○宮内主査 農業関係につきましては
1.株式会社等による農地取得の解禁。
2.株式会社等による農業経営(農地のリース方法)の解禁。
この2点につきまして、農林水産省との意見交換を行うということでございます。本日は、大変お忙しい中、農水省から、川村経営局長を始め、御担当の皆様方においでいただいております。ありがとうございます。何分よろしくお願いいたします。
さて、農業分野につきましては、資料1の1ページにもありますように、昨年夏の第1次提案を受けまして、既に4月1日、一昨日から施行されております。構造改革特別区域法、いわゆる特区法におきまして、株式会社など農業生産法人以外の法人が参入することが可能となり、その点一歩前進を見せております。
しかしながら、株式会社による農地の取得の問題につきましては、農林水産省は仮にこれを認めると、農地転用が頻繁に行われ、一層の耕作放棄が進展し、原状回復が困難になる等との理由から、株式会社が地方公共団体などから農地のリースを受ける場合に限って認めるということにしております。
こうした中で、この分野の今後の行政改革の方向性といたしましては、次の2つが挙げられると考えられております。
1つは、資料1にもございますように、少なくとも特区において株式会社等による農地の取得を容認しているという方向でございます。今年の1月に締め切られました、第2次提案におきましても、多数の要望があったようでございます。責任ある農業経営を行いたい事業者にとっては、本件は喫緊の課題でございます。
また、農林水産省が御懸念される、農地転用や耕作放棄のリスク、これにつきましては、何も株式会社等に限ったものではなく、自作農ほかも同じでありますし、また土地利用規制などの代替措置によって対応することも可能と考えられます。
もう一つの改革の方向性は、特区で認められました農地のリース方式を、逸早く全国展開することです。本件、すなわち株式会社等による農地経営の解禁は、特区の第1次提案でも、各地域から非常に多くの提案のある事項でございますから、これこそ特区本部による評価委員会の設置を待つことなく、早急に全国規模での改革に結び付けていく必要があるテーマではないかと考えられるわけでございます。
本日は、これらの課題を中心に、先ほど申し上げましたように意見交換を始めたいと思います。まず、農水省のお考えを10分程度におまとめいただきまして、御説明をちょうだいできればと思います。よろしくお願いいたします。
○川村農林水産省経営局長 農林水産省の川村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
お手元に、私ども農林水産省経営局の資料を配布させていただいておりますので、これに即しまして要点をかいつまんで御説明をしたいと思います。
まず、1ページをごらんいただきたいと思いますが、これが私どもの基本的な考え方でございまして、左側の方に「農政の基本方向」とございます、平成11年に食料・農業・農村基本法を制定いたしまして、その下で施策を推進しております。
その中で、今後の産業としての農業のコアとなる経営体、これが四角の中の平成22年の目標にございますとおり、家族経営、それから法人生産組織、合わせて約四十万経営体ということで目標にしてございます。
その中でも、下の方にございますように、法人形態での農業経営は有効であるという認識で、この法人化の推進ということを基本法上も明記をしてございます。ただ、右側にございますとおり、農村現場の声といたしまして、いろいろ懸念が出されております。
大きくは3つでございまして、投機目的での農地取得が行われるんではないかとか、土地・水利用の混乱、あるいは産廃等の不適切な土地利用、あるいは他の経営体の育成との不整合といった声でございます。こういう声はございますが、率直に言って反対という声もあったわけでございますけれども、下にございますとおり、これは2年前になりますけれども、農地法の一部改正によりまして、株式会社形態の導入も図っておりますし、また先ほど主査より御紹介もございました特区につきましても、積極的に対応いたしまして、リース方式による参入を認めたところでございます。
2ページがデータでございまして、こういう我々の施策の推進もありまして、実態上も農業法人は急増をしてございます。特に土地を利用する、農地の権利を保有する農業生産法人、これもここ2年で1割以上、ここ5年では4割、5割という増加になっております。3ページもデータでございますが、2年前の農地法の一部改正によりまして、株式会社形態が認められたわけでございます。現在約二年経ちまして、42の株式会社が参入をされております。そして、その土地利用形態でございますが、所有権は2割でございます。これは下の表の合計のところの実数と割合が書いてございますので、ごらんいただきたいと思いますが、そういうことで所有権形態というのは2割にとどまっております。これが全般的な農地法の権利移動とも平仄が合っておる数字でございます。
それから、所有権の欄のところに空欄のところがございますが、24社あるわけでございますが、これらは全く所有権を所有されておらない企業ということでございます。
4ページが特区の関係でございまして、既にこの4月から受け付けが始まっておりますが、私どもが1月現在でアンケートを取ったところでも、かなりの希望が出ているということが伺えるわけでございます。この農業生産法人以外の法人への農地等の貸し付けのシステムは、この下の4ページの中ほどにございますとおり、貸付主体として、地方公共団体、あるいは農地保有合理化法人でございますが、あと具体的な要件といたしましては、協定を締結すること、あと担当役員を設置するという要件のみでございます。
これは5ページの一般的な農地法の規定と比較をしていただきたいんですが、4つの要件がございまして、株式会社についても譲渡制限があるものと、あるいは売り上げにつきまして、農業関連が過半であること。
それから、構成要件につきましても、農業関係者以外は4分の1、1構成員当たりは10分の1等、かなり厳しい要件にはなっておりますけれども、この特区においてはもう実質的にハードルにならないような形でやってございます。
引き続きまして、6ページでございます。6ページは、貸付方式の特質でございますが、貸付方式はその権利関係が不安定で安心して経営に専念していけないんではないかという御指摘もあるわけでございますが、農地法の世界では、他の一般の賃貸借と違いまして、ここにありますとおり登記がなくても、第三者に対抗できるとか、法定更新、また解除については、都道府県知事の許可、また不利な条件での解除等は無効といったように、借地権並みの保護が与えられております。7ページがそれでございます。
8ページへ飛んでいただきまして、それから所有権を取得してコスト的に見て採算が取れるのかという実態的な疑問もございます。
1のところが、賃貸で参入する場合のコストでございますが、大体10a当たり2万円の平均的な賃料、これは1ヘクタールが20万になります。
一方、農地を取得して参入する場合は、農地価格は174 万、これを金利等も含めますと償還15年と想定いたしますと、一般的な貸付期間でございますが、136 万ということでございます。
これは稲作の場合の農業粗収益ですら128 万ということで、これを下回るということでございますが、作目にもよりますけれども年間の償還額を下回るような、売上げだけでもそうだということでございます。
9ページ、これも農地の価格差が非常に大きいということでの潜在的な問題があるわけでございまして、これは新潟県の例で図示しておりますが、ごらんいただきますと、緑のところが農地の価格でございまして、転用価格が平米3万4,000 円というのに比べますと、市街化調整区域、あるいは線引きのない農用地区域等と比較しますと、10倍とか20倍等の開きがあるという中で、こういうことが転用期待等の背景になっているわけでございます。 10ページ以降でございますが、農地所有をしてというニーズがどの程度あるのかということを見てみたいということで、この観点からのデータを少し御紹介したいと思います。これは日経リサーチの調査でございまして、飲食業系の企業等にアンケートされたものでございますが、9割以上法人が農地所有に関心がないという回答をされております。
また、11ページでございますが、これは私どもの農地法等の関係での勉強会でのヒアリングの中でお聞きをしました。企業の方でございます。この企業自身は、自社での農場を展開しておられるところでございますけれども、その希望として農地を取得するということよりも、むしろ20年、30年の安定的な見通しがほしいということでございました。
12ページ、これは参考までに企業一般の土地所有に関する意識ということで、国土交通省が調査をされたものでございます。やはり今後の土地所有の有利性という意識は、この中ほどの棒グラフをごらんいただくとわかりますように、今後所有が有利になるという回答は少なくなってきているようでございます。
13ページも土地は必ずしも有利な資産ではないという御回答があるようでございますし、14ページもむしろ遊休地があった場合は売ろうとしているけれども売れないという実態、効率的な資産運用ということが今、非常に求められておりますけれども、先ほどの収益性等から考えますと、農地を所有してまでということの資産の効率利用という意味では疑問があるということではないかと思います。
それから、15ページから外国の例、何かにつけて日本の農業、欧米等との比較をされるわけでございますが、先進農業国であります欧米ということで、2つほど例を上げております。
まず、アメリカでございますが、超大規模経営というイメージがございますけれども、この状況は(1)のところにも書いてございますとおり、会社経営というのは全形態数の0.3 %、経営耕地面積は1.4 %、生産額のシェアは4.7 %というような実態でございます。次のページをくっていただきたいと思います。16ページの下の段でございます、制度のところでございますけれども、アメリカの穀倉地帯の中西部の9州、具体的にそこに州名が書いてございますが、ここも基本的には大規模経営というよりも、家族経営を基本とする小規模の会社に限定するということで、ネブラスカ州の具体例を書いてございますが、そういったようにかなりの制限を加えているという実態にございます。
もう一つ、欧州の農業大国でありますフランスでございますが、ここも0.8 %ということでございます。
次のページにその制度的な考えが書いてございます。フランスも長い歴史を持つ農業国でございますが、大きいことはいいことという考え方は必ずしも取っておりませんで、適正規模という概念を適用してございまして、この1、2が、特に象徴的に出ておりますが、受け手の面積が上限面積を超える場合、また逆に出し手の面積が一定規模を割り込む場合といったような場合には、事前許可と。
また、法人による他の法人の支配を排除するという基本的考え方から、持ち分が5割以上というふうになる場合には、事前許可が必要といったような法制になってございます。 19ページをごらんいただきたいと思います。ここは、また農地法に係ります基本的な論点のところでございます。農地所有を法人一般に認めること、あるいは権利のリースを全国的に広げるということにつきましては、現行の農地法の体系上いろいろ疑義があるのではないかということでございます。現在の農地法の基本的な考え方というのは、耕作者主義というのを取っておりまして、適性かつ効率的に農地を耕作する者に農地の権利取得を認めるということでございます。この耕作者というのは、基本的に自然人でございまして、自然人と耕作者の延長として、耕作を主体とする、地域に根差した法人経営ということで、自然人が構成員に必ずいるということを要件にしておるところでございます。
そういう意味で、この2年前の改正は、この考え方から見るとぎりぎりではないかという意見も学者を始めとしてかなり根強いわけでございます。そういうことで、我が方に2つの課題がございますが、そういうさらなる規制緩和というのは、この農地法の基本的な考え方と相入れるのかという疑念がございまして、これは単なる規制緩和ということではなくて、農地法、あるいは農業振興地域の整備に関する法律というのがございますが、そういった農地法制全般を根本的にいじるような話の性格のものかという指摘もあるわけでございます。
また、農振法等の話になりますと、他の都市的利用との調整ということも当然必要になりまして、そういうことになりますとより慎重に、また国民的な議論を行うべき事項かというふうに認識をしております。
20ページ以降は、ちょっと冒頭に申し上げました、いろんな現場、農業・農村の現場からの懸念があるわけでございますが、特に最近産業廃棄物の不法投棄等の事例がかなり増加傾向でございまして、こういうことがやはりそういった意見の背景にあるということで御理解をいただきたいと思うわけでございますが、20ページはそういう数字のデータです。 21ページは、埼玉県の例でございますけれども、実際農地を建設残土の処理場に使ってしまったということで、まさに山のように積み上げるということで、その土地がつぶれるだけのみならず、その周辺の農地にも隆起でありますとか、水利用ができないとかが起こっているということでございます。23ページに、その全体、優良農地の上にでんとごみの山、残土の山ができたというものでございます。
これは単に埼玉県のこの事例だけに限らないという意味で、24ページ〜26ページに県のマップに件数等を落としたものでございまして、こういうふうに関東近辺、非常に多くなっております。
27ページには、最近の雑誌の記事を載せておりますが、非常に手口も巧妙になりまして、例えば農地の場合でありますと、土壌改良剤、肥料などと称しまして汚泥を農地造成に利用するといったような悪質な事例もあるわけでございます。
また、29ページは、先ほど冒頭主査の方の御指摘ございましたが、権利主体を絞らなくて、一方転用規制の強化で代替し得るのではないかという御指摘もあるわけでございますけれども、何点か○で書いてございますが、我が国の土地資源が非常に限られていると。それから、特に平地は国土の2割程度しかないということを考えますと、やはり社会経済情勢の中で、これまでも対応してきたところでございますけれども、ある程度柔軟に対応できる措置を取っていくことが社会的なニーズではないかと。
そういうことも背景にありまして、本当に国民的なコンセンサスが得られるのかと。
また、先ほども御紹介したように、農地の価格が極端に用途を変更することによって変わっていくということでの、憲法上の問題等もあります。そういうことをここに列挙させていただいております。
30ページでございますが、一方その担保措置として、不法転用の場合等に、買い戻し特約等を付けることで代え得るのではないかという御指摘もございますが、この資金的な問題、あるいは期間を限定するとか、こういうデフレ下で本当にそういうことが機能し得るのかという点では疑問があるということでございまして、そういう疑問を持っております。 私どもとして、最後に今、申し上げましたことの要点を言いますと、既に私ども農業分野では門戸を株式会社にも開放しておりまして、実績も先ほど御紹介したとおり非常に上がっております。
また、特区につきましても、積極的に取り組みまして、実質的にハードルがないスキームを実現しておりますし、この活用も今後期待できると思います。農業を真剣にやるつもりであれば、賃貸方式で十分可能であろうと思っておりまして、そういう土地を何が何でも所有しないと農業はできないということではないというふうに思います。むしろ更に規制緩和を進めるということで、参入促進の効果が余り期待できませんし、逆に弊害の方が大きいのではないかというふうに思っております。
先ほど言いましたように、さらなる規制緩和はその農地法体系自体を崩しかねないという可能性もあります、まずはこの4月からスタートした特区制度の実施状況を十分見極めたいというのが私どもの基本的なポジションでございます。
ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
○宮内議長 ありがとうございました。それでは、農業関係、2つのテーマでございますが、お互いに関連しておりますので、一括してということで御議論をさせていただきたいと思います。
本件につきましては、今、お話もございましたように、既に特区ワーキンググループにおきまして、先行的に議論が行われております。したがいまして、私どものワーキンググループではその御担当をしていただきました、八代委員と福井専門委員からまず御質問・御意見等をちょうだいするということから始めさせていただきたいと思います。 八代さん、お願いします。
○八代委員 特区と農業ワーキンググループ、両方で今のお話は既に何回も聞かせていただいたわけですが、まず基本的な認識として、現在の農地に関する規制がどれだけ有効なのかということについての御認識をお伺いしたいと思います。
それは、株式会社が入る前から、今、御指摘のような問題はあったわけです。耕作者主義という建て前にもかかわらず、現に耕作放棄地がどんどん増えていることが大きな問題になっている。耕作者主義で耕作者が高齢化したら、だれが農業のあとを継ぐのか。それから、休耕地が産廃業者によって侵されているということですが、株式会社が現に規制されているのに、なぜそんなことが起こるのか、そういう点について株式会社の参入を規制すればこういう問題が解決するのだという論拠を是非お聞かせいただきたい。これが第1点であります。
それから、本来耕作放棄ということは、農地法の建前では起こらない筈である。つまり農地を使わない者はそれを売るか貸すかしなければいけないのに、それが完全に形骸化している。先ほど投機目的で農地が使われやすいという資料をいただきましたが、だからこそ零細農家が農業をするつもりもないのに農地を抱え込んでいて、それが大規模農家に農地が集約されず、今の日本の農業の発展を妨げている大きな要因ではないのかという点についての御認識をお伺いしたい。これが第2点です。
だからこそ、この特区ができたときに、全国から多くの要望があって、第1次提案で36件、このうちのリース方式はわずか5件しかなくて、あとの31件は農地の取得による株式会社の参入に対する要望があった。第2次提案は更に15件あるわけです。ですから、今、株式会社は別に農地なんか欲しくないということをさんざん言われましたけれども、それは農水省が決めることではなくて、企業が判断することである。ユーザーが判断するという市場主義の原理をどう理解しておられるのか。借地の方が便利ですよと、それからヒアリングしたら借地の方がいいという企業がありましたと言うご説明でしたが、そういう企業もあるでしょうけれども、別の考え方の企業があるからこれだけの提案が出ているわけです。市場経済では投資をする人が、借地がいいか農地を取得するかを決めるのが原則であって、政府がそれを決めるのは統制経済というものです。農水省ももう既に統制経済は脱しておられるというふうに理解していますけれども、今の御説明を見る限り、借地方式の方が良いから取得方式を禁止すると言わぬばかりの御説明であるというのは、ちょっと認識がおかしいのではないかと思いますが、それについてお聞きしたいのが第3点。
それから、既に株式会社はもう農業生産法人の形で入っているということでありますが、これは一言言われましたが、出資分がわずか1企業で10分の1、企業全体でも4分の1しかない、これでは企業が農地経営に入っているとはいえないわけです。つまり、なぜ企業が農地経営をするかと言えば、経営権を握ることによってこれまでにないような新しい経営方式をやることに意味があるからで、わずか4分の1の経営権では結局何も新しい経営を導入できないわけですから、今の農業生産法人では企業参入を認めているということは言えないわけです。これはあくまで形式的に認めているだけにすぎないわけです。
そういう意味でこれだけの要望がある、その要望にどう応えるのかということであります。
それから、アメリカの例でも、株式会社の比率はわずか何%にすぎないということですが、そうであれば、逆になぜ認めないのですかということです。仮に、農業というのが自作農に向いた業種であれば、もともと株式会社というのはそんな比較理由はないわけですから、そんなに心配されるまでもなく大規模に入ってくるとは思えないわけであって、その意味でも例が少ないということは規制する理由にはならないわけです。
この産廃の問題は、非常に深刻でありますけれども、株式会社がまだ農地経営を認められていないにもかかわらずこれだけのことが起こっているわけですから、是非これについては厳しい規制強化をお願いしたい。それによって自作農、株式会社、平等な形で規制を受けた上で、こういうことが起こらないようにした上で、その企業の参入を認めるべきではないか。企業は悪いことをする、自作農はしないというのは既に現実を見る限り間違っているわけです。ですから、その認識についてどうお考えになるのか。今の規制でどれだけ有効にこういう問題が解決できるのかということであります。
最後に、なぜリース方式ではだめなのかということについては、私は農業の専門家ではありませんが、一般的な例から言えば、企業というのは投資をする主体であります。投資をしたからには、投資の成果である資産を自分の財産にできなければ、やはりその投資の成果というものに対して十分な収益率が見込めないのではないか。やはりリース方式が不安だという企業が、現にいるわけですし、自治体がそれに対してきちっと保証するという形でやっているわけですから、是非この特区を申請している自治体の意向を配慮して、こういうさらなる取得方式による株式会社の農地経営というものを認める必要があるのではないかと思いますが、そういうニーズに対してどう考えておられるのかというのが、最後の質問でございます。
○川村局長 何点かありましたので、まず農地法はちゃんと機能しているのかという御指摘ですが、確かに耕作放棄地が増えていることは事実だと思います。ただ、その耕作放棄地と言いましても、現実に耕作放棄地化している土地というのは、中山間地であったり、周辺の土地であったりということでございます。
その耕作放棄地を回避するための、いろんな施策というのはやっておりまして、その効果も勿論上がっておりますし……
○八代委員 済みませんが、どういうふうに施策の効果が上がっているかどうか、具体的に言っていただきたいと思います。
○川村局長 具体的な数字としては多少増えているわけですが、規模拡大や農地法としては効率的に利用するということが必要なわけでして、目標としますところの8割水準まで今、来ているわけです。ですから、そういう権利移動を通じて農地の規模拡大を図るという、農地法を通じて規制していくというところは、我々としては十分に機能しているし、また都市的利用との調整というところも、勿論個別にはいろんな問題もあることは事実ですけれども、相対として言えばそこの調整もうまくいっているというふうに思っております。
○八代委員 耕作放棄地が増えているのですか、減っているのですか。
○川村局長 増えています。
○八代委員 それでどうやって効果が上がっているといえるのですか。
○川村局長 ですから、絶対値としては、確かに増えていることは事実ですけれども、その中身として見たときに、優良な農地が必ずしも減っているわけではなくて、その周辺の耕作放棄地が増えていると。中山間地とか、そういう優良農地でないところの耕作放棄地が増えているだけでして、具体的に我が方が目的としておりますのは、まさに農地法は、すべての農地を対象にしていますので、そういう結果が出ることはある意味でやむを得ない部分もあると思うんです。
だた、我々が農地法で守ろうとしているのは、優良な農地が効率的に使われるというところが、これはまさに農地法の趣旨として大事なところなわけなのですが、それについてはおおむねうまくいっているのではないかというふうに見ているわけです。
○八代委員 それはそれで是非出していただいて、私も初耳でありまして、農業専門家の方に是非チェックしていただきたいと思いますが、何を根拠に優良な農地と言われるのか、その優良な農地についてはきちっと耕作放棄地は減っているという数字を出していただきまして、それはインターネットで公開いたしますので、よろしくお願いいたします。
○川村局長 それから……
○八代委員 済みません、もう一言、今、優良な農地は耕作放棄が進んでいないと言われましたが、農業ワーキンググループでの議論では、優良な農地ほど宅地等への転用価値も高い。仮に転用されてしまえば耕作放棄地ではなくなるわけですから、耕作放棄地が自然となくなるのは当たり前であって、そういうこともきちっと踏まえた上で、是非資料をお願いしたいと思います。
○川村局長 それから、ニーズの話にしても、まさに我々としてとらえているところは、先ほど申し上げたとおりでございます。
○八代委員 失礼ですが、農水省は企業経営についての御専門でしょうか。実際に農地を経営する企業の方が取得かリースか、どっちが便利か、望ましいと思って判断されるわけで、その点に関して農水省の方が判断能力が高いとは到底私は思いませんけれども、いかがでしょうか。
○佐藤農林水産省経営局構造改善課長 今、八代先生の方からのお話でしたが、先ほどうちの局長の方から1ページでお話させていただいておりますが、農水省といたしましてもこの株式会社が全くいかぬというわけではございませんで、1ページの「目標」のところにございますように、やはり我々も信用面、人材確保だとか、販路確保だとか、こういった面で株式会社形態での農業経営というのは、これは1つの有効な方策だということで、いろんな議論の末、今回の特区の貸付方式といったことになったわけですが、いかんせんこれについて賃借権方式でやったというのは、先ほども出てきておりますが、現在の規制の中でいろんな問題が出てくる中で、言い方変ですが非常に安全性と言いますか、無難と言いますか、特区を導入したことによる不可逆性や何がないといったようなことで、今回このリース方式といったものを導入したわけでございまして、それを更に所有権ということになりますと、確かにそれは企業はどっちか選択する方がいいんでしょうけれども、所有権になった場合に、確かに立派な経営をされる企業もあるんじゃないかと思いますが、しかしながらこの農村現場の実態でございますように、非常に悪用されたり、あるいは株式会社の場合ですと株主か何かが突然変わってしまって、いろんな方面に使われるといったような現実の面も出ておりますので、やはりこうしたことを踏まえましてリース方式ということで、今回の措置に至ったということを是非とも御理解いただければというふうに思っておるところでございます。
○八代委員 そこが全く理解できないのですが、まだ株式会社の農地所有は認めてられないわけですね。現在の農地法では。それにもかかわらずなぜそういう株式会社による農地取得の弊害が現実にあるというのは、ちょっと矛盾しているように聞こえるのですけれども。
○川村局長 先ほども御質問の中にあって、2年前の改正で、一定の制限はございますけれども、株式会社形態の導入を認めたわけですね。それで、今、確かに4分の1とか、10分の1とかという制限はございますけれども、現実にこれがないに越したことはないのですけれども、例えば大企業なり、先ほどの42の株式会社の方が参入されているように、この中にも実際大企業の方で、言わば子会社形式でやってらっしゃるわけですね。ですから、そういうふうに全くどう工夫しても参入できないという形にはなってないわけなので、その点は御理解をいただきたいと思うのです。
○八代委員 ですから、4分の1で企業の参入とは我々は認めてないのです。経営権をにぎらなければ参入とは言えないのではないかというのが、少なくとも商法の1つの原則じゃないかと思います。
○川村局長 ただ、実態的な面からすれば、そういう形式的な制限はありますけれども。
○八代委員 経営権というのは形式ではなくて実質であると思いますが。
○川村局長 現実に、そういう参入がありますし、それから事実的な支配関係ということからすれば、それはできるんじゃないかと思います。それは現実にこういう数字が示していると思いますし、そこは御理解いただきたいなと思います。
○鈴木副主査 それが増えたというだけですか。
○川村局長 そうですね。増えたということと、それからこの中の中身を見ましても、一般の外部の、全く農業外からの参入も現実にあるということです。
○宮内議長 ちょっと時間の関係がございますので、私の理解では農業生産法人に参入できるのは、4分の1までであって、4分の3は農業関係者であると、しかも1社が10%以下、そうしますと、企業と称するのが25%のシェアを持って、今、局長のおっしゃったような実質的に支配する、実質子会社としてやっていると、どういう形でそういうことができるのか、実例等につきまして、また後刻で結構でございますから、わかる形で資料を提出していただくということで、本件は打ち切って次にまいりたいと思います。
あとの質問がたくさんあると思いますので。
○川村局長 最後の方から申し上げますと、リース方式では投資の目的が達し得ないというようなことをおっしゃいましたけれども、土地を所有することだけが投資ということではないんじゃないかと思います。
特に農業の場合は、先ほど言いましたように、その収益性等から見れば、むしろ土地に対する投資はできるだけ抑えて、もっと上物のハウスであるとか、そういうところに投資をして、最大効果を出していくということの方が、私は企業としては目指すべき道ではないかなというふうに思うわけです。
○八代委員 統制経済じゃないわけで、農水省が企業経営にそこまで関与するのはいかがなものかということです。
○川村局長 ただ、これを認めたときの弊害、企業一般を認めたときの弊害を避けることが思想としてこれがあるわけです。つまり農地法は、基本的には自然人がその地域に住んで、そして耕作するということが農地の効率的な利用を図る上で一番大事だという思想になっているわけです。
○八代委員 その思想のお陰で、今はWTOやFTA等で、どれだけ日本の農業が問題を抱えているかという御認識はないんですか。そんなに効率的だったら、もうとっくに農業を自由化してよかったのではないですか。
○川村局長 そこの問題というよりは、農地の問題というよりは別の問題も多いと思います。構造改革という意味ではですね。この問題だけがネックになっているということではないと思います。
それから、産廃につきましては、やはり我が方の規制の中でもやりますけれども、企業一般が参入することによって、その危険性がより高まるというふうに我々は認識しているわけです。
○八代委員 その根拠は何ですか。
○川村局長 根拠と言いますか、企業というのは土地の効率的な利用とか、資産の運用をやらないといけませんから、そういった採算を重視した場合は遊休地化が起こりやすいと、自然人が地場で住んで耕作しているのに比べると、勿論比較論でございますけれども、遊休地化も起こりやすいし、また農地の転用も。
○福井専門委員 今のことはデータはあるんですか、例えばアメリカとかフランスで、企業形態の方が耕作放棄とか、投機が多いとか、具体的なデータはあるんでしょうか。
○川村局長 それはちょっとわからないですね。
○福井専門委員 だったら、何で企業の方が、耕作放棄が多いと言えるんですか。
○佐藤課長 局長が申し上げたのは、これは何回もお話しているかと思うんですが、農業の採算性の関係からいって、果たして効率的な企業経営で株主への配当等、あるいは経営者への報酬といったようなものが、果たして農業経営でできるかというのは、これは長年の議論だったわけでございまして、恐らく通常に一般の企業が入ってきたときには、途中で経営を廃止してしまうと、その廃止する場合のことを考えますと、恐らく企業が農地を賃借にしろ、取得しようとすれば、相当な規模で取得するかと思っておりまして、そのときに経営が廃止されれば、今のこの耕作放棄地というのは、これは1ヘクタールなんかがどかんとあるわけではなくて、一反歩だとか、10aだとか、ちょこっとしたものがぽこぽこあるような状態ですが、この大きい形態が一旦何かありまして経営を廃止した場合には、相当大きな面積で経営を廃止して、そこに……
○福井専門委員 それは所有規模の問題じゃないですか。
○佐藤課長 はい。
○福井専門委員 所有形態が株式会社であるか、あるいは個人農家であるかによって、後々の耕作放棄とか投機の度合いが変ってくるということを主張されたいんでしょう。規模なら規模で別の論点ですから、所有形態に伴う違いだけ教えてほしいんですけれども。
要するに、おっしゃっているのは、でかいのが放棄されたら影響が大きいとおっしゃりたいように聞こえるんですけれども、それは関係ないんです。そうじゃなくて、株式会社の方が個人農家よりも耕作放棄や土地投機をやりやすいとおっしゃりたいんでしょう。だから、その端的な根拠を知りたいのですけれども。
○川村局長 それはもうまさに、株式会社の特質で、まさに株主の負託に応えて、資本効率を高めるという考え方を持っているわけですから。
○福井専門委員 そうすると、個人農家はその資本効率を高めるという動機を持ってないのですか。
○川村局長 勿論持っていますが、ただそれが頓挫したときに、どういう対応をするかということです。
○福井専門委員 頓挫したときに個人農家と株式会社の対応は、ロジカルにどう違うんですか。
○佐藤課長 論理的でない御回答になるのかもしれませんが。
○福井専門委員 いやいや、論理的な回答だけ聞きたいんですけれども。
○竹谷大臣官房文書課長 ちょっと補足いたしますと、要するに、先ほど5ページの資料で農業生産法人の要件が書いてございます。これは農業生産法人の制度の仕組みですね。こういった制度の仕組みからいたしまして、役員でありますとか、あるいは従事者要件とかございますから、そういったことから農業生産法人というのは農業に関連性の深い形での法人の形態になっているわけです。
こういったルールを取っ払いまして、単なる株式会社ということになりますと、株式会社としての投資家への還元ということを中心に、他へ農業から離れていってしまう可能性がより強いと、こういう要件がございませんから、他の事業形態へ離れていってしまう可能性が強いと、その意味では農業に専念されない可能性が懸念されるというのが、まず1つございます。
次に、投資した場合の収益の問題ですけれども、投資した場合の収益を考えますと、私どもいろいろな企業経営一般の私ども専門家ではございませんけれども、しかし農林水産省は農業経営ということについては非常にいろいろなデータ等を持っておりますが、そういった中で現在の農業経営を考えると、有利性ということを考えますと、大規模にやろうということを考えますと、借地形態の方が有利だというようなデータを持っております。借地経営をした場合は、初期投資が少ないわけです。初期投資が少ない中で……
○福井専門委員 その論点は別の論点なので。
○竹谷課長 まあ、ちょっと聞いてください。
○福井専門委員 株式会社か個人農家の違いだけ今、議論したいんですけれども。
○竹谷課長 それは先ほど申し上げたとおり、個人農家だけがいいと言っているわけではありませんよ。最初に申し上げましたように、個人農家と農業生産法人を中心として法人形態の促進も行っております。
農業生産法人がいいというのは、農業との関連性が深く関連づけられている制度になっているから、その面で優れている。
○福井専門委員 株式会社は、やはり農業生産法人や個人農家よりは、耕作放棄をしやすいということですか。
○竹谷課長 離れていってしまう可能性が高いということです。
○福井専門委員 そういう懸念を想定するのは御自由ですけれども、もしそうであれば、アメリカやフランスで、少ないかもしれないけれども、株式会社形態のところではいっぱい耕作放棄地が発生してないとつじつまが合わないんじゃないですか。それを調べていただいたらどうでしょうか。
○竹谷課長 耕作放棄地の問題よりも、アメリカや何かでも一定程度法人形態を認めていますが、先ほどアメリカやフランスの例で申し上げましたように、それぞれの州なり、あるいはフランスにおいて、法人が入る場合のハードルがあるわけです。それは一定規模以下であるとか、あるいはちゃんと従事しているかといった要件を見ながら、それぞれの国で法人形態の運営をしていると。
○福井専門委員 勿論行為規制はいいですよ。だけど今は属性の規制のことを議論しているわけですから、会社経営という端的な営利企業があるわけです。アメリカだって、フランスだって、だから営利企業である株式会社形態がかくも左様に耕作放棄や土地投機をやるんだというような御主張であれば、現にあるアメリカとかフランスで、データを取るのも容易でしょうから調べていただいてはどうでしょうかというお願いです。
○竹谷課長 そのデータがあるかどうか後で調べてみますけれども、いずれにしましても、アメリカやフランスにおいても、農業生産法人と若干違う面もありますけれども、1つの方向としてどのぐらい従事しているんだろうか、あるいはどのぐらい資本として支配割合があるんだろうかということをチェックしながら参入させている。
○福井専門委員 セットで結構ですが、とにかく営利事業形態とそうでないところで統計を至急調べられたらどうでしょうか。そうでないと、想定に想定を重ねる水かけ論をやっても余り意味がないと思うんですけれども。
○川村局長 データがあるかどうかは、調べさせていただきます。
○福井専門委員 ちょっと別の観点なんですが、先ほど長く議論があったのは、所有のニーズが小さいから禁止してもいいという御主張のように聞こえるんですが、ニーズが小さいと、どうしてそれを禁圧してもいいということになるんですか。
○川村局長 ニーズが小さいということは、勿論1つですけれども、逆にこういうことを認めたことの弊害の方が大きいのでということです。
○福井専門委員 ニーズの件が論拠ではないということですね。弊害があるというのが唯一の御主張ですか。
○川村局長 そうですね。これは比較考量して制度をいじる以上は、やはりそれをやることのメリットと、やらないことのメリットを比べて、いい方を選ぶというのが……
○福井専門委員 そのリスクなり危険性が同じであれば、ニーズがあるかどうかどうかは農水省が決めることではなくて、当事者が決めることであるという前提の理解でよろしいわけですね。
○川村局長 プラス農地の場合はなかなか不可逆的なところがありますので、余り無謀な実験はできないということですね。
○福井専門委員 ニーズの件は余り関係がないということはお認めいただいたと思うんですが、そうしますと例えば9ページの資料なんですけれども、この新潟県の土地価格構造というので、市街化区域内等に至れば至るほど転用期待が大きくて地価が高いということを示されたいようなんですけれども、これはどういうことなんしょうか。この資料の意味がよく理解できなかったんですが。
○川村局長 1つはこういう価格差がありますので、企業として単に農業目的だけではなくて、転用期待を持って土地を取得されるということの十分危険性があるということ、それは1つとしてですね。
○福井専門委員 それはそうですけれども、その転用期待が市街化区域内の方が調整区域よりも高いというのは、これは個人農家にとっても、農業生産法人にとっても、企業にとっても、全く同じなわけで、だから企業が特に市街化区域内では転用期待と投機の目的の度合いが強いんだということにはならないんじゃないですか。
○川村局長 個人なりそういう自然人の場合は、先ほどとまた同じことになってしまいますけれども、農業継続の、農業を途中でやめるという危険性が我々としては少ないというふうに見ておりますし、農地法自体もそういう見方をしているということです。
○八代委員 農地法がどういう見方をしているか知りませんけれども、自然人は死んだり、高齢化するけれども、企業はそういうことはしないわけですね。だから、なぜ自然人の方が農地継続の可能性が高いというふうに思われるのですか。
○佐藤課長 私の方からお答えいたしますが、農地法の3条でいわゆる農業目的で農地を自然人が取得するという場合には、その許可に当たりまして私どもといたしましては、その自然人が耕作が本当にできるかどうかということで、いわゆる通作距離というようなことで、例えば2キロ四方に住んでいるとか、十分に耕作できるといったような心証を得た上で農地の取得を認めております。
今のこと敷衍しますと、例えば我々が恐れていますのは、8ページにございますように、今、この8ページと9ページをごらんいただきながら御説明したいと思いますが、1ヘクタールの農地取得価格というのは、8ページの中段にございますように、1,700 万かかるわけです。これは個人の場合ですと、田舎に住んで個人で農業をやろうという人で、1ヘクタールを一遍には恐らく買えないわけでございまして、そのために賃借権とか何かが非常に主流を占めているわけでございますが、これが先ほど私ども株式会社と個人とを比較させていただきますが、会社でありますと、株式会社でありますと、資本力が非常にございますので、1ヘクタールぐらいの1,700 万か何かのものについては、簡単にある意味では用地を取得できるわけでございまして、この取得した用地については、9ページにございますように、市街化区域内とかいろいろ書いてございますが、いわゆる他用途転用した場合には、相当な価格で利ざやが稼げますものですから、そういった形での取得というものが、どうしても出てきてしまうんじゃないかと。
○福井専門委員 それはわかりますけれども、別に何の用途だろうが、先々の収益性が高いものには高い値付けが付くし、高い値付けの付いたものが、本当にその値付けが正しいものであるならば、金融機関は喜んで担保を取って借金を受けるということになるわけですから、それは別に個人だろうが、株式会社だろうが、その収益期待については全く同じですよ。
更に言えば、9ページで、基本的におかしいのは、市街化区域というのは10年以内に宅地化を図るべき地域ですよ。都市計画法上、要するに本来そこに農地はあるべきでないという規範が土地利用規範が市街化区域にあるわけです。だから、そこの農地を守らないといけないかのごときこういう資料のつくり方はおかしいと思うのです。もともと……
○川村局長 決して、私ども……
○福井専門委員 最後まで聞いてください。もともと線引きのない市町村とか、あるいは調整区域というのは、もともと農林水産業的土地利用だということが土地利用規範なわけですから、それはもしそういうことが必要であれば、それこそもう一つの別の論点ですが、土地利用規制でちゃんとそういう区域に編入すればいい。市街化区域だという土地利用規範を示した以上は、それは住宅地の価格になるのは当たり前で、そこで農業をやっていること自体がおかしいということです。それに文句があるなら都市計画自体を見直すべきなんですね。
だから、これが意味するところはかなりずれているわけでして、本来必要であれば、農業を守りたいのであれば、調整区域なりにすればいいというだけのことじゃないでしょうか。
○佐藤課長 先生のおっしゃる後段の部分は、私どももそのとおりだと思っております。ただ、この9ページは、意図している趣旨は、先ほど局長の方から説明がありましたように、農地というのは本来農地の目的で永続的に農業経営をやると思えば、相当低い価格でしかこれは採算が合わないような価格になっているんだけれども、しかしながら住宅用地だとか、いろんな他用途の場合には、どうしても先ほど福井先生がおっしゃったようなことで高含みで取得されますから、どうもしてそこに利ざやを稼ぐあれが働いてしまうといったことを強調するためにつくった資料でございまして、市街化区域内の農地を守るというような意味でつくったようなものではございません。
○福井専門委員 それはわかりますけれども、だけど結局のところ転用期待が大きいとか小さいというのは、土地利用規制に連動している面はあるわけですから、やはり根っこのところは土地利用規制なり営農形態の行為の問題なんです。だから、この資料は力作だと思いますけれども、これ全体を通じても言えていることは、やはり市街化区域内とかは転用が大きいねとか、あるいは地価上昇期待が大きれば、土地投機が起こるねというだけのことであって、いい資料だと思いますが、言えていることというのは結局こういう規制は必要だねということの論証にはなっても、株式会社の土地取得はよくないことだねという論証には全くなっていないと思いますが。
○佐藤課長 21ページ、22ページ、23ページをごらんいただきたいんですが、実は先ほど農地への、自然人であろうが、株式会社であろうが、こういった不法投棄の問題や何かについてのいろんな御指摘もあったんですけれども、この事件について申し上げますと、この21ページ、22ページの埼玉県のものにつきましては、この業者につきましては、違反転用したわけでございますが、これは株式会社じゃなくて裸の有限会社、農業生産法人じゃない有限会社なわけでございますが、先ほど私ども懸念しておりましたのは、どうしても許可を取った上でこの残土を農地改良ということで埋め込んだわけなんですが、その許可以上のものを埋め込んでしまうといったような事態について、やったのは事実としては有限会社という企業組織だったということを申し上げさせていただきます。
○福井専門委員 勿論こういう悪い会社はあるんでしょうけれども、それは借地だったら絶対出てこないんですか。
○佐藤課長 借地の場合……
○福井専門委員 要するに、リースでは絶対こういうことは起こり得なくて、所有権なら起こり得るという命題は真なんですか。
○川村局長 必ずしもそちらが多いということではないんですが、多くなる可能性が高いということと、原状回復という面から見たときに、やはりリースの方がベターであるということです。
○福井専門委員 何でその蓋然性が高いんですか、株式会社の方がどうしてこういうことが起こる蓋然性が高いんですか。
○竹谷課長 それはさっき申し上げましたように、株式会社については全く要件を外してというお話ですから、農業から離れていく可能性が高いと、ただ農業生産法人の仕組みであれば、農業との関連づけ、従事義務等がありますので、そういった意味では農業から離れていく可能性が低いということがあります。
もう一つ、リース方式との関係で言えば、31ページの資料にございますように、所有権を市町村なりが留保している形であれば、原状回復などの回復措置が取りやすい差があるわけですけれども、しかし31ページの下の方にございますように、もし単なる買い戻し特約だけの場合であれば、それはなかなか原状回復の措置が十分に取り得ない、また時間がかかってしまうといった問題があるということです。
○福井専門委員 でも、それは、まず転用規制の方ですけれども、転用規制を強化する場合に、個人農家だって耕作放棄地が多いということは先ほど来話題に出ているとおりなわけですから、それは個人農家だろうが株式会社だろうが、転用規制が必要なときには、必要な場所でかければいいことで、それは株式会社だから特に転用規制が必要になる、あるいは株式会社だから特に対策が必要になるということにはなっていないと思うんです。 もう一つは、一般的に株式会社の転用規制を一切認めないというようなことは、憲法29条に引っかかるというようなことが書かれているんですけれども、憲法29条の理解が違うと思うんです。これは、公権力が無理やり土地を取り上げるとか、無理やり非常に極端な土地利用規制をするときに、それが財産権に内在する制約の範囲内かとか、あるいは補償が要るのかどうかという論点はあっても、当事者が合意して契約で結ぶ限りにおいては、それは全く私的自治の範囲です。
だから転用規制等についても、買い戻しについてもそうですけれども、それが受忍できる範囲で当事者が引き受けた義務でないということが前提になって憲法論が出てくるわけですから、この憲法論を持ち出されるのであれば、こういう学説とか、判例とかを具体的に教えてほしいと思います。
○竹谷課長 これは転用規制の法制度を仕組むとすれば、憲法との関係が問題になるという意味であって、私人間の転用の禁止の特約とか、そういうことではありません。
○福井専門委員 転用規制は、今でも調整区域というのは実質的に農地にしかならないわけです。例えば、宅地利用が絶対できないという厳しい土地利用規制は強権発動なのですよ。それから生産緑地だって何十年もの間、絶対に宅地利用ができないので、市街区域内だってものすごい規制があるわけです。それが違憲だという話は聞きませんよ、同じことです。
○竹谷課長 それは、それぞれの法目的で、その合理性の範囲はどこまで認められるかということですけれども。
○福井専門委員 だとしたら、その憲法論で、こういう立法が違憲だということを裏づけるような学説とか判例を是非教えてほしいと思うんですが。
○竹谷課長 その点につきましては、農地法制の議論として十分に議論されていますので、その辺の参照の資料を提出ことは可能だと思います。
○川村局長 ここに転用規制の強化というのを書いたのは、現時点でも既に農地法の世界で転用規制があるわけですから、多分おっしゃる趣旨というのは、今の転用規制を更に強化したらどうかという問いかけだと思って、現状から更に強化するということが。
○福井専門委員 現状でできるのにやっていないのであれば運用の問題かもしれませんよ。
○川村局長 前提にした上で更に強化するということが本当に認められるのかと。
○福井専門委員 現在の運用が甘いというのではなくて、法制度的に今の法令では対応できないことがあって、更に厳しいことをやる必要があるのならおっしゃるとおりだと思います。
あともう一つだけ、最後の31ページに「?買戻特約付き譲渡の場合」というところで、市町村の同意がなくても、業者への委託で土壌改良を行うことができるということが書いてあります。市町村の同意とか、あるいは不同意ですが、市町村の同意という形態がいいかどうかはともかくとして、何らかの形で委託をする場合に枠をはめるということは、今だって立法政策上簡単に仕組むことができるわけで、同意に該当するような何らかのチェック措置を介在させれば、こういう同意が絶対に付けられないからだめだということにはならないと思うんですが、いかがでしょうか。
○佐藤課長 福井先生の今の御質問なんですが、我々はこちらの方からも出ておりました買戻特約を付けた方式で、こういったようなことができないかということで、我々なりに思考してみたものなので、その際、我々といたしましては、買戻特約というのを農地の所有者である農家から企業がいきなり買って、それで企業が農業経営に供するというような事例があるんですが、そのときに企業と農家との間で買戻特約を付けたとしても、これは非常にうまくいかない。そうすると、やはり今と同じような、市町村の貸付方式を準じたような形で市町村が参入企業に譲渡して、そのときに買戻特約を付けると。
その際、何かこういった買戻特約を仮に付けたとしても、こういう土地改良と言いますか、肥料や何かを入れるというようなことで第三者か何かに委託した場合に、賃借でありますと、市町村というのは所有権を持っておりますから、どういう状態でも原状回復や何かができますけれども、一旦買戻特約を付けて売った場合には、所有権者は参入企業になりますものですから、参入企業というのが市町村の同意がなくても、結局土壌改良事業者との間は、委託契約は有効に成立してしまいますから、そうしますと、いろんな原状回復が難しくなってくる事態が出てくるといったような資料でございます。
その際、委託か何かする場合には、市町村の同意を得なさいというようなことを法律上、今、先生は可能ではないかというような御指摘ですが、我々としては、これは果たして農地法制の延長だけでこういうことができるのかどうかというのは、かなり法技術論的に見て困難ではないかというふうに思っております。
○福井専門委員 そこは、また細かい詰めは別途あり得ると思います。
要するに大きな論点は、買戻にせよ、行為規制にせよ、具体的に属性ではなくて、なされる行為が悪ければ、その悪いところの根っこをたたけばいいということなんです。だから、技術的にいろいろ難しいという屁理屈は幾らでも立てられますけれども、そういう論点ではなくて、例えば買戻であれば、市町村が直接買い戻すというようなバリエーションだって、立法措置を講じればあり得るわけです。それが可能かどうかは、当該市町村が、やはり優良農地を確保したいと思っているかどうかというイニシアチブにかかっているわけですし、また、仮に私人の売買だったとしても、買戻をしてもいいと、要するにこれは耕作し続けてほしい土地だから売った後でもちゃんと買戻をしたいんだと思っている人がいて、買い主の方もそれで構わないと言って、断然これは農地として使い続けますと確約している人が、そうならなければ買戻に応じるという合意をしているときに、おっしゃる趣旨はそういう了解事項を全部禁圧すべきだということにほかならないんです。それは行き過ぎではないですかということです。 一応、お返事だけいただきたい。
○佐藤課長 禁圧とか何かではなくて、そういうようなバリエーションというのも法制度論と言いますか、1つの論理的な展開のケースとしてあるかと思うんですが、やはり法制度と運用実態とをよくよく考えてみた場合に、特に後者の方の農地の所有者と、参入企業との間の契約で買戻をやればいいじゃないかということになりますが、要するに結局売った人が買い戻すということは、売買代金、売ったときの値段で買わないといけないわけですから、その措置が単なる特約で買い戻すことができるということになっておりますから、何かあったときには必ず買い戻すという形が法制的に担保できなければ、それはなかなか制度化することは難しいんではないかというふうに思っております。
○福井専門委員 だから民法だけが立法の唯一の解ではないんですよ、現に農地法で私的所有権の移転についてもいっぱいバリエーションを設けているでしょう。それは立法政策には裁量があるということです。
○竹谷課長 立法政策に裁量はありますけれども、今、おっしゃったような複雑な法制、または原状回復の実態可能性から見て、そういう法制は本当に妥当なのかなというところは非常に疑問だと思います。
○福井専門委員 リースしか認めない方が、よほど複雑で奇怪な法制だというのが我々の見解です。
○竹谷課長 それはリースの方式の方が、農業経営の収益性から見て優れているんではないかということと併せて考えまして、現在提示しているものが。
○福井専門委員 そういうことを言われるとまた元に戻るんですが、農業経営の収益性が優れているのは、どの形態かというのは、土地利用の当事者が決めることです。デメリットがあるんならそれは議論をしていいですけれども、どちらの方がいいかということは、所有の方がいいと思っている企業は現にいるわけですから、現に特区でもニーズがあるわけです。ですから、それを頭から否定する議論は、ここではやめていただきたいと思います。
○竹谷課長 そうはいかないんで、その点はリース方式と取得方式との収益の問題の比較があり、また十分な収益が期待できないにもかかわらず取得方式でやるということは、他の意図があるのではないかということが非常に懸念されると思う。
○福井専門委員 健全な意図があって、収益があるという企業がいたときに、それを禁止する合理性はどこにあるんですかということです。
○川村局長 ニュートラルに議論をすれば、確かにニーズがあるとか、ないとかというところなのでしょうけれども、現実に農地を守っていって、それから有効利用を図っていくという現状を前提にしてということにすれば、まず、一般を認めることの弊害。
○福井専門委員 だから、弊害は議論しましょうと何度も申し上げております。だけど所有権のニーズなんかないはずだ、企業の特区申請で、現に所有権を持ちたいという企業に、おまえの経営判断は間違っているんだというごとき主張は、かなり不遜な主張だと思います。
○八代委員 それから忘れておられるんですけれども、これはリースであろうが取得であろうが自治体が関与しているわけで、その自治体がきちんと地元の状況を踏まえて、特区を要請しているわけですから、その自治体にきちんと任せるということは一切認められないと、そんなに自治体を信頼されないわけですか。
○川村局長 自治体というよりも、やはり実際に使う使用者、そこがどういう行動をするかということだと思います。それは市町村が介入するからすべてが担保されるということではないと思います。
○福井専門委員 さっきから結局、フランスでもアメリカでも例がなく、実例がなくて御主張されている印象を強く持っているんですが、本当に所有の方が、確たる証拠がなくて弊害があるというふうに主張されているのが現段階であれば、それこそ特区でやってみることに何の支障があるのか、あるいは全国展開でも失敗すれば、また変えればいいということです。
要するに、わかっていないから絶対に一歩も進まないというスタンスは、やはり政策論としてはおかしいと思います。
○佐藤課長 お言葉ですが、先生、それが先ほどから私らが申し上げておりますように、弊害である今の不法投棄や何かの実態で、市町村に任せたらいいじゃないか、試験的にやってみたらいいじゃないかという御提案なんですが、ここにもございますが、非常に弊害というのが周辺の農地を盛り上げてしまって、水が流れなくなったりして、これが一市町村で済むんではなくて、下流域の市町村や何かにもいろいろと影響していくということで、この場合については、農業経営あるいは環境問題といった面で、非常に大きな影響を与えるということで、これについてはやはり慎重に考えていかなければいけないんではないかというふうに我々としては考えております。
○福井専門委員 それはそのとおりです。しかし、それは要するに産廃規制に問題がある、あるいは産廃の運用に問題があると考えるべきであって、株式会社であることがこれと直接連動しているという証明には何らなっていないということです。
○稲葉専門委員 そういう御主張をされる裏には、先ほどからずっとお伺いしていると、農業はビジネスとしては成り立たないという御判断があるように思われるのです。経営すれば必ず失敗するに違いない、だから最初から遊休地になることを承知でやっているというような御主張があったように思うのですけれども、農水省としては、農業というのは全然ビジネスチャンスがない、そういう産業だというふうに考えていらっしゃるのですか。このことをまず第一にお伺いしたい。
第二に、これまでの議論は弊害面の指摘だけなのですけれども、何事でも変えていけば弊害は、当然ある程度出てくると思います。一方でプラス面の議論を全然していないのは気になります。
まず、第1ページ目に立ち返ってみますと「農政の基本方向」はこういうことが書いてあり、法人形態の農業経営は有効であると認識されているようですけれども、その認識に対して、下に書いてあるような対応で、必要にして十分だと思っていられるのかどうか。
例えば、私の今、住んでいるところの町村部へ行きますと、農産物直売所なんていうのはいっぱいあって、かなり盛況なのです。けれども、私の目から見ますと、少し安くて新鮮だと、場合によると安全だという面もあるけれども、それだけしかアピールしていないのです。
食料品は、私たち消費者から見ると、生産コストの何十倍もの価格を払っていると思うのです。そのビジネスチャンスは、最初の生産の部分からあるはずです。ここには余り書いてありませんが、商品の企画ですね、差別化、そういうことが十分に行われていないのではないですか。こういったような自作農をやっている方が4分の3というような体制でそういう企画がうまくできるのかどうか、その辺をどう考えていらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。
あと資料としてお伺いしたいのが3ページです。「株式会社形態の農業生産法人」で所有権とその他というのを分けておられて、面積からいうと2割だと言われています。所有権だけでやっていらっしゃるところも随分あるわけです。割合から言うと3〜4割ぐらいあるような感じです。それとその他とで経営上の違いがあるのかないのかということは何らかの形でデータをお示ししていただきたいと思っております。
あと印象としては、こういう大きな産業のことを論じているときに、平均値だけでいろんな議論を進めていくことは、余り関心いたしません。また、平均値で議論を進めておいて、弊害の話になると極端な事例を出してくるというのも、ちょっといかがなものかと思いますが、バランスとしてはメリット面をどう評価するのかと、その辺をお聞かせいただきたいと思っています。
○川村局長 まず、ビジネスとして認めていないのかどうかというお話ですが、これは我々は、冒頭申し上げましたように、法人形態というのは、非常に有効な手法であるということでございまして、これはまさに法律上も位置づけ、基本法にも位置づけて、しかもそのための施策として次から次へ手を打っているわけで、それも具体的に効果として、我々は数字で出てきていると思っていますので、それはビジネスとして十分チャンスがあるというふうに認識しております。
それから弊害論を言うのは、特に現場の声もございますが、やはり農業の土地利用、水利用というものを考えたときに、少し荒っぽい実験というのは、なかなか現実問題としてできない。ですから、一歩一歩いろんなことを検証しながらやってきていると。しかし、最近はかなり急テンポでいろんなことにトライしてきているということは、今、御説明したことで御理解いただきたいと思いますので、プラス面は十分認識した上で、かといって弊害というものが想定される場合には、やはり我々の基本的なスタンスとしては慎重にならざるを得ない面があるということは御理解いただきたいと思っています。
それから3ページの資料につきましては、まだスタートしたばかりなので、経営分析まではなかなかできない状況ではないかなと思いますけれども、そこは今後十分やっていかなければならない部分だと思っております。
○稲葉専門委員 実態としてメリット面が十分生かされているとはとても考えられないですし、仕組みとしてもこういう生産法人の仕組みでは、マーケット重視型の経営は、なかなかやりにくいのではないかと考えるんですが、いかがですか。
○佐藤課長 今、先生の方からマーケティングのお話や何かが出ておりますが、せっかくですので御紹介したいんですが、2ページをごらんいただきたいんですが、先ほど局長の方から説明がありましたように、現在、いわゆる個人経営ではない、生産法人の形態というのが6,547 法人できておりまして、この6,547 の法人というのは正直なところ農業の生産だけをやっているわけではございません。
あとの5ページの方にも出てきておりますように、事業の要件で法人化したのは、実は農業生産だけではなくて、自分で自ら売るということで加工販売とか、あるいは民宿業といったいろんなものに、まさに農業を中心としたビジネスチャンスにトライするといったようなことで、こういった農業以外のものと一緒になってやっておるような生産法人形態というのが増えてきておりまして、先ほど申し上げましたように、決して私どもは企業経営というものがおかしいと、そんなようなことは全然思っておりませんので、この点について十分御理解いただければと思っております。
○稲葉専門委員 2ページ目の資料では、株式会社は今規制があるのだから少ないのは当然なのですが、一般の社会では、有限会社とか、合名・合資会社が少ないのはそれなりの理由があるわけで、株式会社を認めないという論拠にはならないのではないですか。
また、先ほど不法投棄の話で、いろいろ事例が出てきましたけれども、これは何度も議論に出ているように、要するに最初の転用の規制が甘い。、甘いと言うよりも、なあなあでやっているところがあるからなので、そこのところをきちんとやらなければだめです。それから規制を効果的に守らせるためには、規制の強さばかりではなくて、規制を受ける側の社会的信用も影響します。一般論としては株式会社の方が社会的信用が大きいので、関連事業をやっているから、そういうところにやらせると不法投棄が多くなるというのは、これは珍妙な議論だと思うのです。
行為規制をきちんとするとともに、規制を受ける側の社会的信用ということも加味して行政を展開していただきたいなと思います。
○宮内主査 時間が参ってしまいましたので、いろいろ御議論があろうかと思いますが、最後に何か局長の方から追加的にございましたら、手短におっしゃっていただければと思います。
○川村局長 追加的というか、我々は冒頭にも申し上げたとおり、門戸を閉ざしているわけではなくて、まさに農業関係は株式会社をやろうとすれば、幾らでも我々はできるというふうに思っていますので、現実にそういう事例が増えていますから、これはとにかくまだ規制が残っているからということではなくて見守っていただきたいと。
それからまた特区も、我々としても非常に積極的に取り組みましたし、現実に今、申請が上がってきつつあるので、そういうことをよく見守っていただきたいということを最後にお願いを申し上げたいと思います。
○宮内主査 意見がたくさんございまして、今日、お聞きいただきましたように、相当隔たりもあるんではないかというふうに思うわけでございます。
私個人的な感想でございますが、農水省は規制改革につきまして、ここ数年大いに努力を払ってこられたということは、まさにそのとおりだと思いますけれども、恐らく日本の経済、日本の社会が要求している、あるいは国際的な立場の中での日本の農業ということを考えますと、これまでの御努力にもかかわらず、もっと大急ぎで大幅に走っていただく必要があるんではないかと、それのすり合わせがこの場ではなかったかというふうに思います。
その中で、今日は論理的な形での規制、あるいは実証に基づいた形での法体系というようなものにつきまして、追加で御質問させていただいた点がかなりございますので、その回答の中にお含めいただければ大変ありがたいと、このように思っております。
今後とも引き続き議論を深めさせていただく機会を持ちたいと思います。
今日は、御多忙のところおいでいただきまして、大変ありがとうございました。