第13回総合規制改革会議 議事概要

1. 日時

平成13年11月21日(水)17:00〜19:00

2. 場所

合同庁舎4号館共用第1特別会議室

3. 出席者
(委員)

宮内義彦議長、飯田亮議長代理、奥谷禮子、神田秀樹、河野栄子、佐々木かをり、鈴木良男、清家篤、高原慶一朗、八田達夫、村山利栄、森稔、八代尚宏、米澤明憲の各委員

(政府)

石原規制改革担当大臣、松下副大臣、渡辺大臣政務官

(事務局)

[内閣府]坂政策統括官、岡本審議官、梅村審議官、竹内審議官、磯部審議官、吉原事務室長、長屋事務室次長、西参事官、松山参事官、枝廣参事官、松葉参事官、二川参事官


議事次第

  1. 素案審議

  2. その他


議事概要

(開会)

(1)石原大臣より挨拶

総合規制改革会議の先生の皆様には、連日高度な御審議をしていただきありがとう。

私も、一両日中に特殊法人7法人の方向性がとりまとめられるので、集中してこの会議に出席させていただく。

規制改革については、重点6分野の大部分を総理の指示も頂き前倒しして竹中大臣のとりまとめられた改革先行プログラムに盛り込ませて頂いた。

レセプトの電子的手法による提出を限定している省令の廃止、固定資産税課税台帳の縦覧対象範囲を拡大する法案の次期通常国会提出など、実は既に具体的な成果もあげつつある。これらは長らく議論されながら実現に至らなかったものであったり、あるいは従来の考え方を180度転換して固定資産税課税台帳を見せるようにするなど、大きな成果ではないかと思う。

また、11月9日の経済財政諮問会議でも、関係省庁の大臣にも御参加を頂き、規制改革に関する集中審議を行い、規制改革の重要性を、各大臣とともに再確認したところ。

私としても規制改革をさらに大きく進めるために、全力を尽くして参る所存。特にIT分野は経済活性化のためにも重要な分野であり、新たな競争の促進が課題になっていると思う。このような観点からすれば、競争の状況を注視しつつ、21世紀に相応しいNTTのあり方についてIT本部に協力しながら精力的に検討を進めていくということも必要ではないか。

一方、都市の再生は待った無しであり、数十年前に都市計画決定し都市の骨格となるべき道路の大半が東京などで未完成であるのは、政治的にも大きな問題。このため都心の環状道路とその周辺の一体的な再開発を民間の知恵と資金を最大限利用して民間が主導的に事業を推進できるよう都市計画法等の規制改革を進める所存。

また、ワンストップサービスのように既に解決されているべき問題でも複数省庁にまたがっているためになかなか進展が見られないと言う問題の解決のために、例えば港湾における輸出入手続きのワンストップサービス化については、来週にも実務の長である局長に集まっていただき速やかにプログラムの開発に着手する等、作業を加速させて頂きたいと考えている。

さらに、現在雇用情勢が悪化して史上最高の5.3%という失業率になっているが、職業紹介のパイプをより太く、通りやすくすることが必要なので、職業紹介の手数料の規制の緩和についてそのスピードアップを私自身今週中にも関係大臣に直接お願いしようと考えている。

現在重点6分野に加え、それ以外の分野についても精力的な検討を頂いているが、あと10日、12月の意見書に向け特段の御努力を重ねてお願い申し上げる。

(2)宮内議長から報告

9日の経済財政諮問会議の集中審議に出席し、そこで当会議の現況等について報告した。私からは当会議の現状、来月にも実効性のある答申をまとめることを説明するとともに、中間とりまとめ6分野の具体化に加え、その他分野でもいくつかの事例を挙げて説明、各分野にわたって全面的に規制をなくしていくたゆまない努力が必要であるということを強調した。

また、当会議の進捗状況にとどまらず、私から規制改革全般についての考え方として今後検討を必要とするであろう数十項目について事例を示し、その中からさらに15の重点事項を指摘、もしそういうものが改革されれば非常に大きなインパクトがあるということをお話しした。

当会議は非公表なので私が出した資料についても公開できないということなので全体的な話として、会議後竹中大臣が審議の模様を記者会見で発言した内容を御披露することで報告にかえる。

「総合規制改革会議の議長から問題提起を中心にした数十項目の規制項目について議論を行った。規制改革を思い切ってするという方向性については、担当の大臣も含めて全く意見が一致していた。問題はそのスピードと実施に当たってどのような条件なり制約なりをつけるかということであるが、意見交換を終えて、総理の前で各担当大臣を呼んで改めてこうした問題を議論したのであるから、これまでよりも一段、二段パワーアップして規制改革を進めるということ、つまり改革工程表のフォローアップのような意味合いで一段と規制改革を押し進めることで合意した。この3回の集中審議が終わったあとで、それぞれの問題について改めて各大臣のイニシアティブに基づき改革をパワーアップして、内閣府の方でそれをとりまとめ、結果的にはそれは改革工程表のフォローアップのようなものになるのではないかと、今のところイメージしている。今日の前向きな議論を踏まえてそういう形でのとりまとめを進めていきたいと思っている。総理は改革のそれぞれの項目について非常に熱心に御議論をされた。難しい問題があっても、改革を進めるためにしっかりとやれという指摘があった。議長が進めておられるのは現実に達成可能なところで各省庁や各利害関係者が折り合えるような項目についてできるだけ前向きにやっているが、それは12月中旬頃に何か報告がされると聞いているので、それはそれで当然のことながら重要。しかしさらに、そこに政治的なリーダーシップを発揮して、それをパワーアップするようなものが必要であるというのが基本的な認識。であるからこそ経済財政諮問会議で総理を交えて集中審議をしている。今日そうした問題について特に経済活性化の観点から重視したい数十項目について議論を行って、各担当の大臣に一段頑張るのではなくもう二段くらい頑張っていただくと私は申し上げたが、こうしたことを今後、今日の総理の熱意を含め各大臣のイニシアティブに期待して、審議が終わった段階でとりまとめたい。もう一つの御質問の内容は重点項目があったのかということだが、この数十項目は全て重点であるのでどれが重点かは申し上げられない。」

(3)素案審議

ア 重点6分野

(ア)医療

取り上げている項目は中間とりまとめに取り上げたもの及び改革工程表に入っているもの。案文の中ではハウ・トゥをできるだけ細かく示して実現を確かなものにする事を主眼に置いている。

レセプトの電子的処理、そのための、用語・コードの統一が必要。EBMの確立に必要なデータはカルテの電子化と公開によりとることができる。支払方法については、医療の標準化・平準化が行われたら、包括支払い方式(GRGPPS)が可能になる。

医療の分野に競争を導入したい。その仕組みの一つとして考えているのが保険者機能の強化である。

第2番目は、医療の世界に新しい血というか変わった血が入ることが必要で、それが株式会社の参入という問題である。

医療のパイを増やすためには、現状の医療を抜本的に変える必要がある。それが混合医療であり、医療産業全体ではあと10兆円伸びる余地がある。

もう既に厚生労働省に原案を提示してあり、昨日検討会も行っている。基本的な方向に対しては合致していると思うが、具体的な技術的な方法・内容については、我々の指摘する問題と厚生労働省が言って来るのとはいささか違いがある。

(質疑応答)

意見・質問なし

(イ)福祉

基本的に中間とりまとめの構成をややふくらませて整理。

問題意識のところは、前から同じ。

改革の方向としては、一番ポイントになるのは介護施設の中で施設整備費助成の格差をどうやって是正していくかということ。同時に、社会福祉法人の改革を三本柱として取り上げている。

具体的施策のところだが、中間とりまとめではいきなり項目を羅列しているが、今回は前提となる基本的考え方をやや詳しく書いている。

具体的施策の中では、施設介護に対する民間事業者の参入問題で、以前から間接的な形で公金の支出が行われていることを指摘すると同時に、いくつかの手段によって実質的に施設整備費補助の格差を是正することを指摘。

ケアハウス、グループホーム等の問題は、中間とりまとめに加えて規制改革委員会時代の見解や、規制緩和3か年計画で指摘している事項も整理する形で含めている。

保育サービスについては、中間とりまとめをふくらませている。特に認可外保育所に関する基準の設定についてはやや詳しく指摘。

新たに保育園と幼稚園との施設共用化に関する融合というところは、項を起こして論じている。

保育士に関する諸規制の改革というのもかなり進んでおり、一層の改革を進めるということを書いている。

保育サービスの利用者に関する直接補助方式については、今後なお検討を必要とするということを言っている。

社会福祉法人に対する規制の見直しについては、中間とりまとめと同じだが、具体的な点について要望等があったので詳しく記述している。

折衝状況は、本日このペーパーができたばかりなので、これから来週にかけて折衝を始める。医療と同じく福祉についても担当省庁と基本的な方向については変わらないと思うが、いくつか若干意見の相違がある。それについては引き続き折衝していきたい。

(質疑応答)

意見・質問なし。

(ウ)人材

人材分野は、労働市場が急速に悪化しているということと、既に様々な構造変化が起きていて、その中で雇用に関わる規制を見直さなければいけないという基本的問題意識である。

その際の基準は大きく分けて二つ。労働市場の機能を強化することと、個人と企業の選択ができるだけ自由にできる雇用のあり方を目指すということ。

今回の報告の内容は、中間とりまとめを基本に、3か年計画にプラスして新たにいくつかの項目を加え、中間とりまとめの中で十分書き込めなかったそれぞれの規制緩和・改革についての説明及び少し具体的な内容を書き込んでいる。

ポイントは、一つは能力開発について、教育・能力開発が個人に対する投資であるという視点に立って、資金の貸付けという形の能力開発支援の仕組みを考えてはどうかということについて書き込んである。

職業紹介については、特に最近の労働市場の悪化を踏まえ、情報不足によるミスマッチを防ぐため、職業紹介についての規制緩和はできるだけ速やかに進めてもらう。

最近特に中高年失業者の再就職の大きな阻害要因として、募集採用における年齢制限ということがはっきりしているので、努力義務で雇い主に年齢制限を課さないようにしているのをさらに強化して、できれば年齢差別を禁止するルールにして欲しいと書き込んである。

労働者派遣事業については、派遣労働者として働いている人自身が望んでいる規制改革について積極的に進めて欲しいということをもう一度確認している。

有期雇用については、中間とりまとめと大きく変わってはいないが、その期間の延長・対象の拡大について背景等の説明を少し書き込んでいる。今回我々は、少なくとも常用代替という考え方を基本的には廃していくべきということを主張している。

前回の報告のあとに、第一次素案を作り、厚生労働省等に配ってコメントを求めたところ。既に、厚生労働省とはWGで折衝を行っており、他の府省からも意見を聞いた。今日提出したのは厚生労働省のコメントをある程度踏まえてWGとしてリバイズしたもの。これを再び厚生労働省及び他の府省に送付し、コメントを求める。来週早々に厚生労働省とWGにおいて折衝を行い、最終的な報告素案を作成したい。

厚生労働省と議論したときの感触は、基本的な規制改革の向かうべき方向についてはそれほど大きな隔たりはないが、スピード、具体的な内容について規制改革会議の報告の中に盛り込ませてもらうかについては考え方に隔たりがあるので、その点を今後の折衝の中で詰めていきたい。

(質疑応答)

意見・質問なし。

(エ)教育

高等教育と初・中等教育をとりあげている。

高等教育については、大学同士の競争関係について整理している。

大学・学部の設置認可を準則主義化するということを書いている。準則主義化により、大学がたくさんできるので、質を保証することが重要になる。そこで第三者による大学の評価認証により大学の質を確保する。ある一定の質が確保されなければその大学は消滅するので教育のある種の安定性が問題になってくるが、学生に対しては引き続きセーフティネットを確保するという方向である。この考え方に対して文部科学省も賛同している。

初等・中等教育について一番問題になってくるのは画一的な教育とそれによって生じる教育の質の低下。多様性を確保するため、ここで新しいタイプの公立小中学校、いわゆるコミュニティースクールを創設していく。

現行の小中学校でも、生徒と保護者が自由に公立学校を選びにくい状況があるので、選択制の確保と、保護者の学校への参画という制度を進めていく。

具体的施策として、まず、高等教育については、大学の設置の認可の準則化を進めていこうとしている。

新しく作る学校については最初から抑制的に対応するという部分を見直していき、校地面積について自己保有の規制を弱めていく。また、首都圏等には工場等規制法という一極集中を防ぐための法律があるが、上乗せした形で大学を作ることを抑制しているので、これを撤廃し、都心部で高等教育機関を作って社会人が来やすいようにする。その他ダブルメジャーの話やパートタイムの学生制度の促進について書いている。

現在小中学校を新しく作っていく際の基準が明確でないので明確にしてもらう、私立学校に入りやすい環境を整えること、審議会の構成メンバーのあり方を見直す、その他、外国人学校をできるだけ増設しやすい環境を作る、特に国の指導要領を満たせば日本の学校を出たのと同じ資格を取得できる制度を作る。

(質疑応答)

○ コミュニティースクールのことはどこに(書いてあるか)。

● コミュニティースクールに似たもののモデル校を実際に来年度から作ることは文部科学省も検討しており、我々はそれを一歩進めた形でむしろ新しい学校の制度を作ることを念頭に置いて主張。それについての最終調整は済んでいない。

(オ)環境

環境WGでは全体として7つの部分から構成。

第1は土壌環境保全対策で、市街地の土壌汚染は、土地の取引の阻害要因にも成り得る。基本的には汚染者負担の原則であるが、誰が汚染したかわからない場合のため基金の設置も検討し、一定の場合には土地所有者にある程度の負担をさせなければならない。原因者不明の際どうするかについては各省いろいろ意見があり、調整が必要。

地球温暖化対策については、締結に向けて準備が本格化しており、当WGでは、規制的手法に頼ることなく、経済活力を損なわないよう、できるだけ経済的手法や自主的取組みを促す方向でこれに当たろうと思っている。

地球温暖化に関し、当WGで提案しているのは、幹線ガスパイプライン網の建設の促進。石炭・石油に比べ二酸化炭素排出量が少ないが、日本は国内にガスパイプラインがなく、供給範囲が限られ、コストが高い。規制によるものが大きいのでそれを緩和する。漁業補償のあり方も関係各省において検討すべきことを記述している。

企業毎に環境会計や環境報告書について自主的にやっていただくが、比較しやすいように統一性を持たせる観点から検討すべきだと言っている。

都市のヒートアイランド現象の解消について、各省庁・自治体がバラバラに対策をやっているが、これを統一的に組み換えて、総合的な推進体制を構築すべし。ミクロの対策だけでなく、都市全体での対策を検討することが主眼である。

人と自然の共生については、多様な生物を存続させたいと言うことだが、そういうことに関する様々な方策を検討すべきだと記述。同時に外来種の移入に関するルール作りが必要だと述べている。

廃棄物リサイクルの問題については、廃棄物の定義・区分、廃棄物処理法上の業・施設認可の見直し、生産者の責任の拡大が検討されるべきと記述している。

環境アセスメントについては、個々のビルのアセスメントをするよりは、都市全体のグランドデザインの中に位置づけてやるべきではないか、ということを地方公共団体でも環境アセスメントの基準にすべきことを記述。手続きの合理化も記述している。

(質疑応答)

意見・質問なし。

(カ)都市再生

都市再生に関しては中間とりまとめ同様大きく3つの分野に関して提案を行っていきたい。

一つは不動産市場の透明性の確保、もう一つは都市に関わる各種制度の見直し、いわゆる都市計画・建築に係る様々な法制度、三つ目はマンションの建て替えである。

基本的に関係省庁と目指す方向性は同じであるが、今後調整していく中で、どこに具体的な方策を落としていくかが今後の課題。調整はこれから行う。

不動産市場の透明性の確保については、情報のないことが不動産投資を阻んでいるという認識の下、インデックスを作成するに当たり実売情報が入る仕組みができないか、地価公示に関わる詳細情報の常時閲覧についてある程度合意しており、固定資産税の評価額についても従来自分のところしか見られなかったものが、他の人のところを限定的ではあるが見られるようにする。不動産鑑定手法に関しても、鑑定評価基準の見直しを提言している。依頼者に対しより一層の説明責任を果たすことにより、より不動産鑑定市場及び不動産のディスクロージャーの世界が透明性の高いものになるようにと提言している。

不動産流通制度に関しても中間とりまとめ程ドラスティックではないが、仲介・媒介の世界が最終的にはメニュー方式になっていけるような形のサジェスチョンをしている。

借家制度に関しても、正当事由に関しても踏み込んでおり、不良債権処理に関して問題になっている競売や、競売の実効性確保ということについても踏み込んでいる。不動産証券化を促進するための法制度に関しても書いている。

二つ目の都市に関する諸規制の見直しについては、工場等制限法の見直しに関して踏み込んでいる。

都市計画制度の改革は多岐にわたるが、都市のグランドデザインの策定に関するサジェスチョン、計画許可制度の導入、性能規定化の推進、都市再開発事業の積極的推進等に関し細かな提言をしている。行政代執行制度の強化などにも踏み込んでいる。

都市計画道路について、整備率が半分程度であり、これが完成すれば都市再生にも資するので、公共用地の推進について土地収用法も絡めながら提言を行っている。

道路が折角あっても交通渋滞で損失を与えていることから、交通渋滞の緩和についても提言を行っている。

三つ目のポイントであるマンション建て替えの円滑化については、区分所有法の立て替え要件の見直しであるとか、マンション建て替え法制に対するサジェスチョンをしている。それから既存不適格マンションの建て替え円滑化、マンション建て替えの中で公的資産の有効活用ということも見込んでおり、都心に非常に良い公団住宅や公営住宅の有効活用に資する住宅管理の適正化、ニュータウン再開発の弾力化等に対して見込んでいる。

中間とりまとめに比べてかなり具体的な提言をしていると感じており、今後調整をしていく中でなるべく具体的な落としどころを調整していきたい。

(質疑応答)

意見・質問なし。

イ その他分野

(ア)競争政策・法務・金融

重点分野と異なり、その他分野は今年は時間が限られており、現時点での状況を報告する。まだ担当省庁との調整は最終的には済んでいない。

a 競争政策

競争政策分野は視点は大きく分けて二つ。第一は競争政策の強化であり、体制の強化等も含まれる。第二は競争促進の為のルールの整備、規制の撤廃、制度の改正を引き続き進める。

(1)独禁法等の執行強化のための諸施策として、公正取引委員会の体制・権限の強化。(2)は今年新しく採り上げていることだが、フランチャイズ制度の整備。(3)一般集中規制の見直しは、従来からやってきているもので、今年はアとイを取り上げている。(4)は大きい話。政府調達システムというものが、競争的でないという問題を抱えており、競争政策の観点から競争的かつ透明性の高い精度にしようということで打ち出している。(5)工事などの場合に事後的に検査が行われるが、現在法制上民間に委託することはできるが余り使われていないので、これも積極的に推進すべき。(6)経営方式の改善で、リースについては現在の法制の下では予め1年を越えるものとしてはそういうものとして予算をたてて国会で決める手続きを踏まなければならない。そこが電気・ガスと揃っていない。これは民間からも要望が出ているが、リース契約についてはわざわざ1年期間でやっている実態で、その点も改善出来ないかと考えている。

現状は、公正取引委員会との関係では大体この文案で何度かやりとりして固まっているが、最後の公共工事等については、関係する省庁全部とヒヤリングをした。その結果、案文を作って先方に渡してあるので、折衝はこれからで、どこまでやれるかは、現時点では時間も限られているのでやや心配だができる限りのことはやる。

b 法務

法務については、大きく二つある。一つは司法制度改革であり、もう一つは企業活動の基盤整備ということ。

前者は、従来の規制改革委員会においては法曹人口の大幅増員を言ってきたが、今年6月の司法制度改革審議会の最終意見書に基づき司法制度改革推進法が成立し、それに基づき改革が行われることになっている。規制改革という観点から法曹人口の大幅増員、隣接法律専門職種の司法サービスへの活用ということでやってきたが、司法制度改革審議会の意見書が抽象的で読み方にも幅がある。これまで3カ年計画等に載っている内容と多少話も揃っていないところもあり、会議としては引き続きこれ具体的作業を注視していきたいと思っているが、司法制度改革推進準備室、法務省とはこれまでのところ、意見の隔たりがあり、現時点では調整は難航している。

企業活動の基盤整備については、倒産手続き、特に会社更生法の改正、新しい事業組織形態としてリミテッド・パートナーシップなどについての検討というものを挙げ、今年度はこの2つで行こうかと考えている。

c 金融

金融については、抽象的な目標は一言で言うと金融セクターの自由化ということであるが、具体的には二つぐらいに分かれ、第一には依然として残っている事前規制の撤廃、第二に規制がある場合、その規制の内容、適用・運用の明確化及び透明化ということ。この部分は民間からの要望が200項目を越えている。整理だけで相当時間をとられ、お手元に配っているものをまとめて担当省庁に投げたところで、今日金融庁から回答がきたところ。これから更に折衝が始まるという状況。

銀行の窓口で新しく導入されたETFというものを販売できるようにすべきだということ。

信託銀行が行う広告におけるインターネットの利用という問題について検討する。

団体年金保険に関しては、保険会社が万が一破綻した場合、特別勘定の資産は、一般勘定とは分離して保護できるようにする。

銀行による保険商品の販売規制の更なる緩和は、銀行で保険を売れるようにということ。全ての保険商品を銀行が取り扱えるということが目標。

損害保険商品について、企業部門の保険については原則届け出制になったが、事前届出制であり、一定の待機期間がある。アメリカ等では、届け出たらすぐ使えるようになるファイル・アンド・ユース制であり、導入に向けて従来からの議論を一層進める。

保険の業法300条は、保険の販売等についていろいろな行為を禁止しており、実際の保険の販売・料率の設定に萎縮効果を与えていると指摘されている。

金融一般に言えるが、比較広告についての規制が、保険だけでなく、銀行、保険、証券で揃っていないことから、整合性をとりつつ横断的に見直しが必要ではないか。

貸金業法については、日本独自の強い規制のため、使い勝手が悪いという問題がある。改善すべきであると書きたいが、実態調査をしてもらおうということにしている。

口頭で追加するが、証券決済制度の改革で、3カ年計画に載っているが一部遅れが見られるので、追加したい。

感想を3点申し上げたい。

第一点目は、今年は時間が非常に不足している。重点6分野が重要と言うことには全く賛成だが、経済分野についてもやるべきことは多数ある。来年度は4月からやらせていただきたい。

二点目は、自分の担当分野について省庁とのやりとり、文書の交換等していると、我々の文章のどの部分について省庁と折衝するかということがかなり焦点となる。本来我々が書くべき部分と確実に3か年計画に載せる部分は分かれていた方が、担当省庁との議論はやりやすく、あらぬ誤解を与えないと思う。

三点目は、時間の区切りの書き方についても相手省庁に誤解を与えている。今年は、本文の方に検討すべきであると書くか、措置すべきであると書いて、括弧の中は平成14年度措置と書くフォーマットでやってきたが、ルールが伝わっておらず、誤解に基づく意見も多い。ただ、読む人の気持ちを考えると、平成14年度措置、とか、検討・結論、とか、検討開始、とか、そういう方がわかりやすいと思う。

(質疑応答)

三点についてコメント

● 時間不足についてはそうだと思う。
最後の点について、相手の役所が慣れていないというのは不思議な感じがする。今お願いしているやり方は、改革工程表を作ったときのやりかたである。少し考えた方が良いのかもしれないが、これから変えると混乱するかと思う。
文章のどの部分について、というのは、この前お示ししたのは、政府として処置すべきことについて書いてある部分はそのまま政府として受け止めて使えるように書いておいてくださいとした。法律で言うと、判例にあとでなるような部分は相手の省庁とちゃんとやっておかないと、その部分はあとで実質的・法律的意味を持ってしまう。それ以外の部分は、本来それに影響する範囲で考えればよいだろうというのが自分の理解。

○ 自分も同じように考えているが、去年までは「したがって」というところが結論「すべきである」となって、それまでは理由上の判断というか、関係ないということだったので、ぎりぎりの折衝となった場合はしたがって以下に集中した。今年は従来を踏まえて同じ文章で出しているが、相手方はそこを修正してもらわなければ絶対困るというので3遍くらい紙が来ている。全体が折衝の対象となっているとすると、こういう所もヒヤリングで議論しなければならず、余計時間がかかる。

○ その他分野は時間が短かったというのはおっしゃるとおり。

○ 今の指摘と事務局がお答えになったことはまさに他の分野にも適用されると考えて良いか。

● どの分野ということでなく、常識的に言ってそういうものだと思う。

○ それは各審議官の方も徹底して欲しい。

(イ)農林水産業・流通分野
a 農林水産業

日本はきわめて気候が温暖であり、耕地面積も十分あるにもかかわらず自給率が非常に低い原因を経済学的に考えると、需要が変わっても供給がそれに全然ついていかないというメカニズムの機能不全ではないか。

農水省も、今回土地利用型農業に係る株式会社形態を認めるような農地法改正を行った。これは医療に比べると一歩進んでいるが、問題はその活動がきわめて制限されていること。したがってそれを緩和すべきであるという風な問題意識である。

ヒヤリングで、農水省は、これはできたばかりの法律であるというが、規制改革委員会時代の暗黙のルールでは、法案を国会で審議している最中は、指摘はしないが、成立後はすぐにでも問題点についての指摘を始めている。

中身については、法律の内容を紹介した後、農業に関して株式会社が参入できるが、4つぐらいの要件があって、折角株式会社の参入を認めたがあまりにも非現実的なので、もっと多様な経営主体の参入を通じて農業の体質強化をするためには、こういう制限等の参入規制の見直しをするべき、ということである。

b 流通

流通分野については、フランチャイズシステムが注目を浴びている。これから雇用の創出機会が重要だが、その受け皿となる可能性があるのがこのフランチャイズである。48年に中小小売商業振興法というのが経済産業省にあり、独禁法でも不公正な取引の禁止という法律があるが、これがいかにも古い。今後フランチャイズが更に発展するためには健全な取引関係が必要であるから、法律的にもサービス産業全体に広げるようにすべきである。情報開示の対象も狭いので、法律を改正すべきではないか。

大店立地法というのは、現在は注視しているという現状。大店立地法の運用については自治事務であり個別案件について国が積極的に関与することはできないが、地方が地元の小売店等を保護するために様々な参入障壁を作っている可能性があり、そういうことを防ぐために経済産業省に恣意的な運用がされないように確保してもらいたいということ。大店立地法の施行後5年以内に必要な見直しをするということであるが、見直しに向けた調査等の準備を早急に開始すべきであろうという点で指摘している。

流通分野についてはまだヒヤリングしておらず、明日最初のヒヤリングすることとしており、経済産業省の反応は今ひとつわからないが、是非この点については何らかの形で痕跡は残したい。

(質疑応答)

意見・質問なし。

(ウ)エネルギー・運輸

運輸についてはお手元に素案が配られていない。これはぎりぎりで作成が間に合わなかったので口頭でご説明をいただく。

a エネルギー

まず電力だが、97年に芽生えた小売の自由化という概念を完全なものに最後の仕上げをしようということ。対象範囲は完全に、家庭に対してまでも自由化すべきだという事柄が主である。

卸売市場の整備も必要。全国大での卸売市場を設定するということが第2点。

今の接続供給制度について、九電力と新規参入者の間に参入に関してすんなりいっていない事実がある。そこら辺の改善を指摘している。

送電線のルール化は絶対に必要、というのは、現在の電力会社は地域完結的にやろうというシステムになっている。それでは小売自由化の促進のためには不完全。したがって、問題を解決するためにアメリカなどではRTOという機関を作っており、この整備を促進していくことを提案している。送配電設備の建設は、これまで発電に対しては自由化だったが、送配電線に関しては九電力が独占している。もう、送配電線を建設するのは誰でも自由であるとすべき時期に来ているので、その提案をしている。系統運用を九電力に任せておくと、自分のところの利益に適うようになっていく、つまり中立性が害されるという問題があるので、中立的なものとして整備をすべき。送電部門と他部門の情報遮断ということについて、インフラを持つ部門と発電部門というものが一つの企業体である場合、発送電部門に対して他の発電者がそのネットワークを利用するときには常に色々な問題が起こってくるのはNTTの歴史でもあったこと。電力でも現に起こしている。正しい姿は発送電分離である。

電力にはいくつかの新規参入者を期待しているが、その新規参入者がイコールフッティングの立場でちゃんと業務がやっていけるということを担保するため、いわゆる規制監視機関というものを設置する必要がある。

ガスについては、小売の自由化の範囲を引き下げるというのが一つの問題。

ガスの供給については、何とか大動脈のガスパイプラインが整備されることが不可欠。そのためにはどのようにしていくか提言。

また、今までのガス供給者のインフラを新規参入者に開放する範囲を一層拡大すべきだとしている。

全体について言うと、かなり専門的な特殊な分野であるけれども、内容はきわめて革命的な内容となっていて、この通りやっていくなら日本の小売の自由化は完全に完成して、エネルギー分野の活性化が期待できる。ある意味電力会社が見たら跳び上がるような内容になっている。

案文については既に通産省に投げてある。これから折衝に入る。いろいろな反論もあろうが、基本のところは是非その通りやってもらうということでやっていきたい。

b 運輸

自分の修文が遅れて運輸分野の案文を出せなくて申し訳ないが、修文は完了したので、明日には運輸省に投げる。

トラック事業に関する規制改革とタクシー事業の運賃・料金に関する認可制度の適切な運用、それから内航海運暫定措置事業の早期終了。

港湾運送については、主要九港以外の港における規制緩和はまだ行われていない。行政改革委員会の最終意見でも、この業界における特殊事情に鑑みて段階的にやっていけということを言ったが、もうそろそろ段階が来た、次のステップに進みなさいと言おうとしている。

その他、高速自動車国道における自動二輪車の二人乗りに関する規制の取扱いについては、早期に結論を出すことが必要。

輸出入の手続きのワンストップ化ということについて、できるシステムが使いやすく、運営コストが安く、簡素な手続きでやれることがポイントであり、そのようなシステムを作り、そのようなプログラムを作ることが基本だと思う。明日には運輸省及び関係省に対して原案を提示する予定。

(質疑応答)

意見・質問なし

(エ)基準認証、資格制度、保安分野

基準認証の分野については、基本認識は事前の規制から事後の監視・監督に移すということで、特に具体的に三つぐらいの基準を設けて規制の緩和を進めていきたい。国が基準認証に関わる範囲を限定的に狭めていく、ということ。二つ目は、そのかわりに、様々な基準認証についての自己確認・自己保安が可能な範囲を拡大していくこと。三つ目は基準認証等に関して、国際的な整合性を図っていくこと。ものやサービスの国際的な動きが大きくなっているので、国際的な整合性を欠く基準認証システムがあると我が国の産業の国際競争力という観点からも問題が出てくる。

基準に関して色々な要望がでてきているが、この分野は要望が多く、今言った基準に照らして、とりわけ国際的な整合性を図るという観点から早急に見直しが必要である分野を今回は二つ取り出している。

一つは通信端末機器等の基準認証に関する自己適合宣言制度の導入と言うこと。

二つ目は電気用品の安全法に関する規制の見直しである。届け出区分の見直しを早急に検討していただきたいとお願いしようと思っている。

電気用品に関する技術基準については、例えばJIS基準を援用する等の形でより自己確認、国の直接的な規制によらない基準が可能であると考えられ、要望も強いので、国際的なやり方にあわせる形で整合化が図られることを、できれば本年度中に措置していただきたいとお願いするつもり。

現在は要望についてメモを作った段階。これから関係府省とのヒヤリング及び折衝に入る予定。

(質疑応答)

意見・質問なし

ウ 手続きの簡素化

なるべく必ずしも大きくないタマでも進められるものは進めていこうということでやっている。具体的には産業界から出されている数多くの要望の中から、手続きの簡素化のような比較的軽微な案件ではあるが、統一的に選び出し、各省に投げ、できないかということで働きかけをしているところ。12月におまとめいただく報告書の最後の方に別表としてつけさせていただければということ。

(質疑応答)

意見・質問なし

エ 全体について質疑応答

○ 派遣業務について教えて欲しいが、ものの製造への派遣が禁止というが、この前派遣業者と話していたら、役所側の問題でなく、労働組合側の問題だと言っていたが。

● 厚生労働省は我々と同じような問題意識を持っている。しかし具体的スケジュール、やり方については、調整が必要。労働の法律の分野については労使と学識経験者からなる三者構成の審議会を通じて立法措置が講じられることになっているので、労使の合意を得た上でないと規制改革が実現できないということ。今おっしゃったようなことがあるとすれば、労使の入った審議会をクリアすることがなかなか難しい、時間がかかるということであろう。

○ タウンミーティングに数出て、規制改革がどんなにプラスになったか、利便性が向上したかということについて十分理解が進んでいない気がする。過去やってきたことについて、いろんな事例がみんなにわかるようにしていくことも、した方がいいのではないか。

○ おっしゃる通り、広報につとめることと同時に、旧規制改革委員会の時代には当時の経済企画庁にお願いして、どれだけ国民経済にとってコスト低減になったか、需要喚起、どれだけ利便性が高まったかを計算してもらって発表した。今後会議を続けるに当たり、できるだけ国民に見える形にすることは非常に重要。その辺については、事務局にもお願いする。

○ 折衝のタイミングについてまだ聞いていないが、29日に会議があり、これは何をするのか、4日にも会議があるが、いつまでに何をするのか。

● 次回は今日議論いただいたものを夕方各省に投げ、調整して最終案に近い形のもので皆さんに御議論頂ければと思っている。次の会合は12月4日ということで仮にお話ししているが、変動が有り得る。今のところは12月上旬とお考えいただきたい。
そのときには完全な形で、総理に答申できるようなものをご承認いただくことを考えている。

○ それが一番重要な日。29日にはほとんど決めてしまうというが、おそらく空白のものがいくつか出てくる。それで与党調整に入るのだろうが、その段階は全部ではなく、総理に出す日の深夜に決まったというケースはいくつでもある。この日をきちんと決めておくとお互いに、特に官庁の方があきらめがつく。きちんと決めておかないとずるずるともう少し頑張ろうかなという形になってしまう。戦術上、この日は最後という日をきちんと決めておかないといけない。

● 若干決めかねている。おおむね見当はつけているが、実は年末は予算編成、閣議、経済財政諮問会議等、いろいろなものがある。おっしゃることもわかるので、両方のかねあいを考えながらなるべく早く決めたい。

(閉会)

来週これをもう一度更に詰めた形でご報告いただくということで、主査を中心に御努力をお願いする。今日の段階で資料が漏れることはややこしいことになりかねないし、会議にプラスになるとも思えない。資料について厳重に御注意いただくとともに、内容についてのコメントはできるだけ控えていただく。

以上

(文責 総合規制改革会議事務室


内閣府 総合規制改革会議