国土交通省

(1)国土交通省から資料に基づき説明

(2)意見交換

(八代)水素ステーションの設置できる用途地域の拡大、株式会社等民間会社の民間人を自動車登録官に任命、自動車登録等一般業務についての民間に委託などについては、対応が必ずしも容易ではないということであるが、これについて説明願いたい。

(井上)水素ステーション設置の用途地域の拡大については、本年4月に総理から指示があり、2005年を目途に関係省庁が連携をして、包括的に規制の再検討を行なうことになっている。現在これを受けて、ステーションの安全基準の検討をしており、基準の作成と併せて規制を受けない用途地域についても拡大をしていきたい。なお、それまでの間にどうしてもとなった場合には、地方公共団体が許可をすることによる対応も可能であるので、そういうものが柔軟に動くようなかたちで、指導・助言をしていきたい。

(八代)特別用途地区制度の活用ということか。

(井上)特別用途地区という方法もあるが、用途について許可することで例外が認められることになっているので、条例等をつくることが大変であれば、許可制度を弾力的に使っていただく。

(石指)自動車の登録については、二つの大きな目的がある。一つは車の安全上の基準を満たしていること。或いは、車社会の共通のインフラ情報として、犯罪捜査、交通の取り締まりや納税などの行政上の必要がある。もう一つには、車を登録することにより、第三者への対抗要件を持つという民事上の登録的な役割がある。行政上の登録でいくと、自動車を登録しないと運行できない。つまり公権力の行使に該当する業務である。民事上の登録についても、不動産登記と同じように第三者への対抗力を付与するということで、国が行なうべき業務であると考える。狭い意味での登録に加えて、登録後のナンバープレートを交付するといった事務もあり、そのような事務については外部に委託している。今回の構造改革特区の提案にもあったが、申請をする方の利便性を高めるために、全国をネットワーク化してコンピューターで瞬時に登録できるようにしている。また現在は登録事務所に出かけて行なっているが、電子政府の一環として、自宅のパソコンで出来るようにするなど、自動車保有関係手続きのワンストップ化を目指して進めている。

(八代)それはいつ頃できるのか。

(石指)平成17年に本格運用を開始する予定。15年にいくつかの地域で試験運用を開始したいと思っている。

(八代)公有水面のところであるが、大臣協議の期間が1ヶ月かかっていたのを2週間に短縮することは結構なことであるが、そもそもこういう事務というのは自治事務になった訳ではないか。

(福本)そのとおりである。従前は機関委任事務であったが、法律改正で自治事務となった。

(八代)そのときに、なぜ協議制ではなく届出制にして、何か問題が起こったときにだけ指導・勧告する体制が取れなかったのか。説明のあった弾力的に許可することを容認ということは、他省に言えることであるが、弾力的にということは省庁側の見方であって、規制を受ける側から見ると、必ずしも弾力的でないということがある。できれば届出制にしてもらいたいというのが、自治体の要望ではないか。

(福本)公有水面は国民共通の財産である。そこを一私人の方が埋めて、自分の所有権を取得するという制度であるので、それに関して、一般公衆への告示・縦覧、環境アセスメント等の慎重な行政手続きを経ている。国の資産であるものに対する手続きであるので、一定の部分については国の事前の協議が必要である。港湾機能に対する影響もあるので、今、国土交通省が進めている「スーパー中枢港湾」といった国際競争力をつけるためにいろいろな対策を行なっている中で、そこを埋めてしまうことになると大きな影響も出て来るので、協議を受けている。

(八代)私人が使う訳であるから、政府が全く関与しないということはできないが、同じ 政府として、なぜ地方自治体ではだめで国でなくてはならないのか。地方自治体が港湾機能もきちんと考慮したうえで、判断をする。当然国に対しても届出というかたちで、もし国がその段階で何か問題であると判断した場合には、地方自治体と協議する。政府としての責任を従来とおり問うというのは当たり前のことであって、それを国ではなくて地方自治体に権限を下ろすということになる。全国ベースであるといろいろと問題があるかと思うが、特区で自治体に任せて何か問題があるか試行的に考えてみるという趣旨でもだめなのか。

(福本)特区については積極的に取り組んでいる。臨海部の埋立地等を含めて、特区に全面的に協力して賛成しているが、ここの部分についてはなかなか難しいというのが本音である。

(鈴木)提案のあったところで、過疎地のところでは免許を受けたタクシー業者でなくても事業をやっても良いという趣旨だと思う。これに関連して、国土交通省が行なっているイエローカードとレッドカードという需給調整規制というのを、前5年間平均の10%が下がったときにはイエローカードを出して、その年に5%、全体で15%下がったらレッドカードを出すというシステムはまあまあ良いのではないかと思う。問題は、タクシーの流しのない地域では、2〜3%と極めて低いものであって、既にイエローカードが240枚以上出ているが、過疎地域では、イエローカードの数から需給調整になりかねないという危惧を持っている。一旦ひとつのものを認めたら、なだれ現象になると思うので、どう考えるのか。2〜3%であれば、簡単にクリアして需給調整規制が復活して、簡単に参入できなくなる。過疎地の人は、タクシーが独占されたり、寡占されたりして苦しむことになる。そのことについてどう考えるのか。

(岡田)ご指摘のとおり、今年の2月から、需給調整措置を廃止して規制緩和を行なっている。その中で需給関係が崩れて、いろいろな弊害が出てくるところに関しては、緊急調整措置という仕組みを設けている。今回対応することとしている過疎地というのは基本的にはバスやはタクシーといった公共的な輸送機関が成り立たないような地域を想定しているので、ご指摘のような事態は、この制度の導入によっては生じないと考えている。一方で緊急調整措置の本則に関してどう考えるのかは、タクシー事業の状況が厳しい中で、収入が減ったりといった事態が起こっている訳であるが、基本的に需給調整規制を廃止した前提でのことなので、今後ともあまり趣旨を逸した事態にならないような運用に努めていきたい。

(八代)自動車登録官のところであるが、いかにも自動車の登録を不動産の登記と同じように考えているのは、昔の自動車がごく一部の金持ちしか持てなかった時代の産物で、やや大袈裟ではないか。自動車が事故を起こすという凶器になるという意味なのか、重大な財産であるからきちんと管理しなければならないという意味なのか。

(石指)両方の意味がある。説明したとおりに行政上の必要性からの登録と民事上の必要性から登録の二面ある。価格からいうと不動産とは明らかに違うが、今でも車においては割賦販売などにより、所有権が誰であるかわからないとか、盗難の問題があるので、所有権が誰であるのか確定する必要性がある。犯罪捜査とか行政上の面からも必要性がある。

(八代)それは行政上きちんと管理出来ていればいい訳で、公務員自らが行なう必要性はないのではないか。

(石指)行政上管理するということで、公務員が行なうことであると考える。

(福井)運転免許であれば、自動車学校が公安委員会の肩代わりをしている。実質的に能力の判定が出来て公正に運用されれば良い訳で、そういうアナロジーから言うと、きちんと運用ができて公平にやっていれば良いと割り切ることができるのではないか。

(石指)登録については、申請書類を確認しながら同時に登録要件に合っているかどうか審査して、登録官がコンピューターに登録処理をしている。

(福井)従来、行政処分、権力的行為があたることを民間企業がやっている例として、たばこ専売等がある。民間人が権力的行為をおよそ出来ないということではない。法の仕組みの問題である。

(鈴木)自動車の重量制限のことはやっているが、昔から高さ制限のことがある。これについては特区での要望がなかったのか。なかったとしてもどう考えているのか。

(三輪)重量については対応する。高さについては要望があったが、対応は困難である。

(鈴木)前から取扱っている問題であって、困難であるとはねつけられるものではない。トンネルの問題があって、トンネルがないところでは自由ではないかという議論の中で、基本的にはトンネルを掘って、高さ4.1mが入れる方向で着々と進んでいると理解しているので、困難と言われると今年も取り上げようかということになる。

(三輪)従来から重量の問題とともに高さの問題があったのは指摘のとおり。今回の高さの要望というのは、トレーラーにもう一台車を載せたいというもので、3.8mという現行の制限を4.1mにするものと理解している。特殊車両制度の基本が車両の構造、貨物が特殊である場合に限って例外的に認めるということで、貨物が分割できるものは原則とおりに分割してもらって、一定の制限のもとに運んでいただく。今回の要望については、特殊性を認めるような十分な理由がないということで、対応困難であると考えている。

(鈴木)個別の特区からの申請が適当ではないと判断していいのか。

(三輪)一般論ではなくて、個別の特区からの要望を踏まえて、個別の事情を勘案して検討した。

(鈴木)運輸WGでの理解と隔たりがあるので、別途やりたいと思う。

(福井)公有水面では、10年の短縮化という要望が出ているが、それについてはどうか。

(福本)説明したとおりに、住民への説明手続き等を経て慎重な対応をとって、10年間については当初の免許とおりに使ってもらう、或いは免許を取得した方が自分で使ってもらうことになる。他の立法例や国有財産の扱い等と整合した10年という扱いになる。民法でも10年で取得時効となるから、一般のルールとの整合が難しい。

(福井)確かにそういう先例は多い。公団の宅地転売も10年であるし、似たようなことは多いとは承知している。公有水面であると、産業構造が経済状況に応じて急速に変る場合に10年間は何が何でも元の用途を守れというのは、国の財産的支出ということからすると一定の意味があるとは思うが、あまりにも無駄遣いになり得るケースもあるのではないか。そういう場合はできるだけ簡単に迅速に変えられるということからすれば、経済情勢の変化の早いときには、期間の短縮化が合理的であるということもあり得る。

(福本)埋立地にある遊休地については、利用転換を図っている。迅速な処理を行なっているが、10年を5年にすればいいかということにはなかなかついていけないが、迅速な対応をしている。要望のあった北九州等については、旧法の埋立法の時代であるので、新日鉄さんなどが昔埋め立てた土地は、旧法の手続きでは協議事項はない。協議なしで対応可能である。

(八代)港湾特区の要望は北九州だけではなく、別なところにもある。やはり問題は規制の意味であり、10年を5年に短縮することにより不当な利得が生じることを規制すればいい。民法との整合性等だけでなく実質的な規制に変えるべきである。それを試す役割が特区にはあることを理解するべきである。


内閣府 総合規制改革会議