平成13年5月7日
○○○○ 殿
四病院団体協議会
(臨床研修制度について)
大学病院、研修指定病院では、同一診療科内ですら、益々専門・細分化され、研修計画にも問題が多い。大学病院や大病院だけの研修では全人的な真の臨床医は育たない。指導医のいない病院に研修医を出すのは如何という意見もあるが、研修制度では、まずかかりつけ医・家庭医の養成を考えなくてはならない。
国際医療援助でも諸外国の医師は産科でも小児科でも小外科でも診療するが、日本の医師は適応できない場面も多く、これは専門分化した医局制度を引きずった現在の医学教育制度の欠陥である。2年間の臨床研修には、まず明確な教育理念と目標がなくてはならない。広く一般臨床の基礎を徹底的に教育すべきで、研修初期の一定期間は、臨床研修指定病院で研修を受けさせなければならないが、残りの期間は臨床指導ができる医師がいる地方の医療機関に配属する。
地域医療に貢献している中小民間病院も含め研修病院・診療所群という概念で研修させるべきである。
更に、心のケアの出来る医師を育てる為には、精神科病院での研修を義務づける必要がある。なお、臨床研修病院は新しく制定される指定基準に従って、現在の大学病院も含め研修指定の認定を受けることが望ましい。
いわゆる大学医学部だけで育った擬専門の欠陥医師を育てないためにも、臨床研修制度を早くスタートさせるべきである。また研修教育費は診療報酬から捻出するのではなく国民の健康維持のために国家から拠出するのが必要である。
これは医療事故防止、大学病院、大病院で研修医による無駄な検査経費の節約のためにも、研修医の給料は、研修医養成費として国家予算化し、指導医の報酬は教育研修施設に補助金の形で支給をすべきである。
原則として研修医のアルバイトは禁止とする。
研修期間中2年間、保険医として診療できないと、中小民間病院での研修は事実上不可能となり、地域医療の体得が出来にくくなるとともに、地方の中小病院の医療が混乱する恐れがある。研修医単独では保険診療を認めないが保険医の指導の下で保険診療が可能とすべきで、実務的に保険診療を認めるべきである。研修中も施設長・病院長が認めれば診断書等が書けるように認めるべきである。
現在四病院団体協議会では、我が国の医学研修の統一化(標準化)を図る目的にて、卒後初期臨床研修カリキュラムの検討を開始しており、今後設置される臨床研修のカリキュラム作成委員会には、実際に地域医療の担い手として貢献している四病院団体協議会から複数の委員を参画させることを要望する。
以上