2002年2月20日
奥谷 禮子
現在の低迷する日本経済の状況を見れば、少なくとも夏までは、「経済再生のための規制改革」として、ニュービジネス・雇用の創出を実現する規制改革事項を優先的に取り上げ、昨年と同様の時期に「中間とりまとめ」を行うべきではないかと考えます。
また、その中で取り上げるべきテーマにつきましては、前回(2月8日)の総合規制改革会議で何人かの委員の方々からも御提案がありましたとおり、例えば医療・福祉・教育・農業分野において共通の課題となっている「株式会社参入問題」など、各省庁の縦割りの壁を越えた「横断的なアプローチ」が有効ではないかと考えます。こうしたアプローチを取ることによって、各省との関係で、「総合的」に「率先して」規制改革を進めていくという、内閣府にある当会議の本来の目的がより明確になるものと思われます。
前回の会議でも申し上げましたが、その上で、夏以降は、各項目にプライオリティを付けて、「目玉」となる事項を優先的に取り上げ、各省と集中的に折衝していくべきと考えます。小泉総理も「規制改革はタブーへの挑戦」とおっしゃっていますので、当会議の「目玉」商品は、相当インパクトの強いものである必要があります。
例えば、私自身が一国民として、かねてより疑問を抱いている2つの問題があります。それは、農村において独占的地位を与えられ、公益事項のみならず営利業務も堂々と行うことにより、農業関連産業の参入・成長を阻害している「農協」の問題と、受信料のみを財源としているという点で国際的にも例のない特別の存在であるにもかかわらず、民間事業者との競合する新分野にも引き続き積極的に業務を拡大している「NHK」の問題です。放送法の存在自体の見直し、公共放送、国営放送の意義づけ、抜本的な検討が必要な時期に入っていると思います。こうした問題についても、今年は、当会議として踏み込んだ検討を行うべきではないでしょうか。
以上、簡単ですが、当会議の今後の運営についての御提案とさせて頂きます。
東京大学 神田秀樹
「経済再生・活性化のための規制改革を重点的に推進する。」
以上
2002年2月20日
河野栄子
標記の件につきまして、以下のとおり意見をまとめさせていただきました。
参考にしていただければ幸いです。
今年度の規制改革における本来の目的は、改革の遅れが目立つ「生活者向けサービス分野」において、市場原理を導入することで新たな産業・サービスを育成することだと聞いております。その観点からすると、規制改革のフォローアップは、新産業の育成や新しい雇用の創出をひとつの”ものさし”としていくことが考えられます。
※そうでなければ、いわゆる「措置」済み項目について、その程度がどうであれ(仮に要望レベルの1割程度の措置であっても)“一律”検討終了となってしまうことを懸念しています。
以上は難易度の高いものであるかもしれませんが、規制改革の目的からすれば大変重要なテーマなので、十分議論したほうがいい考えます。
今年度は時間がなかったこともあり、何をやるべきかという議論はそこそこに、実現できることを盛り込んだことが実態だと思います。
来年度は各種団体等から出されている要望を一旦すべて棚卸しした上で、やるべきことを議論しテーマを決めたほうがいいと思います。
経済財政諮問会議はもちろん、税制調査会、IT戦略本部、政府の雇用対策本部と役割分担を明確にするということに加えて、それらの機関と情報の連携を図ること。さらには各省庁の審議会である財政制度等審議会や産業構造審議会とも情報連携を図ったほうがよいと考えます。
以上
2002.2.20
鈴木良男
主として、「分野横断的取組み」(横串)に重点を置く。【2.参照】
アウトプットを昨年のように中間とりまとめ(または提言)の形で提出して、望ましくは個別事項ごとに、そうでなくても包括的に(最大限尊重)閣議決定を得る。
このためには、3月上旬には「横断テーマ」「担当主査・委員・事務体制」を概定し、3月下旬には作業に入れるようにするべきである。
6月までは上記の横串テーマが中心となるが、縦櫛の「分野別取組み」も、昨年の極端に短い期間での審議の反省として、少なくとも「分野」「担当主査・委員・事務体制」だけは、4月上旬には決めておくべきである。
特に以下の分野などでは、「分野横断取組み」と同時並行的に作業を開始ことが必要である。
「医療」など、引き続き厳格なフォロー等が必要な分野
「教育」、「金融」など、取組が遅れている分野
「IT」、「司法」など、本来、当会議においても、今以上に積極的な取組むべき分野
その他の分野でも、「テーマ検討」「基礎調査」などを、時間が許す限り行った方が、12月により内容のある提言ができる。
「中間とりまとめ」の内容(横串)を、「分野別」(縦串)に分解し、各省と折衝・閣議決定に至る。
現在、いわゆる非営利分野においては、経営主体が、公的主体(国、地方自治体、特殊法人など)および特別な法律に基づき設立・運営される法人(医療法人、社会福祉法人、学校法人、農業生産法人など)に限定されており、特に株式会社形態は「営利性」という名目のもと排除されている。
しかしながら、株式会社形態は、資金調達の多様性というメリットに止まらず、効率的で合目的的な経営の遂行、ディスクロージャーなどを通じての経営の透明性担保、などの点ですぐれた事業の運営方式である。このことを、これらの分野の人達は分かっていないか分かろうとしない。
多様化する消費者ニーズに対応するためには、株式会社形態の持つメリットを解明し、分野横断的に現行の禁止・抑制規制を見直し、こうした分野にも株式会社を参入させるべきである。
このテーマのメリットは、あの分野に株式会社の参入が認められるならという啓蒙効果をももたらし、「分野別取組み」にあたり、説得力を増す点にある。
なお、株式会社形態の許容は、上記の典型的な分野に止まらずに、例えば法律事務所をはじめ各種の士業などにも適用される。その意味で、現在株式会社方式が認められていない他の全分野をも視野にいれることが有益である。
国民がより安価でかつ良質なサービスを享受するためには、現在、公的主体が独占的に供給している公共インフラ・公共サービス事業を、可能な限り民間に移管し、官民の区別を越えた供給主体間の競争環境を整備する必要がある。
官から民への事業移管に関する手法は、民営化、民間事業体の参入、PFI(Private Finance Initiative)、民間委託(PPP(Public Private Partnership))など多岐にわたるが、個々の公共インフラ・公共サービス事業を上記各手法に当てはめることにより、それぞれの事業移管を阻害する規制を抽出・撤廃するとともに、モデルとなる適当な事例など(例えば、保育分野における公設民営の例など)を示す。
また、併せて、「官からの民への事業移管」に関する一般原則として、平成8年に行政改革委員会が策定した「行政関与の在り方に関する基準」の改定などを行う。この際単に基準を改定するに止まらず(行政改革委員会は抽象的な基準設定に終わった)、そのような基準に合致するものとして許容・禁止・変更をするべき個別提言が望ましいが、そこまでに至らないとしても少なくとも個別の例示があれば、理解もしやすいし、将来の指針となりうる。
電力・通信をはじめとする個別の公益事業分野については、引き続き規制改革を実施するとともに、今後、業種を超えた競争が激化する中で、各公益事業者が持つネットワークへのオープンアクセスの確保、ネットワーク運営者とサービス提供者のアンバンドリングなど、分野横断的な視点をもって競争環境の整備を図り、サービスの充実と投資の促進を図る必要がある。
この際、市場監視のためのより高度な専門性を備えた行政組織や、より公平性・中立性・透明性が確保された機動的な紛争処理を行う組織を整備するべきである。このため、一般的な競争政策との関係も含め、当該市場監視機関の在り方(機能、設置場所など)についても横断的に検討を行う。
なお、このような監視機関が必要な分野としては、情報通信、エネルギー、運輸などが直ちに適合するが、これに止まらない。その範囲を解明することも重要である。
我が国でビジネスを行う際に、司法手続のスピードの遅さ、商事関連法務に関わる弁護士などの数の少なさ、専門性の低さ、コストの高さなどにより、我が国の産業競争力を低下させ、外資系企業も含めた企業投資を阻害している。したがって、現在、特定の司法機関や資格保有者が独占している司法・法務サービスの供給主体を増やしていくことが重要である。
この課題は行政改革委員会、規制改革委員会を通じて一貫してテーマとして取り上げ続けてき、現行の「規制改革3ヵ年計画」にも盛り込まれている。司法制度改革審議会の設置以降、制度設計は同審議会に委ねてきたが、同審議会の答申が必ずしも一義的に明確でない点もあり、現在司法制度改革推進本部で法制化に向けて準備中であるが、本来の趣旨と合致するものかは厳格に監視する必要がある。
この意味での監視項目は、法曹人口の増加スケジュール、弁護士・司法書士・弁理士・税理士などの資格・権限の見直し、法科大学院の在り方、裁判外紛争処理システムの整備など、司法・法務サービスの一層の充実を図るために必要な範囲に及ぶべきである。
「入り口規制」から「事後チェック型のシステム」に移行するのが、規制改革の基本である。自由な参入をした主体が、フェアな行動をもって利用者に質の高いサービスを適切に提供するためには、供給主体間の競争を適切に行わせるようなルール、すなわち、情報開示、第三者評価、紛争処理、退出命令制度といった「事後チェックルール」の整備が必須のものとなる。
これらについても、個々の分野における現行制度の問題点を分野横断的に抽出し、「事後チェックルール」に関する「通則法」の整備や監視機関の設置など、分野横断的な制度設計を行う。
また、事後チェックルールへの移行に併せて、基準認証、資格などの事前規制についても、行政の関与を必要最小限なものとする。この点で、規制改革委員会は、1990〜2000年度にわたり、特に業務独占資格と必置資格について網羅的な提言を行っているが、その実行度と新たに必要な見直しを行う必要がある。
現在、特に保育、教育、人材などの分野では、国や地方公共団体による公的補助が、利用者ではなく公的施設を建設・運営する事業者に与えられているため、恩恵をこうむる者が、実際に公的施設を利用した者に限られるという問題がある。
したがって、このような分野で、事業者補助方式から利用者への直接補助方式への転換(「バウチャー制度」の創設)により、利用者の選択肢を拡大するとともにサービス全体の需要促進に資することが必要である。
規制改革は経済再生のために必要との一般論は聞くが、個別問題となると専門性、業種や地域への専属性などの要因により、必ずしも国民が身近なものと実感できないため、規制改革が十分に理解されないという点は否めない。
そこで、特定の事業や地域について、その事業の遂行にあたって障害となる規制を停止するという手法(「規制改革特別区」の創設)について検討するのが有益である。
従来は「特定の規制の一律撤廃」という横断的手法が使われたことがる(例、需給調整規制の一律撤廃)が、ことの重要性に着目しているとはいえず、必ずしも意義が大きいとはいえないケースもある。
当該規制が停止されることにより新規事業・プロジェクトが興ることが明確な場合に、当該事業・地域における規制を事業やプロジェクトベースで停止するという手法は、それによる効果が目に見えるので、当該事業やプロジェクトにとって有益であるに止まらず、国民に規制改革の意味を比較可能のレベルで説明できるし、規制停止の功罪をチェックできて全面的な規制改革に結び付けるにあたっての判断材料となりうる。
肝心なことは、これまでもこのような試案は各所であったが、「一律性」の壁を破れていない。単に「ショーウインドウ」効果を狙うのではなく、上記の目的意識をもって、実際に「特区」を作ることである。このために「特区認定システム」を明確にして、権限を付与することである。
以上
清家 篤
私の意見は本会議でも申し上げましたけれども、
「本年度に進めた(事前)規制緩和に対応した(事後)監視・監督制度の強化について考える」
ということです。
以上
2002.2.8
ユニ・チャーム(株)会長 高原慶一朗
本年初回の会議に出席できず、申し訳ありません。第1次答申後最初の会議ということで、当会議の今後の進め方について考えるところを一言申し上げます。
昨年も申し上げましたが,現在は緊急時です。規制改革についても、国民、産業界は、国民一人一人、各企業が元気になるような骨太の改革を求めています。特に、喫緊の課題として、デフレ阻止、産業空洞化阻止といった、我が国の産業の再生に、総力を挙げて取り組んでいくことが必要と認識しています。当会議も、この流れの中で、規制改革の側面から答えを提示するべきであると考えます。
したがって、ここから始まる第2ラウンド前半戦は、「産業再生に直結するような規制改革」について、以下のようなテーマを設定した上で検討を進め、中間取りまとめを行うべきと考えます。
新事業・新産業への資金供給・人材供給の円滑化(金融・雇用)
サービス産業の生産性向上(医療・介護・大学・農業)
高コスト構造の是正(電気・水・ガス・物流)
※ 昨年の「重点6分野」の成果を受け、さらに深堀り
※ 全体として、「公的サービスの民営化」という観点が重要
本来ならば、3カ年計画策定後、すなわち来年度からの検討ということになるのでしょうが、この緊急時においては、この時点から検討を開始すべきであると考えます。
我が国の総力を挙げて、この時期を乗り切らねばならないこの時に、総理の諮問機関である当会議が、従来の枠組みにとらわれて検討を行う必然性はないでしょう。
一方、産業界にとっては従来のような「個別分野改革型」による網羅的な規制改革の推進も重要です。したがって、「産業再生型規制改革」の中間取りまとめをした後、その成果も受ける形で、後半戦は「個別分野改革型」の検討を行い、年末の答申へ反映させれば、より完成度の高い成果を挙げられるものと考えます。
以上
2002.2.20
ユニ・チャーム(株)会長 高原慶一朗
前回の会議において提出したペーパーにも記しましたが、「産業再生型規制改革」をテーマとして、今後の検討を省庁横断的に進めるべきと考えます。
前回のペーパーを具体的に記すと、以下の通りです。
ベンチャーやニュービジネスにチャレンジする人々に、資金や人材が十分に集まらないのが現状。こうした人々に、円滑に資金が供給され、また、ベンチャーやニュービジネスにチャレンジする人材やそれをサポートする人材が続々と輩出される環境整備のために、規制改革によって応援できる施策を検討する。例えば以下の2点を例示。
直接金融市場からの投資を促進(投資事業有限責任組合制度の見直しによる投資対象の拡大など)
間接金融市場の再生(グッドバンク機能の再生(間接金融版ベンチャーキャピタル制度の創設)、動産等の担保法制の整備等)
大学の教育環境の活性化、大学教育の質的向上
労働者派遣、有期雇用、裁量労働制の一層の規制緩和
雇用保険制度の抜本的見直し 等
医療、介護、教育、農業、さらには水道、廃棄物処理など自治体で運営されている事業をはじめとした公的セクターのサービス市場に関する規制改革を検討する。その際、(1)利用者が主体的に供給者やサービス内容を選択できるという視点、(2)新しく参入してくる民間事業者の活力により市場全体が 活性化するという視点の両面からの検討が重要。
産業や国民生活の基本的なインフラである、通信、物流、電気、ガス、水道、などに関し、それぞれの分野における公正な競争環境を整備するほか、分野間の相互乗り入れ(電気と通信の総合サービスなど)が可能となるシステムを構築することによって、市場の活性化、コスト(料金)の低減を図る。
規制改革推進の一手法として、特定の事業又は地域について、一定の規制を停止する方法(「規制改革特区」の創設)について検討することが必要。
現在、経済特区は沖縄県だけであるが、経済特区の拡大を推進すると供に、その地域においては、例えば重点6分野の規制を停止するなど、税と規制の両面から経済の活性化が図れる環境を整備すべきではないか。
以上
2002年2月18日
八田 達夫
全体を『分野横断的な規制改革』とした上で、少なくとも次の3つの大項目の検討が必要ではないか。
事前規制を緩和するかわりに、競争が衡平であることを担保するための紛争処理や契約の監視といった事後的監視機関が必要である。エネルギー・通信などの自由化とともに、この必要性が最近特に高まっている。
司法サービスの質と量を大幅に改善するための対策を検討する。
住宅・保育・介護などにおいて、直接的な政府によるサービス供給と施設補助が行なわれている。これらを利用者への補助に切り替えれば、サービス機関が補助を得るために利用者獲得の競争することになる。
医療・社会福祉・農業などの分野で株式会社の参入が規制されている。これらの諸分野での競争を抑制しサービスの低下を招いていると考えられる。
従来地域独占が認められていた電気ガス事業などが競争的になるにつれて、地域間をつなぐ電線である繋携線や全国幹線ガスパイプラインなどの整備が必要になる。さらには都市再生のための都市周辺の道路整備も必要になる。しかし規制がそれを難しくしている。これらが共通に抱えている投資資金調達、土地収用、漁業補償の問題を緩和するための規制改革を行なう。
都心の高度利用を可能にする建築規制、再開発規制、消防規制の緩和などを検討する必要がある。
さらに民間環境規制の多くは民間投資を抑制するか、そのうち必要なものは強化し、不必要なものは緩めてメリハリをつける必要がある。
事業を特定の地域について規制を停止する。地域が限定されているため停止の効果について監視が容易である。したがって思いきった緩和ができる。
平成14年2月27日
村山利栄
私の提案は以下の通りです;
不動産流動化スキームに関わる横断的規制の改革: 法人企業が有する不動産資産は推定600億円から700億円に達すると推定され、バランスシートのリストラが本格化せざるを得ない状況のなかで、企業保有不動産の受け皿作りは急務である(デフレ対策)。 プライベートエクィティファンド、CMBS, JREIT、SPC法など、様々な規制改革の末これら不動産の金融化商品が動き出したが、まだ規模が小さく、スキームや税制の在り方にも改正の余地が多々ある。 これらの商品はまた、省庁間をまたぐ規制(財務省、国土交通省など)でもあり、横断的な規制改革ニーズは高い。 税制改正(流動化促進)、都市再生に貢献するための開発型ファイナンススキームの構築なども視野にいれた包括的な規制改革の実現が無ければ、都市再生も「絵に描いた餅」に終わるリスクが高い。
住宅政策:借家法の功罪により、「まともなところに住むためには買うしかない」という歪んだ市場が永きに渡って形成され、その結果、多くの世帯のバランスシートが毀損し、消費性向を上げられない状態に陥っている。 賃貸重視に偏る必要も無いが、借家法改正も視野にいれた住宅政策(中古住宅流通促進の為の方策も含め)の見直しが求められる。
教育改革: 資源も少なく、人口減少が避けて通れない我が国においては、知的・教育水準を更に向上させることによって、教育立国とでも呼べるようなシステムの構築が求められる。 中央教育審議会がこの2月に答申した「新しい時代の教養教育の在り方」、「今後の教員免許制度の在り方について」等を踏まえつつ、さらなる教育改革、言い換えれば世界に誇れる教育制度構築のためには何をすべきかに取り組むべきである。
子育て支援: 保育園の待機児童の問題のみならず、学童クラブが足りないなどまだ問題は多い。
平成14年2月22日
森 稔
平成14年度の総合規制改革会議の検討課題について以下の提案をいたします。
都市は、都市計画法と建築基準法以外にも様々な規制を受けている。
都市再生を進めるには、これらの規制の一元化を図る必要があり、複数の省庁にまたがる重畳的規制の改革の検討を行う。
(例)建築基準法、都市計画法、都市再開発法、道路法、航空法、駐車場法、公園法、港湾法、河川法大学、高校、小・中学校等の設置基準、消防法、大規模小売店立地法 等
都市再生を進めるためには、土地利用の高度化、弾力化を図る必要があり、歩道、車道、地下道、立体横断施設、高速道路、駐車場、鉄道、地下鉄、高架鉄道、河川、公園等の施設を建築物との立体的な利用を可能とし、土地を総合的・複合的に利用する改革の検討が必要である。
戦後の住宅政策は、都市部においても持家戸建を許容し、支援してきたために、日本の大都市は平面的過密、立体的過疎の構造になった。
世界的にも人が流動する時代に備えて、ライフ・ステージに応じた住み替えができるモビリティーの高い都市を実現すべきである。そのためには、持ち家政策から賃貸共同住宅を都市の居住スタイルとする住宅政策への転換が不可欠であり、インセンティブを与えるような税制を含めた検討が必要である。
日本経済の再生のためには、都市の再生は不可欠であり、第一次答申で盛込んだ都市に係る各種制度の規制改革に加えて、不動産市況の回復と取引の活性化のため、第一次答申では具体策を盛込めなかった不動産証券化促進のための規制改革について税制を含めた検討が必要である。
医療、福祉、教育等の分野においては非営利とされて、株式会社の参入が規制され、合理化等の妨げとなっている。多様化する消費者・生活者のニーズに対応し、経営の合理化・効率化を図るため、株式会社の参入を促進する必要がある。従って「公益性」の定義(現在では官業が公益的=非営利で、民業が非公益的=営利とされている)を明確化するとともに、民業では本当に対応できない部分として、官業が行う弱者のための救済措置(セーフティネット)の在り方の検討が必要である。
中央教育審議会が平成14年2月21日に答申した「新しい時代の教養教育の在り方」、「今後の教員免許制度の在り方について」等を踏まえ、教育改革を実行していくための具体的な検討が必要である。
以上
2002年2月15日
八代尚宏
前回の会議での議論を踏まえて、以下のような提案をさせて頂きたいと存じます。
衰退産業から成長産業分野への資本・労働等の移動を円滑に行うための環境整備
外資の積極的な導入を通じた競争の促進・グローバルスタンダードの観点から事業への再挑戦・新規事業立上げの制約を除去
例えば銀行融資の際の個人財産保証や保証人等の人的保証の禁止
資金融資面でのプロジェクトファイナンスの促進
雇用創出に即効的な効果をもつ分野の規制改革に特に重点
企業の雇用需要創出を促す労働市場規制改革
働き方の多様化・ワークシェアリングへ対応した労働市場。
学校教育と職業訓練との一体的な促進を図るための雇用・教育分野の改革。
いわゆる「非営利」分野での資金調達の自由化(株式会社の参入規制撤廃)
医療・社会福祉・学校・農業・検査等、「非営利」分野への多様な経営主体の参入
利用者補助方式の拡大を通じた利用者選択肢拡大・閉鎖性の打破とサービスの質的向上
円滑な企業活動を支えるため国際化に対応した金融法の整備。
司法サービスの効率化・法曹人口の大幅な拡大・隣接資格分野の相互乗り入れ
構想中の法科大学院の排他性(従来型の司法試験のみによる合格者の制限)防止
紛争の事後的処理システムの確立
公的企業における破産法の適用条件等の整備
電気通信・エネルギー・運輸分野における分野横断的な競争促進・コスト引き下げ
監督官庁から独立した市場監視機関の確立・強化
公正取引委員会の機能強化・その一環としての内閣府移管
特定の事業・地域に関して一定の範囲でハード・ソフト面での規制の緩和・撤廃
補助金なしでの経済活性化モデル事業
全国的に一律適用が困難な規制改革の効果に関する社会的実験を可能とするもの
2002.3.12.
八代尚宏
従来から個別分野では各種の「モデル事業」という形で、主として国からの補助金や租税特別処置を手段とした特定地域の産業振興が行われてきた。
しかし、既存の規制を前提として、もっぱら財政面からの支援により、国の指導に沿った地方自治体の事業振興という形では、横並びで効果が乏しい。
国の財政支援を前提とせず、地方自治体や企業等のイニシアティブに基づく、新たな事業と雇用を生み出すプロジェクトを規制改革で支援する体制の確立が必要。
地方自治体が、個々のプロジェクト実施に必要な「規制免除すべき法律・行政指導等」を総理大臣に申請(内閣府が窓口)。
これは建築規制等のハード面の規制のみならず、資金調達方法等ソフト面の規制も含む。
内閣府は、そうした事業の実施が、具体的に著しい弊害引き起こすことが明らかであることが一定期間内に関係省によって立証されない限り、申請を認定。
当該事業の責任は、国ではなく自治体が負うことを明確にする。
従来の国主導ではなく、地方自治体が個々に必要な事業を自ら企画するという点で地方分権の促進(地方分権推進会議との連携も視野に置くこと)。
規制改革の具体的な成果が、個別具体的に明らかになること。
国全体で全面的に実施する前提としての「実験的な手法」となること。
新しい企業や事業を呼び込むことで地域の雇用機会の拡大に貢献。
総合規制改革会議
委員 米澤明憲
現下の経済情勢を考えますと、日本が悪いスパイラルに入りつつあるようにも見受けられ、なんとか日本の再生を、総合的な規制改革の推進により進めるべきで、そのために来年度の規制改革の意気込みをあらわす標語としては「再生日本のための。。。」「先進国としてとどまるための。。。」などが実情に即しているかとも思えます。一方、これらは多少悲壮な感じもしますので、もう少し前向きな「世界トップレベルのQOL(生活の質)を実現する規制改革」とか「世界トップレベルの日本を実現する規制改革」なども考えられます。
具体的な規制改革推進の戦略ですが、改革の分野を特定する前に、規制改革の方向が国民にわかりやすく、大きな波及効果が望める、「特別区」設定を推進していくのはいかがでしょうか。旧弊の規制が全くなく、新しいルールで活動できる特別な区という意味です。「区」とは、具体的な「地域」を意味することも勿論ありますし、また同時に地理的な地域とは無関係な「分野」を意味してもよいでしょう。
その際、内容が具体的でわかり易い「区」を設定するのがよいと思われます。
すでに何人かの委員の方々から出されている「分野横断」的な目標を設定するという戦略も、「特別区」という戦略で実現できるのではないでしょうか。
すべての問題を「横断的」な目標達成という方式にするのは、幾分無理があり個別かつ重点的に規制改革を推進してゆくほうが、成果が明らかになる分野もありますので、「横断的目標設定」と「重点分野設定」の両方が同時に進められる「特別区」方式も、検討に値するのではないかと存じます。
具体的問題としては、「横断的」な目標としては「国際化推進のための規制改革」をまた、個別重点的に検討する分野として「世界トップレヴェルの教育/研究を実現する規制改革」を検討さていただきたく、またこれらを「特別区」方式で推進させることも一案ではないかと存じております。
以上、ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
文部科学省が施行しようとしている、いわゆる「ゆとりの教育」は、その具体的な実施方法によっては、わが国に長期的な発展に大きな影響を及ぼすことが懸念される。そこで、本会議でも、この問題を取り上げ検討してゆきたい。