第5回総合規制改革会議 議事概要

1. 日時

平成13年7月17日(火)10:00〜12:00

2. 場所

合同庁舎4号館共用第4特別会議室

3. 出席者
(委員)

宮内義彦議長、飯田亮議長代理、生田正治、奥谷禮子、河野栄子、神田秀樹、佐々木かをり、鈴木良男、清家篤、高原慶一朗、八田達夫、村山利栄、森稔、八代尚宏、米澤明憲の各委員

(政府)

石原規制改革担当大臣、松下副大臣、渡辺政務官

(事務局)

[内閣府]坂政策統括官、岡本審議官、梅村審議官、竹内審議官、磯部審議官、 吉原総合規制改革会議事務室長、長屋総合規制改革会議事務室次長


議事次第

  1. 中間とりまとめ素案審議

  2. その他


議事概要

(1)中間とりまとめ素案審議

中間とりまとめ素案について審議された。

1.総論について

総論の文案について、以下の議論がなされた。(●は質問・意見、→は意見に対する回答等)

● 従来から経済的規制と社会的規制と言っていたが、生活者向けサービス分野と言い換えた趣旨は何か。

→ 経済的規制・社会的規制という言葉の意味が不明確であること、従前の「経済的規制は原則自由、社会的規制は(必要最小限)」という分け方よりも、より実態に即した分け方の方が合理的であること、当該分野は公的な色彩が強く、考え方そのものを見直した方がよい、といった問題意識からである。

● 生活者向けサービス分野から外れて、喫緊の課題として、都市再生が位置付けられているが、一緒に入れられないのか。住んでいるところの問題である。

→ 生活者向けサービスは、福祉・医療等、直接サービスをやっているものをイメージしており、街づくり等とは分けている。都市は生活の基盤として重要という要素を文書の中に入れることはありえるのでご相談させていただきたい。

● 表現が雑なところがある。「民間事業者への流れ」(2頁、第3パラ)は日本語として変。また、第2パラ等の「監視体制」は、何を監視するのか読む人にとって分からないと思う。情報開示の監視か、新しいルールの監視か。後者(情報開示を含め)のことだと思うが。表現を工夫して欲しい。

● 「需要者たる生活者と・・情報の非対称性の程度が高い」等、一般の人が読んでも分からないと思われる表現がある。

● 御意見を事務局に連絡いただきたい。出来るだけそれを踏まえて修文し、次回の会議では、最終案文の確認をお願いしたい。

2.各論について

人材分野

人材WG主査より説明。

その中で、問題意識については、厚生労働省と広い意味で方向性の一致を見たが、改革をどこまで踏み込んでやるか、また、どのようなスピードで行うかについて、意見が一致していないとの説明があった。

(特に質問等なし。)

教育分野

教育WG主査より説明。その後、以下の議論がなされた。

● 「個人支援を重視・・」(2頁 第2パラ)とあるが、機関補助から個人補助(バウチャー)へという趣旨か、それとも奨学金を増やすということか。

● バウチャーの問題は、よく議論しなければいけない。ここで述べているのは、奨学金の話である。文言は「骨太の方針」をなぞっている。機関補助から個人補助という議論は、方向としては重要だが、大学の研究を考えると、例えば、スーパーコンピューターや望遠鏡等、全てを国民に配るバウチャーで賄うと言うのには無理がある。慎重に議論する必要ある。9月以降、議論したい。

● 教員の適正な評価・公表について、インセンティブは書いてあるが、辞めさせることは言わないのか。

● 内容的には、小中高の問題と同じ。不祥事、怠慢有れば、国家公務員法で辞めさせざるを得ない。独立法人化の中で、全体的に議論していけたらと思う。ここでは深く盛り込んではいない。

● むしろ辞めさせる方法について検討課題に挙げることが重要ではないか。

● 大学と小中とは、比較するのは適切ではないと思っている。

● ぜひ入れるべきと思う。教員の入れ替えが出来ない。解雇法制とも同じだが、明確なルール・基準作りが重要である。

● 流動性の問題とも非常に関係する。流動性は重要な問題と認識している。きっちり議論したい。

● 校地基準の規制はどうか。特に都心で社会人大学等を作る際に、規制が問題となる。

● 「工場等」として教室のサイズ等が決まっている。この問題について、今回の取りまとめ案に盛り込んでいる。

● バウチャーの議論、奨学金の議論、で出てくる問題として、個人の教育に公的資金をどこまで投入するかという問題がある。教育は、一面では、自己に対する投資であり、一方、外部性がある。両者をどう区分けするのか。教員の評価を強めるのは必要と思うが、一方で、学習指導要領、教科書検定等、教員が自由に教育をできないという規制についても触れるべきではないか。

● バウチャーに関連して、個人的には、大学の研究と教育を分けて議論したいと思っている。公的補助は学部レベル位までの教育が対象と思う。その中で、個人補助・公私のイコールフッティングの議論ができると思う。学習指導要領等については、今回は取り上げていない。問題の重要性は認識している。

医療分野

医療WG主査より説明。

その中で、現在の医療の問題は、保険制度であり、これを健全なものとして守るために、単純化して言えば、出来高払いを野放図に容認できないこと。DRG-PPS等、出来高払いに変わるリーズナブルなシステムの導入が必要である。そのシステム構築のためには、医療の標準化、EBMが必要で、カルテ・レセプトの電算化がそのインフラとなること。社会保障は必要最低限で、それを超えるものは個人の自己責任で、と切り分ける必要がある。日本の医療費はGDP比で少なく、産業/雇用吸収の観点から、もっと増えてよいが、個人負担と公的負担のミックスが基本である。患者も医師もコスト意識がなく、今後、市場原理的なものに対する理解度を深めていく必要がある。という認識が示された。

上記説明の後、以下の議論がなされた。

● 中医協の委員構成に関して「見直しを含め」は「見直し」よりも弱いのか。

● 委員構成の見直し、さらに、いかなる過程で人選するか、そういうことも含めて考えている。もっと公正中立なものにならなければならない、ということを意味している。弱めたわけではない。

● 経営形態の多様化について、当初は「13年度中に検討し結論」となっていたが、政治的な配慮から後退したのか。

● 後退ではない。「骨太の方針」がようやく到達した点であり、これまで議論にならなかったものである。今回は、「骨太」の到達したレベルに留めたということ。

● 医師免許の停止、剥奪、そう言うことに踏み込まないのか。

● 不適格になれば取り上げるのは当たり前だが、更新は、運転免許ぐらい。検討に値するが、この時点で、医師にパイロットテストのようなことを課すことを特筆的に持ち出すことに価値があるか。大きな改革をやろうとしているときであり、押し付けの改革は成功しない。そこに火種をまいて何の得があるかということ。そのため質の確保を図るということに留めた。あえて定期的なテスト等の表現は避けた。

福祉・保育等分野

福祉・保育等WG主査から説明。

そのなかで、厚労省関係の3分野のうち、一番意識が変わっていないのがこの分野で、当会議との基本的な問題意識の差がかなり大きいという認識が示された。

上記説明の後、以下の議論がなされた。(●は質問・意見、→は意見に対する回答等)

● 今後、認可と認可外という状況を残すのか、それとも認可外もある程度の基準を満たすものを補助し、それを満たさないものは営業停止、という形で行くのか。また、認可保育所の基準の見直しについては、地方自治体が上乗せ基準をしないように監視ということだが、地方分権で、各自治体が自由に設定する方がよいと思うが。

● 大店舗規制と同じで、ともすれば、新規参入を抑制する形で行われやすい。待機児童がいないところでは、中小企業保護的な役割で使われかねない。地方が保護主義を取らないように国が監視することは重要。
認可外の施設整備費については、合意できていない。厚労省は、ダブル・スタンダードは、一切認めないという方針。ただ、テーブルに載ってくれたのは初めてである。バウチャーにしても同様。一歩前進か。

→ 認可外については、従来のような一般的指導・監督でなく、ある程度の位置付けをすべきではないかということ。文案にあるライセンス等。一定の基準より低いところは、そもそも営業を認めない、というもの。ただし、これからの検討課題である。

都市再生分野

都市再生WG主査より説明。

その中で、都市再生の問題点は、2点で、(1)国際競争力の低下、(2)所有から利用へというパラダイムシフトの中で、不動産の流動化が国家的な命題となっており、そのため公正で透明な不動産市場の整備が必要であるという認識が示された。

また、検討状況について、この段階では、まだ完全に「骨太」ではなく、9月以降、さらに議論を詰めたいという考えが示された。

(特に質問なし。)

環境分野

環境WG主査より説明。

その中で、環境省をはじめ多数の省庁にまたがるが、殆ど調整ができたという状況が示された。

(特に質問なし。)

(2)その他

以上

(文責 総合規制改革会議事務室


内閣府 総合規制改革会議