平成15年度 第10回総合規制改革会議 議事概要

1. 日時

平成15年12月22日(月)15:00〜15:30

2. 場所

永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室

3. 出席者
(委員)

宮内義彦議長、鈴木良男議長代理、奥谷禮子、神田秀樹、佐々木かをり、清家篤、高原慶一朗、八田達夫、森稔、八代尚宏、米澤明憲の各委員

(政府)

金子規制改革担当大臣

(事務局)

小平政策統括官、河野審議官、福井審議官、浅野間審議官、宮川事務室長、中山事務室次長


議事次第

  1. 答申案文決定

  2. その他


議事概要

(1)答申案文決定 (●意見等)

(宮内議長)本日は、答申の案文を最終確認いただき、答申として決定し、その後、意見交換をさせていただきたい。
 まず、前回、調整を御一任いただいていた答申の案文を配布した。これを答申として確定してよいか。

(各委員より「異議なし」の声)

(宮内議長)それでは、案どおり決定した。
 本年度、当会議では、設置期限の最終年度に当たり、全委員によるアクションプランの推進をはじめ、これまで以上に集中的で積極的な調査・審議を積み重ねてきた。その結果、本日、「第3次答申−活力ある日本の創造に向けて−」を取りまとめることができた。この間の、委員の格段の御尽力、御努力に対し、議長として厚く御礼申し上げる。当会議としては、政府に対し、本答申の内容が迅速かつ的確・確実に実現されるよう、切に要請する。

(金子大臣)ただいま答申をいただいた。議長、委員におかれては、精力的に取りまとめをいただいたことに感謝する。今年度は、アクションプランの他、あじさい、もみじ月間という取組を実施された。総理もその努力を高く評価しておられた。答申は、3年間の活動の集大成であり、実りの多いものとなっていると承知している。政府としては、これを最大限に尊重し、次期通常国会への関連法案の提出を行うほか、今年度末までに新たに規制改革推進3か年計画を策定する予定である。引き続き総理とともに全力で規制改革に取り組む所存である。

(宮内議長)委員の皆様方から、この一年の審議等を踏まえ、規制改革について考えるところや感想などを開陳していただきたい。

● 今回の答申はハードコア、積み残しの部分を多く扱ったことから各省庁の抵抗も大きく、事務局としても特に交渉に苦労された面が大きかったと思う。この会議の手法として、(1)取れるところを着実に取っていく、(2)取れるかどうかにかかわらず、大切な論点を主張する、という2つのやり方があり、今回は後者に力を注いだ結果、十分な成果が得られなかった部分もあるかもしれないが、後継組織にしっかり引き継ぎたい。後継組織において、特にこれら2つのどちらにウェイトを置くかという点については十分な議論が必要である。また、委員間での議論の重要性も再認識したので、もっとフリーディスカッションや意見のすり合わせなどの機会が必要であったと感じた。

● 都市再生の関係ではいろいろと進展があり、仕事がやりやすくなった部分は多い。しかし、グローバルな時代にあって、農業、医療、教育など、各論より根本的なイデオロギーの変革を迫られているものがあり、各論で戦うことにむなしさも感じた。一方、こうした根本的な対立をはっきりさせておくことが大切であり、大臣や総理レベルで対応を検討していただく必要がある。今後の方向として指摘しておきたい。

● 今回のやり方でよかったのは、議事録公開が徹底されたことである。多くの人が論点、当方の主張、役所の議論を整理できたことは長い目で見て大きな点だと思う。今後とも続けてほしい。
 これまでそれなりに理屈のあった規制であっても、インターネットやその他の技術によって前の規制の目的を達成する新しい手段が出てきたことにより、他の手法が生まれる。規制担当部局も変わる場合も予想されるし、また、これまでの規制で守られてきた人たちをどうするかという議論も出てくる。こうした過渡的な問題については、政治的な判断も必要になることから、これを上に吸い上げていくような仕組みも必要である。

● 今年度は規制改革集中受付月間という新たな仕組みが、特区と連動し、関係者の協力を得てスタートできた。6月の「あじさい月間」では別表3に掲げる67項目を決定できた。それ以外に1〜2年の間に検討する項目として別表4の23項目を掲載できた。11月からは「もみじ月間」をやっており、2月に結論を得る予定である。この2つの仕組みを定着させたく、大臣におかれても御尽力をお願いしたい。また、分野横断的な取り組みでもあり、御協力いただいた委員各位に感謝する。

● 規制を労働者の利益にかなうように改革することを目的として活動を進めてきた。雇用に対する事前規制を見直し選択肢を拡大する一方で、セーフティネット、雇用に対する安心を確保するための事後的規制の充実を車の両輪として改革の議論をしてきた。委員、専門委員、事務室の協力のもと成果があがったことを感謝申し上げる。

● 幼保一元化などを中心に規制改革に参加させていただいた。公営が民営になる中で、すでに運営レベルが低下してクレームが出ている所もあり、規制改革の目的と現実のギャップが出てくる可能性もある。単に規制を外すのではなく、事後チェックルール、フォローアップさらに規制改革の広報活動をしっかりしながら次なるステップに進めていただきたい。また今回は、ヒアリングをする対象が、大きい団体や大企業などが多かったような気がする。新しい、若い起業家や女性の視点等、今まで聞こえてこなかった声に耳を傾けられるよう貢献できればと思う。

● 競争政策、法務、金融分野では、官公需や金融サービスを中心として担当省庁と合意することができた。ただ、金融は各論でまだまだ問題があると感じている。
 基本ルールについては、当会議についてのレビュー、今後のあり方について幅広く書かせていただいた。取りまとめができたことに感謝したい。

● 市場原理、消費者保護という基本的な観点を教育に生かすことは非常に困難であることを認識した。民ができることは民がやるべき、という基本スタンスに立って、そこから出てくるマイナスの部分をいかにカバーしていくかが大きなテーマだと思う。また、コミュニティ・スクールについてはやっと法制化という形になった。
 後継組織については、規制改革についての基本スタンスの部分はもう一度全委員が認識する必要がある。

● コミュニティ・スクールについては、法律を次期通常国会に提出するところまでになった。これは、国がやっている教育を多様化させるための大きな成果と言えるだろう。また、国立大学法人については、中間評価の結果によっては、一部の国立大学法人が改廃、統合されるということを盛り込んだことは、非常に影響力の大きいことだと考えている。
 また、この会議がどのような立場で発言、各省に要求するか、ということについては、もう少し統一的な考え方が必要であると感じた。具体的には、あまりに高い目標を掲げすぎたため、達成できずに会議が敗北した、政府が改革を進めていないという印象を与えるのはよくない。ターゲットを上手く絞ってやるべきではないか。

● アクションプランについては、薬で一定の進歩があった。ただ、医薬−薬局−薬剤師を密接不可分のものとしてとらえている薬事法そのものを見直すべき時期に来ているのではないか。また、新しい医療技術を作り出し、経済活性化に資するものとして、混合診療について糸口をつけたいと思ったが、時期が時期でなかったということで残念な結果であった。車検については、土光臨調以来だが、2度目の穴が開いたという感じである。期間を明示することも考えたが、何の議論もなく実施はできないので、これは仕方ない。
 医療分野については、カルテからレセプトへ、レセプトからオンライン請求へという基本線に立ち、カルテのデータが蓄積され、医療の標準化がなされ、最終的には、出来高払いではなく包括払い方式にしていくという基本構想のもとでやってきたが、表現ぶりはともかく基本点は通した。
 運輸分野については、内航海運の許可制を登録制にすることに関して、国土交通省に自発的に取り組んでいただいた。また、ITについては、周波数の活用を中心的に取り組んできた。

(宮内議長)本日決定した第3次答申については、これからすぐ、鈴木議長代理と構造改革特区の評価委員会委員長でもある八代委員に同行いただき、小泉総理に答申を渡しにまいりたい。

以上

(文責 総合規制改革会議事務室


内閣府 総合規制改革会議