規制改革に関する基本理念及び「重点検討分野」の考え方について(案)

平成13年5月31日
総合規制改革会議事務室


1.「システム全体の変革」の重要性について

「規制改革」は、(1)財・サービスの供給主体にとっては、生産要素の最適な配分を通じて、イノベーションを起こし易い環境を整えるものであり、他方、(2)生活者・消費者にとっては、供給主体間の競争の促進を通じて、安価で質の高い多様な財・サービスの享受を可能にするものである。このように、「経済活力の活性化」と「生活者・消費者本位の経済社会システム構築」を同時に実現する「規制改革」については、政府としても、これを最優先課題として、その積極的な推進に努める必要がある。

規制改革を推進するため、政府としては、従来より、例えば個々の事業者又は事業者団体からの要望に積極的に対応すること等により、「個別の規制改革」を重点的に進め、大きな成果を上げてきた。また、規制改革を分野別に進めるという手法も採ってきた。しかしながら、規制改革をより効率的に進め、改革の実を上げていくためには、これらの手法に加えて、それぞれの分野の「あるべき姿」を念頭に置き、政策目標・理念を明確にした上で、競争促進のためのルール作りや予算措置等関連制度の見直しも含めた「体系的・包括的な規制改革」、すなわち、「システム全体の変革」についての取り組みを、意識的に強化していくことが効果的であろう。

政府が比較的早い時期から重点的に取り組んできた結果として、これまでに大きな進展がみられたのは、産業活動に直接関係の深い分野(いわゆる「経済的分野」)であった。他方、「生活者向けサービス分野」(いわゆる「社会的分野」)については、取り組みの開始が遅かったこともあるが、主として下記2.の理由により、現在も改革の遅れが目立っている。今後、もちろん、前者の規制改革も着実に進めていくこととするが、特に、後者の改革を強力に推進していくためには、上記のような「システム全体の変革」という手法の重要性が、より一層高まるものと考えられる。

より具体的には、民間事業者の自由な経済活動を阻害する不要な規制の撤廃はもとより、市場機能を発揮させ事業者間競争を促進させるための新たなルール作り、既存のルールの明確化等にも積極的に取り組んでいくことが必要である。

また、「民間でできることは民間に委ねる」との基本原則の下、公的主体(国、地方公共団体に加え、特殊法人、公益法人、特別な法律に基づき設立された法人を含む。)の行う業務などについて、民間事業者への流れを可能な限り加速化すべく、民間事業者の参入を妨げる規制の撤廃を行うとともに、異なった経営主体が事業を行う際に存在する公的助成(予算措置等)その他の競争条件の格差解消についても、これを明確に規制改革の一環と位置付け、その積極的な推進を図ることとする。


2.「生活者向けサービス分野」(いわゆる「社会的分野」)の改革の重要性について

5月11日付で公表された経済財政諮問会議の「サービス部門における雇用拡大を戦略とする経済の活性化に関する専門調査会緊急報告」においても指摘されているとおり、「個々の生活者に向けたサービス分野」については、これまで公的主体が、サービスの主たる担い手として市場を直接管理し、市場原理には馴染まないものとされてきた。これは、多くの「生活者向けサービス」が、「非収益的な慈善サービス」と性格付けられてきたためであるが、この結果、本分野には「規制」や「官業構造」が温存され、結果としてサービスの質の向上を妨げるなど、改革の遅れが目立つに至っている。

他方、同報告にも指摘されているが、本分野は、需要と雇用の拡大余地の高い分野である。今後の少子高齢化社会において、わが国が経済成長を遂げていくためには、新しい産業やイノベーションを開花させていくことが必要であるが、このためには、医療、福祉、保育、人材(労働)、教育、環境(廃棄物処理等)等の「生活者向けサービス分野」(いわゆる「社会的分野」)について、総合規制改革会議において重点的な検討を行い、新規産業・雇用の創出と、国民生活の質的向上に向けた抜本的なシステム改革を行うことが必要である。

また、特に生活者向けサービスについては、一般に、その提供者と、需要者たる生活者との間の情報の非対称性の程度が高いことが多いため、本分野の規制改革を検討する際には、政府による情報開示の義務付けと監視体制、事後的な紛争処理体制の整備等についても併せて検討を行い、公正競争とサービスの質の確保に努めるべきである。


3.喫緊の課題について

このほか、例えば、「都市再生、土地の流動化」など、「緊急経済対策」(4月6日経済対策閣僚会議決定)に盛り込まれた項目に代表されるような喫緊の課題については、総合規制改革会議においても、重点的に検討されるべき分野として、規制改革を積極的に推進することが必要である。


内閣府 総合規制改革会議