厚生労働省との意見交換

○宮内主査 それでは、先ほどの文部科学省に引き続きまして、ただいまから40分くらい予定させていただいております。同じテーマ、幼稚園と保育所の一元化というテーマにつきまして、厚生労働省においでいただきました。意見交換をさせていただきたいと思います。
 本日は大変御多忙のところ、厚生労働省から岩田雇用均等・児童家庭局長ほか、御担当の皆様方においでいただいております。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。幼稚園・保育所の一元化につきまして、資料1の1ページにもございますように、当会議が目指します規制改革の方向性は、単に現行制度の運用により、幼稚園と保育所の併設と連携を進めるということだけではなく、同一の設置主体、同一の施設、同一の職員による運営が可能となるように、両施設に関するさまざまな制度について、その統一、一元化を図るべきであると、このように考えているわけでございます。
 厚生労働省からちょうだいいたしました改善されるべき制度につきまして、特に申し上げますと、資料1の3ページにございます、施設設置基準の問題、すなわち幼稚園には存在しないにもかかわらず、保育所だけに調理室の設置が義務づけられていることや、6ページにございます、保育所への入所要件の問題、すなわち現在制限されている保育に欠ける子以外の保育所への入所についても、これを認めるようにすることなど、幾つか重要な残された問題が存在するのではないかという認識をしております。これらの点も踏まえ御参考にしていたたきながら、意見交換をさせていただきたいと思いますが、まず、厚生労働省側から10分程度でお考えをお示しいただくということでお願い申し上げたいと思います。

○岩田厚生労働省雇用均等・児童家庭局長 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長をいたしております岩田と申します。本日はこういう貴重な機会をちょうだいしまして、大変ありがとうございます。
 早速でございますけれども、資料に沿って御説明させていただきます。
 まず、1ページ目ですが、保育所と幼稚園の基本的な違いについて述べたいと思います。保育所は親が就労などの事情によって、家庭で保育を受けられない児童に対しまして、保育を行う福祉施設であり、一方、幼稚園は親の希望で就学前の教育を受けさせる学校でございます。これは言葉を換えて言いますと、違いが3つございます。
 1つは、保育所は保育に欠ける子どもを受け入れるということでございますが、今、主査の方からお話があったとおりですけれども、保育に欠けるという定義は、社会の実際的なニーズに合わせて考えてきていると思っておりまして、単に外で勤務する外勤だけではなくて、内勤と言いましょうか、内職をしたり、在宅ワークをする場合は勿論含まれますし、また、失業中であるとか、これから仕事を始めたいといった求職中の方、教育を受けている方、職業訓練を受講中の方、こういった方も含まれますし、また、病気や障害のために御自分でお子さんを育てることが難しいといったような方、こういった方も該当するわけでございます。
 2つ目の違いは、保育は、2行目に書いてございますように、養護と教育が統合されたものでございまして、養護というのは家庭養育の補完と言いましょうか、代替でございます。幼稚園は教育だけ、保育については、養護プラス教育であるという点でございます。 3つ目は、年齢の問題でございまして、保育所については、0歳から受け入れているということでございます。
 2ページに進みますけれども、就学前の児童数が減少する中にあって、共働き家庭が増えているということなどもありまして、保育所を利用するお子さんの数は増えております。平成7年から増加を始めておりまして、14年の4月時点で約188 万人のお子さんを受け入れておりまして、幼稚園の子どもの数を上回っております。これは季節的に4月、5月、6月とだんだん増えていくわけですけれども、直近の平成15年1月では202 万人のお子さんを受け入れているということでございます。
 3ページにまいりますけれども、幼稚園と保育所の機能というのが、近年似てきているのではないかというお話をよく伺うところでございます。確かに戦後すぐの時期と言いましょうか、昭和22年の児童福祉法の中でこの保育所というのは位置づけられたわけですけれども、その当時は低所得世帯、共働きでなければ食べていかれないといった世帯が対象の中心でございましたから、低所得世帯対策と言えなくもなかったかと思いますが、今日はすべての所得階層の世帯が利用いたしております。
 また、幼稚園は午後、夕方、4時とか5時まで預かり保育をするといったところも増えてきていると伺っております。そういうことで、幼稚園・保育所が似てきているという御指摘があって、そのことはそのとおりだと思います。ただ、一方では、幼稚園と保育所の機能の差がむしろ拡大しているという面もあるのではないかということでございます。
 1つは、女性の本格的な就業や、就業形態の多様化が進んでおりますので、延長保育ですとか、夜間、休日保育といった多様な時間帯や曜日に、言わば究極の姿としては、24時間365 日サービスが求められる。その中で利用者は子どもを育てながら働くために、必要最小限の時間帯と曜日を選んで使うという姿に向かっていっていると思います。
 3ページの左の表をごらんいただきますと、例えば延長保育。これは保育所の標準は11時間開所なのですけれども、11時間を超えて保育をしている場合、延長保育と言っておりますが、延長保育は平成14年では1万600 か所で実施されておりまして、これは保育所の約半数でございます。
 そういうことで、時間帯、曜日など、考えますと、幼稚園と保育所の差は大きくなっていると思われます。
 もう一つは、低年齢児の受け入れが増えているということでございまして、3ページの右下にありますように、0歳児や1、2歳児の受け入れ数が伸びております。また、待機児童が多いのも、0歳、1歳、2歳という低年齢児でございまして、そういう意味でも幼稚園との差は開いているということも言えようかと思います。
 さて、4ページでございますけれども、私どもやはり考えないといけないと思いますのは、就学前の子育てニーズというのは多様なものがあるということだと思います。そして、その多様なニーズをいかに地域の子育て資源をうまく活用して、多様なニーズに応えていけるかということが基本的に拠って立つ立場ではないかと思うわけでございます。
 家庭における子育てニーズは、この図の真ん中の◎のところに囲ってございますが、通常の保育、それ以外の延長・夜間・休日保育、病気の子どもの病児保育もあるかもしれません。教育も大変大事ですし、子育ての相談や一時預りや、一人で子育てするのはつらいから、グループ、仲間で子育てをしたいというニーズもあると思われます。
 こうしたニーズに応えるのは、保育所と幼稚園ばかりではございませんで、下に書いてございますように、保育ママ、一時保育、集いの広場、幼稚園の預かり保育など、さまざまな子育ての支援事業が必要とされていると思っております。
 実は、今年の通常国会に児童福祉法の改正を提出しているわけですが、この児童福祉法は従来保育所の規定はございましたけれども、こういった地域のさまざまな子育てニーズに対応するための子育て支援事業の規定はございませんでした。これを新たに市町村に実施してといただく事業として子育て支援事業を類型化して規定し、こういった事業を子育て家庭のニーズとうまくマッチングできるようなコーディネートの仕事を市町村に義務づけるような法律改正をいたしております。
 この法律が成立した暁には、具体的な事業を主務省令で定めて、これに該当する事業を定めていくわけでございます。文部科学省とも相談をして、合意が成立しているわけですけれども、幼稚園の預かり保育も、この子育て支援事業の1つの類型として児童福祉法の体系の中に位置づけていこうということで進めたいと思っているところでございます。
 5ページ、6ページは、地域によっては子どもさんの数が非常に減っている地域が中心ですけれども、保育所と幼稚園をそれぞれ別の制度、別の施設として設置・運営するということが合理的でないという地域が出てきております。
 そういうことに対応するために、文部科学省と御一緒にさまざまな検討を重ねてまいりまして、5ページに書いてございますような連携のための取り組みを進めてまいっております。おおむねこれで地域のニーズには応えているというふうに考えているわけでございますが、6ページに進みますと、更に構造改革特区の要望が幼保の一元化、あるいはその周辺の問題として何件か出されておりますけれども、その2次提案に対する厚生労働省の対応として、?に書いてございますように、幼稚園と保育所を併設している地域についてですけれども、保育所の子どもと幼稚園の子どもを合同で保育することを認めたいと思っております。
 職員は保育士と幼稚園教諭、両方の資格を持っている方も大勢おられますので、こういった両方の資格を持っている人がいれば兼務をしていい。そういうことで人件費は合理化できるという、こういうことも認めていきたいと考えているところでございます。
 この議論をするときに、保育所にしか最低基準として義務づけられていない調理室の問題と、両方の制度の職員の資格の問題が各論としてございますので、引き続きそのことについて簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
 まず保育所の調理室ですけれども、特区の提案でも何件かございました。その提案をなさっている自治体から事情をすべてお伺いいたしましたけれども、多くのケースは学校の給食センターを活用したいという自治体でございました。ですから、仮に学校の給食センターの活用ということを念頭に置いたとしても、やはり調理室は要ると私どもは思っているわけですが、そのことを御説明させていただきたいと思います。
 まず、0歳児、1歳児、2歳児という低年齢児を預かっているということでございます。こういう0歳児から1歳半に至るころは、離乳食ということで、なかなか食事の準備をするのが難しい時期ですから、これは当然小学生と同じメニューの食事を1歳の子ども、2歳の子どもに供するということでいいのだろうかという心配がございます。
 特区提案をなさっておられる自治体もすべて離乳食などは自前の調理室でつくる必要があるのではないかということを言っておられるということを御紹介しておきたいというふうに思います。
 2番目は、多様な保育のニーズですが、先ほど申し上げましたように、延長保育が当たり前になってきております。そうしますと、低年齢児ですと、午前中の補食、給食、午後の補食、そして夕方の補食と4回食事をいたします。3歳以上の子どもは3回食事をいたします。ですから昼の食事だけをどこか外部から搬入すればそれで済むということではございませんで、言わば保育所の調理室というのがフル稼働しているわけでございまして、こういった多様な保育ニーズに応える保育所の対応がこれからますます進むと思われますので、そういったような観点からも調理室は不可欠であるというふうに思っております。 次の8ページでございますけれども、ただこれまでの調理室の設置基準ですと、特に待機児童がいるようなところで新規の保育所参入を求めたいと思っているわけですけれども、その障害になっているというお話もお伺いいたしておりますので、そういうケースについては、丁寧に一つひとつ対応してまいりたいというふうに思っております。
 まず、例えば駅前などにビルを借りて、そこで株式会社が保育所を開設するといったようなケースですけれども、保育所の調理室は、いわゆる規格は特に最低基準としてはございません。何平米以上ないといけないとか、調理器具は何が何個なければいけないといったような条件はございません。唯一の規格は防火基準でございます。
 従来の防火基準ですと、防火区画と言いまして、壁や防火の扉や特別のものが要るわけで、なかなかビルの内装をやり直すということは大変コストがかかったということがございます。
 今回は、自動消火装置などを付け加えればそれでいいということに致しましたので、そうすると70〜80万の装置を付け加えるだけで済むということで、コストの大幅な削減に結び付くということになろうかと思っております。
 また、学校の余裕教室を保育所に転換をしたいといったケースで、その場合に学校の給食施設で調理をするということを認めてもらいたいというお話もございますので、それも認める方向で、15年度中には結論を出したいというふうに思っております。
 次に、職員の資格ですけれども、9ページに進みますが、まず、御理解いただきたいと思いますのは、保育士の資格は、保育所の職員だけではございませんで、乳児院ですとか、児童養護施設など児童福祉施設で働く専門職の共通の資格でございます。ですから、保育士の資格を取るために養成課程で勉強したり、試験を受けたりするわけですが、その内容の一部と幼稚園の教諭の養成課程で、確かに一部重複がございますけれども、それをもって全体の資格の一本化というのは、大変難しいことではないかというふうに思います。
 ただ、14年度から保育士の養成課程の見直しを行いましたので、少し頑張っていただければ、同時に2つの資格を取ることは、以前よりはたやすくなりましたし、また、今、幼稚園の教諭の免許を持っている方が、保育士の免許を追加的に取得をしたいと言った場合に、そのことが容易にできるように、その方策については15年度中に結論を出したいというふうに思っております。
 以上申し上げまして、10ページにまとめのようなものが書いてございますけれども、まず、やはり何と言っても、就学前の子育て支援ニーズというのは多様なものがあるということでございまして、その多様なニーズに対してどういうふうに対応していくかということが重要ではないかというふうに思いますので、保育所と幼稚園を廃止して、幼保園と言うのでしょうか、単一の制度、施設とするということは、こういった多様な子育てニーズに応えるものでは決してないというふうに思います。
 特区で要望された自治体すべて、現在の幼稚園、保育所のこの2つの制度を廃止すべきであると言っておられる自治体は1件もございませんでした。そして先進諸外国も主要なところを勉強いたしましたけれども、就学前の子育てサービスが1種類しかないといったような国はどこもございません。
 2点目は、そうは申し上げましても、子どもさんの数が大変減っているということもありますので、地域によっては2つの制度、施設を別々に設置して運営をするということについては、負担になっている、あるいは子どもの数も少ないから、それは子どもの育ちのためにもよくないといったような地域があるのも事実かというふうに思いますので、そういった地域を念頭に置いて、両施設の連携の在り方について、先ほど御説明いたしましたような、今回の二次特区への対応についても努力をしているところでございます。
 こういった連携の在り方、更には特区で認めることとしております合同保育の実施状況なども見させていただきまして、それを評価した上で、それでも不十分であるということが仮にあるとすれば、更に次の対応としてどういう工夫ができるかということは是非しっかり考えていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○宮内主査 ありがとうございました。それでは、これは特区ワーキンググループで既に議論をさせていただいたことになると思いますけれども、主査をされておられました八代委員から口火を切っていただくということでお願いします。

○八代委員 ありがとうございました。今日は、せっかく岩田局長にお越しいただいておりますので、もう少し、なぜこういう問題が起こっているのかという基本的なことからお聞きしたいと存じます。確かに現場ではいろんな工夫をして自主的に一体的な運用をしておられるわけですけれども、やはり国のベースでは法律も違うし、資格も基本的に違うし、それから制度も違うという中で、現場では非常に苦労しているから、こういう特区の要請が出てきているわけです。やはり現場にそろえて国のベースでももっと大胆に文科省との制度の統一化を図る必要があるのではないかというのが、当方の認識であります。
 ただ、そのときに問題がありまして、それは結局、幼稚園というのは、基本的に市場サービスに近いわけです。要するにだれでも入れますという仕組みであるのに対して、保育所というのは、先ほど御説明にありましたように、保育に欠ける子という条項があります。これはだれが保育に欠けるかというのは、政府が認定し、保育に欠ける子に対して入所を許可するという、言わば過去の措置制度の考え方をそのまま引きずっているわけです。 勿論、運用上は、おっしゃったように非常に柔軟なやり方をしておられると思いますが、もともとの制度が、やはり措置制度から基本的に来ているわけで、それがある意味で幼稚園との一体的な運用を行うときのさまざまな制約になっているのではないかというふうに認識しているわけです。やはりこの幼保一元化の問題の背景には、そういう保育に欠ける子という表現をいつまで続けられるのか、これを保育を必要とする子、つまり利用者にとっての保育サービスであるというふうに帰るべきではないか。せっかく今回、児童福祉法を改正されるに当たって、そういう観点が全くなかったというのは、非常に残念だと思います。それがなければ、やはり今後の女性の就業継続と子育ての両立のために、利用者が選択できる保育サービスにならないのではないか、あくまでも上から与えられる保育ということになってしまうのではないかと、そういう観点が、この幼保一元化の問題にも表われているんではないかと思いますが、それについて、まず、第一に局長にお伺いしたいと思います。
 それから、調理室の問題もそうですけれども、多様なニーズがあるわけでありまして、それはやはり利用者が選択できる、きちんと情報公開をした上で、そういう仕組みにいけるかどうかという点でありまして、いろいろな配慮をしなければいけない点というのは、いっぱいあるわけです。そういう意味でも性能基準と言いますか、今言われたさまざまな離乳食の問題であるとか、あるいは何回も食事を出さなければいけないとか、そういうニーズにきちんと応えられるような別の対応がなされたとすれば、必ずしも保育園と同じ敷地内に独自の調理室がなければいけないということはないのではないか。
 これは規制改革全体の考え方で、仕様規制から性能規制と言いますか、きちんとした規制の目的が達成されれば、そのための具体的な制度の形態は問わないという方向に全体が動いているわけですけれども、それをすることによって、例えば都市部においてもっと保育所が増えるとしたら、そちらの方がはるかに重要なのではないかという点であります。現実は、かなりそれに近いところには来ていると思いますけれども。
 それから、幼保一元化というのは、必ずしもご説明にあったような画一的な1つの制度にして、現在よりも利用者の選択肢を狭めるということを言っているわけではなく、むしろその逆であるわけで、利用者が自由に選択できるようなひとつの制度にしていただきたい。今の保育所と幼稚園の仕組みというのは、やはりそれぞれの制度の成り立ちから非常に不都合があって、非効率的な仕組みになっている。ですから、それをもっと多様な選択ができる1つの制度にしたらどうかということで、決して今の硬直的な保育所の制度、硬直的な幼稚園の制度を、更に硬直的な1つの制度にしろというようなことを言っているわけではございませんので、その点は御理解いただきければと思います。
 最後でありますが、御説明はされなかったのですが、10ページの一番最後にかなり大事なことが書いてあります。現在の厳しい財政状況を踏まえると、就労等の特段の理由もなく保育に欠けない児童も含めて、すべての児童に対して公費負担を行う理由がないだというふうにおっしゃっているわけで、それは確かにそうだと思いますが、ただ一方で、保育を措置ではなくてサービスというふうに考えたら、やはり多様なニーズに応えなければいけない。
 例えば、働いていない専業主婦であっても、保育サービスを必要とする場合もあるわけですから、そのときは今のような安い1割負担ではなくて、しかるべき負担をしなければいけませんが、そういう人に対してもきちんと保育所が応えられる体制が必要ではないか。
 勿論、先ほど言いましたように、さまざまな子育て支援事業をやっていることは事実だと思いますが、そういう支援事業ではなくて、やはり子どもが一番集まっている保育所に専業主婦の子どもも、例えば週1ぐらい通うというか、そういうようなことが認められるべきではないか。その場合は保育に欠けるとか、欠けないの問題ではなくて、保育を必要とするか、しないか、ただし勿論コストは利用者が負担するというサービスという方向に変えていくというお考えはないのかということでございます。
 繰り返し言いますが、高齢者介護については既に厚生労働省自体がその方向に動いているわけでありまして、介護保険でそれが実現しているわけです。なぜ児童だけが、高齢者福祉でやっているような利用者と事業者との間の対等な契約の下で、利用者が選択できるという新しい考え方にいつまで経っても変われないのかという、この点について最後に是非局長にお伺いしたいと思います。 以上であります。

○岩田局長 大変基本的な点について、たくさん御指摘をいただきましたので、うまくすべてについてお答えできるかどうかあれですけれども、まず、保育行政も変わってきているということについては、是非御理解いただきたいというふうに思います。
 最大の改正は、平成10年からでございまして、それまではまさに八代先生がおっしゃるように、行政措置で行政の判断で子どもたちを保育所に入所措置していたわけでございますが、平成10年から契約の思想を導入いたしまして、市町村の間ですが、利用者と市町村の間で契約を結ぶ、そのときに市町村に申し込むときには、利用者はどこの保育所を使いたいということについて優先順位を付けて申し込む、それを市町村の方で、言わば需給調整をした上で、入所を決めていくということでございます。
 ですから、今、例を挙げられた高齢者と比べると、サービスか措置かといったような観点からすると、まだ途中の段階という御評価かというふうに思いますけれども、保育所も保育サービスも利用者の実態を見ながら制度的な改善は進めてきているということを申し上げたいというふうに思います。
 それから、大変安心いたしましたのは、保育所と幼稚園の制度を全国1つの制度にしようということを言っているわけではないということをはっきりおっしゃっていただきましたので…

○八代委員 1つの硬直的な制度にするわけではないということでございまして、そこは全然違いますので…

○岩田局長 そうなんですか、ややもすると幼保一元化の議論というのは、私から見ると大変乱暴な議論で、あたかも幼稚園、保育所の制度はやめて、1つの幼保園的なものにつくり直そうといったような議論をときどき耳にいたしますけれども、そうではないということがわかりまして、多様な子育てニーズにどういうふうに柔軟に応えていくかという、そこのところは先生のおっしゃるとおりだというふうに思います。

○八代委員 逆に言いますと、多様なニーズに応える1つの制度にしていくということです。硬直的な制度ではなくてということです。

○岩田局長 多様なニーズに応えるやり方ということで1つの制度ということが可能かどうかというのはよくわかりませんけれども、今、現に社会的な資源というのは、たくさんあるわけですから、それをうまく組み合わせて使うというのが、まずやるべきことではないかというふうに思います。その使い勝手が悪いということがあれば、それは是非御指摘をいただいて、これまでもたくさん御指摘をいただいておりますが、利用者の利用しやすいような形で工夫はしてきているつもりです。
 それから、保育に欠けるという概念を、保育を必要とする、保育サービスを必要とする者が使えるような形態にすべきではないかということについて、実は先ほど時間の都合もあって十分御説明できませんでしたけれども、例えば4ページの図をごらんいただきますと、子育て支援事業という下のさまざまな事業を点線で囲ってございます中に、一時保育というのがございます。
 この一時保育というのは、例えば一日ある時間帯だけとか、ある曜日だけですとか、そういうふうに恒常的に使うわけではないけれども、ときどき臨時に使うという、これを一時保育と言っておりまして、一時保育を利用される方は、保育に欠けるということを全く要件といたしておりませんで、家庭の主婦の方も例えば毎日毎日自分一人で子どもの養育をしていることが本当に疲れるというお話をよく聞きますので、そういった育児疲れの方が1週間に1回保育所を使っていただくというのは、この一時保育をやる保育所も今は増えてきておりますので、それは今もやらせていただいております。
 保育所というのは、入所児童のためだけではなくて、専業主婦家庭も含めて、地域の子育てニーズにどういうふうに応えていくかということが重要であろうかと思っておりまして、そのために一時保育ですとか、子育て相談ですとか、一時サークルの支援ですとか、専業主婦家庭も念頭に置いたサービスは展開しているところでございます。
 ですから、本当に先生がおっしゃる保育を必要とするということと、保育に欠けるということの実態的な違いというのは、何なのかという疑問がございます。本当に保育所が必要な方は、保育に欠ける子どもは保育をしておりますし、そうではない方でも、今、先生がおっしゃったようなニーズには保育所の方で対応できるように、一時保育のサービスなどをやらせていただいているところでございます。

○八代委員 失礼ですが、やらせていただいているというのは、どれぐらいの比率で一時保育の問題をやっておられるかどうか、ショーウィンドー的にやっていてもだめなので、もっとたくさん供給が増えなければ、保育を必要とする子どもに対応することができないわけです。

○岩田局長 一時保育については、新エンゼルプランに基づきまして、今、整備を進めているところでございますけれども、新エンゼルプランでは、確か最終年度で3,000 か所だったと思いますけれども、今、その新エンゼルプランの箇所数を上回って前倒しで平成15年度には4,500 か所という設置予定で予算の措置をいたしております。いずれ必要なすべての保育所で一時保育はできるようにしていきたいと思っております。
 もう一つ大事な調理室についての施設基準ではなくて、性能基準という考え方についてでございますけれども、先ほど申し上げましたような、0歳児や低年齢児の問題や、そして1日に何回も食事のサービスをしないといけないということが、調理室を持たずにどういう形でできるかということについては、私どもは説得されておりません。もし、何かそういう形でできることがあれば、それは検討しないといけないというふうに思いますけれども、0歳児の子は1日4回補食も含めて出すということを考えると、そして今の調理室というのが、具体的な設備基準を持っているわけではないのです。調理ができる場所であればいいということになっておりますので、ある意味では実質的に性能基準に大変近いものになっているのではないかというふうに考えているところでございます。
 不十分な点がございましたら、また同様に補足をしてもらいたいと思います。

○宮内主査 どうぞ。

○村山委員 資料の5ページ目のところに、実質的には既に地域のニーズに応えているものと考えているというのは、これはいわゆる待機児童とか、そういったもの全般に関してということで地域のニーズに応えているというふうにお書きになっていらっしゃるのでしょうか。

○岩田局長 待機児童の問題は、残念ながらまだまだ大変大きな問題でございます。現在、閣議決定に基づいて待機児童ゼロ作戦ということで、平成16年度までに全国で15万人の子どもたちの受け入れ増を図ろうということで取り組んでおりますけれども、是非それぞれの地域で待機児童問題がよくなったと思っていただけるように頑張っているのですけれども、多分、16年度でその問題が解決するというふうにも思われません。
 先ほど申し上げました児童福祉法の今回の改正の中で、待機児童の多い自治体については、住民との間で約束ごととして、住民が参加するプロセスを経て、待機児童解消計画をつくっていただきたいということを、待機児童の多い自治体には義務づけることといたしておりますけれども、待機児童の問題に、これで応えているというふうに理解しているわけではございません。

○村山委員 では、保育園と幼稚園の連携の強化に関しというニーズに関しては応えているというふうに…。

○岩田局長 そのとおりです。

○村山委員 4ページ目のところに、今、八代先生の方からいろいろなメニューという言葉がありましたけれども、いろいろな仕組みが確かにメニュー的に出ておりますが、私も実は、この前に子どもが保育園にやっと入れて、卒園したばかりで、この保育ママとか、一時保育とか、全部実際にいろいろトライしてみましたけれども、実態面で言うと、まず保育ママさんというのは、近所にはほとんどいません。区の中でほんの数人しかいないところがほとんどだと思います。ですから、保育ママとここに書かれていても、それを使える人はごく一部だと思います。
 一時保育にしても、この一時保育が何を意味しているのかわからないですけれども、例えば一時的に美容院に行ったりとか、何かのときに専業主婦の子どもを預かってくれるというのもありますけれども、これは市町村によって違いますけれども、700 円とか1,000 円とお金を取られるケースも、公共団体がやっている場合でもかなり多いですし、それから地域子育て支援センターとか、ファミリーサポートセンターも、ほとんどがたまたまそばにあれば連れて行けるという程度で、実際にニーズは全然満たしていないと思いますので、そちらの御認識と実際の市町村の実態面に関して大きな開きがあるので、ここにメニュー的にいろいろ出ても、全くニーズは満たしていないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○岩田局長 今の御批判は甘んじて受けないといけないというふうに思っております。国の方から見ますと、こういうさまざまな事業について、それぞれ補助事業を持っておりますので、子育て支援のためのさまざまなプログラムを整備しているというふうに見がちなのですけれども、実施率を見ますと、まだまだということがございます。
 最も一般的な一時保育についても、今、実施をしている自治体が八百数十自治体、千はいっておりませんので、まだまだであるというふうに思っております。そういうようなこともございますので、先ほど資料説明の中では申し上げましたが、この通常国会で児童福祉法の改正の提案をいたしておりまして、こうした子育て支援事業を実施することを市町村の仕事として、児童福祉法の中で位置づけ、そういうことを1つのきっかけとなって、それぞれの地域が必要なさまざまな子育ての支援サービスが提供できるように、公共サービスだけではない、NPOの活動やボランタリー的な活動や、それから企業の活動、そういったものを併せてでございますけれども、それぞれの地域で、こういった事業の供給をしっかりしていただけるような方向で対応していきたいというふうに思っております。

○宮内主査 佐々木さんどうぞ。

○佐々木委員 養護と教育という2つのことを保育園でしていらっしゃるというふうに明記されているのですが、教育という考え方は、教育のニーズというのは、いろいろな形があって親から見る教育と随分違うと思います。そういった意味で、私もやはり保育園に子どもが行っておりますけれども、幼稚園に求めたいことと、保育園に求めたいということは、私の周りの親の会話からすると、非常に一元化してきています。連携ではなくて、もっと1つになってほしいというニーズを実際に私はたくさん耳に聞くわけです。局長がお考えになっている、あるいはここに書かれている養護と教育の教育という部分のニーズですが、世の中のニーズということへの保育園の対応というところはどんなようなことをお考えですか。

○岩田局長 保育所は、保育所保育指針というものに基づいて運営していただいているのです。
 この保育所保育指針は、養護の側面と教育の側面と両方兼ね備えているのですが、教育の側面、それも3歳児以上の教育の側面は幼稚園の教育要領と全く同じであるというふうに思っていただいていいと思います。
 ですから、到達すべき教育の水準は、幼稚園も保育所も同じということでございます。ただ、幼稚園は短い午前中の時間にやりますので、カリキュラムをつくっておられる、時間割りをつくっておられる幼稚園もあるというふうに聞いておりますが、保育所の場合には、長い時間、8時間、9時間、10時間の中でそれをやりますので、教育の仕方は必ずしも一緒ではない、保育所も勿論時間割りをつくって、机に座ってという時間もございますけれども、保育所はむしろ長い生活の時間の中で教育的な要素を入れていくということですから、その手法は違うというふうに思いますが、到達点は全く同じというふうに考えていただいていいというふうに思います。
 ですから、幼稚園の教育要領を変えるときは、私の職員も行って議論に参加しておりますし、その逆の場合にも文部科学省から参加していただいておりまして、教育要領と保育所保育指針というのは、教育の面では同等のものになるようにということで取り組んでおります。

○佐々木委員 そうすると、幼稚園の御担当の方などは、3歳から上の幼稚園というのは、学校であるということで、保育園と全く違う、保育をしているだけではなくて、教育をしている場であるということを大きな違いの1つに挙げているようにも聞こえるのですけれども、保育園側から見たときには、そういうことは一切なく、3歳から6歳までは、今、制度の違いの中では育っていますけれども、内容的に、あるいは質的には何ら違いはないというお答えですか。

○岩田局長 そのとおりです。歴史を振り返ってみますと、昭和20年代、30年代は、確かに教育的な側面は弱かったようです。ですから、そのころもやはり幼保の一元化の議論というのはあったようなのですが、そのときに中心だった議論というのは、就学前の子どもにいかに均質な教育を与えるかというような議論が中心だったようでございますが、昭和40年に初めて保育所保育指針というのができまして、そのころから養護だけではなくて、教育も併せて保育所で行うということで取り組んで参りましたので、今日においては教育という側面から見て、保育所が問題あるとか、水準が劣っているということは決してないと、それは自信を持って申し上げられると思います。

○佐々木委員 そうすると、3歳から6歳に関してだけ言った場合に、制度が2つあって、名称が2つあるということの矛盾はお感じになりませんでしょうか。

○岩田局長 今、幼稚園でやっておられるような教育は、やはり就学前のお子さんですから、長い時間やれるはずはないので、1日に2時間とか3時間とかということだと思います。
 一方、保育所の方は、そういった教育のニーズも勿論満たさないといけないわけですけれども、それと同時に親に代わって、家庭に代わって子どもが育つ生活の場でございますから、幼稚園があれば保育所が要らないとか、その逆にということにはならないと思います。

○佐々木委員 つまりは、3歳から6歳に関しては、時間数などによって、教え方や集中の度合が違うということで理解しましたけれども、それは先ほどから申し上げていた多様化ということで、24時間のニーズの人もいれば、いろんなニーズがあるということかと思うのですが、制度上で時間が違うだけで名称が違ったり、制度が違ったりするという必要性はないように思いますけれども、いかがでしょうか。それは要するにサービスの差であって、ここの何々園は4時間でいきますと、こういう集中型でいきます、ここの何々園は8時間でいくタイプで、こういうふうにやりますということは、個々のサービスやニーズによって対応する1つの園ごとの違いであって、法律上、あるいは制度、名称上、今のように2つある必要がなくなってくるかと思うのですが。

○岩田局長 やはり保育所は、保育所がなければ子どもが育たないという状況にいるお子さんの問題だと思うのです。
 それで、保育に欠けるというのは、本当は言葉がよくないかもしれませんけれども、保育に欠けるというのはそういうことだというふうに思いますので、それとやはり親が就学前の子どもに教育を与えたいということで選ぶ施設というのは、冒頭申し上げましたことの繰り返しになるかもしれませんけれども、単に同じものの時間の長い短いだけの差であるというふうには考えておりません。

○福井専門委員 調理室の同一敷地内基準についての御質問です。前回までの御議論では、栄養面と衛生面という2つを当初はおっしゃっていたのですが、栄養面は同一敷地内になくても大丈夫だと思うという御答弁があって、残った論点としては、結局調理室を見せるということがちゃんとした大人になる条件だという御主張は変わっていないという御答弁がありました。
 今日の資料を拝見すると、7ページの調理室がなぜ必要かというところでは、そういうことが書かれていないのですけれども、これは見解が変更になったということですか。

○岩田局長 いや、今日は時間の都合もございましたので、すべて説明はできませんでしたけれども、7ページの3番目に書いてあります「『食事』を通じた子どもの健やかな育成」ということは、前回保育課長の方から申し上げましたことを、こういう形で要約をさせていただいております。

○福井専門委員 この3番ではちょっと読めなかったのですが、この意味は調理室を見せたり、においをかがせたり、調理師の方が話をするということ言っているという意味ですか。

○岩田局長 はい、そういうことです。

○福井専門委員 そこについて、これも前回に御議論があったのですけれども、それはやっていない保育園がある、そういう指導をやっていないという実態がある、また通達とか基準を設けているわけではないと御答弁があったのですが、それについては、その後、何か調査をされましたか。

○岩田局長 先生、御存じのように、今こんなに経済的に豊かな社会でありながら、やはり子どもたちの食の問題というのは、危機的な状況にあるというふうに思います。それは、本当は家庭の問題かもしれませんけれども、家庭に代わって子どもを養育する保育所の機能としても大変重要であるというふうに考えております。
 それで、14年度から開始いたしました保育所サービスの第三者評価制度というのがございますけれども、例えばこの第三者評価制度の中には、そういった食育の観点からの評価基準もございまして、そういう子どもに食の大切さを教える、食を一緒に楽しむ、そのことを通じて、子どもの体の発達だけではなくて、心の発達、対人関係をつくり上げていくということの重要性については、例えば第三者評価制度の中で取り上げているところでございます。

○福井専門委員 おっしゃっていることは、私も全く同感ですし、こちらの会議のメンバーでもそういう食の重要性を否定する人はいないと思うのです。
 ただ、ここの論点は、食事の重要性とか食育の重要性ということではなくて、同じ敷地内に調理室がなければ食事の重要性をちゃんと教えられないから、ちゃんとした大人になれないという御主張があった。だから、敷地内にあるかどうかと、食事の重要性を園児に伝えるというのは、別の論点ではないかというのが一貫した議論の争点だったのです。

○岩田局長 そうですか、今回はそれ以外に1とか2とか別の論点も説明させていただきましたけれども、やはり食育をしっかりやっておられる保育所の例を伺いますと、例えば園庭でつくった野菜を使って料理をする、その園庭を使った野菜でおかずができているということを子どもに見せるとか、あるいはおやつをつくるときに、後で加熱をすれば衛生上も問題がないということで、うどんを子どもにこねさせたり、ビスケットを一緒につくったりというような食事をつくるという過程に子どもの年齢に応じて参加させるとか…

○福井専門委員 園庭での野菜づくりと調理室があるということとは、また別の論点ですね。

○岩田局長 勿論そうですけれども、その野菜が育って、それを今日のおかずにしているということを体験させるということも食育の1つだと、本当に例の1つとして…

○福井専門委員 そういうことが何かいい効果を生んでいるということは全く否定していないです。そうではなくて、そういうふうに調理室が敷地の中にあって、同じ敷地内で調理がなされないと、健やかな大人になれないということを一貫して主張されているので、それだったら、今おっしゃったような意味でも、食育について、例えば前回の論点だと、シースルーな調理室でないとまずいとか、あるいは、においがかげないとまずいとか、あるいは調理師の方が食事を持ってきていろいろ話をしてくれるようでないとまずいという御主張があったので、だったらそこの部分について、本当に保育園で指導されているのかどうか、あるいは実際にそういうことが行われているのかどうかということをお調べになってはどうでしょうという、そこに限った議論があったのです。おっしゃる一般論を否定しているわけでは全くないのです。

○岩田局長 そうですか。それも論点の1つだというふうに思いますけれども、それだけで調理室の必置の必要性を申し上げているつもりではございませんので…

○福井専門委員 勿論そうですが、前回は栄養面と、それからまさに見せるという部分と2つだということだったのですが、今回の1番、2番は前回までになかった理由が付け加わったという理解でよろしいのでしょうか。

○高井課長 私としては、当時、1番、2番は当然で福井先生御存じだろうと思って、私は言っておりました。その上で3番のようなこともあると言ったつもりです。済みません…

○福井専門委員 1番の場合は、資料としても発言としても今日初めてお聞きしたものですから…

○高井課長 あのときは1番、2番は聞かれなかったのです。

○福井専門委員 聞かれないことは説明しないのですかね。

○高井課長 そういう点では謝りますけれども、あのとき先生は御存じだろうと思って言わなかったもので、恐縮でございます。

○福井専門委員 もともとここでの論点は、なぜ保育所の同じ敷地の中に調理場がないといけないのかという理由を御説明してくださいというのが出発点でしたね。それについて3番を説明されたら、3番以外の論点はありますかと聞かれない限り説明はしないという意味ですか。

○高井課長 当日のやりとりが、こうやって皆さんごらんいただければと思いますけれども、その3番に焦点が合ってしまったもので、そこをずっと福井先生が御指摘になっていたもので、私はずっとそこをお答えしたのです。資料を出せと言えば、1番、2番、3番と出すつもりだったのですけれども…

○福井専門委員 では、本日、1番、2番が加わったということは理解しますので、それはそれで結構です。
 3番については、これも一貫して議論があったように、もし3番も理由として重要だとお考えであれば、指導とか基準とか、例えばシースルー、におい、調理師による説明ということについて実態を把握されと同時に、もしやっていないとすると、それは問題だという指導をしないと首尾一貫しないのではないかという議論があったんです。それについて実態の調査等をしていただいてはどうでしょうか。

○岩田局長 今、先生がおっしゃいました点は、先ほどの第三者評価の基準に具体的に入ってございますので、その第三者評価を使う保育所がこれから増えていくと思いますので、そういったデータの…

○福井専門委員 その第三者評価の具体的なやり方とか、基準とかを後ほどで結構ですが、あとそれの運用の仕方なり、調べ方を教えていただけますでしょうか。
 最後に1、2に関してですが、まず、1ですけれども、離乳食があるから保育園では、そこに調理室がないという論理ですか。

○岩田局長 離乳食とか、特に問題になろうかと思いますのは低年齢児ですね。

○福井専門委員 これは低年齢児用、あるいは離乳食を外から運んで来るのだと何でまずいのですか。

○岩田局長 離乳食というのは、先生も御存じかと思いますけれども、食物の繊維をすりつぶすわけで、赤ちゃんを育てられた方は皆さん御存じだと思いますけれども、本当に衛生面に気をつけながらやるわけでございます。
 ですから、毎回ベビーフードでいいというような立場に立たれれば…

○福井専門委員 そうじゃなくて、つくった離乳食を、そんなに時間がかからないで、栄養価が壊れないうちに運んで来ることだってできるのです。それならそれでもいいのですか。

○岩田局長 具体的には、どういうことでそれが可能かと…

○福井専門委員 だから、給食センターとかから余り離れていない保育園であれば、そこから離乳食や低年齢食をちゃんと栄養価が破壊されないうちに運んで来ることができれば、それでいいわけでしょう。

○岩田局長 先ほど申し上げましたように、学校給食センターを活用したいから、調理室は要らないのではないかということで、特区提案をされた自治体すべてにおかれまして、やはり離乳食は無理だというふうに言っておられます。

○福井専門委員 では仮にそういう給食センターという名前かどうかはともかくとして、離乳食をセンターなりでつくるところがあって、そこが迅速に配達できるなら、それでいいわけですね。

○岩田局長 実際問題そういうことがあり得るのかというのが、もう一つ…

○福井専門委員 だから、あり得るかどうかというのは、ここの争点ではないのです。ここはあくまでも規制の論理の世界を詰めたいので、そういうことができれば、この論点は問題ではなくなるという理解でよろしいですか。

○渡邊大臣官房審議官 ちょっと補足させていただきますと、やはり冒頭からの保育所とは何ぞやというところから申し上げておりますように、やはり教育的な側面もありますけれども、家庭に代わる養育環境をそこで用意しようと、しかも長時間にわたりということでございます。
 ですから、規制という論点でロジカルに見るとどうかという御指摘でございますけれども、今、世の中に変わった方がいらっしゃって、台所のない家を購入したいとか、アパートを借りたいという方はいないとは言えないと思いますけれども、出前をとったからといって台所セットが要らないという、そういうものを施設の標準として考えるとかという考え方を保育所の在り方を…

○福井専門委員 その論点ですが、離乳食とか低年齢児とは関係ないのです。離乳食は特別なことが必要だから、ということですから、そこに限って教えてほしいのです。

○岩田局長 ちょっとお答えを保留させていただきたいと思います。実際にどういう、例えば学校給食で0歳児のお子さんですから、そんなに数は学校給食を…

○福井専門委員 設備を改善すれば、物理的にも技術的にも対応は可能ですから、想定するのは全然不自然ではないです。

○岩田局長 ただ、学校給食センター方式でやるというのは、1つのメニューを大量につくるということでコストダウンになるからということでやっておられるのだと思いますので、本当に学校給食で…

○福井専門委員 大量につくるかどうかも選択のうちですから、それはいろんなバリエーションがあるわけで、ここでの論点は一律に離乳食が必要だから、保育園内の敷地にあることを絶対に外れてはいけないのかどうかという論点です。そういう観点からも後ほどで結構ですが、お答えいただきたいのですが。
 もう一つだけ最後に、2番の論点ですけれども…

○渡邊審議官 済みません一言、先日の高井課長とのやりとりは、原則同一敷地内ということで終わっていたと思うのですけれども…

○福井専門委員 それはよく存じております。
 2番の点ですけれども、夜間保育とか、昼食、おやつ、夕食とか、複数回の食事ということですが、これも複数回運べれば問題がないのではないかということも1番と同様の論点です。これも後ほど、なぜそれでまずいのか、要するに複数回提供できる敷地外のまともな給食施設があればそれでいいのではないか、という点にどうお答えになるのかについて、教えていただきたいと思います。

○宮内主査 では、簡単にお願いします。ちょっと時間がオーバーしておりますので。

○村山委員 この1番のところなのですけれども、0歳児を含めと言っていますけれども、実態面で0歳児保育を受け入れている保育園というのは、そんなに多くないはずで、ほとんど2歳ぐらいからは入れるようになりますけれども、0歳児保育をやっている保育園は、私が通わせようとしていたところには全然なかったので、0歳児は無理だということでやったのです。これだとすべての保育所で0歳児をやっているのから離乳食が必要だという論調になるかと思いますけれども、それではこれを言うのであれば、0歳児をやっていないところはいいんではないですかということが言えるかと思います。
 もう一つは、この規制というのができた時点というのは、恐らく例えば冷凍冷蔵庫が付いた車であるとか、給食センターであるとか、今、いろいろないわゆる給食デリバリサービスとか、クリーンルームとか、そういった技術がないときにできた話の問題であって、今、そういったテクノロジーがどんどん多様化している中で、それこそ老人食とか病院食でもそれぞれ違ったメニューをつくれる技術が可能になっている中で、これを押しとおすことに意味があるのかと思いますが、いかがでしょうか。

○岩田局長 まず、0歳児ですけれども、確かに数年前までは、余り一般的ではなかったかもしれませんけれども、今、待機児童も0歳児というが大変多いということで、今、受け入れを進めていただいております。現在では、全国8,590 か所(平成9年度データ)の保育所で、0歳児保育をやっておりますので…

○村山委員 それは、全体の保育所の何%ですか。

○岩田局長 全体が2万2,000 か所でございますから、済みません割算をしていただければというふうに思います。

○村山委員 半分にもいっていませんね。

○岩田局長 半分にはまだいっていませんね、都市部を中心に0歳児保育というのは普及いたしております。
 それから、私も外部搬入すべて認められないかというと、これは勉強してみたいと思っているのです。
 ですけれども、0歳も含めて、1歳、2歳も含めて、そしてここにも書いてございますように、体調が悪くなれば、今日は下痢しているというふうに思ったら御飯をおかゆに代えるわけです。それはうちでやっているように、それはすべての保育所でやっております。 そういうことを考えたときに、すべてのケースについて外部搬入で済むというふうには思われないのです。ですけれども、どういう条件で、どういうケースについて、外部搬入が可能かどうかというのは、これは勉強する課題の1つであるというふうに思っております。

○宮内主査 まだ、いろいろ御議論があろうかと思いますけれども、時間を大きくオーバーいたしましたので、その点がはっきりしたという意味で、意見交換が大変有意義だったと思います。
 私の感想を申し上げるのもどうかと思いますけれども、いろいろこういう規制を2つの省でなされているということの本当の意味合いは何なのだろうかと、そしてただいまの厚生労働省のお話は、非常に説得力のある面もございましたけれども、実態としては待機児童というのが非常に多く、保育なんていうものと無関係にいるというのが現実であると、そういう現実を踏まえまして、今日の御説明でいいんだろうかと、これは引き続き御議論されていただきたい点でございます。
 今日は、本当に御多用のところおいでいただきましたことを心から御礼申し上げますし、今後とも意見交換の機会を持たせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。


内閣府 総合規制改革会議