2002年9月12日
八田達夫
第一次答申におけるマンション建て替えの要件を5分の4同意のみとすることについては、2002年3月段階で、法制審議会区分所有法部会で審議が既に活発に行われており、そのときの様子では、30年要件の入るのが必至と見られておりました。このため、ビジネス生活インフラWGでは、フォローアップを特別に早くこの6月から立ち上げて検討して参りました。
さらに、フォローアップの一環として、この問題に関する一次答申の背景説明を各方面に対して詳しく行いました。特に8月6日には、森稔委員及び福井秀夫専門委員には、法制審議会区分所有法部会に3時間あまりも出席し区分所有法部会メンバーと議論していただきました。
その結果、9月3日の法制審議会総会の最終審議では、「立て替え条件を5分の4同意要件のみとする。ただし少数意見としては30年要件等も付加すべきであるという意見もあった」という主旨で最終決着致しました。当会議の意見が全面的に反映される結果になりました。
これは、宮内議長、当会議の委員の方々、事務局の方々のサポートのお蔭です。ビジネス生活インフラWGを代表して、厚くお礼申し上げます。
フォローアップの過程を振り返りますと、この問題に関して当会議が第一次答申の結論に至った理由を各方面にご説明したことが重要でした。
7月には、法務省が政治家に対して、「30年要件を含む」法制審区分所有法部会の原案の説明に回りました。その段階で当会議の見解を世の中に説明する内容としては基本的に第一次答申しかありませんでした。
したがって、公平な評価をしていただくべく、
(1)この問題に関して当会議が第一次答申の結論に至った理由を説明したWGの見解を示す文章
(2)当WGで法務省の民事局参事官をお招きして行ったこの問題に関するフォローアップの議事録
を公表し、法制審議会区分所有法部会、自民党法務部会を含めて配布を致しました。これが法務省の原案と当会議の見解とを世の中で公平に評価していただくきっかけになり、それが法制審議会の審議にフィードバックされて上記のような結果になったと考えております。
この経験を通じて思いますには、WGが第一次答申の内容の背景について必要な場合には詳しく解説した文章をつくり、それを当会議のホームページで公開することが極めて有益だということです。
「WGの議事録は個々のWGの判断でホームページ公開できる」ことがすでに決まっています。これまでも先例がございます。
しかし同様に「WGの見解も、WGの判断で迅速に当会議のホームページに載せられる」か否かについては、いままで判然としていませんでした。これができることを、正式にご確認いただければ、今後本格的になるフォローアップ活動の大きな支えになると思います。
なお、ご参考に法制審議会区分所有法部会に提出したWGの見解を示す文章を添付いたします。