しつつ、労働市場における事前規制を緩和し、セーフティネットの整備を伴う事後規制への変化を促進するなど経済社会の構造変化や労働者の働き方・就業意識の多様化に対応した規制改革に取り組む。

(エ) 教育

社会の少子・高齢化、情報化、グローバル化が進む中で、このような時代の流れを的確に捉え、教育を受ける児童・生徒・学生が自らの能力や適性に応じて多様な教育を受けられるよう、教育分野の規制改革に取り組む。

(オ) 環境

事業者による情報の積極的な開示や外部不経済の内部化等により、環境への負荷の少ない、循環型社会の形成を促進する。また、環境規制の改革に当たっては、持続的に発展することができる社会を構築する観点からの取組を進める。

(カ) 競争政策

日本経済の活性化、豊かな社会の実現のため、公正かつ自由な競争を促進することとし、独占禁止法等の運用の明確化、執行力の強化等により競争政策の推進を図る。

(キ) 民事・刑事の基本法制

社会経済構造の変革と事後監視型社会への転換に対応し、国民や企業の経済活動にかかわる民事・刑事の基本法について、抜本的に見直す。また、その用語・表記法においても、新たな時代にふさわしく、かつ国民に分かりやすいものとする。これらの法整備は平成17年度を目途に完了させる。

(2) 電気通信事業における競争政策の在り方

電気通信事業における競争政策の在り方については、NTTの在り方も含め、郵政省の電気通信審議会の審議結果等を踏まえ、法改正を含む所要の措置を講ずる。

(3) 新たな規制改革推進体制

新たな規制改革推進3か年計画の実施状況を監視するとともに、経済社会の構造改革の視点も含めて幅広く規制改革を推進していくため、新たな審議機関を内閣府に置くことについて検討し、規制改革委員会の見解を踏まえ、平成12年度末までに具体的成案を得る。


内閣府 総合規制改革会議