第17回総合規制改革会議 議事概要

1. 日時

平成14年3月12日(火)16:30〜18:10

2. 場所

永田町合同庁舎2階 会議室

3. 出席者
(委員)

宮内義彦議長、飯田亮議長代理、生田正治、奥谷禮子、河野栄子、佐々木かをり、鈴木良男、清家篤、高原慶一朗、八田達夫、村山利栄、森稔、八代尚宏の各委員

(政府)

石原規制改革担当大臣、熊代副大臣

(事務局)

[内閣府]坂政策統括官、岡本審議官、中城審議官、竹内審議官、宮川事務室長、長屋事務室次長


議事次第

  1. 「規制改革推進3か年計画」の改定状況等

  2. 来年度の運営方針

  3. その他


議事概要

(1)規制改革推進3か年計画の改定状況について

政府部内における3か年計画の改定作業について事務局より説明があり、その後議論が行われた。概要については、以下のとおり。

○ 計画案の構成について、重点計画事項と短冊(個別措置事項)の両者があるが、重点計画事項も短冊も各省を拘束するものなのか。拘束力を持つのならば、重点計画事項の骨子については、短冊にも入れるべきではないか。

○ 重点計画も短冊と同様の規範力を持っていると考える。両者に規範力の差は無い。

○ ならば、どうして書き振りが変わるのか。エネルギーに関しては、前身の委員会においても、電気事業審議会の名を出すかが大きな問題となった経緯がある。重点計画事項が短冊に入っておらず、過去の経緯からして、やるかやらないかは、経済産業省で審議会に諮って勝手に決められると読める。その危惧はないと言い切れるのか。

○ 重点計画と短冊の拘束力は同じと考える。

○ どう担保するのか。

○ 閣議決定するので、各大臣に対して拘束力を持つ。もし相手省庁が勝手にできるという認識であれば、その省庁と調整したい。

○ それを明確に認識させるため、短冊に「重点と同じ」という旨を書いておくことで問題ないですね。

○ 短冊は分量的に簡潔に書いている。ご指摘の趣旨を踏まえて調整したい。

○ エネルギーは、主査ご自身が、納得いく形になっていないということか。

○ こういう形になるとは、全く聞いていない。答申をまとめた経緯は本会議で説明したことであり、短冊の作成に際しては、十分に打合せがあるものと考えていたが、あに図らんや。短冊に入っていない事項は、根幹に係わる問題であり、懸念を持って申し上げた。基本的提言の変更については、会議への相談を確実にやって欲しい。

○ 法律上は、答申をお書きいただくのは会議だが、3か年計画を作成するのは政府であり、会議のご承認を頂くということにはならない。ご相談ということはある。

○ 答申を作成した人間に相談なく3か年計画を決めるのなら、何のための会議なのか。何のために時間を掛けて議論したのか。

○ 手続きを申し上げれば、総理が当会議に諮問し、その答申を受けて、政府が「答申を最大限尊重」して計画を作る旨、閣議決定をしたところである。勿論、事実問題として、ご意見を伺うことに問題は無い。

○ マンションの建替えについて、法務省から中間試案が出たが、事前に見せてもらい意見を述べる機会を設けられなかったのか。また、我々の主張は、区分所有法の建替え要件を4/5の同意のみとすることだが、年限等が要件として加わっており、中間試案に意見を申し入れることは可能か。

○ もともと法務省に対して中間試案の作成・公表を求めたのは当会議であり、意見を言うことは当然可能である。但し、公表前のものを制度的に全部出せというのは、困難がある。

○ 総合規制改革会議のコメントは、パブリック・コメントと同じ扱いにされると考えられているのか。パブリック・コメントに掛ける前に閣議決定合意と同じ内容かどうかチェックさせてもらえないのならば、閣議決定の意味がない。

○ 制度的に事前に全部見せろというのは困難ということ。差障りのない範囲で案を見せて議論を、と申し入れることは可能。なお、区分所有法の中間試案の公表を閣議決定したのではなく、当会議の答申において、秋までに改正法案を作成することとしたもの。

○ これからこの案文を基に閣議決定することになるが、役所が閣議決定からはみ出たことをすれば、閣議決定違反になる。要は、閣議決定の範囲内と読めるかどうかということ。

○ 各省の審議会との関係については、各審議会がどのような審議をしても、各省は閣議決定に縛られるということでよいか。

○ 事の経緯、読み方の幅や解釈にもよるが、閣議決定したことと違うことをすれば、おかしいと指摘することになる。

○ 既成事実にならぬよう、要所要所で相手省庁と協議すべき。

○ 答申を受けて計画を作成するのは政府の責任で行うものであるにしても、その経緯について各担当主査への連絡はしっかり行って欲しいと思う。今、意見が出ているエネルギー分野についても、短冊が抜けていることを主査が知らないというような状況は、今後改めていただきたいと思う。

○ 中間試案も新聞記事で初めて知った。内容が我々の主張と違う場合、拘束力を持った意見を出せるよう、事務局にお願いしたい。

○ 法律上は別として、実際問題として各担当が主査に説明している。文章の解釈の問題はあるが、閣議決定と違うことをやるというのなら指摘できる。当会議には監視機能があり、意見を出せる。

○ マンションの建替えを4/5の同意だけで可能にするということなのに、築年数30年とかの制約を加えるのは、規制の上乗せであり、このようなものをパブリック・コメントに掛けることが許されるのか。

○ 再度、法務省と意見交換の場を設けることとしているので、その場で議論できる。

○ 当会議の役割と各省の審議会との関係を明確に定義しておいて欲しい。答申と別のことを出してくるのは、おかしいのではないか。

○ 別のことならおかしい。各大臣は閣議決定に拘束される。

○ 私も区分所有法の問題を議員としてやってきた。各先生方の意見に賛成である。法務大臣にも伝達しておく。また閣議決定から逸脱することのないよう、その旨伝えておく。
一点、基準認証に関して、行革事務局で公益法人の改革に取り組んでいるが、その関連で3か年計画の記述を見直しさせていただくことになるのでご報告しておく。

(2)来年度の運営方針について

新年度の運営方針に関して、その素案(資料5)について事務局から説明があり、その後議論が行われた。概要については、以下のとおり。

○ 留意点に「重点6分野以外を中心に」とあるが、今年度の連続という形でやって欲しい。
雇用労働分野における当方の論理は、就業形態で規制するのではなく、低賃金とか危険な労働といった結果で規制すべきというもの。派遣・有期労働契約を規制緩和する一方で、最低賃金法、労安法等のエンフォースメントの強化、事後規制の強化をペアで取り上げる必要がある。第一次答申には、事前規制の緩和、雇用形態の規制のみを取り上げたので、今年度、引き続き議論する必要がある。

○ 分野横断的に議論すると、公的関与の強い分野=6分野の内容にぶつかることになるため、事務局の「留意点」で「6分野以外を中心に」とあるのは、不可解。経済的分野と社会的分野を対等に取り上げればよい。
また、小泉改革の最大のポイントは規制改革であると思う。そこで「規制改革特区」が重要になる。規制改革を行っても弊害がないことを実験的に示すことが重要。予算や税制で手当てする従来型のモデル事業ではなく、金を一文も使わずに、自治体の責任で、規制改革により新たなビジネスを呼び込むというものであれば大変有効と考える。
もう一点は、(2)「公的関与の強い分野・・」のところに「官製市場の見直し」というキーワードを明記すべき。ここに挙げられた(1)〜(5)は、相互に関連しており、その一つの象徴として、「規制改革特区」を大々的に打上げて欲しい。また他の会議との連携が重要であり、司法制度改革推進本部、都市再生本部とともに、規制改革特区との関連では、地方分権推進会議との連携も重要。

○ 規制改革特区は、経済の活性化の目玉になる。都市再生本部の認定ではなく、何らかのメニューを示して、自治体のイニシアティブでやるべき。また、農業や医療への株式会社の参入については、明示的に書き、独立した項目とすべき。
利用者補助については、保育、介護、教育に関して、或いは住宅に関しても適用可能。「バウチャー」と明記すべき。
民業の範囲拡大とあるが、これには、官の制度(単年度予算、公物管理等)が障害になっている面もあり、「官民役割分担の再構築」等のキーワードで、官の側の整理も必要。
電気・ガス等のネットワーク産業については、法律を作る官庁とは別に、中立的な監視機構が必要であり、この点を明記すべき。

○ 来年度の一番大きな問題は、特区と経営形態である。経営形態の問題の多くは社会的分野のものであり、敢えて6分野以外とする必要はない。6分野は、積み残しが多くある。
ITについては、IT戦略本部の議論では、ソフト面が中心になってしまう。ソフト面は自由でよいが、ハード面に関しては、競争促進のための規制・仕組みが必要であり、本会議が独立にタッチできる仕組みが必要である。
留意点については、中間とりまとめを待たずとも、まとまったものから随時決定してやっていくことが重要。
個別15分野のスタートラインを早くして欲しい。昨年は、10月ごろから始めたので、電力等について、準備不足であったことは否めない。6、7月までを横断的分野と限定せずにやるべき。
司法・法務については、前身の委員会から司法制度改革審議会に引き継がれて議論されているが、古い法曹の考えに引きずられている。当会議としても重大な関心を持たざるを得ない。規制緩和後のインフラは司法と雇用と考えており、この分野に力を入れるべき。

○ 「経営形態」とぼかしているが、非営利分野等への「株式会社の参入」と明記すべき。6分野については、人材・教育などの関連法案がどんどん出ている状況にはなく、6分野以外と併せて、引き続き十分にやるべき。
総理のリーダーシップが重要。総理は1回きりしか出席されていない。石原大臣をバック・アップするためにも、総理に出席していただきたい。

○ 中間とりまとめについては、各省と合意できたものだけではなく、合意できていないものも含めて、この会議の見解を十分に反映すべきである。
また、6分野以外に限定する必要はない。

○ 公益事業と収益事業は違うとして株式会社の参入を拒んでいる分野があるが、やりたい者にやらせることを原則とすべき。片方は税金使って、片方は税金を払ってやっているわけである。公益事業の定義をはっきりさせるべき。
住宅については、世界の大勢は借りて使うもの。しかし、税制が逆インセンティブになっている。せめて取得と借りる場合を対等にすべき。所有でなく使用を中心にすれば、証券化の対象になり投資もそちらに流れる。是非とも議論して欲しい。

○ 各省の審議会との関係については、あまり固く考える必要も無いのではないか。大きく踏み外していなければ、各省の審議会の意見も聞きながらやっていくことでよいのではないか。
また、横断的分野の検討には、6分野も入れて考えざるを得ないと思う。

○ 活性化に資するビジネスの項に、不動産の流動化を入れて欲しい。

○ IT戦略会議の議論では、規制改革の観点は少ない。例えば、放送と通信の融合に関しては、政治的公平原則が問題となるが、米国ではfairness doctrine を外した。これを外して、様々な主体が参入できるようにすべき。
また、司法制度に関しては、弁護士資格を持っている人が中心に議論しており、規制改革の観点からは、後ろ向きで、規制強化してロースクールを作ろうという議論になっている。司法研修所の定員が司法試験の合格者の数を制限しているとか、弁護士会が公的機関になっているとか、おかしな話もある。この会議でしっかりと議論して欲しい。
規制改革特区は、素晴らしいアイデアと思う。大いにご検討いただきたい。

○ 6分野以外と書いたのは、昨年6分野をかなりやったので、特段の状況の変化がないものに手を掛けても効果が少ないのでは、という発想である。

○ 本日の議論を踏まえ、次回までに資料5を修正し、当会議の方針を決めていきたい。追加の意見があれば、事務局に伝えていただきたい。

(3)その他

議長より、来年度の検討のためのワーキンググループ再編の可能性、専門委員に関する手続きについて説明がなされた。

事務局から、次回開催日を4月上旬で調整中であること、議題としては3か年計画改定の報告と新年度の方針の確定をお願いしたい旨、発言があった。

以上

(文責 総合規制改革会議事務室


内閣府 総合規制改革会議