○宮内主査 残りました1時間、5時半までという予定をしておりますが、2つ目のテーマでございます「職業紹介事業の地方公共団体・民間事業者への開放促進」というテーマにつきまして、職業安定局との意見交換を行いたいと思います。
本日は、大変お待たせいたしまして、御多忙のところおいでいただきましてありがとうございます。御担当の皆様においでいただいております。よろしくお願い申し上げたいと思います。
本テーマにつきましては、資料2をごらんいただきたいと思いますが、当会議といたしましては、論点を大きく2つに分けて考えることができると思っております。
1つは、1ページでございますが、ここにございますとおり、当会議の第2次答申にも盛り込まれております、有料職業紹介事業や無料職業紹介事業に関する抜本的な規制緩和、これをこれまで以上に、より一層加速化し、深掘りしていくというテーマでございます。 もう一つは、同じ資料の5ページからでございますが、公共職業安定所、いわゆるハローワークにつきまして、その業務の一層の効率化のために、地方自治体に業務を移管したり、包括的な管理運営を民間事業者に委託する。すなわち、公設民営方式を採用するなど、さまざまな見直しを図る必要があるのではないか、こういう問題意識でございます。
ただいま申し上げました点も参考にしていただきながら、意見交換を始めたいと思いますが、まず、御担当の職業安定局からお考えにつきまして、10分ぐらいでお願いできればと思います。 よろしくお願い申し上げます。もう座ったままでお願いします。
○岡崎総務課長 職業安定局の総務課長の岡崎でございます。
最初にちょっとお詫びを申し上げたいと思うのですが、私どもの職業安定局長の方が、本日出席して、この場で先生方と御議論したいというふうに思っていたわけでございますが、まさに今日、主査からお話がありました労働者派遣法あるいは職業安定法の改正法案を今、国会に出しておりますが、この関係が本日に本会議で衆議院入りしたということもありまして、もう一つ、私どもの法案で雇用保険法という法律があるんですけれども、これは5月1日施行ということで、今、国会が最終段階にありまして、通常であればこの時間に間に合うかと思ってセットしていただいたわけでございますが、国会のいろんな都合で今日は7時まで審議があるという事情がございますので、私、総務課長でございますが、私の方から御説明させていただきたいというふうに思います。
職業紹介事業の地方公共団体あるいは民間事業者への開放の促進というテーマでございますが、私どもの方の職業安定局と書きました資料に基づきまして、まず御説明させていただきたいというふうに思います。
いわゆるハローワーク、私どもの公共職業安定所の関係のアウトソーシングということでございますが、この関係につきましては、私どもも求職者の方にも障害を持っておられる方、高齢の方、いろいろな方がございますし、そういう中で、やはり国として全国的な体系の下に無料の職業紹介をしていくということ自体は必要だろうと思っておりますし、これはILO条約、88号条約でもそういうふうに書いてあるということでございます。
ただ、最近厳しい経済情勢の下で、雇用情勢も非常に厳しいということでございますが、そういう中で求職者の方も相当増えておられますし、そういう中で求職者のニーズも相当多様化しております。そういう中で、民間の皆様方の知恵を借りたい、活力を活用させていただくということは非常に重要なテーマだろうというふうに認識しているわけでございます。
昨年来、官製市場、その他いろんなところで規制改革会議でも御議論をいただきまして、私どもそういうことを受けまして、最大限アウトソーシングということに努めてきているつもりでございます。
1つとしましては、ハローワークの求人につきまして、従来安定所の中での公開というのが中心だったわけでございますが、これにつきましてインターネット上での公開ということを進めておりました。
ただ、昨年までは求人企業名につきましてはインターネット上では公開しておりませんで、これは安定所に来ていただくという形でやっていたわけでありますが、やはり自力で自宅で求職活動をするという方のニーズが多いわけでございますので、そこのところは、求人者の方の希望というのがありますので、全部というわけにはいかないわけでありますが、求人者の方が了解いただいたものについては、インターネット上でこの1月から求人情報を公開するという形にしております。
現在、47万件の情報が載っているわけでございますが、そのうち45%、21万件は企業名がインターネット上で公開されているという状況になっております。
それから民間のさまざまなサービス等につきまして、雇用対策の中でいろいろ活用していただくというのも重要なテーマだろうというふうに思っております。
雇用対策の中で、特定求職者雇用開発助成金等、幾つかの雇い入れ措置についての助成制度があるわけでございます。従前は、安定所の紹介に限るとなっていたわけでございますが、これも規制改革会議の御指摘を受けまして、13年10月より民間紹介による就職にも適用拡大したと、いわゆるイコールフッティングに努めているということでございます。なかなか民間でというのが、数としてはまだ出てきてない状況でございますが、昨年の状況で195 件民間の方で活用されたというふうな状況になっております。
それから、いわゆるアウトプレスメントサービスにつきまして、これも企業等がリストラをするという場合につきまして、ハローワークでもいろいろサービスを提供するわけでありますが、離職させる企業の方がアウトプレスメント企業を使って離職者対策をするということは有効であろうということであります。
これにつきまして、13年12月以来助成制度を設けまして、離職させる企業がアウトプレスメント会社に支払った費用のうち、成功した場合でございますが、4分の1、30万円限度ということで、助成金を出すと、こういうことになっていたわけでございます。
ただ、これにつきましては、離職後7日以内に就職することという非常にある意味では厳しい要件があったということで、実は活用が進んでいなかったという状況がございました。これにつきましては、昨年12月から離職後7日以内というのを改めまして、3か月以内ということにいたしましたので、こういう形の中で、よりアウトプレスメント会社の活用が進むのではないかというふうに期待しているということでございます。
1ページめくっていただきまして、いろいろな民間のノウハウ・人材等を活用した就職支援ということでございます。
これにつきましては、1つは、中高年とホワイトカラー離職者等を対象にいたしまして、いわゆるキャリア交流プラザ事業というのを平成11年10月から実施しております。これは対象者の方につきまして、20〜30人をグループにいたしまして、その方に対しまして、いろんな再就職のためのセミナーを行ったり、あるいはグループワークとしていろんな意見交換をしたり、そういう中で、ハローワークだけではなくて、民間のカウンセリングを利用したりというようなことで就職を進めていくという事業でございます。
これは、全国これまで12か所、今年度から15か所ということで広げることにしたわけでございますが、こういう中でセミナーその他につきましては、民間の方に委託して行っているというようなことでやってきているというようなものがございます。
それから、ハローワークにおけます雇用保険の失業給付の受給者、これも相当増えている中で、やはり私どもとしては早期に再就職していただく、そういう方向で求職活動をしていただくということは非常に重要だろうということでありまして、こういう方々につきましては、就職支援のセミナー、これを昨年の9月から実施しているわけでございます。 地方のハローワーク等で職員が対応できる部分については、職員がやっておりますが、大都市等におきましては、むしろ民間の就職支援会社等に委託をしまして、このセミナーを行っているというようなこともやっているわけであります。
そういうことで、既にやってきたわけでございますが、昨年の12月12日の官製市場の方の御指摘で、民間への業務委託等を進めて、民間のノウハウを一層生かすというふうな御指摘があったわけです。そういう中で、たまたま14年の補正予算があったということもありますので、その中で新たに2つのことを実施させていただいております。
1つは、これは14年度の補正予算のテーマが不良債権処理の加速化に伴うセーフティーネットということであったということもあるわけでございますが、そういう不良債権処理の影響で、特に中小企業から離職された方、こういう方で管理職や技術職への就職を希望する方につきましては、民間の就職支援サービス会社にサービスの提供を委託するという方式を導入いたしました。
これは、予算措置として基金で積んで8億円でございます。それで1人当たり25万円という計算で3,000 人を予定しているということでございます。これは基金でございますので、16年度末までの不良債権の集中的な改革期間の間、この予算を活用して民間委託を進めていくという予定でございます。
ただ、不良債権処理に伴う離職者というのは、私どもは今、把握しようと努めているわけでございますが、特に中小企業関係は、まだ余り出てきていないという関係がありまして、まだ委託に至っていないのは非常に残念でございますが、今後出てきた方については積極的に進めていきたいというふうに思っております。
もう一つは、これまでハローワークにおきまして、どうしても何と言いますか、通り一遍な就職指導になりがちな部分もあったということがあるわけでございますが、そういう中で、特に再就職、早期就職の緊要度が高い方につきましては、担当制によります体系的、計画的な就職支援を行うということを新たに実施することにいたしました。それで就職支援ナビゲータというふうに称しておるわけでございますが、これはすべて民間の専門家や実務経験者の方を新たに補正予算によりまして採用したということでございます。
一応、全国で500 人採用しておりまして、私どもとしましては、一人一時期に20人ずつ担当していたということで、2〜3か月で再就職を実現させていくということを考えておりまして、年間で5万人ぐらいの就職が実現すればいいなというふうに思っているということでございます。
この中で、就職支援ナビゲータが求職者の方と個別にマンツーマンで対応するわけでございますが、その中で本人の希望等があった場合には、その方の情報を、そういう人向けの求人を持っていると見込まれる民間事業者ともつないでいくというような形でサービスを提供していくということを考えているということでございます。
これは、昨年度の補正予算で、ナビゲータを研修してまだ始めたばかりでございますが、徐々に担当を決めて始めているという状況でございますので、こういったものも更に進めていきたいというふうに思っております。
15年度からの予算のことについては、先ほど御説明しましたキャリア交流プラザ、この中で技術者とか、中高年の長期失業者、こういった方も対象にしていくということで、民間のノウハウを使った形の再就職を進めていくということを更に進めていきたいと思っております。
それから、若年者の関係につきましても、これまでヤングハローワークということでいろいろ対応をしてきたわけでございますが、その地域の民間の業界団体等々ネットワークをつくって、そういう中で業界団体の会員事業所等との連携の下に職場見学、その他を進めていくというようなことも進めていきたいというふうに思っておりまして、ハローワークにおいても民間とのネットワークということを大事にしていきたいというふうに考えている次第でございます。
1枚めくっていただきまして、むしろ先ほど主査が言われた中では1つ目のテーマに当たるわけでございますが、民間や地方公共団体による労働力需給調整を活性化する、そのための規制改革ということでございます。
これにつきましては、先ほども少し触れましたけれども、今日、本会議で審議入りしたわけでございますけれども、その中で規制改革会議の方から言われていることについては、私どもとしては基本的に届いたのではないかというふうに思っているわけでございますが、そこにありますように、商工会議所とか、商工会、農協等、特別の法律により設立された法人につきましては、届出制で無料職業紹介ができるようにするというようなこと。
それから、許可手続につきましては、これまで事業所ごとに許可を取らなければいかぬということになっていたわけでございますが、これは簡素化して事業主単位、企業単位でいいということにするということです。
それから兼業禁止規制につきましても、これは基本的に廃止するというようなことにしております。
それから紹介予定派遣につきましても、派遣労働者の事前面接や採用内定を可能にするというような措置を取っているということでございます。
更に求人者からではなく、求職者からの手数料の徴収の関係でございますが、これは昨年科学技術者や経営管理者につきまして1,200 万という要件で徴収が可能ということにしたわけでございますが、これは年収要件の引き下げということで、今年度中に措置したいと、現在、国会で審議をお願いしている法案の施行と併せて対応するようにということで、この1,200 万につきまして、現在の民間の部長クラスの年収である、700 〜800 万ぐらいを1つの目安として今後議論を進めていきたいと、こういうふうに考えているということでございます。
それから地方公共団体につきましても、これまで地方公共団体は職業紹介できないという形になっていたわけでございますが、これも届出制でできるという形にしたいというふうに思っています。
その中で、地方公共団体への移譲というようなこともあったかと思いますが、私どもとしましては、国のネットワークは必要だろうと思っているわけでございますが、地方公団がこういう形で職業紹介をできるようにする中で、適切な連携を図ってやっていくということが一番適切ではないかというふうに思っております。
そういう中で、特区におきましても、官民共同によるサービスの提供というのが上がっておりまして、これは足立区の提案だったわけでございますが、既に第一次の認定が行われておりまして、9月から実施されるという予定でございますが、私どものハローワークにおきましても、この官民共同窓口に積極的に参加するということで対応するということにしている次第でございます。
いずれにしましても、私どもとしましては、最初に申しましたように、全国的な無料の職業紹介のネットワークは前提だと思いますが、いろんな形でこちらからの御指摘も踏まえながら積極的にハローワークのアウトソーシング等進めて参りたいというふうに思っている次第でございます。
○宮内主査 ありがとうございました。それでは私どもの方から、御質問あるいは意見ということで申し上げさせていただきたいと思いますが、ちょっと今、課長のおっしゃったのと順序が逆になってしまって申し訳ございませんが、雇用労働ワーキング・グループということで、清家主査が職業紹介事業に関する抜本的な規制緩和につきまして、これまで御担当いただいておりました清家委員、それから後の方でハローワークに関しましては、これは私どもの切り口では官製市場見直しということで、そのワーキング・グループは鈴木委員にお願いしておりまして、このお二人から御意見をちょうだいしたいと思います。 では、清家さんの方から先にお願いします。
○清家委員 どうもありがとうございます。失業率や有効求人倍率は若干改善の兆も見えているようにも思いますけれども、まだまだ非常に厳しい状況があるということはお互いに共通の認識だと思います。
その中で、勿論雇用というのは、生産からの派生需要ですから、マクロの経済が回復しない限り抜本的な雇用問題の回復というのはあり得ないわけですけれども、しかしそうは言っても有効求人倍率が0.5 とか0.6 あるわけですから、そういった求人に対して求職者ができるだけ効率的に就職できるということが失業率を少しでも下げるためには大切なわけであります。
その点で、私どもは緊急な課題として、勿論ハローワークにもっと頑張っていただくということも大切ですが、同時に有料・無料の職業紹介がもっと幅広く機能を果たすことができるようになることによって、より多くの情報が求職者あるいは求人企業に行き渡るようになるということが大切だというふうに考えているわけであります。おそらく、これについても厚生労働省と私とそんなに大きな意見の違いはないと思います。
また、今、お話がありましたように、私どもの去年の提言に沿った形で今回職安法と労働者派遣法の改正案、これはまだ決まってはおりませんけれども、国会に提出していただいたということ、あるいは地方公共団体による無料の職業紹介の門戸を開放していただいたということは、私どもとしても多としているところでございますが、今日は2点、特にアクションプランということで、6月に向けてお願いしたいものについてお尋ねしたいと思います。
1つは、確かに手数料を今まで求職者から一切徴収できないということを、徴収してもよいというふうにしていただいたということは、全くゼロだったのが一歩前進ということは認めますが、現在はまだ求職者から料金を取れる範囲というのが非常に限定されているわけでございまして、お手元のレジュメにもございますけれども、年収1,200万円を超える科学技術者、経営管理者から徴収可能というような形の規制緩和に、私どもの観点から言うととどまっているわけでございます。
確かに厚生労働省が言われるように、交渉力の弱い求職者に対して事業者がピンはねなどをする恐れがあると、歴史的にもそういうことがありましたし、たしか最近もピンはねではありませんけれども、無許可の職業紹介事業者が警察に逮捕されるというような事案も起きておりまして、おっしゃるとおり悪質な業者がいるということは認めているわけですけれども、次のような条件が満たされれば、私は基本的には料金をどういう人から取っていいといった規制は必要ないのではないかというふうに思っているわけでございます。
その条件というのは、どういうことかと言うと、1つは、今、有料の職業紹介事業については許可制になっているわけです。これについても従来は事業所すべて許可制であったのが本社事業所のみでいいというふうに緩和していただいておりますが、この許可制が担保されているということは、法律に違反するような悪質な業者の許可を取り消すことができるということが1つ担保されているかと思います。ですから、1つは許可制は必ず残すと。
もう一つは料金そのものについての規制は確かに必要だと思うのです。法外な料金を取るというようなことがあってはいけないわけですから、紹介する仕事の年収の何%というような料金についての規制を担保する。
同じように、いわゆる食い逃げと言うのでしょうか、紹介だけするようなふりをして、実際には紹介しないというふうなことがあるといけませんから、料金徴収方法ですが、すなわち紹介が成立した後、一定期間を経てからその料金を徴収するといったようなことについても規制をきちんと課す必要はあるかと思います。
3つ目に、今、岡崎さんも言われましたけれども、そもそも厚生労働省は全国津々浦々にハローワークを持っておられて、無料でしかも一定の水準のサービスを提供しておられるわけですから、このような形で全国に無料の一定水準のサービスが提供されている中で、その質以下のサービスを悪質な業者が提供しようとしても、これは業として成り立ちにくいわけですから、そのようなことは基本的には、勿論よく知らない人がだまされるというようなことはあるかもしれませんけれども、排除されるのではないか。
つまり、許可制と料金規制、これは取り方の規制も含めてです。それから無料の一定の水準以上の職業紹介というものが全国的に担保されているという条件があれば、私はここにあるような年収が幾ら以上だとか、あるいはどのような職種の人だとかといったような料金を徴収できる対象を限定する必要はないのかと思います。
ただ、勿論こう言うと、ILO条約では原則料金を取れないことになっていて、ただし労働者の利益にかなう場合に限り取れるということになっているというふうに、反論されるかどうかわかりませんけれども、こちらから先取りして言いますと仮にそうであったとしても、今言ったような条件が満たされれば、全部とはいわないまでも相当程度料金の徴収できる範囲が拡大できるのではないかというふうに思っております。その点について厚生労働省のお考えを伺いたいと思います。
もう一点は、無料の職業紹介についてですけれども、確かに今回地方自治体も開放していただいたわけですけれども、従来から学校等にも認められておりましたし、また特別の法律によって設置された法人等には認めていただいたわけですが、我々は更にこれをもう少し、勿論これも何でもかんでもというつもりはありませんけれども、一定の公共性ないしは公益性を有するというふうに考えられる事業主体、例えば今、いろんなところでNPOとか、あるいは生活ネットワークとか、出てきているわけですが、そういった中で、一定の公共性、あるいは公益性を有するというふうに認めた事業主体については、もう少し広く無料職業紹介を行うことを認めてもいいのではないか。
厚生労働省は、無料職業紹介の範囲を過度に拡大すると、職業紹介の持つ公共性、公益性の観点から問題だというふうにおっしゃっていますけれども、その過度というのがどのぐらいということも議論になるかと思いますが、もう少し幅広く無料の職業紹介ができる範囲を広げていただくことは問題ないのではないかというふうに私ども思っておるわけでございますが、この2点について質問させていただきます。
○宮内主査 では、よろしくお願いいたします。
○宮川民間需給調整課長 民間需給調整課長の宮川でございます。
それでは、2点、清家先生からお話があった手数料の話と、無料職業紹介の話について簡単に御説明させていただきますと、私どもの今までの考え方は、総合規制改革会議等からの御指摘も含めまして、どちらかと言うと、職種というような形で交渉力のあるような人たちで、つまり職種と年収によって、言わば交渉力を担保していこうと、こういう発想で今までやってきていたのは間違いない事実だと思います。
それが結局、ILO条約におきます、清家先生から御指摘のありました労働者の利益にもかなうのではないかと、こういう理解で行ってきたわけでございます。清家先生がおっしゃられたのは、また新たな1つの提案かなと、今までとは違った切り口ということではないかなというふうに個人的には思われます。
そういうものが、まさにILO条約で言うところの関係する労働者の利益という形に耐え得るのかどうかというのは、かなり検討しなければいけない問題ではなかろうかなと1つは思いますが、ただ今の時点で申し上げますと、現在、行おうとしておりますのは、年収要件の引き下げと、職種の拡大という点では、これは構造改革特区の話が地方から上がってきたときに、職種を拡大してほしいと、それで具体的にはどんなものかと言われたときに、今は経営管理者、科学技術者ということで、かなり範囲が限定的になっているけれども、もう少しマージナルな部分と申しましょうか、具体的に言えば、ある地方自治体から言われたのはテクニシャンと、テクニシャンと言うのは、高度な技術や技能を持った現場の労働者ではあるのかもしれませんけれども、経営管理者や科学技術者とは言えないけれども、ある程度レベルの高い人という形の、そういう意味での交渉力がある人ではないかという御趣旨だと思います。
私どもとしましては、現在のところ、そういう意味での交渉力という問題が1つの切り口としては必要なのではなかろうかと今のところは考えております。
○宮内主査 どうぞ。
○清家委員 おっしゃるような基準もあるかと思いますが、労働者の利益というのは、要するに求職者にとっては、少しでも情報が多い方が利益になるというケースは多いわけです。勿論、みんなこれを使いなさいと強制するわけではなくて、使いたい人が使えるというのは、その分だけその人の利益が高まるわけです。
したがって、私は先ほど言ったような条件が担保されて、すなわち労働者の不利益が生じないような条件さえ整えば、ちょっとでも情報が増えるという、あるいはちょっとでも消費者と言いますか、求職者が利用できる機会が増えるというのは労働者の利益にかなう。
逆に言えば、何かの職種を設定して、こういう職種の人には利益がかなうとか、年収が何千万以上だと利益にかなうというのは余り合理性を持たない。おっしゃったように交渉力という面はあるかもしれませんけれども、交渉力についておっしゃっている労働者の利益というのは、むしろ労働者に不利益が及びにくいという意味で交渉力が条件として出ている部分が多いと思いますので、そういう観点から言えば、不利益が及ばないような条件さえ担保すれば、そういった職種とか年収で限るのは、むしろ合理性がないのではないかというふうに思っております。
○宮川民間需給調整課長 先生がおっしゃられた、言わば新たな切り口というものを私は、今、この場で否定するつもりはございませんが、いずれにしてもILO条約の中では関係する労働者の利益のために、最も代表的な使用者団体及び労働者団体と協議した上でというのが、これがまたILO条約上きっちり明定されてございます。そういうことも含めまして、今後審議会で議論されていこうという形かと思われます。
それから無料の方なんですけれども、無料の中には、例えばNPOとか、公共性、公益性という観点の切り口でもう少し範囲を広げたらどうかという御提案かと思われますけれども、私ども今回は特別の法人を認めましたのは、こういう特別な法人というのは、他の方法で、言わば私どもがやっているような事前チェックとしての事前の資格、危ないことはしませんねという意味では、事前の資格がある意味で厳密にチェックされているのではなかろうかという趣旨で書かせていただいておりますが、端的に申しますと、公益法人とか、NPOを含めまして、その他の法人に対するものについては、やはりある程度職業紹介をやっていく上できちんとできるんでしょうねという意味での事前チェックはやはり必要ではなかろうかなと、これは個人的な経験を申し上げて申し訳ないのですけれども、私はこの課長になったとき以降、あるNPOの法人の方から自分のところは、財産は何もないと、だから財産要件は満たせないと。満たせないけれども、公共のためにやるんだから許可をするべきであるという御主張をされた方がおられましたが、いかんせんやはり無料職業紹介事業と言えども、やはり事業の裏づけとしての何らかの、事業はただでできるものではございませんので、それを担保するものという意味で、やはりある一定程度の財産要件等が満たされる必要性があるのではなかろうかなと感じております。
○清家委員 ちょっといいですか、もうこれでやめますが、水かけ論になるかもしれませんけれども、2点あるんですけれども、おっしゃるように、確かに厚生労働省は最後には労使が合意しない限りだめだからということをおっしゃって、それは制度としてそうなっているのはわかるのですが、ただ、実態から見ても労働者派遣法等については、例えば労働組合と派遣労働者の利害が対立するというようなことがありますから、その是非は別として労働組合がそれが反対するというようなことがあるかと思いますが、この職業紹介については、少なくとも例えば労働組合の利益に反するというようなこともないわけですね、さっき私が言ったような労働者の不利益さえ担保されていれば。また雇い主がこれにそんなに強く反対するかというと、情報が行き渡り過ぎて安く雇えないというような問題が起きるという不満を持つ使用者がもしかしたらいるかもしれませんけれども、しかし使用者側がそんなに反対するとも思えないので、この有料の職業紹介の規制緩和について、本当に労使がどういう理由で反対しているのか、もし宮川さんがこれが進まないというふうに労使のことをお考えになって、先ほどのようにお答えになったとすれば、どのような理由で組合などは反対されているのかということ。
もう一つは、無料の職業紹介についてどのぐらい資産があるかというようなことは大切な要件だというふうに言われるかもしれませんけれども、例えばほとんどアセットがなくても、ネットや何かを組むことはかなりできるわけです。ですから、例えば建物がなければいけないとか、よくわかりませんけれども、机がなければいけないとか、電話が何台なければいけないとか、どういう基準を設けておられるかはわかりませんが、そういった要件というのを余り拡大解釈されると、善意で、無料でやろうとしている人たちがほとんどできなくなってしまうのではないかなというふうに思います。
○宮川民間需給調整課長 まず、後の方から申し上げますと、この基準そのものは、私としては最低基準ではなかろうかと、ほかのNPO法人でも無料の許可を受けられて行っております。
それから、有料の場合は許可の手数料が一定額かかるのですけれども、無料の場合は手数料は無料でございますので、そういう意味で過分な負担をかけているつもりはございません。
ただ、先ほど申し上げましたように、私が受けたのは極端な例かもしれませんけれども、仮にそういうところを届出制で認めてしまうと、そういうところですら届出さえ出してしまえば、形式的にはそれで行うことができるというところに疑念と言うか、心配なところがあるということを少し紹介させていただきました。
それから労使、特に労働組合がどのように反対されているかと申し上げますと、私は昨年の2月の段階でいなかったので、資料等を見させていただいた範囲ということなので、もしかしたら十分ではないかもしれませんが、労働組合あるいは労働団体の基本的な反対の理由といたしましては、基本的には、まずILO条約の原則反対であるという理念的な反対論、それからやはり交渉力のあるものに限るべきであるという考え方、つまりあくまでも例外的なものである、原則例外の関係であれば、あくまでも例外として認めるべきであると、こういう主張があったということを御紹介させていただきたいと思います。
○河野委員 関連事項で、さっき手数料の、ある種年収の話が、今までの1,200 万と違って700 〜800万 というお話を今回されたのですけれども、それは今の労働者の中での賃金シェアで言うと、どれぐらいのところを網羅しているというか、全体の何%なのでしょうかというのが1つです。
あと、要するに手数料のことについて言えば、さっきILO88号のことをお話になっていたと思うんですが、181 号の方で手数料のことを決めていまして、これを実は批准している国というのは、13か国だけでございますね、すべての先進国がやっているというのではなくて、むしろ後進国がそのことを批准しているということ、と言うか181 号の方に関わっているということでよろしいんでございますね。
○宮川民間需給調整課長 ちょっと資料をめくらせていただきます。181 号条約は、今の時点ですと…
○岡崎総務課長 いずれにしても181 号であることは間違いありません。
○宮川民間需給調整課長 181 号条約です。その181 号条約が十数か国。
○河野委員 アルバニア、チェコ、エチオピア、フィンランド、グルジア、イタリア、日本と…
○宮川民間需給調整課長 13か国です。アルバニア、チェコ、エチオピア、フィンランド、グルジア、イタリア、日本、モルドバ、モロッコ、オランダ、パナマ、ポルトガル、スペインと、先進国もあれば後進国もあると、これは率直に言ってそうだと思います。
ただ、申し上げますと、ILO条約の場合ですと、アメリカは基本的にILO条約を余り批准されない国でありますし、それからイギリスも最近それほど熱心ではないというふうに私は感じておりますが、ほかの国ですと、例えば先進国で言えば、イタリアあるいはスペインあるいはオランダというところも批准しているところでございます。
あともう一点、年収の方の話なんですけれども、パーセンテージでございますけれども、具体的に言うと、先ほど申しました、700 万〜800 万という数字の統計的な意味なんですけれども、私ども賃金構造基本統計調査という調査がありまして、そこで部長クラスの勤続年数0年という人の統計上の数字を見てみますと、所定内給与額が61万4,000 円ということですので、これを12倍すると736 万円と、年間賞与がその他特別給与額40万円とあるので、それを併せると776 万円と、だから年間給与だけ見れば、736 万円が平均で、それにボーナスを加算すれば776 万円と、この辺りの数字ということです。
○河野委員 労働者の中で、そういう賃金をもらっている人が何%に当たるということなんでしょうかという質問をいたしました。
○宮川民間需給調整課長 そこのところはちょっと手持ちで持ってこなかったので、また後で…
○河野委員 では後で結構です。ほかもあると思うので、あとで数字の方をお教えください。
○奥谷委員 ハローワークをかなり強化なさろうというお考えがありますけれども、要するに民間と組んでですね、かえってもう不必要と言いますか、国が公共安定所を持つこと自体もう不必要になっているのではないのかなと。今、1万4,000 人の職員と、全国で600 か所持っていらっしゃると、それを細かくサービスをすることが無料紹介の仕事としていいとお考えになっていらっしゃいますけれども、むしろ、これを本当に地方公共団体に全部落として、求人というのは、求職もそうですけれども、地域によってかなり差がありますし、かなり多様化していますし、そこを国があえてやらなければならないという、今の時代の必要性というのはあるのかどうかということです。これは行政改革にものっとっていきますと思うのですが、それだけの人間を抱えて、国がやらなければならない仕事であるかどうかということ。
それと、むしろ今、社会保険庁の方は未加入の企業がかなり入っているわけですね、それを摘発すること自体が社会保険庁の方が人が足らないと、人が足らないために、摘発することができないという話は社会保険庁の方から聞きましたけれども、むしろそちらの方にこの余分な1万4,000 名のハローワークの働いている人たちを移行させるということの方が労働者にとってプラスになるわけで、厚生労働省の中で、どうこれからやっていくべきかという大きな問題だと思うのです。それで公共職業安定所を何が何でも厚労省がやらねばらないという理由は、今はないと思うのですが、いかがですか。
○岡崎総務課長 公共職業安定所、安定機関の職員が1万5,000 とありますが、職業紹介に関わっているのは約五千でありまして、あと雇用保険の関係と、保険関係も五千人ぐらいいると思います。あと、管理、それから雇用対策ということになります。
今、御指摘になりました、地方公共団体がやるか、国がやるかということは、これは地方分権その他でいろんな議論があったのは事実でございます。
ただ、いずれにしましても、私どもとしてはILO条約その他を考えて、公共の無料の職業紹介は必要だろうと思っておりますし、それをいずれにしろ国民の負担で、国家公務員としてやるか、地方公務員としてやるかと。仮に地方に移したとしてもそれは財源が必要という意味では同じでございまして、私どもは、勿論おっしゃるように、地域の特性というのがあるのは事実でありますが、一方では全国的と言うか、広域な職業移動というのも一方ではありますし、そういう中で、専門的な職員を養成し、全国的なネットワークでやるという方がかえって効率的ではないかというふうに思っているということであります。
それから、社会保険との関係においては、社会保険と労働保険、これをどうやって徴収するかという問題が一方にあるというのは事実でございます。今、社会保険の関係だけ申されましたが、労働保険の方も未適用の問題はございます。これらにつきましては、おっしゃいましたように厚生労働省という枠の中でどういう取り組みができるか、これは真剣に考えていく必要があるだろうというふうに考えています。
○宮内主査 2つ目のテーマに既に入ってしまっておりますので、そういう意味では、当会議側から鈴木委員が御担当いただきましたので、少し追加ということでお願いします。○鈴木副主査 去年は官製市場WGで議論させていただきました。基本的に私どもの考え方は、国家の権力に依拠するもの、あるいは国家の責務であるもの、これは当然なくなるわけではない。しかし国家の権力に依拠する、あるいは国家の責務であるからといって、それをすべて国家公務員でやらなければいけないのかということに対して疑問を呈したわけです。要するに最も効率よくやる人が一番いい人だということで、その権力や責務自体は国家に属するものであっても、それをやるのは国家公務員である必要はないのではないかということで、この問題を提案しました。各省庁からはそんなことはない、国家の権力に依存するものはすべて国家公務員がやらなければいけないという大合唱が起こりましたが、最終的には20ぐらいのものについて、そういうものの公設民営なり、民間委託なり、あるいはPFIなりというものを進めたわけです。この基本的な流れというのは、御省ともいろいろ話させていただいて、やはり今後も進めていかなければいけないというふうに思っております。ですから職業紹介についても、その仕事の内容を更に深掘りして、民間に移管できるものは移管していただく。去年の約束では、管理職、それから専門職の紹介に関する民間の委託業務の推進等を進めるという事にさせていただいたわけですけれども、更にそれを進めていくことが大事だと思います。
また、民間移管というと、すぐILOと言うけれども、これは何も国家の指揮・監督下でやればよい話ですね。そして無料職業紹介なのだから、国家が委託するしか手がない、そして委託した以上は指揮・監督するに決まっているわけですね。ということで、前向きに考えて進めていただきたいということを是非お願いしておきます。
ですから、その意味で、管理職、専門職と去年は書いたが、更にこれをもう少し広げていくというお考えはあるのか、ないのかというのが質問の第1点とさせていただきます。
それからもう一つあるのですが、今日のペーパーを見ますと、要するに管理職、専門職の紹介に関する民間への業務委託拡大というだけが我々が去年合意したものだけれども、たくさん形容詞が入っていますね。不良債権処理の影響で中小企業から離職した者のうち云々を希望するものについて、民間のノウハウの活用が有効と判断された場合と。ということは、不良債権処理、中小企業、有効との判断というのは三翻縛りになっているという感じがするのですね。これは、私どもはそんな条件はOKと言ったつもりはないけれども、一体何を考えてこの三翻縛りをおやりになったのかというのをお伺いしたいというのが第2点です。
○岡崎総務課長 これは昨年12月に官製市場の関係で御議論させていただきました。その中で、先ほども少し言いましたように、補正予算、要するに委託するというためには財源がなければいかぬということでありまして、昨年度でありますが、14年度の補正におきまして、不良債権処理の加速化に伴うセーフティーネットの強化という形で予算措置が講じられている。
そういう中で、先ほど言いましたように8億円の予算措置をして、したがいましてその中でやりましたので、不良債権処理の影響を受けた離職者ということにさせていただいたということであります。
○鈴木副主査 後で三翻付けてしまったわけですか。
○岡崎総務課長 民間のノウハウの活用が有効というのは、もう一翻というふうに考えられるのですか。
○鈴木副主査 これが一翻となるかどうか。二翻なのか三翻なのかという問題ですね。
○岡崎総務課長 ですから、ここは委託をする説明でありまして、委託と言えば何でもやればいいということではないのかなと、やはりできるだけそれが有効なところで委託した方が効率的なのかなということでありますが、しかし、そこは私どもとしてここで縛ったつもりというよりは、委託に適した人はどんどん委託させていただきたいというふうに思っております。
○鈴木副主査 さっきの最初の質問の、更に職種の拡大についてはどう考えておられますか。
○岡崎総務課長 これについては、私どももいろんな形で民間の活用、あるいは委託ということを検討していきたいと思っておりますが、とりあえず2月からこれを始めたばかりということもありますので、いろんな様子を見ながら、また検討はさせていただきたいと思っております。
○鈴木副主査 では、今年も継続してやるから、しっかり考え始めておいていただきたいということをお願いしておきます。
それから、橋本内閣の中央省庁改革で、多くの実務的な業務が政府部門から独立行政法人などに移行しましたね。職業紹介という業務は、他の独立法人化した業務とどこが違うのかという感じがしてならないのだけれども、なぜ職業紹介の場合だけがとは言わないが、職業紹介の場合は独立行政法人化しなかったのか、他の独立行政法人化した業務と性格上どこが違うのかいうことを、つまり、職業紹介は他の独立行政法人化したものと、ここが違うのかというところを説明してもらいたい。
○岡崎総務課長 当時私どもが主張した理屈としましては、公共職業安定所の業務については、おっしゃる職業紹介のほかに雇用保険、それから雇用対策、特に雇用保険との関係で一体的な業務を行う必要がある。社会保険庁も同じなのですけれども、社会保険、労働保険の関係については、強制徴収その他の関係もあるので、独立行政法人にはなじまないというのが私どもの主張でございました。そういう整理がされたということです。
○鈴木副主査 そこでその保険ですが、職業紹介と保険との支払いの一体性ということは前からずっとおっしゃられていて、両方をかみ合わせてやらないと、うまくできないと言うのだが、でも職業紹介は言うところによると2割職安でしょう。そうすると残りの8割は職業紹介はしていない、しかし残り8割に対しての雇用保険は払わなくてはいけない。その8割はおたくに来ないのだから一体にはなりようがないわけですね。
したがって、一体とおっしゃるけれども、8割は実は一体ではないのではないかと言いたくなってしまうのです。これに対しては何と御答弁なさいます。
○岡崎総務課長 これもその当時からお答えしていた繰り返しで恐縮でございますが…
○鈴木副主査 だから残りの8割にはモラル・ハザードは起こらないのか、それとも起こったモラル・ハザードはどうしているのかということを聞きたくなってしまう。
○岡崎総務課長 これは要するに私どもとしては雇用保険の窓口に来られた際に、いろんな就職活動のやり方があっていいだろうというふうに思っておりますので、その中で民間の職業紹介所を選べると、あるいは新聞広告等を見て、自ら応募される方はあってもいいのですが、ただその窓口において、きちんとした認定をして、そこら辺があいまいな方については、直ちに同じところで就職の支援と言うか、就職活動ができるようにしておく。ですから、そこで判定をする過程において、ここは一体的であることによって、ほかの活動を含めてきちんとした失業の認定ができると、こういうふうに考えております。全く雇用保険の事務所だけで独立してしまうと、そういう確固たる意思で民間の職業紹介所に行っている方とか、確固たる意思で新聞広告を見て応募している方とか、それ以外の方についてきちんした対応ができないというふうに考えております。
○奥谷委員 それに関して、例えば雇用保険に入っていない無加入の企業、例えば社会保険の未加入の企業は社会保険庁に問い合わせしてもこれは絶対に公表しないんです。
例えば、虚偽の広告を、新聞広告に人材の募集、採用の広告がありますが、社会保険完備と書いていますね、そこの会社は社会保険の完備、社会保険に入っているかどうかということで社会保険庁に、例えばこういう町の何々と問い合わせしても、一切はそれは企業の不利益になるからと言って公表しないのです。ということは、労働者保護でも何でもないわけで、ですから、そういった雇用保険がある、社会保険がある、そういったものが全然一体化されていない、厚生労働省にとっても全部ばらばらなんです。だから、ここでハローワークの職業紹介をしていると言っているのに、ほとんどマッチング率が低いのも、それからそういった失業給付もやっていますけれども、機能が全くなされていないという、ワンストップサービスが全然なされていないというのが現実です。そして、そういう情報公開が全然なされていないということ、これはどういうことでしょうか。
○宮川民間需給調整課長 虚偽広告の話もありましたので、私の方から少し御説明させていただきますと、まず、私は社会保険庁の人間ではないので、社会保険庁がどういうことになっているか事実関係は申し訳ございませんが、おっしゃられたような社会保険完備と称するような広告があって、行ってみたら全然社会保険の社の字もないと、こういう話はありましたが、当然ハローワークなり、私ども行政の方に、こういう虚偽広告が出ていると。 虚偽広告は、これは職業安定法上違反であります。そういうものについての我々の指導監督なり何なりもあります。その際に、社会保険が問題であれば、当然社会保険庁に我々の方は問い合わせて、その答えはいただいているという今の仕組みだけは御説明させていただきたいと思います。
○奥谷委員 その後のフォローが何もなされていないわけです。ただ行って注意をしたというようなことで、強制に加入させるとか、そういった権限が一切ないというのが現実です。
○宮川民間需給調整課長 大変申し訳ありませんが、社会保険を加入させる権限は、確かに社会保険庁にございますが、ハローワークにはございません。これはまさに権限のないことを強引にやることはできないということは御承知いただきたいと思います。
○奥谷委員 だから、権限がないのはわかりますけれども、それを連結して、要するに労働者全体を守ろうというあれがあるのであれば、そういったこと連結するのは厚労省の役割のわけでしょう。雇用保険にしろ、社会保険にしろ、そういういったものが入っていないのであれば、虚偽の広告でだまされて入った労働者に対して、それを保護しようとするのであれば、権限がなくてもそれを強制的に加入させるというように、ある程度指示することはできるわけですね、事実、全くこれを縦割で私ども関係ありませんという答えしか返ってこないのです。職安に行ってもどこに行っても、金融監督庁に行っても、これは縦割で関係ございません、社会保険庁に行っても私どもは関係ございませんという、そういうやり方でやって厚労省の方が労働者を守るというのは絵空事に聞こえるんではないですか。
○宮川民間需給調整課長 虚偽広告のことでありますれば、それについて必要な関係機関との連絡は緊密にやっていると私は思っております。
○奥谷委員 では、思っていらっしゃっても現実はなされていないということを認識していただきたいと思うわけです。
○宮川民間需給調整課長 具体的な例があれば教えていただきたいと思います。
○奥谷委員 はい。
○宮内主査 八代さんどうぞ。
○八代委員 先ほど鈴木副主査も言われたのですが、基本的にILO条約の制約があるのはよくわかっていますけれども、やはり労働者の利益のために何が一番いいかということがILO条約の基本的な精神である。それから無料の職業紹介も失業者救済のために絶対必要である。だけど、それをなぜ公務員でやった方が民間の一部でも、能力のあるところに託するということに勝るのかと、コストベネフィットという観点も当然ながら考えなければいけないのではないか。無料職業紹介機能を厚労省として責任を持つということと、それをすべて公務員でやらなければいけないかという点について、先ほどお答えがなかったと思いますが、もう一度お願いしたいと思います。
○岡崎総務課長 全国的な無料のネットワークが必要ということと、それの中で…
○八代委員 ネットワークは今のIT時代であれば、別に一部が民間でも何の問題はないと思います。
○岡崎総務課長 ですから、そういう中で、民間に委託できるものはするということについて私ども否定しているつもりはありません。
○八代委員 ただ、今の意思があるのは、あまりにも細やかな委託であって、もっと大々的に、例えば民間の事業者が集中している都市部なんかでは、もっと全面的な委託もできるんではないかという観点です。もちろん政府の負担で無料職業紹介機能は維持したままということです。
○岡崎総務課長 そこはいろんな御意見は前からありますけれども、私どもの理解している限りでは、イギリスなりドイツでもいろんな形で民間の活用とか委託とかをやっておりますが、一定の地域を区切って完全に民間に出すということではなくて、それぞれの地域の中で、あるいはドイツの場合は地域というよりは、人に応じてということだろうと思いますが、ただ全国の地域の中で、ここの部分は切り出してしまっているという形ではないんではないかというふうに思っております。
ただ、いずれにしても、我が国の全体の状況の中で、どういうやり方が、先生がおっしゃられたコストベネフィットを含めて適当かどうかということは常に考えなければいかぬということはそうだろうというふうに考えております。
○鈴木副主査 ですから、去年のように職業の範囲を専門職、技術職を対象として委託すということにしたのだったら、それはそれでいいから、その次のステップとしては、何職というのを増やしていって、最後はすべての職というところまでにいかなくとも、その範囲をどんどん広げてくれるということに対して、前向きに考えておられるのでしょうねということを、私もさっき言ったし、八代委員もそれを聞いたのです。それで考えているけれども、今、候補が見つからないというから、早く見つけておけということを言っておきます。
もう一つ、さっきの話だけれども、本当に2割で一体管理ということを言ってもあまりピンとこない。だから別々に管理する方法というか、別々に管理しては何が悪いのかという点について、それをもっと考えるべきではないですか。
それから、商工会議所だとか、地方に対してもそれを認めたということなのだけれども、そうしたらそこのところに対しても、要するに雇用保険の支払、給付ということをやらせたらいいじゃないですか。
○岡崎総務課長 最後の点は少し反論がありますが、というのは雇用保険というは全国一体で運営していますし、この認定の部分についてはだれかが一律にやらないと、その認定基準が異なるということになると、緩いところにみんな行ってしまうという問題がありますので、そこのところはちょっと難しいのではないか…
○鈴木副主査 全国の600箇所、職員1 万2,000 人の人が各々やっており、一人の人が全部の雇用保険の認定をしているわけではないでしょう。だから1つのルールをつくってやっているのでしょう。ルールが共通で厳格なら緩いも厳しいもないでしょう。
○岡崎総務課長 そこは、認定の部分は非常微妙なところもございますし、1つの機関で統一的にやらないということについては、私どもは非常に難しいのではないかというふうに思っていますが…。
○鈴木副主査 だから、それは厚生労働省がどういうものに対してどうだという基準をきちんと決めて、それを実際にチェックする人たちに渡して、厳格にやってもらえばよいことでしょう。要するに、一人の人がすべての人を認定しているわけではあるまいということを言っているのです。おたくの中だってAさん、Bさん、Cさんで違うのです。これは税務署問題でもやった議論なのだが、税務の認定などは、税務官吏によって違ってくるわけなのだから、それと同じことです。第一、人によって違う取り扱いになるなどは裁量行政そのものだから、きちんとしたルールを作って、そのルールどおりにやれと、そういうふうにルールどおりにやれば、今度はそのルールに従って民間に委託できるではないかという議論をしたのですけれども、雇用保険の認定の場合も全く同じ問題だと思いますよ。
○岡崎総務課長 もしかしたら税と同じような反論をしているのかもしれませんが、勿論ルールをできるだけ透明にして、一人ひとりの裁量の余地をなくすというのは当然だろうと思いますが、そうは言っても認定をする人間の部分というのはどうしてもある、そういうのをどうやってできるだけ統一的に機能させるかという部分があるのではないかというふうに思っております。
○鈴木副主査 そのために組織が1つで国でなければいけないという逆戻りするのだったら、もっと本格的に議論しなければいけない。私は前向きに考えてくれていると思ったから、非常に柔らかにお伺いしたつもりなのですけれども。
○岡崎総務課長 職業紹介の方は、前向きにと思っていたのですが、保険の方の話は今始めてお聞きするような気がするんですが。
○宮内主査 あとよろしゅうございましょうか、時間が過ぎてまいりましたし、この問題につきましても、かねてから議論をしている問題でございます。
職業紹介事業につきましては、数年前に比べまして、非常に規制改革が進んでまいったということは私どもとしても認識しておりますけれども、今日のテーマは更にどこまでいけるのかということと、やはりハローワークという国有職業紹介事業というものが果たして、いまや効率ということが1つの問題になってまいりました。そういう観点から今の形でいいのだろうかというような点を含めてまして、また引き続き議論をさせていただくテーマではないかと思っておりますので、その点につきましてもよろしくお願い申し上げたいと思います。
今日は、以上をもちまして意見交換の機会を終わらせていただきます。職業安定局より、岡崎課長を始め宮川課長おいでいただきまして大変ありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。