平成13年9月18日
日本経営者団体連盟

総合規制改革会議 ヒアリング参考資料
「重点6分野に関する中間取りまとめ」に対する日経連意見

1.医療分野について

総合規制改革会議
重点6分野に関する中間取りまとめ(01.7.24)
「医療」抜粋
賛否
(「○」は賛成、「△」は異なる意見、「×」は反対)
日経連の主張

(1)医療に関する徹底的な情報公開とIT化の推進

(1)原則電子的手法によるレセプトの提出【平成13年度中に実施】

○賛成

(2)カルテの電子化・EBM・医療の標準化などの推進【段階的に実施】

○賛成

○全医療機関において実施されることが望ましいが、まず、病院から早急に実施すべき。

(3)複数の医療機関による患者情報(カルテなど)の共有、有効活用の促進【平成14年度以降逐次実施】

○賛成

○重複診療・検査などの無駄を排除するためにも、促進すべき。

(4)日本医療機能評価機構を含む第三者機関による医療評価の充実【平成13年度から段階的に実施】

○賛成

○現在、日本医療機能評価機構による評価内容には真に患者が知りたい診療実績や医療サービスのメニューなどの情報は含まれていない。診療実績など評価内容を充実させ、患者が医療機関を選択する際に役立つものにすべきである。

(5)医療機関の広告ならびに情報提供に係る規制の抜本的見直し【13年度中に実施】

○賛成

○診療実績などの情報提供は、利用者本位の医療の確立に不可欠。広告に関する規制はネガティブリスト化し、原則自由化すべき。

(2)診療報酬体系の見直し

(1)定額払い制度の拡大【段階的に実施】

○賛成

○早急かつ強力に推進すべきである。

○定額払制のポジティブリスト化の拡大、出来高払い制のネガティブリスト化。

(2)公民ミックスによる医療サービスの提供など公的医療保険の対象範囲の見直し【平成14年度から逐次実施】

○賛成

○医療技術の進歩や患者ニーズの多様化が進む中で、公的医療保険の対象範囲を見直し、利用者が必要とするサービスを選択できるようにすべき。

○アメニティー部分(入院時の室料・食事代など)については、早急に見直すべき。

(3)診療報酬、薬価、医療材料価格の決定方法の見直し【平成14年度中に実施】

○賛成

○診療報酬については、上記(1)と同じ。

○薬価については、薬価差益の解消に向け、適正な価格形成の仕組みの導入をはかる。

○205円ルールについては、薬剤費請求の透明化を図る観点から廃止する。

(4)医療機関の経営情報の開示【14年度中に実施】

○賛成

○早急に開示すべきである。

(3)保険者機能の強化【平成13年度検討、結論】

  • レセプトの審査・支払業務を保険者が直接実施

  • 保険者の審査支払業務を支払基金以外の民間への委託

  • 保険者と医療機関との直接契約

○賛成

○医療の効率化や質の確保を図るためには、保険者機能の強化が不可欠であり、早急に実現を図るべき。

(4)医療分野における競争の導入と効率化

(1)医療機関の経営形態の多様化、理事長要件の見直し

○賛成

○医療の効率化を進め、利用者本位の医療サービスの提供を図る観点から民間営利企業の参入規制は廃止すべき。

○理事長要件の廃止は当然である。

(2)医療資機材の内外価格差の是正【平成14年度中に措置】

○賛成

○医療資機材の内外格差の是正に向け、付帯的サービスのあり方、流通構造の合理化等、について早急に見直すべき。

(5)その他

(1)医療分野の労働者派遣について【平成14年度中に実施】

(2)医療従事者の質の確保【14年度までに実施】

(3)医師の教育改革【14年度までに検討】

(4)医薬品販売における範囲の見直し【14年度中に実施】

○賛成

(注)「3.人材分野について」参照


2.福祉・保育等分野について

総合規制改革会議
重点6分野に関する中間取りまとめ(01.7.24)
「福祉・保育等分野」抜粋
賛否
(「○」は賛成、「△」は異なる意見、「×」は反対)
日経連の主張

(1)施設介護における多様な経営主体の対等な競争

(1)ケアハウス等への株式会社等の参入促進【平成13年度中に実施】

○賛成
  • ケアハウスだけでなく、施設介護サービスについても幅広く民間企業の参入について実現を図るべき

(2)グループホームに関する規制改革【平成14年度中に実施】

○賛成

(3)公設民営の促進【平成13年度中に実施】

○賛成
  • PFI法の活用等により強力に推進すべき

(4)情報公開、第三者評価の推進【平成14年度中に実施】

○賛成

(5)施設整備費補助等の格差是正【平成14年度中に検討、結論】

○検討することに賛成

(2)保育サービスの拡充と質的向上

(1)認可保育所基準の見直し及びその周知徹底【平成13年度より早期かつ逐次実施】

○賛成
  • 待機児童解消の観点から早急に対応すべき

(2)公立保育所の民間への運営委託【平成13年度中に実施】

○賛成
  • 待機児童解消の観点から公設民営を推進すべき

(3)認可外保育所に関する基準の設定【直ちに検討を開始し、遅くとも平成14年度中に結論】

○賛成

(4)情報公開、第三者評価の推進【平成14年度中に実施】

○賛成
  • 利用者の多様なニーズに対応し、適切な選択を促進するため、是非、推進すべき

(5)保育所と幼稚園の融合【平成13年度以降逐次実施】

○賛成
  • 利用者の多様なニーズに対応する観点から推進すべき

(3)社会福祉法人に関する規制の見直し

(1)社会福祉法人に関する制度の運用に関する見直し【平成13年度から逐次実施】

○賛成

(2)情報公開の促進【平成13年度から逐次実施】

○賛成

(3)社会福祉法人の多様化【平成13年度中に検討を開始し、14年度中に結論】

○検討することに賛成

(4)社会福祉協議会の役割の見直し【平成14年度中に実施】

○賛成

3.人材(労働)分野について

総合規制改革会議
重点6分野に関する中間取りまとめ(01.7.24)
「人材(労働)分野」抜粋
賛否
(「○」は賛成、「△」は異なる意見、「×」は反対)
日経連の主張

(1)円滑な労働移動を可能とする規制改革

(1)能力開発プログラムの充実【次期予算措置】

  • 現行の教育訓練給付金制度の在り方を再検討

  • キャリアカウンセリング

  • 職業訓練制度の拡充

  • 資金の貸付制度等の活用の促進 等

○職業訓練のあり方を根本的に見直すことが必要である。
  • 職業訓練カリキュラムの再編成(ニーズに合わせたメニューを機動的に用意)

  • 職業訓練と雇用保険の連関性を強める

(2)職業紹介規制の抜本的緩和

  • 有料職業紹介事業に関し、求職者からも一定の枠組みの下で手数料を徴収できるようにする【平成13年度中】

  • また、求人企業から徴収する手数料については、現行の上限に係る指導等の廃止について早急に検討【平成13年度中】

  • 地方公共団体においても無料職業紹介事業が行えるような措置を講ずる

  • 学校等以外の者の行う無料職業紹介事業に係る許可制についてもこれを届出制に改める【見直し前倒し】

○職業紹介規制の抜本的改革が必要。

×地方公共団体における無料職業紹介は公共職業安定所業務と重複するため反対。

△有料職業紹介事業についても許可制から届出制に移行する。

  • 紹介手数料の上限の撤廃

  • 紹介責任者の定数の緩和

  • 許可制の届出制への移行

  • しごと情報ネットの充実

  • 民間職業紹介機関におけるマッチングについても雇用保険各種助成金を受給できるようにする

(3)募集・採用における制限の緩和・差別撤廃

  • 本年10月1日までに作成する改正雇用対策法に基づく「指針」に、募集・採用において年齢要件を課す場合には、求人企業にその理由を明示することを求める内容を盛り込む【今秋中】中長期的には法律において義務付ける必要性についても検討

  • 年齢制限の緩和は、派遣労働における派遣先企業にも同様に適用

  • 募集・採用において、人種・信条・社会的身分を理由とする差別を明文で禁止することを検討

  • 公務員は率先して年齢制限を撤廃

○10月1日からの年齢制限禁止の努力義務化は、現下の雇用慣行を考慮したものである。まず周知が必要である。

△人種・信条・社会的身分を理由とする差別禁止の明文化については慎重な検討が必要である。

(2)就労形態の多様化を可能とする規制改革

(1)派遣労働者の拡大

  • 派遣期間の延長

  • 「物の製造」の業務の派遣禁止の撤廃等【見直し前倒し】

  • 派遣先による派遣労働者を特定することを目的とする行為の禁止等について、現行制度の運用の見直し【直ちに見直し】。

  • 紹介予定派遣については、上記労働者派遣法の見直しと併せて、法制度を含む現行制度の見直しを検討【見直し前倒し】

  • 緊急措置として、現在3年の派遣が認められている業務(旧適用対象26業務)の範囲を拡大 【平成13年中】

○3年後の見直しを待たずに早急に検討を開始すべきである。

○派遣期間を延長するのではなく、「26業種」と「原則自由」の区分をなくし、期間制限を撤廃するべきである。

○紹介予定派遣における制約を緩和すべきである。

○その他の規制撤廃も併せて検討すべきである。

3年後の見直しを待たずに早急に検討開始

  • 1年の派遣期間制限を撤廃

  • 高齢の派遣労働者の期間制限の撤廃

  • 期間制限を撤廃することを前提に「26業種」と「原則自由」の区分をなくす

  • ネガティブリストから「物の製造」と「医療関係業務」をはずす

  • 終了1週間前にならなければ「求職の意思の確認や求人条件等の明示ができない」ことや「履歴書をはじめ求職者の詳しい個人情報を入手できない」こと

  • 派遣終了後でなければ、採用内定ができないこと

  • 一般派遣事業について許可制から届出制へ

  • 派遣元責任者の人数に係る規制の緩和

  • 派遣元責任者講習の有効期間の延長

(2)有期労働契約の拡大

  • 労働契約期間の上限を現行の3年から5年に延長し、適用範囲を拡大する等【直ちに調査検討を開始】

  • 専門職の範囲については、例えば修士号の実務要件緩和などの拡大措置【平成13年度中】

△労基法14条削除により有期契約の上限を1年から5年とする。

  • 契約期間を制限している労基法14条を削除し、有期雇用の上限を民法626条の5年とすべき

  • 労基法14条を削除できないとしても、改正し、契約期間の上限を現行の1年から5年に延長すべき

(3)裁量労働制の拡大

  • 専門業務型裁量労働制については、対象業務の拡大【平成13年度中】

  • 企画業務型裁量労働制については、速やかに規制について必要な見直しを行う【見直し前倒し】

△現行制度は規制が多く抜本的な見直しが必要。

  • アメリカのイグゼンプション制のような制度を検討し、現行のみなし労働時間制ではなく、労基法41条にある適用除外とすべき

  • 専門業務型と企画業務型の区別をなくし、対象業務の拡大

  • 対象事業場の限定撤廃

(3)新しい労働者像に応じた制度改革

(1)労働基準法の改正等【早急に検討着手】

  • 構造変化を踏まえ、新たな時代の雇用関係を規定する基本法とするために労働基準法の見直し(ホワイトカラー・イグゼンプションなどの考え方も考慮)

  • 解雇の基準やルールを立法で明示

×解雇基準の法制化には賛成できない。

  • 労基法に解雇制限規定をおくこと、整理解雇の要件の法制化については、規制強化につながり、反対

  • 新たな解雇基準を設定する労働契約法の制定についても、就業規則との関係などの整理が必要

  • 便乗解雇など経営者のモラルハザードを引き起こしかねない解雇規制緩和ルールの設定には反対である

(2)社会保険制度の改革等【早急に検討着手】

  • パート・派遣労働者に対する雇用保険の適用拡大を徹底

  • パート労働者に対する年金・医療保険の適用を拡大

  • 派遣労働者の年金・医療保険適用についても必要な対応を検討

  • 私立学校教員等の雇用保険への加入実施

  • 企業倒産・転職時における企業年金のポータビリティの更なる拡大や退職金に関わる制度・枠組み等の見直しについて検討

  • 公務員における配偶者手当などの制度見直し

△パート労働者・派遣労働者に対する社会保険適用拡大については慎重な検討が必要。

○私立学校教員の雇用保険加入には賛成、併せて国・地方公務員の加入を実施。


内閣府 総合規制改革会議