(1)環境省から資料に基づき説明
(2)意見交換
(八代)再生利用認定制度の品目は限定されている。自治体からの要望は、もう少し広くして欲しいということだが、どこまで拡大するのかについて、具体的に教えてもらいたい。
(飯島)再生利用認定制度は、何をどうリサイクル処理するか、対象の物品とその物品のリサイクルの内容がセットになっている。地方公共団体の要望はものによって違うが、具体的にこういった物のこういったリサイクルについて再生利用認定ができないかという提案があれば、それを聞いた上で検討をしていきたい。
(八代)もうひとつは一般的な話だが、一物二区分制度だと処理責任が明確でないから難しいということだったが、これもいろいろな工夫の余地があると思う。全国的に対応する前に一部の特別な地域で実際にやってみて、具体的にどういう問題があるかを実験してみないとなかなか議論も進まないのではないか。最適な規制というものは試行錯誤の中で作っていかざるを得ないわけで、全国的に対応するから特区はいらない。
(鈴木)リサイクル事業者の事業所を特区内に限定するなどして、特区外に流出しないような措置というのは、絶対不可能というわけではない。制度の工夫の仕方だと思われるが、そのあたりはどうなのか。
(飯島)一般論として申し上げれば、特区外へ出て不法投棄されないような条件を特区内の事業者に課す、あるいは特区内の行政に条件を課してそれを守っていただけるなら、工夫のしようがあるというのはまったくそのとおり。ただし、その条件が規制緩和されることに比べて、非常にきつくなっていれば、結局はできなくなってしまうという問題がおきる。そこは知恵の出し方である。ただ、一般的に、廃棄物処理法の仕組みが、廃棄物が地域を越えて移動しうるものという前提で作られているため、移動したときに、それを抑制する条件というのは過大なものとなってしまう可能性があると申し上げている。
工夫をすれば、当然、いろいろなことが考えられる。全国的な対応というのは、将来全国的に対応しますというのではなく、前から約束している通り、今年度内に結論を得て対応しますという約束の範囲内のことであり、そこのタイムラグはあまりない。全国的な対応を、絵空事ではなく、きちんと考えて議論しており、そこは他の省庁とはちょっと違うと思う。
(鈴木)きつい方に過大であっては困るが、適切なもので十分な目的を達成するものは過大とは言わない。要するに知恵の出し方。進めていこうというのであれば、トライアルをしてみるというのも意味があるのではないか。
(福井)リサイクルの対象物を除外する点についてだが、結局、そちらの理屈は、そういうことだけをすると他地域に弊害が及ぶかもしれないということだと思う。しかし、それは代替措置と連動した話である。特区でやれば、他地域に弊害が及ぶかどうかも含めて社会実験ができるわけで、そう考えると弊害自体が起こるかどうかを見るためにも特区制度は意義がある。特区について、全国的な弊害をあまり過大に評価すると、結局、およそ環境省の問題だけでなく、何かにつけ実験できないということになるので、広めに捉えていただいた方がよいのではないか。
(飯島)再生利用認定制度や施設設置手続きについては、鈴木委員や福井委員がいわれたように、そういう観点を含めて検討を続けており、これまでのスタンスを申し上げたまで。リサイクルの対象物を廃棄物処理法からから外すというご提案は、全くなく、自治体の話しを聞いてみるとそこまで言っているわけではない。リサイクルし易くして欲しいという意見の中で、外してくれればリサイクルしやすくなるという意見はある。外した後は、他に何の規制もかからない、誰も担保できないのであるから、リサイクルされるからといって廃棄物から外すという意見については、まったく受け入れられない。その代わり、リサイクルを推進する上で、いろいろな規制の合理化を図るということは真剣に検討していきたい。
(八代)リサイクル対象のものを廃棄物から外すことについては、誰の処理責任かわからなくなってしまうからだめだというが、それは地方自治体の長が自分で責任を持つということを条例で定めてもだめだということか。そういうことは基本的にできない、物理的に可能ではないと、そういうことか。
(飯島)そういう提案は今まで聞いたことはない。地方公共団体の長が、廃棄物処理法の廃棄物から除外したリサイクル物について、環境保全の責任を直接持つという提案は聞いたことがなく、おそらくそういう提案をするところはない。
(鈴木)それもものの考え方だという感じがする。リサイクルについて絶対に廃棄物処理法から外さないというが、タイヤなどがよく例にあげられるように、リサイクルの名目で、実際にはリサイクルせずに棄てているというのをどう取り扱うか、自己責任をどう処置していくかという問題と、リサイクルを大いに推進して、手続きを緩和するというのは接点がある。したがって、絶対にだめだというやり方と、正しくなかったら改正するというやり方の2つがある。今、世の中の動きの方は、後者をとっていこうというのが基本。
(飯島)ひとつ誤解があるようだが、本当に産業界が望んでいるのは、リサイクルされるかされないかではなく、有価で取引されるかどうかである。これまでは、有価で取引されるものは棄てないということで、運用上、廃棄物処理法の対象からはずしていた。これについて、有価だと称して溜め込んで、大量の不法投棄事件を起こしている。この問題は、リサイクルと非常に近いが、リサイクルが進めば有価物ができる可能性がある。あくまでも不要物、廃棄物をお金をかけてリサイクルをするということについては、これを廃棄物の対象から外すわけにはいかない。鈴木委員の、他のやり方もあるではないかという意見はよくわかる。不要物をお金をかけてリサイクルし、リサイクルを推進していこうというのが今の流れ。元々有価となっているものまで、例えば、使用済み自動車まで、廃棄物に全て引き込もうとは思っていない。
有価と僭称する人たちを調査できるようにしようということである。廃棄物処理法の中には、はじめから再生という言葉の定義が入っており、リサイクル各法が別にあるために紛らわしいが、廃棄物であるか否かで対象が変わるのであって、リサイクル物を廃棄物から外すということは、理念的にも現実的にもあり得ない。鉄スクラップなどのように、有償で取引されているもので、値段が安定しているときは廃棄物ではなく、不安定なときは廃棄物というようにする、こういうことが一番大きな問題。
(八代)リサイクルの対象はひとつの財であり、廃棄物というのは価値のないものであるから別の取り扱いが必要というのはそのとおり。しかし、それは、その物の固有の性格ではなく、経済価値で決まる。
古新聞の例でいえば、紙の値段が暴落すればただのごみになり、紙の値段が上がればりっぱな財になる。経済的環境によっていくらでも変わりうるものではないか。
リサイクルを廃棄物から外すという要望は聞いたことがないというが、こちらの理解では、現にそういう要望があるからこういう議論をしているわけで、仮に要望があれば検討していただけるということか。今はないから検討していないというだけか。
(飯島)確かに文言上、リサイクル物を廃棄物から外してくれという要望は、産業界からも、地方公共団体からもある。何が一番問題かというと、有償物が、有償物でなくなる場合があり、そうなると、まとめて廃棄物として扱われてしまい、それは困るというものである。リサイクルについても完全に外すのではなく、基本的にはリサイクルされるものについて、廃棄物処理法の規制を緩和して欲しいという要望だと理解している。
(福井)そうすると、まさに経済価値であるから、市況がリサイクルにふさわしい状況であれば、逆に、廃棄物のような形でがんじがらめにする必要はないのでは。
(飯島)廃棄物ががんじがらめという前提意識があるようで、そこから外した方が緩和されるのではないかということだが、廃棄物処理法の中で、再生利用認定制度や広域再生利用指定制度など、リサイクルを推進するための枠組みを法律で括っている。そこの使い勝手が悪いというのであれば、使い勝手が出来るだけいいようにしていきたい。その時に特区を活かしていきたい。前から約束しているように、全国的な規制についても検討して、誠実にやっていきたいということであるから、ご理解いただきたい。
廃棄物処理法だから、きついというイメージがあるが、それは廃棄物処理法だからというよりも、地方公共団体独自の要綱、条例等の問題もあるし、都市計画の問題もある。全国的な規制改革については、中央環境審議会でも真剣に議論されており、年度内に取りまとめて、これを制度の改正に活かしていきたい。
(八代)問題は、仮に審議会で検討している内容が、特区でやるものとまったく同じであれば、全国レベルで法改正が行われた時点で、事実上特区はなくなるのであり、それはそれで良いではないか。自治体から見れば、審議の結果を延々と待っていて、結局何が出るかわからない。一刻も早くこういうことをやってみたいということである。結果的に特区がなくなるのは構わないので、とりあえず自治体のイニシアティブで先行してやってみようではないかということ。
他の省庁も全国レベルでの検討していただいており、環境省だけ例外ということにはならないということをご承知おき願いたい。
(福井)現在の、廃棄物に関する法令の仕組みの合理化もありうると思うが、自治体の、もう少し簡潔にして欲しいという意図を汲んで、とりあえず特区で試行的に先行するという可能性があるとしたら、是非工夫してもらいたい。
(飯島)現時点で、再生利用認定制度の品目の拡大については、特区で実験的に措置する方法を考えてみたい。他のものについては、議論を内部でさせていただきたい。