平成14年11月21日(木)14:00〜15:30
永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室
宮内義彦議長、鈴木良男議長代理、奥谷禮子、神田秀樹、高原慶一朗、古河潤之助、森稔、安居祥策、八代尚宏、米澤明憲の各委員
石原規制改革担当大臣、米田内閣府副大臣、大村大臣政務官
坂政策統括官、岡本審議官、福井審議官、竹内審議官、宮川事務室長、白川企画官、下山企画官、前原企画官
・ 議事に先立ち、議長より11月6日付けで新たに委員に就任された安居祥策氏が紹介された。
・ 安居氏より、就任の挨拶があった。
主査毎に担当WGについて各主査から現況の報告を行った(ただし、事後チェックルール、雇用・労働、住宅・土地、環境、ビジネス・生活インフラWGは事務局から報告)。その後、質疑応答を行った。
<新しい事業の創出>
・ 新規事業創出分野は、いわゆる分野横断的分野であり、中間取りまとめ時点で各省と全て合意済みであり、同様の内容については、そのまま2次答申に記載する。
・ その後に各WG分野で議論中のもの、合意したものでも現在各省が法案提出中等の個別の事情のあるものは、ペンディング(P)としている。
<競争政策>
・ 本件の素案を下に各省との折衝に入る。
・ 基本的な考え方は、「事前規制の撤廃から競争原理を活用した事後監視の強化」。例えば、独占禁止法を中心とした競争法が充分にエンフォースメント(実現、適用)されているのか、ルールの適用を受けていないのではないかという問題意識。
・ 主には、刑事・行政・民事の3分野について、それぞれのエンフォースメントの強化という視点で見直していく。特に、独占禁止法の課徴金の性格を含め見直す。
・ 独占禁止法の問題は、公正取引委員会の問題であるが、基本的に公取を応援するが審査・調査などの透明性等の問題も多い。公正取引委員会の審査機能・体制など、国民への説明責任についてなどを含めその活動のプロセスを改善するべきである。
・ 専門分野の監視機能の強化として、証券取引分野、公益事業である電気通信・エネルギー分野など現在、制度が変わろうとしており難しいが、各特別法のなかに競争法的な性格を有するルール置くということも大事であり、各所管省が、その中できちんとエンフォースすることが必要である。
・ 政府調達制度についても、中間取りまとめの記述を進め、競争政策を促進させるためいくつか提言している。
<法務>
・ 基本は中間取りまとめで合意できたものなどを推進。
・ 司法制度改革は全てP。司法制度改革本部との折り合いが中間取りまとめ以降未だついておらず、調整中であり、例えば、弁護司法72条の問題は、見直しの方向で議論中である。
・ 外国人弁護士問題についても、隔たりはあるが対立した形ではなく目的規制の撤廃、雇用の問題など中間取りまとめより規制緩和の進んだ方向で書き込みたい。
・ いずれにしろ、当会議の立場をきちんと示したい。
<金融>
・ 各界からの規制改革要望を精査することを中心に、基本的考えは、事前規制の撤廃から事後監視型規制へということと、競争原理の導入とそれにあわせたセーフティネットの整備。
・ 一つの目玉的なポイントは、資産流動化の促進のための制度整備についての提言。
<官製市場見直し>
・ 「民で出来ることは官は入らない」、「国家権力に由来する事項は必ず国家公務員でやる必要はあるか疑問」、という2大問題意識の下、中間取りまとめで例示した64業務を中心に各省と議論してきた。
・ 特に「国家権力に由来する事項は必ず公務員でやる必要はあるか疑問」は、定型的なものは官で行う必要は無いはずであるし、非定型的なものは官に裁量権を与えることになる。これらに関し、問題提議をしつつ、緊急性の高いもの経済的効果の高いものについて絞って、現在18項目(競売、駐車場違反対応、学校、病院、職業紹介など)について民営化、民間移管、包括的委託、業務委託などを推進し「民間に出来ることは民間に」を進めたい。この課題を取り上げたのは、初めてであり各省庁も戸惑いを隠せないようである。
・ 株式会社問題については、中間取りまとめ時点では各4分野(医療、特養、教育、農業)で取り上げたが、取り組み方考え方などそれぞれに温度差があり一律の基準で詰めきれなかった面もあり、今回、各分野で交渉して頂いているので、その結果を踏まえ記述させて頂くかを考えたい。
<医療>
・ 昨年度、永らく言われていた医療改革に対し、かなりの部分を書き込み突破口を開いた。
・ 昨年の一番のポイントであった保険者機能の強化で提言した「レセプトの直接審査・支払」などの平成13年度に措置すべき事項が実施されず、関連通知さえ出されていないなどの明確な閣議決定違反があり、先祖帰り傾向がある。この点は、改めて指摘する。
・ 昨年度の提言は当然として、次のステップを提言する。内容については、診療報酬体系について出来高払い方式から包括払い方式への変更、また、混合診療と言われている診療の位置付けを明確化などがポイントであり、これを提言する。
・ 最大のポイントは、教育と同様に株式会社参入であるが、かなりハードな問題であり、厚生労働省の中でも消化しきれるかということもある。
<エネルギー>
・ 昨年、包括的に方針を示した。それに基づき、事態は、エネ庁を中心に進展していると認識しており多くを言わず念押ししたい。
・ 一点だけ述べるとすれば、電力供給などの価格自由化の後で、価格が高騰せず普及していく仕組み作り、規制機関の整備が競争政策分野と同様に大切である。
・ ガスについては資料の通り。
・ C重油関税については、国家のご都合主義の関税であるということである。
<運輸>
・ 港湾分野のワンストップサービス、自動車のワンストップサービスの整備については先に提言済みであるが、確実にフィニッシュさせることを書き込みたい。さらには、近時の技術進展の中で、既存のシステムの整合性をとるだけでなく、全く新しいシステムの開発をし、利用者の利便にかなうものとして頂きたい。
・ 営業車両の車検や車両重量など問題は、臨調よりのテーマであるのもの等、何度も扱ったテーマであり各界の要望も強い。反対も強いが、更なる規制緩和を提言したい。
●官製市場について、職業紹介・訓練について、包括的な民間委託とあるが、公共職業紹介所は現在、特にホワイトカラーのマッチングなど機能していない。民営化、独立法人化とはっきり書いた方がよいのではないか。
→公共の職業紹介をどう捉えるか完全民営化まで言っていいか、全てを民間に任せてしまっても良いか議論があり、今回は民間委託で留まったところ。包括的委託はある意味プランニングなど民間に相当な部分を任せるということであり、この記述でも抵抗を受けているところ。
●これ以上書き込むことはしないか。これを投げるときには強く出した方がよいのではないか。
→現在のところはこれをベースとしたいが、改めて相談したい。
●雇用創出の観点からは、かえって現状の職業安定所は無駄になっていることが多いので、現状を活かすことは如何か、民営化を目指してどうするかを示唆するべきである。
●小泉内閣の「民でできることは民で」というのは妥当なもの。方向感としてそうならば、民でやれるということを読み取れるようにすべき。包括的な民間委託の次のステップで民営化が見えるようにすべき。官製市場は非常に重要なテーマ。ある意味、規制を超えている分野でもあり、All Japanでやる内閣の基本方針であるから、総合規制改革会議のみではなく様々な機関で議論しなければならないなど取り組みの姿勢を答申の総論部分で、記述するなど強い姿勢を示すべき。
●電気通信事業分野における競争の機能強化について日本版FCCなども視野に入れているか。
→基本はそうである。現在の紛争処理委員会は評価でき、それは確実に実施するべき。また、いきなりFCCなどの組織論に行くのは多少次元が違う。アプローチとしては、エンフォースメントを強化する競争監視の中で、機能強化をすれば今の組織でよいか新しい組織が必要かは自然と議論の中ににじみえてこざるを得ない。問題意識は同じ、機能強化というほうがロジックとしてはこちらが筋かと思う。
●全く同感。証券取引分野の監視機能強化の問題についても、日本版SECが必要だとの声がある中、市場の活性化のためにこのような点も含めて書き込むか。
→基本的には同じ問題意識。ただ、証券市場の監視を強化をしないと、結局国民の証券市場への信頼が戻らない。機能強化の観点から書き、体制論は現状のままで良いかなど自然と議論の対象となるものであり、組織論よりも機能強化として全体を整理しロジックをつくりたいと考えている。
●官製市場の見直しは極めて重要な問題。株式会社のことを明示的に始めに書いて頂きたい。職業紹介・訓練の先ほどの質疑と同じで、学校についても小中高に限定されているようであるが、もっと広く書き込めないか。
→株式会社は冒頭の説明主旨の通り。学校の民間委託についても議論しているが、大学については私立学校法人化を進め、そうなれば、私立学校法人であるから民間委託でもなんでもない私立法人ではないかというコンセプトで考えている。そういう主旨での記述である。
●学校について、PFIとか公設民営とか広く範囲を拡大して、民間を教育全体にいれることなど包括的に考えることは出来ないか。
→少し、考える。決して逃げ腰ではない。ご理解頂きたいのは、とにかく反対という、熾烈な戦いをしている。
●そこは、充分理解している。
・ 燃料電池関連分野については、平成17年頃の実用化・普及を見据え、先行的に規制を改革する必要。燃料電池自動車、水素インフラ関連、家庭用燃料電池分野それぞれについて提言。
・ 技術力、芸術性等の競争力を有するアニメーションなどコンテンツ分野の更なる発展のため、公正な競争の確保と資金調達手段の多様化の2つの観点から提言。
・ 行政手続きの簡素化、既存制度の解釈の明確化、基準認証・保安・資格等の見直しについては、産業界からの要望について、関係省庁と議論を重ねている。全体として50を超える項目を別表としてまとめるとともに、主な内容は本文中に記載予定。
<規制改革特区>
・ 本日特区法案が衆議院を通過したとのこと、7月23日の中間とりまとめから4ヶ月という例のないスピードであり、皆様のご協力に感謝したい。この答申では、主として経緯と過去の評価について記載。
・ 今回対象とされなかった事項について、なぜダメだったのかという点を今後更に追求する必要があるということを記載するため、内容を調整中。
・ 特区法のスキームは法律、政省令のみが対象であるが、訓令、通達などの規制についても、適切な規制緩和を担保するために、引き続き構造改革特区推進室と共同で監視。
・ 全国対応とされたものについては、縦割りWGで内容検討も最終段階であろうが、問題がある場合には、必要に応じ特区WGとの連携も考慮。
・ 各省が現行制度で対応可能とされたものについては、通達などの形で明確に文書の形で示すことが必要である旨の記載を調整中。
・ 来年1月15日までの第2次募集についても特区推進室と協力して推進。
<福祉等>
・ 構造改革特区で可能とされた特養の株式会社参入を全国ベースで行うことを提言。
・ ケアハウスについて、参入要件に対する国の技術的助言の撤廃、また、訪問介護において実施可能な医行為の範囲をポジティブリストとして明確化。
・ 少子化対策のため保育所を作ることが急務であり、幼保一元化を推進。その際問題となっている資格の共通化等を推進。
・ 新しい内容としては、認可保育所に対する企業会計基準の適用を提言。
<農林水産・流通>
・ 本年は、農業生産法人に加え、農地利用規制と農協の規制を取り上げた。農地の大規模化・集約には零細農家の投機的土地所有の是正が必要であり、そのためには農地法等の運用の適正化が必要。農地転用については、不透明な農業委員会の透明化も必要。
・ 農協については独占的存在であり、競争が生じないことが問題。長期的には欧米の様に農家が複数の農協的組織と取り引きできるような仕組みの構築が必要。巨大な組織に農政が寄りかかっていることの見直し。独禁法の適用除外については、零細な組織が念頭にあり、連合会という巨大な組織も同様の扱いを受けていることが問題。
・ 特区で認められた株式会社参入を全国で行うための手段として、農業生産法人への株式会社の出資制限の廃止等を要求。
・ 教育主体の多様化として、ビジネススクールなどへの株式会社参入、コミュニティ・スクール関連の法令規定等の整備、学校法人の要件緩和、私学審議会の委員構成の見直し、インターナショナルスクールに関する制度整備などについて提言。
・ 情報公開の促進として、第三者評価、学校の自己点検評価とその結果開示などについて提言。特に遅れている初等・中等教育に関して強調。
・ 前回本会議で清家委員他から指摘のあった、国立大学の独立行政法人化に当たっての勤務条件の弾力化について提言。
<事後チェックルール整備>
・ 内容について主査と調整中であるが、中間とりまとめの際に各省庁と合意しており、基本線は変更なし。その後状況に進展があった事項については、再掲する形で調整予定。
<雇用・労働>
・ 検討の視点は、昨年度の厚生労働省との合意事項の実現、本年度前期の新規事業創出、規制改革特区WGで提言された内容の実現とともに、雇用情勢の深刻化を踏まえた職業紹介や派遣関連の改革の加速。来週関係省庁との折衝を開始予定。
・ 具体的内容として、求職者からの手数料規制の更なる緩和とともに、有料職業紹介事業における許可制度の緩和、労働者派遣事業(製造業、派遣期間撤廃等)、紹介予定派遣制度における事前面接解禁、有期労働契約、裁量労働制等、解雇ルールの法制化及び金銭賠償方式の導入について、次期通常国会への法案提出を要求。
<住宅・土地、公共工事>
・ 都心の高度化、高度利用の推進として、都市計画道路の迅速な整備に資する土地収用手続の積極的な活用、都心における住・商・オフィスの複合した都心の整備、特に住宅の立地促進のための措置、道路の立体利用に係る制度拡充等を提言。
・ 新たな時代の要請に対応した手続き等の見直し、性能規定化への移行、不動産市場の整備についても提言。
<環境>
・ 昨年の答申を踏まえ、ヒートアイランド現象の解消と地球温暖化対策問題、特に天然ガス発電の推進という観点から深堀り。
・ ヒートアイランド現象についてはメカニズムについて未解明部分が多く、対策も個別的なもの。当WGでは予防的見地に立ち、様々な対策を採るべきとの視点から、調査研究の推進と並行して、都市形態の改善による排熱処理の可能性、排熱の削減、地表面被覆の改善等とともに、関係府省連絡会議における役割分担と連携強化、大綱策定等についても提言。
・ 天然ガス発電所に関しては、3年半ほどかかる環境アセスメントの手続きの簡略化、また、火力発電所について燃料種別毎にアセスメント対象にすべきと提言。
<ビジネス・生活インフラ整備>
・ 関係WGで深堀りされている議論・成果を整理し、再掲することで対応する予定。
●教育分野の株式会社参入問題について、ビジネススクールから始めると言うことは良いが、「義務教育ではなく」という記載は大きな問題。特区においても義務教育課程を含めた参入希望が寄せられており、この表現は削除すべきでは。
→大学院教育ということを強調する目的の表現であり、弱める意図はない。指摘に従い修正したい。
●コミュニティ・スクールについては、時期を区切り、15年度の通常国会で法案を出すということで是非文部科学省と折衝して欲しい。
→承知した。
●環境分野において、廃棄物について言及されていないのはなぜか。
→廃棄物処理法を含めた全体の見直しが環境審議会等で進められており、本年夏には中間報告が出され、次期通常国会での法案提出が見込まれていることから、当WGではフォローアップはするが取上げなかったということ。
●これまで当会議では各省の審議会等の結論を待つことは止めようということであった。審議会の議論を待っていては何も成果がでないということになりかねないのではないか。
→中間報告も出されていることから、主査と相談して対応を考えたい。
●環境分野では、全体として提言が織り込まれていないのではないか。
→事業関係者からのヒアリングを重ね、昨年の答申から更に具体的中身に踏み込んで提言していると考えているが、ご指摘の点については主査と調整したい。
(議長)本日の報告内容及びご意見等を踏まえ、今後精力的に調整を進めていただきたい。弱気の提案ではいけない。規制改革に対する期待を背に受け、できるだけ強い形でまとめて頂きたい。なお、中間とりまとめについては、各省との合意に至らないものについても会議の見解をそのまま記載したが、答申では、具体的施策について各省と合意が必要。可能な限り具体的施策に記述できるよう合意の努力をして頂きたい。やむを得ず合意できない場合は「問題意識」部分に書き込み次に繋げることになるが、それは最後の手段と認識して欲しい。明日の諮問会議に、石原大臣とともに呼ばれており、規制改革の現在の検討状況について報告する予定。諮問会議での報告状況については次回の会議で改めて報告したい。
事務局より、「次回第12回会議は12月5日(木)15:30〜17:00の開催、答申について調整状況を各主査から報告いただくこととしたい。また次々回は12月12日(木)開催で答申を決定いただく予定である。」旨報告がなされた。
以上
(文責 総合規制改革会議事務室)