平成15年11月26日(水)10:00〜11:15
永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室
宮内義彦議長、鈴木良男議長代理、奥谷禮子、河野栄子、清家篤、高原慶一朗、八田達夫、古河潤之助、村山利栄、森稔、八代尚宏、米澤明憲の各委員
森元大臣政務官
河野審議官、福井審議官、浅野間審議官、宮川事務室長、中山事務室次長
担当WGについて各主査から(ただし、国際経済連携、基本ルール・基盤整備、法務・金融・競争政策WGは事務局から)現況の報告を行い、その後、質疑応答を行った。
既存12項目についての我々の主張は7月の答申に記載済みであり、一部を除き、今回そのまま案文として作成。
6月の骨太の方針以降、「高層住宅に関する容積率」以外ほとんど前進がない。骨太の方針では前期の成果を一里塚として引き続き取り組み、その成果を年末の答申に盛り込むとされており、今後精力的な折衝が必要。必要に応じ、ハイレベル折衝、大臣への御相談も考慮。
医薬品に関しては精力的に折衝中だが、厚生労働省は医薬部外品への移行による措置との考えを捨てていない。本件は総理裁断を仰いだ重要事項であり、後退しかねないとの強い危機感がある。
本日夕刻、経済財政諮問会議に出席して、これらアクションプランの実施状況について説明。
新規追加5項目については、本日の諮問会議での議論を踏まえ案文を作成し、各省との本格的な折衝に入る予定。
<IT>
情報通信ネットワークインフラの一層の整備促進については、周波数割り当ての抜本的見直し、周波数の再配分について提言。
電波登録制度の導入については、無線LANの登録制移行による参入拡大を提言。また電波利用料について、経済利価値、空中支配度によるべきとの提言。
NTTについては競争状況のその後の進展に対する評価の必要性、またIP化の進展に伴う事業者間接続料の見直しを指摘。
公益事業に関する分野横断的競争ルールの整備については、公取と事業所管官庁が密接に協力して、それぞれの法的権限に従い監視。
<医療・福祉>
レセプトのオンライン化をスタートラインとして、カルテの電子化、カルテ情報の共有、EBMとしての医療情報の集積、標準的な医療の確立を経て、標準的な医療費の算出から包括払いを狙う。出来高払いのシステムの抜本的見直し、競争原理の導入による腕の良い医師が報われるシステムの構築。
保険者機能の強化では、調剤薬局との間の直接審査、直接契約について、これまで実現した医療機関に対するものと同様の仕組みの導入。
外国人医師看護師については、日本で教育を受けても医師は6年、看護師は4年で帰国しなければならず、また外国人医師資格者が日本の試験を受ける前提に永住権が必要という不合理の是正を指摘。
<エネルギー・運輸>
昨年度、電力・ガスともに自由化を進めたが、完全自由化には及ばず。これまで合意している平成19年の検討開始では遅く、同時期に完全自由化の結論を得ることを提言。
原子力発電は、特に安全管理に関する情報が不透明なことが国民の拒否反応を招いており、コストを含めた情報の透明化により国民の理解を進めるべきと指摘。
港湾運送事業の需給規制廃止、料金届出制への移行、内航海運業の参入規制見直し、船員の派遣労働解禁をそれぞれ提言。強制水先については、外国船籍の船長が同等の知識能力を持つ場合には免除すべきと指摘。
タクシー事業にかかる緊急調整措置及び料金決定方法の見直し。駅構内への入構については取引制限、シームレスな運送の2つを考慮しつつやっていくべき。
高速道路における自動二輪車2人乗りについては本年度中に認めることを提言。
国立大学法人の中期目標、中期計画における数値目標等の具体的な設定、評価基準の明確化、組織見直しの仕組み及び実施スケジュールの具体化を提言。
コミュニティ・スクールの法制化については次期通常国会への法案提出で進む方向。私立学校審議会の構成員比率及び委員候補者の推薦に関する規定の削除、構成員の過半数を私立学校関係者以外の民間有識者とすることを提案。また学校法人が借入金による新たな大学・学部等の設置を認めるよう要求。
学校法人における財務情報の開示促進、大学の教育研究活動等について情報公開対象の具体化及びインターネット上への掲載義務付け、自己点検の評価結果等の公表義務付けを要求。
競争的研究資金制度について、研究交付時期の早期化、費目の振替え、繰越明許、不正行為の防止策を要求。
職業紹介事業の求職者からの手数料規制緩和が大きな問題。アクションプランWGとも連携しているが、年収要件緩和、対象職種拡大について交渉中。募集・採用時の年齢制限については、基本的に合意しており、国家公務員、地方公務員について引き続き調整。技能検定の受検資格要件緩和については、実務経験年数短縮の方向で大筋の合意。
派遣就業の機会拡大では事前面接の解禁について対立しているが、派遣と紹介の兼業規制の見直しについては基本的に合意。裁量労働制の拡大については調整中。
新しい労働者像に応じた改革は長期的に検討すべき大きな課題であり、ホワイトカラーエグゼンプションは強く要望しているがまだ難しい。解雇規制については、金銭賠償方式が今年度の法改正で見送られたことから、引き続き要望。パートタイマー等への社会保険の適用拡大についても要求中。
ハローワークの持つ指導監督機能の都道府県労働局等への移管を提言。
新たな要望としては、衛生管理者の派遣労働や外部委託を認める件、現在の産業別の最低賃金制度の廃止等について交渉中。
●雇用・労働について。事前面接については、厚生労働省の調査では派遣元も、派遣先も、労働者もみな賛成しており、もっと前向きに例えば「16年度中に結論」などと書けないのか。
→事前面接をして誰を欲しいというところまでいくと、労働者供給事業になってしまう問題点がある。採用されることを要件としている紹介予定派遣について規制を緩和したところであり、その施行前に検討を開始するのは困難というのが厚生労働省の言い分。我々としては派遣先企業も派遣労働者もこれを希望していると主張している。
●紹介予定派遣はとてもシェアの小さな枠組みであり、社員としての採用を前提としていることから少し趣旨が違う。かなり急いでやってもらわないと、全体への波及が遅すぎると思う。
ハローワークの指導監督の記載がわかりにくいが、中立性確保、機能強化のため、その機能を労働局等に移行させるということか。
→ハローワークでは指導監督を片手間にやらざるをえないので、中立性を確保し、もっとしっかりやるということ。事後チェック強化の観点からも中立な監督機関を設けるのが理想だが、少なくとも別のところで実施してほしいという次善の策でもある。文言についてはわかりやすくなるよう調整したい。
●次善の策という感じが出ないよう文言を工夫した方がよい。
●社会保険や雇用保険未加入企業の情報を公開し、インターネットなどで労働者がチェックできる機能を持たせるべきではないか。これを労働者保護の観点から入れていただけないか。
→ご提案の内容については、確かに同意できる部分もある。奥谷委員は雇用・労働の担当でもあり、修文案をお示しいただければ調整を試みたい。
●教育分野について、大学にインターネットによる情報開示を義務づける際、大学側が虚偽の情報を提供する懸念がある。例えば文部科学省に抜き打ちで内容をチェックするような機能を持たせるように書き込めないか。
→文部科学省は開示の義務づけに対しても反対しているが、是非、考えてみたい。
●情報開示の議論では、何について開示するか項目の最低線を明確化してコミットさせることが重要である。反対もあるが、インターネットによるものは何とか出来るのではないかと思う。
ビジネスニーズにかかる個別要望を処理しており、特区と同様に地方公共団体や民間からの要望を関係省庁との調整を公開する手法で実施。6月は417項目、11月はこれまで690項目の要望を受領。
本年9月に67項目の措置事項を閣議に報告したが、これ以外のテーマのフォローアップを実施中。答申には平成17年度までに措置見込みのものを別表で掲載の方向。
特区推進室と共に実施している年2回の集中受付については、来年度以降も引き続き継続的に実施。
不動産取引価格情報の開示については合意し、提供すべき情報の内容について提言。
日影規制については、人数要件の廃止、また日影を受ける側の同意がある場合の適用除外を要望。
通勤鉄道における時間差料金については国交省でも研究会で検討中であり、会議側からも具体的な問題点をいくつか指摘。
ヒートアイランド対策として、基礎的資料整備の目的で、各地点の時系列的な温度情報の集積と開示を提案。
<構造改革特区・官製市場改革>
国民年金の未納について強制徴収の強化、徴収事務の民間委託推進、税当局との業務連携強化を提言。
駐車違反については、運転者のみでなく、使用者にも行政罰を科すことを検討。行政罰に対して駐車違反対応業務の民間委託が出来ることがポイント。
教育委員会については自治体首長と教育委員会との関係見直し、学校長の権限拡大について提言。また特区において教育委員会の権限の学校長あるいは自治体の長への委譲を提言。
<農林水産業・流通>
農地制度の改革については、転用規制や遊休農地の取り締まりがうまく機能していないことが専業農家に十分な農地が集まらないことにつながっており、これらの農地利用規制をきちんとやることが必要。そのために農業委員会が十分に機能するような見直しを提言。
農協問題は、情報開示と准組合員制度の適正化、子会社の適正化に加え、非JA型農協の設立促進による競争促進について指摘。
<国際経済連携>
「人」の移動に関しては、観光ビザの適用除外国の拡大や、高度人材の在留資格要件の緩和を指摘。
「物」の移動に関しては、港湾機能の強化に重点を置き、輸出入手続きの簡素化を指摘。
「お金」については新しい企業のあり方、組織のあり方、三角合併のあり方といった法制度面を指摘。
<基本ルール・基盤整備>
当会議の設置期限後、引き続き総理の下で時限的な機関を設置し、併せて事務局機能を強化する必要性、また民間の学識経験者、実業界の知見の活用が重要との指摘。
3か年計画の策定、新たな規制改革の手法について記載。
パブリックコメント、ノーアクションレター制度の改善について指摘。
<法務・金融・競争政策>
法務については、会社法の改正をにらんだ企業法制の抜本的見直し、司法制度の確立のうち、特に近接法律専門職の見直しについて指摘。
金融関係では、金融サービス法制の見直しについて、間接金融と直接金融の中間形態の開拓状況をにらんだ法制度の必要性、倒産法等の横断的分野、銀行、証券、保険についての個別要望に関する記載。
独禁法関係の機能強化については、去年の答申を踏まえた内容。
政府調達の見直しについては、透明性の確保が課題。第三者機関を導入した不服申し立て制度のフォロー、新しい技術力を重視した入札制度による運用改善を指摘。
官公需制度について、分離分割発注を慫慂することのないよう抜本的な見直しを指摘。
特になし
(宮内議長)本日出された御意見も踏まえ、各主査中心に引き続き案文作成、各省との調整を進めていただきたい。「具体的な施策」の欄については各省との合意が必要であり、可能な限り具体的施策として書き込めるよう御尽力をお願いしたい。やむを得ず合意できない事項については、必要に応じ問題意識欄に記載することとなるが、最終協議の段階で、各主査の判断により今後の課題の欄を設け書き込むことも可能としたい。本日の経済財政諮問会議では、私からアクションプランの進捗状況について報告する予定であり、その模様は改めて報告させていただきたい。
事務局より、「次回第8回会議は12月9日(木)14:00〜16:00の開催。次回会議では答申の調整状況を各主査から報告いただくこととしたい。」との報告がなされた。
以上
(文責 総合規制改革会議事務室)