平成15年7月28日(月)15:00〜16:40
永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室
宮内義彦議長、鈴木良男代理、奥谷禮子、神田秀樹、河野栄子、清家篤、高原慶一朗、八田達夫、村山利栄、森稔、八代尚宏の各委員
大村大臣政務官
坂内閣府審議官、小平政策統括官、河野審議官、福井審議官、浅野間審議官、宮川事務室長、中山事務室次長
議事に先立ち、坂政策統括官、竹内審議官が異動になり、後任として、小平政策統括官、浅野間審議官が着任した旨、報告がなされた。
新任の小平政策統括官、浅野間審議官、および異動となった坂内閣府審議官(前任・政策統括官)より挨拶があった。
(宮内議長)本日は、各WGから検討状況等をご報告いただき、これらについて委員の皆様からご意見を頂戴した上で、最終的にご確認を得ていただく。その上で、これらの資料をもって、当会議における年度前半の中間とりまとめに代わる整理としたい。
資料にもとづき、各主査より、ワーキンググループ(以下WGと記載)の検討の方向性、開催状況、および検討テーマについて報告があり(資料説明の他、各主査の発言を記載すると以下の通り。)、その後、質疑応答、意見交換を行った。
アクションプランについては、前回の会議において答申を決定し、7月15日、小泉総理に答申をお渡しした。
私から、「12の重点項目は、これまでなかなか言い出せないような難しいものばかりだが、今回は総理の裁断をお願いし、前向きに取組むことができた。難しいものに、今回、突破口が開かれた。会議としても、これから本格的に、更に壁を崩すべく努力していきたい」と申上げたところ、総理からは、「大きな制度的な問題であり、まずは種を植え、芽を出し、木に育つように、ひとつのプロセスが終わったところで次のプロセスに向かって頑張って下さい。年度末まで、まだ期間があるので努力をして頂きたい。規制改革は民間からの要望で動くもの。政治家の立場は色々な問題があって言い出しにくい。総合規制改革会議は民間メンバーなので、引続き、難しい、言出しにくい問題についても意見、要望を出して頑張ってほしい。今後に期待している」とのことであった。
12の重点検討事項については、「骨太方針2003」においても「今回のアクションプランでの取組を改革の一里塚として、引き続き規制改革に取り組み、その成果を本年末にまとめる総合規制改革会議の答申に盛り込む」とされており、当会議としては、引き続き、精力的に検討を進めていくことが不可欠である。従って、これら重点検討事項については、これまでの経緯も踏まえ、引続きアクションプラン実行WGにおいて一括して検討を進めていきたい。
なお、個別テーマ毎の具体的なフォローアップについては、適宜、関係委員と相談しながら進めていく。
今後、大学等の破綻も予想され、消費者保護の観点からも、大学等に関して一層の情報開示を進める必要がある。
国立大学の場合、学位授与機構のように独占的地位にあるものが多い。複数の認証評価機関による評価を行う等、公正で自由な競争が行われる環境整備が必要。
研究費の不正使用を防止する方策としては、会計上の手続き等に関して、実務レベルで研究者をサポートする環境整備が必要。
規制のクオリティコントロール、既存の規制の改革手法を検討・見直しするにあたっては、「規制」の定義付が必要。
現在、パブリックコメントもノーアクションレター制度も法律にもとづく手続きではない。パブリックコメントは省庁によって若干やり方が異なっていることもあり、きちんとした手続きをスキームとして作ることが必要。
6月の規制改革要望の集中受付では金融分野の要望が非常に多く、これらの細かい要望についてもできるだけ取上げたい。
日本の金融の大きな問題として公的金融のウェイトが非常に大きいとの問題意識から、郵貯・簡保の改革もテーマのひとつとして検討したい。
既往の閣議決定事項のフォローアップを行う。
医療分野での競争促進に資するEBM(根拠にもとづく医療)、医療の標準化と、医療費算定の適正化、包括定額払い(DRGPPS)を促進する観点から、カルテ、レセプト等のIT化を個別・具体的に検討、推進したい。
厚生労働省が目指す「新型のケアハウス」制度について、制度設計・設置にあたり他の規制が障害となることがないかという点も含め、制度のあり方を検討したい。
内航海運業の参入規制を取り上げる。その際、外国船等の内航における就航(カボタージュ)については、国際的相互主義もふまえ、WGにおいて議論するかどうか検討したい。
車検制度は規制緩和が遅い、進まない代表例との指摘もあり、本年度後半はこの問題を取上げたい。
既往項目のフォローアップと共に、雇用の拡大、雇用の選択肢を増大させる、労働者の利益になる規制緩和についてはできるだけ前倒しで積極的に行うという原則に立ち返り、中長期的課題も含め、雇用規制のあり方の抜本的見直しを行う。
6月の規制改革集中受付月間では、585項目(重複を整理すると384項目)の要望が寄せられた。
これらのうち、特定債権法、出資法、商品ファンド法の見直し等、金融分野で横断的な検討を要するものや、農地のリース方式による株式会社の農業参入等、特区の特例措置の全国展開に関するもの、医療分野ではレセプトの電子媒体化、住宅・土地分野では事業用定期借地権の期間延長等の問題については、知見をお持ちの委員の参画を得てWGでの折衝を進めていきたい。
日影規制については、当事者の合意にもとづいて弾力的に運用できるシステムが構築できないか、また、都心部においては、天空率の方が実際的に重要であり、かかる方向に規制を変えていく余地があるのではないか、との問題意識から検討を進めている。
ヒートアイランドについては、日本の都市特有の問題であり、研究自体が遅れている。ヒートアイランド対策関係府省連絡会議に対して、検討事項に関する要望等を行っている。
9月以降については、前期取上げたものや、既往項目のフォローアップの他、その他の項目についても検討を行いたい。
特区自体は実現したが、依然、発展途上にあり、当WGとしては、評価委員会への最大限の協力等、特区推進室と一体となって一層の改革を進めていく。
特区は全国ベースの規制改革を促進する手段であって、その逆ではない。特区の評価については、「明確な効果があること」だけでなく「明確な弊害がないこと」も重視し、速やかに行うことが必要。
現行制度のままでは、株式会社等が農業に参入しても、必ずしも効率的な農業経営は実現しない。農地の転用期待等から零細農家が農地を手放さないために、耕作放棄が進む一方で、農地集約が進まないのが現状。農地委員会による転用可能な農地の区分が恣意的であるとの指摘もあり、本当に農業を行いたい者に農地が集約できるよう、農地利用規制のあり方について検討を行う。
JAについては、競争促進の観点から、営農、経済、信用という三事業の収支の透明化等を図る必要がある。
農業生産法人への株式会社等の出資比率規制の緩和は、これが十分に緩和されれば間接的に農業分野への株式会社等の参入を実現するものであるが、現段階では措置内容が不明確であり、ヒアリング等も行いつつ積極的な提言を行いたい。
農地のリース方式による株式会社等の農業への参入については、特区において具体的にどのように適用、認定されるかが重要であり、注視していきたい。
国際経済の競争激化、グローバル化が進む中、貿易自由化交渉においてFTA・EPA(地域間協定)が主要な流れであるところ、わが国の動きが非常に鈍い。これを加速化させるためは、国内における市場開放、制度改革が必要である。
●雇用・労働分野で「募集・採用における年齢制限の緩和」というテーマは、「年齢制限をしてはいけない」という新たなルールの検討とともに、年功序列賃金から成果主義賃金への移行という非常に大きな議論を含んでいると理解してよいか。また、年齢制限の撤廃は公務員も含めた議論であると理解してよいか。
→その通りである。公務員については、所管の総務省からヒアリングを行う予定であったが、公務員制度改革で多忙とのことでセットできなかった。今後、公務員の問題についても協議していきたい。
●各WGのテーマの中には、非常に重いものもあるし、フォローアップもある。公的金融、郵貯・簡保の問題は、今までも取上げようとして取上げられなかった。総じて、これまで夫々に活動してきたが、不揃いな印象がある。
今年は、当会議として最終答申を行う年。また、「三か年計画」の三回目の区切りの年でもある。そこで、当会議、また前身の行政改革委員会を通じて残っている、未解決の大きな問題を取上げて、それに注力してはどうか。
7月までのアクションプランWGでの取組みは、開かないところ風穴を開けたという点で意味は大きかった。
どういうテーマを取上げるかは色々意見があろうが、個別のWGだけではやりきれないもの、重要なテーマでいくつかのWGに重複するもの等について、いわば第二次アクションプランWGのような形で、テーマは絞り取組みたい。仮に、完全に目的地に到達する結果にならなくても、そういう問題が大きく残っているということを明示して、かつ一歩でも前進させるという取組みをすべきだ。そのことによって、バラバラだと見られがちな個別の作業に一本筋が通るのではないか。そういう行動が最終年の活動として相応しいのではないか。
●議長代理の意見に全面的に賛成である。前期のアクションプランWGの取組みは、長らく積残していた問題が、ある程度まで実現した面があり、その意味ではかなり成功したと認識している。この手法を後期のアクションプランでも取り入れる必要がある。
規制改革というのは、今や制度改革と一体的に行わなければならないのであって、先ほど挙げられた郵貯・簡保等の問題についても、当会議として、少なくとも論点をきちんと整理しておくことが必要だろう。
当然、相手があることで簡単には進まないだろうが、少なくとも、当会議がこういうことを提言したということを残し、次の推進機関に繋げる意味でも重要ではないかと思う。
●郵貯・簡保の問題では、郵政公社の民営化まで踏み込むのか。
競争政策で、官公需制度の問題では、現状、モノを基準とした入札になっており、企画、ソフトについては官公庁が見分ける力がないために、全て値段のみで決まってしまう。企画、ソフトの値打ちを判断する能力の問題がある。
また、ベンチャーが入札に参加する場合、バランスシート上の流動資産によってランキングされてしまう。ベンチャーには流動資産は多くないから、そこで入札の機会を失う。当該制度の抜本的見直しの中で、起業促進の観点から、これらの問題も取上げるべきだ。
→基本的に同じ問題意識を持っている。官公需制度は、「競争するな」という制度で、基本的に、ベンチャーを育てるという発想はない。そういう観点から、ご指摘のランク制等、色々と基本的な問題がある。しかし、他方で非常に難しい問題だということで、これまで手が付けられてこなかった。
最終年度にあたり、会議として言うべきことは言って後に残す、ご指摘のような点も含めて官公需制度について取組みをするのであれば、その必要はあると思う。
●以前にハローワークの問題がとりあげられたときにも言ったかと思うが、今取上げるかもしれないといわれた郵貯、簡保の民営化のような問題はいずれも重要な政策課題だとは思うが、私は、この会議は規制の問題を中心的に取上げるというつもりで参加しているのでとりあげる場所が違うように思う。民営化の問題、特に規制そのものではなく行政制度の機構変革の問題が中心になるようだと、会議のあり方として違和感を覚える。
●今のご発言は非常に疑問に思う。官営市場を民営市場に移す、つまり管理社会を競争社会に移すという規制改正をやっているのであって、正に大事なポイントではないか。
そのことが大事であって、先ほどのご発言のように、官は競争しないか、あるいは公平ばかりを言って、責任をとることがないから、「客観的な基準」と称して、つまりは「競争させない」ということしかやらない。だから進歩がない。
従って、官の手から離して民に委ねるしかないのだと思う。
●郵政の場合、親書でないものは民間が運ぶことができて、親書は郵政公社が運ぶというときに、「親書の定義はなにか」ということになる。そういうことは規制の問題である。しかし、そこを変えてしまうと郵政公社自体の存在意義がなくなってしまうというように、規制と民営化には、かなり重複した問題がある。
私は、重複したことについては、当会議として積極的に発言してよいと思う。
●規制緩和というのは制度改革の時代に入っているというが、私は元々そういうものだと認識している。民営化、経営形態の問題というのは規制ではないという議論は、私は到底与し得ない。
国家が独占して民間にやらせない、いわゆる国営の問題というのは、規制の最大たるものだ。そういう捉え方をすると、民営化の問題こそ規制改革のスタート・ラインだとさえ言えると思う。
(宮内議長)先ほどご発言があったように、本年は「最終回」であり、最終答申で平年のようなラウンドで終わるのでなく、やはり何か次に繋ぐような形の答申にしておく必要があるのではないか。そうすると、先般のアクションプランのように、なかなか到達しないが、「テーマはこれだ」と国民のご理解を求めるようなものを出しておく義務があるのではないか。
本日の課題の中でも、通年の「今期できるだけのことをやろう」というものと、大変難しい、とても数ヶ月では解決しないだろうというものと両方出ているようだ。従って、我々のやるべきことは、この両方にできるだけタックルするしかないのではないか。
どこまでできるか分からないが、そういう取組みによって、規制改革の重要性への理解ができ、我々が解決できなくても、次の主体に取組んでもらえる希望が持てる。
もし、そういう方向性であるならば、今夏、もう一度、じっくり意見を拝聴して、通年のものと、それからアクションプラン的なものと、選り分けをさせていただくということでいがか。
●そのようにして頂くのが一番良いと思う。
今までどこのWGで取扱うのか分からなかったようなもので、大きなテーマとしては、再販制度もあると思う。ご検討いただきたい。
(宮内議長)そういう面も含めて申上げた次第です。
もしご異論がないようでしたら、8月中、できるだけ皆様と最大公約数的な形で、最終答申に相応しい形に持っていけるかどうかトライさせていただきたい。
それから、事業活動円滑化WGでは、規制改革集中受付月間で膨大な要望が寄せられており、当WGだけで処理するのは難しいと思う。また要望はあらゆる分野に渡っており、当WGのリードによりご関係の委員全員で協力していただくという体制を是非お願いしたい。WGは、効率を上げるため、便宜的に分けたものであって、当会議として最大の成果を上げるために、私からもお願いする。
(高原委員)各委員の方、よろしくお願いします。
(小平政策統括官)米田副大臣から、本日欠席のため、秋以降の検討項目としてお伝えいただきたいとのことなので、紹介したい。
基本的な問題意識は、株式会社の参入と並んで、学校法人の新規参入が容易にできるように、あるいは学校法人に関する規制が非常に厳しいので、学校法人の規制緩和についても取組んで欲しいというものである。
具体的には、(1)私立大学は借入れが認められていないので、全て寄付金による基金で運営しているが、借入れができないことによって新しい校舎の建設等が阻害されており、借入れができるようにすべき、(2)私立大学では、4年分の運営費を予め基金として積立てておく必要があるが、大学の機動的運営のためには見直しが必要である、(3)高等学校以下の設置に関して、私立学校審議会の構成員の4分の3が私学の関係者で占められており、これが事実上の参入障壁になっているので、このあり方を抜本的に見直すべき、以上三点である。
(宮内議長)既に何度か取上げたものもあり、教育WGにて検討されたい。
最後に、事務局より、次回本会議は議長とも相談の上、8月下旬から9月にかけて開催したい、個別の日程は別途ご連絡する旨報告があった。
また、規制改革集中受付月間に関して、民間からの要望に対して各省からの回答があり、これを当会議ホームページに掲載する旨報告があった。
以上
(文責 総合規制改革会議事務室)