2003.2.3

アクションプランおよび「ポスト規制改革会議」のあり方について

八田達夫

1 アクションプランの実施方法について

アクションプランの内容を早急に実現するために、規制改革担当大臣が、現在既に有している勧告権を行使することに賛成である。

また、規制改革担当大臣は、総合規制改革会議の答申の内容と他省庁の提出法案等の内容が異なる場合には、「当該提出法案の拒否を前提に、これを是正すること」を勧告する権権、すなわち「実質的な拒否権」も有しているものと解される。勧告権が有効性を発揮するのは、こうした「実質的な拒否権の行使」を前提とした場合である。

当会議としては、規制改革大臣の有するこうした「実質的な拒否権」の存在を明確に再確認した上で、アクションプランの実施プロセスの中で、そのことを基盤に他省庁と協議すべきである。

2 ポスト規制改革会議のありかたについて

来年度以降に成立する「ポスト規制改革会議」を法律上の組織に格上げすることに賛成である。ただし、構成員の任命について国会同意を得ることが避けられない場合には、法律上の組織にすべきでない。規制改革会議は、政治から独立であることが極めて重要だからである。

法律上の組織にしない場合にも、規制改革担当大臣に他省庁の法案に対して「実質的な拒否権」があることを確認した上で事務折衝を行うことで、規制改革は現状より大きく前進すると考えられる。

3 WGの議事録公開

他省庁が規制改革に抵抗する真の理由が政治的なものである場合には、規制改革に抵抗する建前上の意見がいかなるものであるかを広く公開することが役立つ。そのような意見が広く公開されると、根拠のある議論しかできなくなるからである。そのため、アクションプランの実施プロセスを含め、今後、全てのワーキンググループの議論を、原則としてプレスを含め公開とし、さらにワーキンググループの内容は議事録要旨ではなく、全文の議事録を作成すべきである。

実際多くの審議会で、発言者の名前入りの議事録を全文公開している(例:経産省におけるガス自由化のための小委員会)。他省庁ではそのような十分な予算をとっているのに、この会議ではテープおこしのための十分な予算がなく、それがテープおこしのための障害になっている。テープおこしのための予算を要求すべきである。

4 検討事項

第2次答申の検討事項案の他に以下を追加すべきであると考える。特に(2)については、アクションプランにおける「重点検討事項」と明確に位置付けるべきである。

(1)借家制度の改革

定期借家制度の改善と従来型借家制度の正当事由の条項の改革。

(2)都心居住容積率の緩和

二次答申で、中期的課題として容積率の性能規定化を検討することが決まっている。その一環として都心現行商業地域における居住用建物の特段の容積率緩和を検討することが了解されている。

当会議及び経済財政諮問会議が、ともにこの検討作業に協力することにより、都心商業地における居住用建物の容積率の特段の緩和実現を前倒しする。

(3)不良債権処理を迅速化するために、競売における最低価格制度を廃止する。

[参考]
都心部における混合用途地域の創設の検討等

(規制改革の推進に関する第2次答申、P.139より)

職住近接の需要が高いにもかかわらず、我が国の大都市の都心居住者数は著しく少なく、都心に勤める多くの人々は、長時間通勤を余儀なくされてきた。

職住近接を飛躍的に増やすために、これまで以上に都心居住を進め、都心部において複合的な用途を積極的に促進していく必要がある。これは、都心におけるライフスタイルの選択肢を増やすとともに、魅力ある都市の形成を通じて、その国際競争力を高めていくことにも資する。

このため、都心部の職住近接が求められる地域において、複合的な用途を促進するため、都市再生特別地区や用途別容積型地区計画等の積極的な活用を推進すべきである。[平成14年度以降逐次実施]

さらに、従来、容積率制限の目的はインフラに対する負荷の制限と良好な市街地環境の維持とされてきているが、中期的には、都心部における容積率制限の目的はインフラに対する負荷の制限とし、良好な市街地環境の維持は形態制限により担保する方向を目指すことをはじめ、用途地域制度などの目的やそれを実現するための手法に関する基本的な検討をすべきである。その際には、都心部における複合的な用途を積極的に誘導する「混合用途地域」の創設等についても検討すべきである。[平成15年度以降検討]

また、オフィス等の住宅への転用を促進するため、住宅に係る採光に関する規定の合理化を図るべきである。[平成14年度措置]


内閣府 総合規制改革会議