福祉分野での重点検討の考え方(案)

八代尚宏

1. 主要な目標

(1)介護・保育サービスの拡充

少子・高齢化社会における介護・保育問題の共通項は、増える利用者のニーズに対して、サービスの供給量が量・質ともに立ち遅れにある。公的部門主体の供給体制では、消費者の選択肢が乏しいだけでなく、高コスト構造から大幅な予算増を前提としなければ供給を増やせない。民間企業を含む多様な経営主体の市場参入を促進することで、サービス供給の増大と消費者の多様な選択肢の拡大を図ることを目標とする。

(2)社会的セーフティネットの構築

構造改革の下での失業増加や働き方の多様化の下で、社会的セーフティネットの重要性が高まっている。現行の生活保護制度は、家族の扶養義務を優先するとともに、個人のプライバシー侵害の要素も多く、社会的弱者保護の機能を十分に果たしているとはいえない。

普遍的な生活保障の手段を強化することで、社会保険や失業給付等、特定分野の構造改革を促進することができる。また、短期間就業者を社会保険・雇用保険の対象に含めることで、セーフティネットの範囲を拡大するとともに、就業・非就業の決定に中立的な社会保険制度の構築が必要とされる。

2. 福祉WGの作業手順

3. 介護サービス分野

(1)施設介護サービスへの均等な競争条件に基づいた民間参入促進

(2)設置基準の緩和・多様化

(3)情報公開・監査の強化

4. 保育サービス分野

(1)認可保育所基準の弾力化

(2)公立保育所の民間事業者への運営委託促進

(3)民間企業経営保育所への公的助成

(4)幼稚園と保育園との一元化

(5)第三者評価制度の育成

5. 社会的セーフティネット

(1)生活保護法の改革

(2)社会保険・雇用保険の対象範囲の拡大


内閣府 総合規制改革会議