平成15年7月11日(火)10:00〜10:30
永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室
宮内義彦議長、鈴木良男代理、奥谷禮子、河野栄子、清家篤、八田達夫、村山利栄、森稔、八代尚宏、米澤明憲の各委員
大村大臣政務官
坂政策統括官、河野審議官、竹内審議官、福井審議官、宮川事務室長、中山事務室次長
「規制改革推進のためのアクションプラン・12の重点検討事項に関する答申」の案文審議・決定
規制改革集中受付月間の受付状況について
その他
(宮内議長)「規制改革推進のためのアクションプラン・12の重点検討事項」に関する答申の案文がまとまったので、最終的に確認していただき、本会議として正式にとりまとめをしたい。先月27日のアクションプラン実行ワーキンググループにおいて議論いただき、その後の調整を一任いただいたが、調整が終了したものを配付している。内容的には、前回間に合っていなかった前文について今回添付した。また、本文についても、前回の議論、その後の意見等を踏まえ、「会議の精力的な取組みの成果として、これをポジティブに評価し、その成果のうえで更にもう一歩こういう問題意識をもってやっていく」という趣旨が読み取れるよう多少修文した。副題についても、皆様の意見もお伺いし、「消費者・利用者本位の社会を目指して」とさせていただいた。これを答申として確定したいが、よろしいか。
(「異議なし」の声)
(宮内議長)それでは、本案どおりに決定したい。当会議では、3月以来、アクションプラン実行ワーキンググループを設置し、前回まで合計10回にわたる会合を開催し、この間、関係各省の次官級との折衝、石原大臣と関係大臣との折衝、更には小泉総理直接のご指導、ご判断もいただくなど、極めて精力的・集中的に活動を展開してきた。また、経済財政諮問会議、構造改革特別区域推進本部との連携を進め、積極的なバックアップもいただいた。その結果、本日、答申を取りまとめることができ、石原大臣をはじめ、委員、専門委員の皆様の格段のご尽力、ご努力に対し、議長として厚く御礼申し上げたい。なお、本答申は、翌週15日の夕刻に小泉総理に手交したいと思っている。当会議として、総理に対し、本答申の内容が的確に実現されるよう、切に要請をいたしたい。大村政務官から一言お言葉をいただきたい。
(大村政務官)アクションプランについては、宮内議長を中心に、総合規制改革会議において本年3月からこれまでの間、関係各省との公開討論、次官級折衝など精力的・集中的にご審議いただいた。委員の皆様には、多くの時間を割いて大変なご尽力をいただき、心から感謝申し上げる。また、この間、石原大臣には関係大臣との個別折衝を重ねていただくとともに、総理にも最後には御自らご決断をいただき、実り多い成果を得ることができた。私としては、今後とも、石原大臣を支えながら、今回の改革の成果が着実に推進されるよう関係各省を督励してまいるとともに、これに満足することなく、なお一層の改革の実を挙げることができるよう、今後とも規制改革の推進に懸命に取り組んでまいる決意である。今年度は、当会議の3年間の活動を締めくくる重要な年であり、委員の皆様には、宮内議長を先頭に、国民本位で、真に国民のためになる、たゆまぬ改革を目指し、なお一層の御尽力をお願いしたい。たくさんの課題があると思うが、引き続き宜しくお願いしたい。
(宮内議長)それでは、答申のとりまとめを終えて、委員の皆様から、ご感想やお考えなどがあれば発言いただきたい。
●自分も医療分野を担当する中で、医薬品の一般小売店での販売については、確かに過去2年間実現できなかったが、先方の反対理由には理屈がないため、それほどの問題だと認識していなかった。しかしながら、本件が、当会議のアクションプランの12項目に選ばれ、経済財政諮問会議の関心6項目に選ばれ、遂には、総理の裁断を仰ぐところまで来るとは思っても見なかった。本件に代表されるように、特に医療分野においては、消費者・利用者本位の視点から見ればごく当然と思えることでも、業界などサプライヤーとの関係でなかなか実現できない問題が多い。その中で、本件や混合診療の問題が一歩前進したことを高く評価したい。
●消費者・利用者本位に立った規制改革を進めることが、いかに難しいかということを痛切に感じている。そうした中で、「医療、教育、農業分野における株式会社参入」ということが、当たり前に言えるようになり、国民にも認識してもらえるようになったことは、当会議が根気良く粘って取り組んできた結果だと思う。引き続き、国民の認識を高めていくことができれば、改革は進むと思う。
●前文にもあるように、今回の答申は一里塚。何里塚まであるか分からないが、最終年度を迎えている当会議が、これからどのように議論を進めていくかということに関心がある。この前文は、これまでに比べて相当レベルの高い文章。規制改革も、目標なり効果なりに、具体的な数字が入るものにしていくべき。
●アクションプランの12項目は当面の重要課題であるが、アクションプランでの議論のなかで、各分野における中長期的な規制改革と関連づけられるもの、そうでないものを検討していくべき。
●当会議が世の中を動かせる手段は2つある。1つ目は、議論を公開し、議事録をホームページで公開すること。当会議の主張と関係省庁の反対理由を多くの国民に見ていただけるようにすれば、しばらくすれば、理屈の力が勝って、実現する可能性が高くなる。2つ目は、政治折衝をしていただくことである。今回初めて、規制改革の分野で、最終的には大臣間の折衝・総理のご裁断といった「政治レベルでの決着」となった。このことは第一歩として記念すべきこと。最初の試みだったため、もう少しうまくやれたものもある。大臣や総理に選んでいただく項目をもう少し絞らせていただいた方が、さらに集中的に折衝いただけたと思うし、委員との連携も緊密にできたと思う。ところで、アクションプランも含めて、関係各省は、反対理由をいつも与党に直接説明している。こちらも何らかの形で与党に対し、議論のプロセスを理解していただく機会を設けることが必要。
●アクションプランのみならず当会議の過去2年間の努力の結果、例えば幼保一元化、混合診療といった言葉が国民に浸透し、関心が持たれつつあることは、当会議の大きな成果。他方、個別の規制改革の内容は極めて専門的であるため、進捗状況や方法論が国民に分かりにくいことも事実。だからこそ、議事の公開による世論作りが重要であり、この部分の努力はさらに可能だと思う。最終年度における今後の課題であろう。個人的感想になるが、2年前、自分が当会議の委員を引き受けた際、当会議は、関係各省に対して思い切ったパンチを打てる場所だと思っていた。しかしながら、実は、継続的にボディブローを打ち続けていくことが重要だということが分かった。その結果、物事は直角には曲がらないが、気がつくと、少しずつ曲がっていく、今はその途中にあるという感じである。来年度以降の体制がどうなるか分からないが、当会議自体が一里塚となって、それが続いていくことが重要。
●当会議での議論を通じて、「公益」と「官益」を見分ける必要があること、そして、「官益」が追求される余りに、民間の活力が削がれる機会が余りに多いことが良く分かった。また、最近、色々な分野で規制改革が進み、効果を発揮し始めていると感じる。最近の株価上昇の一要因にもなっているのではないか。こうした規制改革の効果を測定していくことも、規制改革の重要性を国民に理解していただく上で、重要なのではないか。都市関連分野でも、画期的な新しい手法が導入され、不動産価格の上昇も見られるなど、大きな効果が出ている。さらに、各省の持つ規制のうち、完全に止めてしまえば良いものも、改正・改正で残してしまっているものも多い。サンセット方式で、法律を作り直すことが必要。
●アクションプランが成果を出せたポイントは、議長自身が主査となりワーキンググループを構成したことと、関係各省との全ての議事を公開したこと。これにより、各省に圧力をかけることができ、最終的な総理の裁断のベースを作ることができ、これまで動かなかったものが動いた。しかしながら、せっかくの石原大臣による折衝の過程で委員との連携が十分でなかったことが反省点。本来であれば、大臣折衝に当たって主査が大臣を直接サポートすることが望ましかった。本来、当会議は通常の各省の審議会とは異なり、委員主導で行ってきたにもかかわらず、残念ながら今回は最後の段階で必ずしもそれが行われなかった。
●アクションプランは、議長自らが連続的・波状的に議論を重ねていくことにより、一里塚かも知れないが、改革は進んだと思う。但し、気になった点は、現場の人々の世論作りがまだ不十分であること。例えば、教育分野でも、都市と地方でも状況が異なるし、もう少しバランスの取れた議論が必要。また、運営主体の多様化という中で、医療・教育分野などへの株式会社参入を進めることに、当会議としては成功しつつあるが、分野によっては株式会社参入に議論のあるところもある。ネガティブに反応する者も多い場合、当会議として、なぜそれを進める必要があるのか、どういう形で説得するかについて、きちんと説明することが重要だと思う。
(宮内議長)ありがとうございました。それでは、次の議題であるが、先月6月ひと月の間、全国規模の規制改革要望と特区の第3次提案とを特区室と共同で受け付けておりました「規制改革集中受付月間」の受付状況について、事務局から報告をお願いしたい。
(事務局:資料2に基づき説明。これに対して、特段の質問・意見なし)
(宮内議長)最後に、「アクションプラン」以外の12の各ワーキンググループを対象とした「中間とりまとめ」の扱いについて提案したい。例年、7月後半には、当会議の年度前半の活動を「中間とりまとめ」としてとりまとめているが、今年度は、当会議としてアクションプランに総力を挙げ、最優先して取り組み、例年の中間とりまとめに匹敵する成果として答申をとりまとめたこともあり、その他のワーキンググループの検討状況が遅れ気味と聞いている。そうした中で、中途半端な形で拙速にとりまとめを行うと、かえって対外的なインパクトを失いかねず、今回は中間とりまとめは、一旦見送ることにしてはどうかと考えている。そうした中で、各ワーキンググループにおいては、これまでの検討状況や年末に向けた課題等について早急に整理していただき、それを踏まえて、中間とりまとめに代わる対応を検討したい。その辺りの対応方針については、今月28日に予定されている次回本会議に間に合うよう取り進めたい。なお、次回本会議での提出資料を、ワーキンググループ毎とするのがよいのか、少しまとめたものとするのがよいのか、このあたりの対応方針についても検討したい。28日の次回本会議までにワーキンググループでできるだけ話を進めて欲しい。
●共通のフォーマットを設けた方が、インパクトのあるものになる。
(宮内議長)各ワーキンググループの進捗状況が揃えば、共通なものとなる。
最後に、次回の会議の日程を含め、事務局から連絡事項等をお願いしたい。
(事務局から連絡事項の説明の後、会議終了。)
以上
(文責 総合規制改革会議事務室)