○宮内主査 大変長い間お待たせいたしました。
それでは、残りました時間、本日の2つ目のテーマに入らせていただきたいと思います。株式会社等による特別養護老人ホーム経営の解禁につきまして、厚生労働省との意見交換を行いたいと思います。
本日は、御多忙のところではございますが、厚生労働省から中村老健局長を始め、御担当の皆様方においでいただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本テーマにつきましては、資料3の1ページにございますように、昨年夏の特区の第一次提案を受け、既に、4月1日から施行されております特区法におきましては、株式会社など社会福祉法人以外の法人が特別養護老人ホームを設置したり運営したりすることができるようになりました。
ただし、その場合でも株式会社等が行える事業は、地方公共団体の一定の関与がある場合、すなわち、ひとつは、PFI法に基づき、地方公共団体等から選定された事業者による特養ホーム施設の設置及び運営事業、いわゆるPFI事業。
2つ目が、地方公共団体等が設置、所有する施設について、その運営を受託して行う事業、いわゆる公設民営事業、この2つの場合に限られております。
こうした中で、本件に関する今後の規制改革の方向性といたしましては、次の2つが挙げられると考えております。
1つは、資料3にもございますように、特区で認められましたPFI、公設民営方式をいち早く全国展開するという方向性でございます。
本件は、各地域から多くの提案のある事項でございますから、これこそ特区本部による評価委員会の設置を待つことなく、できるだけ早く全国規模での改革に結び付けていく必要があると、このように考えております。
もう一つの改革の方向性は、少なくとも特区内においては、PFI方式や公設民営方式に限らない、一般的な株式会社等による特養ホームの設置、運営を認める、すなわち民設民営方式を容認していくという方向です。
本年1月に締め切られました第二次提案におきましても、東京の区部などから要望があったようでございますが、地方自治体のできるだけ少ない関与の中で、迅速に特養ホームを建設し、入所待機老人を急激に減少させるためには、各全国の自治体等にとりましては、本件は非常に緊急な課題であると考えられるわけであります。
こうした点も踏まえまして、本テーマにつきまして、ただいまから厚生労働省との意見交換を始めますが、まず、お考えにつきまして簡単に御説明を頂戴いたしたく思いますので、 よろしくお願い申し上げます。
○中村老健局長 厚生労働省の老健局長の中村でございます。
今、宮内主査からお話のありました特別養護老人ホームにつきまして、資料を提出させていただいておりますので、計画課長から説明させます。特別養護老人ホームにつきましては、いろんな論点がございますので、その論点と、2000年4月から介護保険制度が実施されておりまして、特別養護老人ホームに関連します施策の動向がございます。
グループホームが急増しておりますこととか、特定施設と言いまして、介護保険の方から介護力のある施設に対して、特別養護老人ホーム以外の施設に対して給付がなされるようになっておりますが、その特定施設が、対前年同月比で4割ほど給付費が増えているという伸張がございます。それから、特別養護老人ホーム自体につきましても、従来の特別養護老人ホームではなくて、全室個室で家賃を負担していただくユニットケアというものが実は出てきております。これは最初に述べましたグループホーム、これは1年間で倍、倍というように増えてきているわけですが、その動きと関連しますので、そのことを少し御説明させていただきます。そして最後に、今、特別養護老人ホームへの株式会社参入等の見直しについて主査からお話がありましたが、介護保険制度施行後、5年を目途に見直しをするということが定められておりまして、私どもは特別養護老人ホームに限らず、施設と在宅の在り方、すべて根底から見直しを迫られておりますので、そういったことについて3点ございます。
「1 特別養護老人ホームめぐる論点」と「2 介護保険制度施行後の動向」と「3 見直しの方向」について御説明させていただいた上で、御意見を賜わりたいと存じます。どうぞよろしくお願いします。
○石井老健局計画課長 計画課長の石井でございます。それでは資料に沿いまして、ポイントを御説明申し上げます。
まず「1 特別養護老人ホームをめぐる論点」ですけれども、大きく3つあると考えております。
まず、第一ですけれども、特別養護老人ホームへの入所というものが、高齢者が自立した生活を営むという観点からは問題があるということを思っております。介護を要する状態になりましても、残された心身の能力を最大限に活用して、できる限り自立した生活を送りたいということは誰しも共通の願いであると思います。
そして、これを実現するためには、この資料の冒頭に書いておりますけれども、慣れ親しんだ環境と、なじみの人間関係がある地域社会、この地域社会で暮らし続けることができるようにすることが必要です。
ところが、特別養護老人ホームに入所する高齢者は、こうした地域社会から切り離されて、在宅での暮らしとは大きな落差のある生活を余儀なくされております。
具体例を申し上げますと、例えばハードの面では居室は4人部屋であるとか、自宅にはないような長い廊下が走っているという大きな環境の違いがございます。また、いわゆる集団生活ということになります。
こういう中では、在宅では自分でできたこと、あるいは時間をかければ自分でできること、また、ちょっとした、その方に合ったサポートがあれば御自分でできることが特別養護老人ホームに入所した場合にはできなくなってしまう。あるいは精神面で言いましても、自分でやってみようという意欲というものがしぼんでしまうという問題があると考えております。
参考として、内閣府が行った調査結果を抜粋しておりますが、虚弱化したときに望む居住形態という調査結果でも、現在の住宅にそのまま住み続けたいという選択肢を選ばれた方が一番多く、比率にしまして約36%というデータも、今申し上げた点と関係深いものと理解しております。
○宮内主査 あと10分ぐらいでおまとめいただければと思います。
○石井課長 わかりました。それから第二でございますけれども、特別養護老人ホームへの入所が必要なケースは減らすことが可能であるということです。
2つ目の○でございますけれども、そもそも特別養護老人ホームは常時の介護が必要だけれども、在宅ではこれを受けることが難しいという高齢者が入所するための施設です。
言い換えれば、どうしても在宅では支え切れない、そういう高齢者が入所なさるのが特別養護老人ホームということです。
したがいまして、ここに書きましたように、在宅サービスの厚みを増して、在宅での生活を支えることができるようにしていけば、特養に入所しなければならないケースというのは減少するわけです。
介護保険制度の導入で在宅サービスの提供は著しく伸びております。1点目で申し上げたことと併せて考えますと、採るべき施策の方向性は、在宅サービスの拡充ということにあると考えております。
3つ目は、特別養護老人ホームの整備は、介護保険料の額に大きな影響を及ぼすということです。
要介護の高齢者が特別養護老人ホームに入所した場合に、介護保険から施設の方に、大体1か月当たり28万円といった金額の支払いが行われます。その財源は、公費と保険料ですけれども、そのうちの保険料ということで資料には書きましたけれども、人口1万人の市町村で、特別養護老人ホームの入所者が新たに10人発生した場合の試算では、保険料が月額235円引き上がるという計算結果が出ます。
この235円という金額は、全国平均の保険料が約2,900円ということに照らしますと、決して小さい額ではないと考えております。
以上、申し述べましたように、地域社会から切り離して、大集団での生活を高齢者に余儀なくさせるような施設サービスは、今、見直すべき時期を迎えているという認識でございます。
2ページでございます。
「2 介護保険制度施行後の動向」は、特別養護老人ホームの見直しに当たりまして、特に注目すべき動向ということで3点申し上げたいと思います。
1つがグループホームの急増です。最初の○に書きましたように、少人数の痴呆のお年寄りが家庭的な環境の下で共同生活を送りながら、それぞれに残された心身の力を最大限に生かす上で必要なサービスを受けるというものでございます。サービス面、ハード面ともに特別養護老人ホームとは大きく異なる特徴がございます。サービス面では、ここにありますような。
○八代委員 議長、こうした現行制度についてのご説明は本日の議題とどういう関係があるのか、全く聞いていて理解できない。議論の時間がなくなりますので、もう少し簡単に言っていただくようにお願いしたいと思います。
○石井課長 では、テンポアップいたします。
今、八代先生からは関連ということでございましたけれども、グループホームでは、今、少し言いかけましたけれども、特養ホームとは大きく異なる特徴を持った、そういう新しいサービス形態というものが、介護保険制度の施行後、著しい伸びを示していると、これを申し上げたいわけでございます。
割愛いたしますが、サービス面の特徴、ハード面の特徴ございます。コンセプトでキーワードを申し上げれば、在宅に近い環境で引き続き住んでいただけるように、ハードもソフトも用意をするということでございます。
経営主体ということで触れますと、下の方の○の2つ目の黒ポツですけれども、経営主体の法人格の種類には制限はございません。介護保険の給付との関係で申し上げますと、介護サービスの部分につきましては、介護保険から介護報酬を給付する。これは特養ホームの場合と同じでございます。
その下、食費でありますとか、家賃・光熱水費、これらにつきましては、入居者の自己負担ということになっております。著しい伸びということで申し上げましたけれども、一番下にありますように、12年3月、介護保険制度施行直前に300 弱でありましたものが、一番新しいデータでは、2,600 ということで、約十倍近い伸びということでございます。
○宮内主査 今日の論点のところをお話いただけますか、そうでないとちょっと時間がございません。
○石井課長 主査、お話を申し上げようとしておりますのは、7ページまででございますので、あと5分程度でお話できるかと思っております。
今の御指摘を踏まえまして、ポイントを絞ります。
2つ目の動向ということで申し上げたいのは、3ページの特定施設というものが伸びているということでございます。有料老人ホームでありますとか、ケアハウスなどの軽費老人ホームが、特養ホームと同程度の介護職員を置いて介護サービスを提供するということであります。
特養ホームの場合には、要介護にならないと入居できないわけですけれども、この特定施設の場合には、要介護状態になる前に入居ができる。入居後に要介護になってもそのまま住み続けることができるという安心感があるというのが大きな特徴でございます。
2つ目の○が経営主体の法人格の関係、それから介護保険の給付でございます。グループホームの場合と同様、食費、家賃、光熱水費、これは入居者が負担をするということで特養ホームとは異なっております。
また、この特定施設の関係では、3つ目の○にございますが、ケアハウスの中でも新型ということで、新しいタイプのものに今、力を入れており、伸びつつございます。 このケアハウスは、もともとは入居者の方が介護サービスを必要とする状態になったときには、外部から訪問介護を呼ぶというようなことを想定しておりましたものを、先ほど触れました特定施設の仕組みを使いまして、そのケアハウス自らの職員が介護サービスを提供するという新しいタイプの活用です。
介護サービスも一番下にございますように、ユニットケアということで、少人数単位、家庭にできるだけ近いようなケアをしようという新しいものです。
4ページですけれども、これを伸ばそうということで、平成13年11月には規制緩和いたしました。株式会社による経営が可能でございます。また、PFIを通じた整備の推進ということで、BTO方式の場合には整備補助の対象にするということで措置を講じております。
中間所得層の方に主に使っていただこうというねらいでありますし、自治体の方にも特に目標の数字というものを示してございます。
現に、4ページの一番下の行にございますが、早速4つの自治体で、このPFIを使った形で、企業が新型ケアハウスを実施するというプロジェクトが進行中です。
急ぎます。動向の最後の3つ目でございますけれども、5ページです。ユニットケア、これを特養ホームの場合には制度化をいたしました。これは昨年度の平成14年度からでございます。
これは冒頭の論点の最初に申し上げました特養ホームへの入所が高齢者の自立の点から見た場合に問題があるのではないかということとの関連がございます。
○八代委員 度々済みませんが、幾ら議長からお話があっても、一向に変わりませんので、逆に、おっしゃりたいことは要するに高コストの特養はこれ以上増やしたくない、むしろ在宅とか特定施設の方にシフトしたいと、したがって、株式会社が特養を経営するのは極力減らしたいと、これに尽きるのではないですか。
○石井課長 八代委員からお話がありました点は、7ページに関わりがございますので、7ページをどうかご覧いただきたいと思います。
八代委員からは、今、要約した形での御指摘がございました。私どもは、そういう詳細な議論を是非これから精力的に進めたいと考えておりまして、まず「1. 5年後の見直し」ということでございますが、これは介護保険制度が平成12年度からスタートしております。その際の法律の付則で、施行後5年を目途に全般的な見直しをすべしという政府に対する宿題をいただいておりますので、これを早速始めようということで、先月19日にその議論をしていただくための専門の部会を社会保障審議会に設置していただきました。近々に議論をスタートさせたいということでございます。
今申し上げましたのは、主に制度論の5年後の見直しでございますが、次に「2. ポスト『ゴールドプラン21』の策定」と書いてございます、向こう5年間の高齢者保健福祉の基本的な施策の方向、これを平成12年度をスタートにする形で現行プランを作ってございます。平成16年度までが現行プランでございますので、ポスト「ゴールドプラン21」ということで、平成17年度以降の高齢者の保健、福祉の施策、どういう方向に基本方向を持っていくかということを議論し、またまとめていきたいということで、これも3月から具体的な議論を始めておりまして、有識者の方々による高齢者介護研究会、これを既に3回開いております。また、さ来週にも4回目を予定している次第でございます。
ということで、八代委員から再三御指摘いただいて恐縮でございます。私どもとしては、こういう5年後見直し、それから平成17年度以降を射程に入れましたポスト「ゴールドプラン21」というビジョンを描いていく中では、御指摘の点に関係の深い論点として、この7ページの下の方の3点があると考えております。
地域密着の小規模で多機能、こういうサービス拠点というものをいかに構築していくことにするのか、それから施設でも自宅でもない第3のカテゴリー、これは現行制度で申し上げますと、さっき触れたグループホームであるとか、特定施設というものがございますが、そのようなものを含めまして、これまでの自宅か施設かという二元論ではない第3のカテゴリーというものを検討していきたい。
また「? 既存施設体系の整理」と書いてございます。現在の介護保険3施設につきましては、御案内のように、老人福祉法から来ております特別養護老人ホームと、老人保健法から来ている老人保健施設、それから医療法から来ております介護療養型医療施設という3タイプございます。これを3施設相互の関係でありますとか、さっき触れました第3のカテゴリーとの関係で、総合的に見直していこうという方針でございます。経営主体の在り方についてもこういった課題を整理する中で議論を進めていきたいということでございます。 以上でございます。
○宮内主査 ありがとうございました。それでは、本件につきましては、既に特区ワーキンググループで先行的な議論が行われたところでございます。そういう点も踏まえまして、同様の観点からの議論になるかと思いますけれども、私どもの方では御担当いただきました八代委員と福井委員から口火を切っていただきたいと思います。
○八代委員 おっしゃる点はよくわかるわけで、もともと介護保険というのは、利用者による自由な選択を前提としており、施設介護も在宅介護も、本来は利用者が自由に選択すればいいという考え方になっていたはずだと思いますけれども、実際は特養に対して非常にニーズに高い、しかも特養というのは非常にコストが高い。だから介護保険財政がパンクするから何とか抑制したい、ましてそこに株式会社を入れるのはとんでもないというご趣旨だと思います。ただそうしますと、結果的に特養というのが既存の社会福祉法人の独占になってしまって、当然サービスが悪くなる。競争が働かないと、この問題を何とかしなければいけないという点について共通認識を持っていると思います。
なぜ株式会社の参入が必要かというときに、これはほかの病院等でも同じでありますけれども、つまり競争がなければ当然コストが高くなるわけです。この資料にある東京の区部の例を見ましても、つまり特養だと工事代金が非常に高く、1坪100 万円ぐらいすると、それを例えば企業では半分ぐらいで押さえられると、これは要するに特養の場合は4分の3補助をもらえますから、仮に、非常に高いコストで作っても、全然経営者の方が困らないというような問題点があって、そういう意味ではきちんと企業の参入をすることによって、建設コストの削減ということにもつながるのではないだろうか。
ですから、社会福祉法人と全く同じ経営効率の企業を参入させれば、全体的に介護費用が増えるだけでしょうけれども、もっと代替を進めることによって、結果的には厚生労働省の考えておられる政策とも決して非整合的ではないのではないかということが第1点でありますが、その点についてどうお考えになるか。
もう一つは、特区について公設民営方式で認めていただいたことは非常に評価するわけですけれども、このときに自治体がPFIとか、公設民営方式で全面的に関与するわけですね。そうであれば、もともと企業にともなう問題というのは少ないはずであって、直ちに全国展開できるのではないだろうか。具体的に言うと、どういう点の障害を特に考えられているのか、評価の点についてです。
つまり、このように自治体が全面的に関与する方式の下で、企業が、株式会社が特養ホームの経営をしたときに、例えばどんなことが起こるのかという一つの仮説みたいなもので結構ですけれども、それを示していただきたい。
それが自治体が直接関与しない社会福祉法人と比べて悪いものになるのか、むしろよくなる可能性の方が高いのではないか、基本的に言いますと、現行の社会福祉法人でもさまざまな不祥事が起こっているわけですね。
ですから、そういう意味で、それを全国展開を直ちにするということに対して、どういう不都合が生じるかというのが第2点であります。
それから3番目には、民設民営方式というのを議長がおっしゃいましたけれども、例えばそういう自治体の関与の仕方を、これは私の私案でありますけれども、賃貸方式だけではなくて、例えば自治体が株式会社に出資、あるいはその株式を取得するような形で、株主として経営に介入するという方式があったとした場合に、それによって結果的には公設民営方式と似たような形で、企業の行動に対して自治体が株主として関与することができる。そうであれは、もっとPFI、公設民営方式という非常に時間のかかる方式ではなくて、もっと短時間の形で企業が特養とか、それを経営するような可能性があると。そういうようなもっと多様性を認めたらどうだろうかという点について、これは特区の中での話でありますけれども、この3点についてお聞きしたいと思います。
○石井課長 まず、特区について2つ御指摘がございました。今回私どもが特区で企業にも特別養護老人ホームの経営をしていただける途を開きました大元の考え方は、資料で言いますと8ページに載っております。
8ページの下の方の○ですけれども、私どもが特区で途を開くに当たりまして、御指摘のありました公設民営、またはPFI、このいずれかに限りましたのは、利用者の保護が目的でございます。
これは、一つひとつの株式会社、一つひとつの社会福祉法人を比較してということではなく、そもそも社会福祉法人という法人形態と、それから株式会社という法人形態で、やはり規制の程度、行政による監督の程度が違います。その規制や、監督の程度が違う現状に照らせば、利用者を保護するという目的を果たすためには、社会福祉法人に対する行政の監督と、かなり近い程度の行政の関与を残す形で途を開くことが適当であろうということです。その具体的な表われが、一つが公設民営であり、もう一つがPFIということです。
PFIの場合はそれに当たるのかという御疑問があるかもしれませんが、PFIは、自治体が事業実施方針を立て、具体的な計画を示し公募する。それに応じた企業の中からいろんな審査項目をクリアしたもので一番いいところに事業者決定をするという形で、これは事前に当該自治体とPFI選定を受けた事業者との間には、詳細な事前の関与が生まれるわけです。その辺を通じて、行政としては監督が行き届いた形で守れるという点に着目したのが、この考え方の背景でございます。
それから、民設民営ということで、例えば自治体が株主として介入する方式という御提案は、正直申し上げて今初めてお聞きしたお話であります。
ただ、先ほど申し上げましたが、私どもとして一番大事にしたい考え方は、利用者の保護が図れるか否かということでありますから、自治体が株主として介入するという関与の程度というのが、利用者の保護に欠ける事態を未然に防ぐことができるかどうか、そこに係ってくるのだろうと思います。
詳細は勉強しなければなりませんけれども、一般的な第一印象で申し上げれば、なかなか株主としての関与というものには限界があるのではないのかなと、そんな印象を持っております。
それから、最初に御指摘がありましたが、企業に途を開くと言っても、社会福祉法人が持つ非効率をそのまま持ち込む形で企業が入るわけではないという御指摘でありました。 1つの例としておっしゃったと思いますが、建設コストのお話がございました。ただ、建設コストという点で申し上げれば、坪100 万円というお話がありましたが、現実、皆が皆100 万円で、まさに非効率な建設をやっているわけではないと思います。八代委員の耳に入ったケースがどのようなものかはわかりませんけれども、社会福祉法人がやっていくという中で、効率的な運営、あるいは施設整備をやるということも、これもそういう誘導ができるわけでありますから、何か社会福祉法人はすべて非効率であり、企業を入れて競争をさせなければ効率性の向上ができないのではないかという御指摘であれば、そこはいささか考え方を異にする次第でございます。
○八代委員 補足ですけれども、競争がある場合とない場合でどちらの方が効率性が高まるというふうにお考えですか。
○石井課長 一般的には競争がある場合だと思います。ただ、施設整備の場合も、私たち自治体の方に言っておりますのは、工事の契約方式、これは自治体が発注する公共事業と同じような形でやってくれということで、一般的には随契ではなく、競争入札をしておるわけであります。
ですから、整備費のことでの御指摘であれば、そこには競争が全くないという意味での御指摘があるのであれば、ちょっと実態が違うのではないのかなという気がいたします。
○八代委員 公共工事と同じ競争の程度では、甚だ不十分だと思っております。
それから数字を是非お願いします。先ほどのご説明では、現在の社会福祉法人がつくっている特養の1坪当たりの建設コストについての数字は当然押さえられているはずですから、それを後で資料でお願いいたします。
○石井課長 後ほど提出いたします。
○福井専門委員 社会福祉法人に、例えば出資のような形で自治体なりからお金が入っているということはあるのですか。
○石井課長 社会福祉法人への財産提供というのは、法人に対する寄付でございますので、福井委員がおっしゃった趣旨が持ち分という概念を伴い、あるいは配当とか解散時の財産分与というものがあるのかという御指摘であれば、現行制度上はございません。
○福井専門委員 そうすると、現在、特養を民間では社会福祉法人に限っているということのポイントは行為規制にある、ここの8ページの参考に示されたように、3つ挙げられていますけれども、このような行為規制が、主体を限るときの一つの要件だという理解ですか。
○石井課長 公益でございますか。
○福井専門委員 いや、行為に対する規制です。
○石井課長 例えば参考で3つ黒丸があります1点目で、これをさっき申し上げたつもりですが、財産を法人に対して寄付をするということは、仮に事業を中止する場合にもその財産は提供者に戻らない。最終的には法律上国庫帰属という形で、その法人が行っておりました事業を引き続き継続させるという意味での担保になっておるという考え方でございます。
○福井専門委員 そうしますと、例えばの話、この3つがそのまま非常に適切なものだとは思いませんが、それはさておくとしても、このような3つの基準を満たした株式会社が特養を経営するということで何か問題はあるのですか。
○石井課長 株式会社の定義であろうかと思いますが、最初の黒ポツにありますような財産を寄付で募る、それから配当もない、それから事業中止の場合に財産分配もしないということが、私の理解では、株式会社という法人形態とは相容れないのではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
○福井専門委員 配当とか、あるいは出資の点については必要条件だということですか、特養を営むためには、今おっしゃったような意味での配当禁止とか、出資の引き上げがないというのは必要条件だという理解ですか。
○石井課長 必要条件かどうかということを私の言葉で申し上げれば、社会福祉法人であれば、この1つ目の黒ポツがあることによって、その事業の継続性が担保できるということでございます。
○福井専門委員 継続性が担保できれば、ほかの形で担保しても構わないということですか。
○石井課長 それは大丈夫だと思いますが、今の株式会社という法人形態で、それが可能であるとは思っておりません。
○福井専門委員 理由は何ですか。
○石井課長 これもさっき申し上げたことでありますけれども、株式会社というのは出資によって成り立っており、社会福祉法人というのは寄付で成り立っているという点を申し上げたつもりでございます。
○福井専門委員 配当についてなんですが、社会福祉法人は、例えば金融機関から借り入れをして利子を支払うということはあるのですか。
○石井課長 あり得ると思います。
○福井専門委員 その利子の支払いというのは、言わば金融の対価であるわけですが、株主に対する配当というのも言わば資金調達の対価です。その点で違いはないと思いますが、どうして一方がだめで一方がよいことになるのですか。
○石井課長 株式会社に出資をなさる株主の方というのは、自分が出資した株式会社が利潤を上げて、出資の程度に応じた配当を得ようということで、出資なさると思います。ということは、株式会社側からすれば、収支とんとんでの運営が許されず、利潤をできるだけ上げようという、まさに自らの存在意義を達成するためには、そういう動機を持つと考えておりますが、社会福祉法人にはそういうことが期待されておらないわけです。法律上もまさに社会福祉法人というのは、社会福祉事業を行うために法人格を付与するということでございます。
若干補足をいたしますと、限定的に収益事業も行うことは認めていますけれども、それはその収益事業のいわゆる上がりで、本来事業をより伸ばしてもらおうという範囲において認めておるということでございます。
○福井専門委員 ただ、間接金融の場合でも、貸した金融機関というのは、相手が社会福祉法人であろうが、株式会社だろうが、一定の収益を上げてもらわなければ金融の対価である利子は返ってこないわけですから、そういう意味では株主の配当に対する利害と、間接金融の貸主の借り手の支払う利子に対する利害というのは一致しているんですけれども。
○石井課長 ある部分において一致することをすべてであるかのようにおっしゃっているように聞こえるのですが、利子というのは、金融機関からの借入金の率というのは、決まった利率があり、借り入れを行う社会福祉法人は、自らの事業運営の中で生じる収支差で、それを償還できるという判断で借りるわけです。さっき申し上げたように、株主に対して、株式会社ができるだけ配当を増やそうというビヘイビアを取るのとは違うと考えております。
○福井専門委員 配当というのは、もうからなければ無配当でもいいのですよ、どちらの方がしゃかりきになって金融の対価分を返さないといけなくなりますか。
○石井課長 株式会社の場合にも、少なくとも単純再生産、できれば拡大再生産をするという意味での借り入れをするわけですね。社会福祉法人はさっき申し上げたように、利潤を上げるという使命を持っておりませんから、単純再生産のための範囲で必要な投資に対する借り入れを行うということであります。
○福井専門委員 配当とか、あるいは金利の支払いについての基本的な認識がかなりずれていると思うのですが、株式会社というのは、勿論営利は追及しますが、何で株式を発行するかと言うと、会社の事業を拡大したり、規模を拡大したり、あるいは近代的な経営を導入するためということで資金調達の便宜なわけです。その方がむしろ事業も継続するし、事業の安定性も増すということが一般的には言われているわけで、そのメリットを否定しなければいけないだけ、社会福祉法人形態にメリットがあるというふうにお考えなのですか。
○石井課長 それはあると考えております。社会福祉法人というのは、さっき申し上げましたが、社会福祉事業、これは社会福祉法に列挙されておりますが、その事業をする範囲において法人格を付与すると、まさにそれが本来の使命たる法人であります。
さっき若干の例外を申し上げましたが、それ以外の事業はしてはならないわけです。あるいは社会福祉事業で生じた収支差というものをほかの事業に充てるということはできないわけです。そこが長期的な安定、経営の安定性ということで、株式会社とは大きな違う点であると思っております。
○福井専門委員 そちらの形態の方が株式会社形態の大規模な資金を調達できるメリットを上回るだけのメリットがあるということは何か実証的に検証できるんですか。
○石井課長 特養ホームの場合、寝たきりでありますとか、痴呆でありますとか、家ではなかなか支え切れない方が、言わば終の棲家としてお入りになるわけで、申し上げたいことは、その経営というのが、長期間安定した形で続かなければならないということです。それが第一の目標であり、それに一番かなう形態ということで考えれば、さっき申し上げた特徴を持つ社会福祉法人がかなっておるということです。
○福井専門委員 とすれば、PFIとか公設民営も、主体のところは株式会社が関与するわけですが、どの程度までであれば、株式会社が介在しても構わないという基準をお持ちですか。
○石井課長 それは法律に経理的な基礎であるとか、サービス提供の責任者であるとか、法律上の条文としては、1号から5号まで列挙したものがございます。必要であれば、後ほど条文をお届けいたします。
○八代委員 ちょっと済みません、問題は法律にこう書いてあるから現実にそうなっているというわけではないわけですね。社福だって多くの不祥事があるし、社会福祉法人で多くの利益をあげられることは、法律に何が書いてあろうが現実に可能なわけですね。それは勿論私よりもそちらの方がよっぽどよく御存じだと思います。
だから、問題は競争を通じてそういうもうけ主義を是正するというのが、こういう株式会社を入れることのメリットであると考えますが、厚生労働省は規制によるしか高齢者の利益を守れないというお考えだということでよろしいですか。競争が厳しくなることによって利用者が選択できるということは、そんなにメリットがないというお考えのわけですか。
○石井課長 競争原理が一つのサービス向上の有効なベクトルだというのは同感であります。ただ、そのことと、先ほど来申し上げております利用者の保護は、両立させないといけない。仮に、株式会社に特養の経営を認めた場合には、特養以外の事業もできるわけですから、その特養ではない方の事業の赤字が原因で、本来事業がうまくいかなくなり、中止のやむなきに至るというようなケースは、株式会社であればあり得るわけです。
○八代委員 社会福祉法人ではないのですか。
○石井課長 社会福祉法人は、さっき申し上げたように社会福祉事業しかできないわけです。
○八代委員 だけど経営者が、例えば家族に別の会社を経営させてそこに有利な取引を行うことは現行制度でも可能なわけですね。
○石井課長 それは経理区分を完全にやれというルールになっていますし、行政が指導監査をしてチェックをしております。
○中村局長 よろしゅうございますか。座長や八代先生から再三短く説明という御指摘があったわけですが、なぜ最初の方でグループホームなり、特定施設なりを御説明申し上げたかと申しますと、それから今の私どもの施設の整備方針で申し上げましても、いわゆる介護保険の3施設、特養や老健や療養型以外に、これらの施設についても行政としても枠を考えておりまして、実は特別養護老人ホームは社会福祉法人しか入れませんけれども、特別養護老人ホームと似たサービスをするセクターについて、株式会社の参入は自由になっていて、ある意味ではセクター間の競争が行われるような仕組みを導入しております。
また、ケアハウスについても新型ケアハウスで、今までケアハウスについては介護サービスがなかったわけですが、新型ケアハウスでは介護サービスを付けて、言わばそこのケアの部分を見ますと、株式会社で特別養護老人ホームと同じようなサービスができるようになってきております。
それについてはPFIでやった場合には、さっき石井課長から御説明しましたように、補助金も出せるような仕組みまで持っております。
そういった意味では、かなり特別養護老人ホームへの参入は、まさに御指摘していただいてペンディングになっておりまして、今度特区で手を付けたところでございますが、この分野はなかりダイナミックに動いているということを1つ申し上げたかったわけであります。
今、高齢者のサービスの基盤整備は大事ですから、勿論株式会社の方々に機能を果たしていただきたいわけですが、それはこういう言い方は何ですけれども、例えばグループホームでも、ケアハウスでも、有料老人ホームでも、むしろ特定施設という形で拡大していただける方向に来ていますので、まずその分野もお願いしたいということを我々は思っております。
では、今の特別養護老人ホームの中はどうなんだということにつきましても、これはまさに見直しの中の1つの課題になっておりまして、こういう言い方は誤解を招くかもしれませんが、今、特別養護老人ホームが永久に続くような感じで我々は議論しておりますけれども、介護3施設の問題がございますので、誤解があるかもしれませんので慎重に言わなければならないのですが、ひょっとしたら、特別養護老人ホーム自体がなくなって別の形のカテゴリーと言いますか、別の形の何か介護施設ということも考えられます。そのときの介護施設は、今のような大規模な介護施設なのか、それが、石井課長が説明した地域から切り離されたという介護施設なわけですが、もう少し身近で、小規模で、多機能で、地域密着の介護施設と言うか、介護ハウスと言うか、そのような形になると思います。それはもう自宅とどう違うんだというような方向に来ておりますので、そういったところを再整理する中で、もう一回そういう施設の提供体制の在り方が議論になります。その際、供給主体の問題も絡んできます。
ただ、以上の議論は、特別養護老人ホームだけではなくて、老人保健施設もございますし、かねて議論になっている介護療養型医療施設にもあります。これは医療の問題にも絡みますので、総合規制改革会議の御指摘をいただいている部分にも重なりますので、私どもはどういう解決策があるかということは、いろいろ関係者と模索しなければなりません。そういう問題意識は持っておるということを今日は御報告したかったということでございます。
それで、競争の重要性はわかっておりますが、ただ先生が言われた建設単価の問題とか、そういう問題は、むしろ競争だけの問題ではなくて、むしろ補助金の問題だとか、そちらに絡む問題かもしれませんし、かねて先生から言われております各施設間のイコールフッティングの問題もございます。どこまでがフローとしての介護報酬で見るのか、どこまでがストックの整備費として見るのか、そこら辺の公平性の問題もあろうかと思います。それをやり出さなければならないのですが、それを全面展開する中で整理していかなければならないという問題意識でおりますので、精力的に検討させていただきますけれども、そういう状況であるということを今日は御報告させていただきます。
○八代委員 ですから、中村局長のように開明派の方ばかりが厚生省であればそれで非常に結構だと思うのですが、そういうふうにどんどん改革を進めていくから特養はそっとしておこうという考え方が、現実には先送りされ、今後とも特養が残って、そこは社会福福祉法人の独占になってしまうということを恐れているわけです。そういう改革は是非積極的に進めていただきたいと思いますが、それと同時に今の社会福祉法人だけの独占の特養も株式会社が一部入れるようになると、それは公設民営だけではなくて、もう少し自由な形で、そういうことをこちらも考えているわけでございます。
○福井専門委員 施設の多様化か、あるいはサービスを多様化という方向は大変結構なことだと思うのですが、ただやはり八代委員が申し上げたように、特養について言えば、今の自治体と社会福祉法人と、それ以外、なかんずく株式会社という、いろんなサービスの提供主体の形態があり得るわけですが、自治体と社会福祉法人だけしかできないというのは、イコールフッティングの点から問題があるのではないかという問題意識なわけです。
その点に関しましては、これは後ほどでも結構ですが、ポイントは、要は事業がちゃんと継続されて入居者に不足の損害が起こらないことだという点では共通認識があったと思いますので、そうであれば、それが株式会社でなければならないかというのは、やはり飛躍だと思うわけです。
現に、例えば電力とか、ガスなどは株式会社形態ですけれども、極めて日常生活にも経済活動にも密接したサービスを、継続供給義務の下にそれなりにつつがなく果たしているわけで、株式会社が絶対にだめだというのであれば、こんな公益サービス事業に株式会社形態なんかあり得ないはずですね。恐らく特別養護老人ホームの対象もかなり、言わば公共公益性の高い領域だということは前提なのでしょうけれども、それであれば別に株式会社だって電力やガスに付いているようなさまざまな提供義務なりを工夫することによって、資金調達をもっと多様化できる余地があるということなわけですから、そういう選択肢もイコールフッティングとして導入し、全体の多様化は多様化として並行しつつ考えていただいてはどうでしょうかという提案です。
○中村局長 先生の御指摘ですので、よくいろいろ検討させていただきたいと思いますが、特別養護老人ホームというのは、1人28万ぐらいのお金が動いているものでございますので、1施設月に2,000 万単位のお金でございまして、年に2億ぐらいの事業規模でございます。
ですから、ガスや電力と言われる企業形態とはまた違いますし、それをまた全国チェーンでやったらとか、大企業でやったらという御発想も私は別に否定はしませんけれども、もう少し地域密着的なところもありますので、資金調達の方法として株式というお話もありましたけれども、病院よりも更に小規模でございますので、またその辺については、よくお教えを請いたいと、私どもも思っております。
○宮内主査 いろいろ株式会社のお話が出ましたが、ちょっと時間になってしまいましたので、まとめる意味で御質問をさせていただきたいのですけれども。
特区において、限定的ではありますが、今度は株式会社でもいいというお考えになったわけでありますけれども、今日のお話で特養の今後というようなことを考えてみますと、もし特区で認められるのであれば、なぜ全国展開できないんだという課題がすぐに出てくるわけでございますが、その辺についてのお考えはいかがでしょうか。
○中村局長 こういうお答えの仕方をするのが適当かどうかですが、先ほど八代先生からお話がありましたように、こういう議論を重ねて全然動かなかったという状況の中で、先生方から見ると不十分なり、徹底していないという御指摘はわからない面もないわけではありませんが、とにかくやってみようということで動かしたわけでございますので、そこをまず評価していただきたいのと、また鴻池大臣御自身国会答弁でも言っておられますけれども、特区はそういうことでモデルケースであり実験なわけですから、そこで実証されれば、全国に行くわけでございますので、まず私どもはそういった意味で特区という枠組みを活用させていただいて、また地方公共団体の御要望がありましたので受け止めたわけでございますので、ここでクリアーできれば、それはもう全国に広げるというのはやぶさかではありませんけれども、そこのところは少し寛大に見守っていただきたいというふうに考えております。
○宮内主査 福井専門委員、どうぞ。
○福井専門委員 一点だけ補足ですが、先ほどのお答えで非常に何千万もお金がかかるから余り広げたくないという趣旨の御発言だったと思うのですが、それは財政上の制約というまた独立した配慮事項で、株式会社という形態を同等に扱うかどうかという議論と、全体にそもそも特養はものすごくお金がかかるから全体の数を抑制しないといけない、という問題は別の独立の論点だと思います。株式会社の参入ということはその株式会社の組織の属性に着目して議論を進めたいということでございます。
○中村局長 おっしゃるとおりでありますので、そこのことを言っているわけではありません。
○鈴木副主査 1つだけ、特区で1つ試行的というふうにおっしゃっておられますけれども、そもそも特区を考えたときの発想としては、あくまで先行的に問題をやってみようという、ニーズの高いところからということであって、勿論ものによっては試行というか、どういうような成果を出したかということをチェックするということは必要なものもありますけれども、基本的にほとんどのものについては、今までの規制を緩和してもいいではないか。しかし、なかなかハードコアとして切れないというもの対して先行してやろうというものが中心であったということは、これは現在も変わりはないということは御理解いただきたいですね。
それから、他の要件において、それが全国展開をしていっても全然問題がないじゃないかと、特に公設民営だとか、PFIというものである場合に、それを全国に今、展開するのはなぜ問題だろうというふうなことを、去年も官製市場の中で幾つかのPFI、それから公設民営を進めてきたのですけれども、それに比べてみたら、ほとんど何の違いもないのではないかということになると、何を一体チェックしなければいけないわけですかという点は、かなり疑問だと。そういうことから考えますと、いわゆるチェックだと、結果を見るのだと、こういうふうにおっしゃるけれども、何を見るのだということをそこまでおっしゃるんだから、はっきり目途を見せてくださいと。見る必要があるということを合理的に説明してくださいということはお願いしておきたいと思います。
要するに、先行ですよ、決して試行ではない、それはわかり切った話であると、もしわかり切ったものではないというのだったら、何をチェックするのかということを明示してくださいということをお願いしておきたいと思います。
○中村局長 鈴木副主査の御指摘は、承りましたけれども、私が申し上げました鴻池大臣の御発言なり、それを受けて私も答弁させていただいておりますが、私どもは言わばこの特区事業については、一種の実験だというふうに思っております。では、何が実験かということについては、またお出ししたいと思いますけれども、よく成果を見て、いろいろ議論がある中で、反対者も賛否両論ある中でこの一歩を踏み出したわけでございますので、皆さん見ていただくということも特区の重要な課題ではないかと、私どもは認識し、そういう気持ちで特区法案に改正条文を盛り込ませていただき、国会審議も鴻池大臣と一緒に受けたというふうに認識しております。そのことは、申し添えさせていただきたいと思います。
○福井専門委員 特区室の方に質問ですが、この特区が実験だということは、もともとの成り立ちから見てそうだと思うんですが、その特区で先行したものについては、そこで実際検証作業なり評価作業が終わらないと、その制度については一切変えてはいけないものだという認識かどうかお聞きしたいのですが。
○中城特区推進室長 それは全くありませんで、全国展開するべきものについては、どんどん全国展開していただきたいと思います。ただ、その評価がわからないものについては、評価委員会を早急に立ち上げて、それを全国展開するべきであるか、引き続き特区で見るかということについて判断していただこうということでありまして、鈴木委員が言われたように、あくまで先行してやるというふうに理解しております。
○宮内主査 時間が経過してしまいまして、この問題につきましても長い間議論をしてまいりまして、やはり競争とか効率というものについての理解の違い。あるいは、株式会社というものの目標についての理解の違いというようなことはございますけれども、特区によりまして一歩前進ということにつきましては、大いに期待しております。
ただ、最後にございましたように、評価というのは私なりに考えますと、特に弊害がないということがわかれば、全国に展開することに弊害は全くないのだろうと。したがいまして、もし何か弊害があった場合は、それこそ評価委員会か何かで検討する必要があるかもわかりませんけれども、そうでない限りはやってみて特に弊害がないということであれば、それを直ちに全国に展開することを妨げるものは特にないんじゃないかというふうに思ったりするわけでございます。
いずれにいたしましても、今後も一歩前進から次の段階に際しまして、いろいろ御議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。今日は御多用のところおいでいただきまして、ありがとうございました。
本日のワーキンググループは、以上をもって終了いたします。