第2回総合規制改革会議提出メモ

八代尚宏


1. 株式会社の参入規制の見直し

1)現状の問題点

多くの社会的分野で、株式会社の参入が禁止・規制されていることの根拠として「営利性」の排除がある。これは、具体的には、医療・福祉(在宅介護除く)・教育・法務・検査・検定、農業(関連企業除く)等の分野である。この結果、競争の制約から(1)サービスの高コスト構造、(2)予算制約から供給不足、(3)消費者間の不公平、等の問題が発生。

2)対応の方向

  1. 公益性の担保を形式的な経営形態ではなく、行動基準に関する規制で対応すること。例えば、電力・輸送業の供給義務規制、医療における応召義務、米国非営利病院における一定の非営利的行為の担保、その他、具体的な社会的価値の追求、等

  2. 公的支援の手段として、新規参入の容易な方式で。具体的には現行の施設補助方式から個人補助、また補助金から費用の税額控除方式へ、

  3. 消費者が選択可能な仕組みの形成。情報公開の強制、第三者評価の促進、司法による救済の余地拡大

2. 社会的セーフティネットの構築

(1)最低生活保障の確立

失業給付の対象範囲の短期間雇用者への拡充、生活保護制度の見直し

(2)教育訓練機会の拡充

雇用保険主体の教育訓練給付の一般財源化、奨学金制度との一体性、民間ローンへの信用保証

(3)税制上の控除

住宅投資と同一基準での人的資本投資費用の取扱い

3. 土地・住宅・都市開発

(1)住宅補助制度の改革

持ち家取得への公的補助制度の撤廃・縮小、住宅補助は賃貸住宅に限定。低所得者向け住宅保障は公的部門の直接供給による公営住宅ではなく民間住宅への家賃補助方式へ。

(2)建築・都市開発の指導行政の撤廃

地方公共団体による法律上の根拠のない負担金や施設提供義務の要綱への規制

(3)借家制度の見直し

定期借家権の対象外の既存借家に関わる正当事由制度要件の客観化、定期借家権制度のいっそうの運用合理化のための改善

(4)地収用制度の見直し


内閣府 総合規制改革会議