平成15年11月6日(木)15:00〜17:10
永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室
宮内義彦議長、鈴木良男議長代理、奥谷禮子、神田秀樹、河野栄子、佐々木かをり、高原慶一朗、古河潤之助、村山利栄、森稔、八代尚宏、米澤明憲の各委員
森元大臣政務官
小平政策統括官、河野審議官、福井審議官、浅野間審議官、宮川事務室長、中山事務室次長
下記議事次第参照
関係団体等ヒアリング
マイケル・W・マハラック
ジョン・ニューファー
ベルンハルド・ツェプター
ミヒャエル・ライテラー
エリス・マシューズ
エティエンヌ・ロイター
トマース・ネッケ
フィリップ・デュポンテイユ
<説明>
マイケル・W・マハラック在日米国大使館経済担当公使、ジョン・ニューファーUSTR代表補代理から、資料1「総合規制改革会議におけるマイケル・マハラック在日米国大使館経済担当公使の意見表明」に基づき説明があった。
<質疑応答> (○委員発言部分、●団体発言部分)
○29頁のガスの自由化の範囲だが、現在の何%から約44%、50%まで引き上げたいのか。34頁だが、証券会社や銀行についても、同様に規制や監督機関が重複しているという問題があると思うが、なぜアセット・マネジメント・サイドにだけ限って要望するのか。税制についての要望は別のところで出しているのか。
●本会議は規制に関する委員会のため、要望は出していない。税制は財務省同士が直接話をするということで、我々が話すことは許されていない。
●ガスの自由化に関して、現在の40%を2004年までに44%、2007年までに50%に引き上げたいと考えている。電力市場の方にも関心があり、改革によって自由化範囲を28%から63%に引き上げたいと考えている。電力・ガスの市場は自由化されているが、参入することに企業にとって魅力がない。参入を促進するためには、まだまだ改革が必要。資産運用については、財務省の担当がきていないので、追って回答する。
○33頁の栄養補助食品の自由化を挙げているが、日本の薬事法については、これ以外にも、表示に関しては米国に比べて非常に厳しいといったことがある。ほかにリクエストはしていないのか。起業、ベンチャー促進のルールに関して、米国側から提案できること、改善願いを何か出しているのか。
●薬事法の改革、ことに価格や保証について15年間交渉してきた。もっとオープンな議論が出来るべき。薬や医療機器の価格の改革が日本は遅れており、考慮して頂きたい。
●承認期間をもっと短くしてほしい。日本は24か月くらいで、米国では1年くらいかかっている。日本でも規定上は12か月以内だが、厚生労働省から質問があったときに答える期間は含まれないこととされている。全体で12か月以内にという要望を出している。
<説明>
ベルンハルド・ツェプター駐日欧州委員会代表部大使より資料2「日本の規制改革に関するEU優先提案」に基づき説明があった。
<質疑応答> (○委員発言部分、●団体発言部分)
○対外直接投資と雇用の拡大、規制緩和と直接対外投資との関係が非常に重要であるということは認識している。国際経済連携WGを作って、出来る限り外国企業のビジネスが日本で容易になることが、日本の経済活性化のひとつの鍵になるという認識で検討してきている。
●貴会議が将来的にどのような形で存続するか、強い興味を持っている。皆様方の仕事は大変重要であると思っているが、その成果については深い感銘を抱いているからである。このような対話は賢明であり、有益であると考えるので、どういう形であれ、存続してほしいと切に願う次第である。選挙も近く、必ずしも答え易い質問ではないかもしれないが、これはひとつの政治的な考え方で賛成・反対というものではなく、日本の経済全体を考えた場合に、このような規制改革の道筋は偏に必要なものであると感じているが、いかがか。
○個人の考えということで聞いてもらいたい。
おそらく来年3月に終わるまでに、当会議としても次の組織について何か意見を言う機会があるかもしれない。現在の与党の政策が発表されているのを見ても、当会議に更に力をつけた、行政改革も含んだ推進母体を作ることが書かれている。余程のことがない限り、来年以降も、当会議あるいはこれより強い力を持った推進母体が作られることになるだろう、ということが私の予想である。
資料にもとづき、各主査より、ワーキンググループ(以下WGと記載)の検討状況等について報告があり(資料説明の他、各主査の発言を記載すると以下の通り。)、その後、質疑応答、意見交換を行った。
<アクションプラン実行WG> 宮内主査
本年初めに、今まで動かなかった「官製市場」の改革を行うため、医療、福祉、教育、農業等の分野から、最も難しく最重要の12項目を選定してアクションプランを策定し、高度レベルの折衝を行った結果、一定の成果が得られた。
後半に入り、従来の12項目と同じような効果を得られるよう、新たに5項目を追加した。新規5項目については、現在、論点の整理を行い、会議主導で各省との折衝を行っている。
また、既存の12項目についても、答申にとりまとめた「今後の課題」について更なる深堀りを行うべく、公開討論等を行っている。
これら項目のうち、合意がなかなか得られないものは、ハイレベルで折衝せざるを得ない。必要に応じて大臣にも折衝をお願いする等、今後の推移に応じて検討する。
これら項目は難しいものばかりだが、いずれも消費者本位の生活に不可欠であり、社会的、経済的影響は極めて大きなものとして広がっていく可能性がある。何としても実現しなければならないものと考えている。
<教育・研究WG> 奥谷主査
国立大学法人民営化スケジュールについては、全ての国立大学が必要なのか、国立大学として存続させるためのミッションを明確化する必要があるのでないかとの問題意識から、スケジュールも含め、WGの中で深堀り、検討を行っている。
私学が校舎等を建てる際に、増築以外の場合でも借入金での建築が可能となるよう制度の改善を図るべきである。
認証評価制度については、国立大学の場合は学位授与機構が力を持っており、複数の認証機関が競争するような環境整備をすべきである。
加配教員については、使用目的が制限されており、学校側の自由裁量で使えるよう制度改善を図るべきである。
教科書は、現在、町村単位では採択できないが、学校単位での採択も含め検討を行っている。
大学の研究成果に関するベンチャー企業との連携は、現在、TLOを通じてしか行うことができないが、国立大学法人が直接行うことができるよう制度改善を図るべきである。
競争的研究資金制度については、交付時期が遅いことが不正を招く原因となっており、交付時期を早め、研究者を手続き等の雑務から解放するよう制度の改善を図るべきである。
<ITWG> 以下、鈴木主査
電波の有効利用に関しては、周波数の配分について、現在、総務省で検討しているが、周波数利用料の在り方について検討を行っている。
NTTについては、NTT各社の競争力確保のため、責任が曖昧になりがちななNTT法による持株会社のあり方についての問題意識はあるが、取り上げるかどうかは未定である。
<医療・福祉WG>
医療分野での競争促進、医療費節減のためには、診療報酬の包括払いに向けて、まずレセプト等のオンライン化が必須であり、オンラインで電子カルテにもとづく請求書が交付されるシステムを構築すべきである。
レセプトのオンライン化促進のため、どのような有効手段があるかを中心に議論を進めている。
<エネルギー・運輸WG>
内航海運業は従来の許可制から登録制に移行すべきである。
外国船の強制水先については、危険回避の点を考慮し、一定の要件を満たし、日本語の話せる船長については免除してもよいのではないか。
タクシーの特別監視地域については指定条件が緩いために濫立しており、指定条件の見直しが必要である。
電力の全面自由化は2007年からの検討では遅すぎる。また、ガスの自由化についてもプロセスを明らかにすべきである。
インフラ事業者間の分野横断的な公正競争の確保のため、従来の公正取引委員会による監視、各事業法による規制とは別途、新たな競争監視政策の在り方について検討している。
<基本ルール・基盤整備WG> 以下、神田主査
今後の規制改革推進体制の在り方の前提として、当会議が果たしてきた機能のレビューが不可欠である。
<法務・金融・競争政策WG>
<事業活動円滑化WG> 高原主査
構造改革特区推進室と協力し、6月に引続き、11月にも規制改革集中受付月間の取組みを行っている。
6月の規制改革集中受付月間の成果については、答申において、各省庁と「検討」、「一定時期に結論を得る」との合意に至った項目も含め、それぞれのWGで掲載するとともに、当WGとしても再掲することとしたい。
<構造改革特区・官製市場改革WG> 以下、八代主査
引き続き、特区との連携を深める。
公共施設・サービスの民間開放と労災保険民営化については、アクションWGと一体的に進め、細かい点等について当WGにて検討を行う。
教育・福祉の公的助成の均一化については、特区で認められた株式会社学校に私学助成が認められておらず、その法的根拠も含め議論を詰めていく。
特区要望である教育委員会の廃止等についても、今後、引続き検討する。
<農林水産業・流通WG>
農業経営基盤強化法の一部改正により、株式会社の農業経営法人に対する出資比率を大きく引き上げることとなり、農業経営法人を通じた株式会社の参入が進んでいるが、その詳細について議論したい。
農地については、転用期待から専業農家に集約が進まないのが現状であり、利用規制の厳格化が必要である。
農協については、農家が複数の農協と取引できるような競争条件の整備が必要である。
<国際経済連携WG> 安居主査(事務局より報告)
<雇用・労働WG> 清家主査(事務局より報告)
<住宅・土地・公共工事・環境WG> 八田主査(事務局より報告)
<質疑応答> (●質問・意見、→質問・意見に対する回答)
●答申の時期について、12月に決定すると3か年計画の閣議決定まで3か月の間があり、各省の巻き返しの時間に利用されるのではないかと懸念する。答申決定後、一気呵成に3か年計画が決定される方が良いのではないかという問題認識である。
また、アクションプランの既往12項目についても、医薬品の問題等、困難な問題が多い。
12月に満足のいく答申をだすために、必ずしも、入念なヒアリング、論点整理、折衝等が十分できていないものもある。安易な方向に流れてはいけないが、一つの案として、12月中に主なものは結論を出すことを大前提として、二段構えの答申があってもよいのではないか。
●議長代理の意見に賛同。時間的に、11月の受付月間のものは12月に間に合わないのではないか、ということも予想される。最後の最後まで、改革の案を入れ込めるようにすべきではないか。
●各省から「12月に決める必要はない」と、全般的に遅れてしまう恐れがある点は注意しなければならない。医薬品の問題等は12月に詰めなければならない。
あくまで原則は12月とし、11月の集中受付月間に関するものや後継組織に関するもの等、明確な理由のあるものだけは2月ないし3月という例外とすべきではないか。
●最後の年でもあり、12月を原則とし、性格的、内容的、その他の理由で間に合わないものについて2月、3月に答申を出すというのは極めてもっともだ。
→2〜3か月の間で2回答申を書くというのは外から見るとどうか、ということもあるが、方向性としては、12月までにやるべきものはやりきって、当会議は3月まであるので、積み残しの部分や最後にしか言えない部分については、何らかの方法でまとめていくというようなことかと思う。
●最後の最後に覚悟が決まるということもある。あくまでも原則12月とする。
ただし、まとめるために関係者との調整に時間を要するというようなことが仮にある場合に、その理由が合理的で規制改革のために前向きなものであれば、12月で全てが終わりではないというセーフティネットがあってもよいのではないか。
→具体的な進め方は議論しなければならないが、基本的には例年通り12月までにできるだけのことをやり、しかし、それで全て終わりではない、3月末までに更に果実を求めることもあり得るという了解で考えさせていただく。
次回、今月末には答申の素案審議を行う等、短期間での取りまとめをお願いすることになるが、皆様にはよろしくお願い申上げたい。
事務局より、次回本会議は、11月26日10時から12時まで開催の予定である旨報告があった。
以上
(文責 総合規制改革会議事務室)