第12回アクションプラン実行WG 議事概要

1. 日時

平成15年10月22日(水) 13:00〜15:30

2. 場所

永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室

3. テーマ
国土交通省との意見交換

「自動車検査制度等の抜本的見直しについて」

法務省との意見交換

「国際的な高度人材の移入促進(日本版「グリーンカード」の創設など)について」

4. 出席者
(国土交通省)

自動車交通局 峰久自動車交通局長、中山技術安全部長、各務総務課長、松本技術企画課長、内藤整備課長

総合政策局 井手政策課長

(法務省)

入国管理局 増田入国管理局長、高宅入国在留課長、上原総務課入国管理企画官

(委員、専門委員)

宮内主査、鈴木副主査、村山委員、安居委員、米澤委員、福井専門委員

(内閣官房構造改革特区推進室)

檜木参事官

(事務局)

内閣府 河野審議官、福井審議官、浅野間審議官
総合規制改革会議事務室 宮川室長 他


議事内容

○宮内主査 ただ今から第12回のアクションプラン実行ワーキンググループを開始させていただきます。
 まず、資料1の『「官業打破・民需創造」の視点からの「規制改革推進のためのアクションプラン」の改訂などについて −「重点検討事項」の追加及びその実現に向けての今後の進め方−』をご覧いただきたいと思います。皆様方、御承知のとおり、本資料につきましては10月7日に行われました第5回総合規制改革会議におきまして正式に了解されました。その結果、当会議が本年前半から精力的に取り組んでまいりました12の重点検討事項に加えまして、今後は本資料の4ページの5つの項目につきましても新たに検討対象としていくということが正式に決定されました。
 一見していただければおわかりのとおり、これらの5つの新規追加項目につきましても、いずれもこれまでの既存の12項目と同様に、大変実現するまでには困難が伴うという問題が含まれております。しかしながら、当会議が本年末に取りまとめる予定にしております第3次答申におきまして最大限の成果を上げられるよう、私といたしましても担当主査として精力的に取り組んでまいりたいと思っております。
 年末までの残された時間は、ごくわずかでございます。また、この時期は既存の12項目の仕上げの時期とも重なりまして、委員、専門委員の皆様には多大なる御負担、御苦労をおかけすることになりますが、改革を一歩でも前進させるべく、よろしく御協力をお願いいたしたいと思います。
 なお、本ワーキンググループの当面のスケジュールでございますが、今月から来月にかけましては、できましたら週1回ぐらいのペースでこの5つの新規追加項目につきまして、関係各省との公開討論を実施いたしまして、論点を深堀りするということをしてまいりたいと思っております。
 また、並行いたしまして、これも前半同様に、当会議の持つさまざまな権能を最大限用いて進めてまいりたいと、このように思っております。

国土交通省との意見交換

○宮内主査 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日は、まず自動車検査制度等の抜本的見直しにつきまして、ただいまから1時間取らせていただきまして国土交通省との意見交換を行います。国土交通省からお忙しい中、峰久自動車交通局長を始め御担当の幹部の皆様方においでをいただいております。本日はどうもありがとうございます。何分よろしくお願い申し上げます。
 それでは、最初に私からお断り申し上げなければなりませんが、本日の公開討論に限りましては極めて限られた時間ということもございますので、自家用自動車の車検の有効期間、すなわち現行制度は初年度3年、次回以降2年となっているわけでございますが、できましたらこの点にできるだけ絞って意見交換を進めてまいりたいと思っております。その点につきまして、委員の皆様方、国土交通省の皆様方に御了解を賜れればと思います。 御高承のとおり、車検の問題は資料2の2ページにございますのでご覧いただければと思います。昭和57年からいわゆる土光臨調以来、この規制改革の歴史の中では極めて長い間、言うならば延々と議論されてきたテーマでございます。臨調の第2次答申におきましても、本件は一般国民の日常生活に最も密接に関わる分野として取り上げられておりますが、本件はいわば消費者、利用者本位の規制改革を象徴する問題と言っても過言ではないと思います。
 しかしながら、本件につきましては長期にわたりまして制度の見直しがほとんど行われていない状況でございます。すなわち昭和27年以降、現在までの51年間で、先ほど申し上げました臨調の答申に基づきまして昭和58年に1回見直されただけでございまして、それもその内容は初回の有効期間が2年から3年に1年延長されたというのみでございます。
 資料2の4ページにございますように、諸外国でも日本より長い有効期間を持つ国も幾つかございます。また、6ページ以降にもございますように、世界に冠たる我が国の自動車製造技術の進歩により、自動車の性能も著しく向上していると考えられています。平成7年には、法律上、自動車の保守管理責任が使用者本人にあることも明確化されております。 他方、7ページ目にございますが、こうした国の検査制度に過度に依存した自動車整備産業、車検マーケット、これがいわゆる官製市場として依然として相当な規模を維持しつつ、驚くべきことかもわかりませんが、事業者数や指定工場数なども増加の一途をたどっているという事実は注目に値すべきことだと思います。
 こうした中で、本件についての当会議の結論は資料の5ページ目にございますが、消費者、利用者本位の規制改革を推進し、国民負担の軽減を図るとの見地から、現行の初回3年、次回以降2年という車検制度を抜本的に見直し、自家用乗用車に関する車検有効期間の延長を図るべきであるということだと考えております。
 今、申し上げましたような点も御参考にしていただきながら、意見交換をさせていただければと思う次第でございます。
 それでは、まず御担当の国土交通省からお考えにつきまして御披露いただくということをお願い申し上げたいと思いますが、大体20分程度でお話を賜れればと思います。よろしくお願いいたします。

○峰久自動車交通局長 峰久でございます。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料は大きいものが3枚と附属資料がございますが、大きいものを中心に、後で簡単にA4判の方を御説明させていただきます。
 まず、大きい方の1ページでございます。簡単に左の方に車検の期間についての基本的な考え方を書いておりますが、もちろん目的は安全と環境ということでございます。そのために、おっしゃられましたような検査制度の制度設計についてはユーザー負担の軽減、利便性については配慮が必要だと思っております。
 いろいろな項目を総合的に見る必要があるわけでございますが、そこに周期を定める際の視点と書かせていただいておりますが、やはり不具合がどういうふうに発生しているのかとか、あるいはそういうふうな不具合が事故や環境にどういうふうに影響を与えるのかということ。それから、走行距離等々の使用実態、あるいはその車の公共性、それからユーザーが基本的には検査というよりも自ら整備するということを基本にしているわけでございますが、そういうふうな自らの整備というものがどの程度できているのだろうかということ、あるいは諸外国でどうなっているんだろうかということ。それから、いろいろな技術進歩がございまして、そういうことについてどういうふうに評価するのかというようなこと。こういうことが基本だろうと思っております。
 それで、これは現在いろいろなところで何度も議論されているということを今おっしゃられましたが、現在の取り組みというところで、昨年暮れの総合規制改革会議でいろいろ議論をされまして、閣議決定が3月、ここでは望ましい制度の在り方について必要なデータ等を収集の上、常に検討して改善すべきだということでございました。その際、説明責任を全うし、透明性を確保しろということでございました。
 それで、現在の状況としましてデータ収集を12年度から15年度までやることにしております。これは、検査時において整備していない場合はどのぐらいの不具合が具体的に発生しているんだろうかというようなこと、そういうものについて各車種につきまして70万ぐらい予定しておりまして、これを15年度、今年度末まで予定しております。
 それの基礎的なデータを基に収集されたデータの分析、それからそれが周期を1年延ばし、2年延ばしている。こういう変更をした場合にどういうふうな影響が出るんだろうかというふうな試算をするということで、この検討会を立ち上げることとしております。それで分析しながら、必要であれば制度的なことについても再度検討するということでございます。
 現在の状況でございますが、乗用車の車検の周期でございます。これは日米、欧米の検査の周期を比較させていただいております。それと同時にこれを経緯的に見たものでございますが、日本は1950年に開始になりまして、1年ずつだったのがすぐに2年ずつでちょっと緩和されまして、それがまたすぐでございますが、基本的に2年・2年・2年ときて1年・1年という形に1962年になっております。これを1983年、58年に初回を3年と長くしたということでございます。
 それから1995年、平成7年には、11年超のものにつきましても1年から2年に延長したということで、現在のところ右にございますが、3・2・2となっているということでございます。
 あとは欧米のことでございますが、英国におきましては1960年ぐらいから始まって、実質的に古いものを処理しながら1967年に3年・1年・1年ということで、それがずっときております。
 フランスにおきましては、後でEUで申し上げますが、基本的にやっておりませんでしたけれども、EUの指令に従いまして1991年ぐらいから古いものを初めて1998年にEU指令基準に従って4年・2年・2年という制度になっております。
 ドイツは1951年開始したときは2年・2年・2年でございましたが、1982年に3年・2年・2年という形になって、それが現在まで続いているということでございます。
 EU指令は、EUの最低基準を定めたということでございまして、これが1994年の欄にありますが、4・2・2となって、それで98年が猶予の期限だということでフランスはそういうことでやっているんだということでございます。
 アメリカにつきましては各州ごとにいろいろ始まりまして、1950年は10州程度だったのが徐々に増えまして、1991年には42州で検査を実施しております。これはトラックなども入っておりますので、マイカーでは38州ございます。それ以後、そういう州でやられてだんだん増えてきたということでございます。同時に、環境面においてはそれ以後も2州ほど増えております。周期につきましてはニューヨーク州が1・1・1、カリフォルニア州が2・2・2と書いておりますが、基本的にこれは20強と10強という形で1年の方が多いという状況だと思っております。
 見直しの経緯の下のところにございますが、若干最後のところだけ、今回は普通の乗用車のことだということですが、先ほどの2年から3年に変えたというのと、11年超を1年から2年に変えたということ、その際に合わせまして検査の前に点検整備をしろということだったんですが、それは後でもいいということに直しました。
 それからトラックでございますが、平成12年には8トン未満のトラックについて初回だけですけれども、1年から2年に延長しております。こういうのが各国の状況で、長い期間を通じて若干強くなっているというのも現状かと思っております。
 それで、先ほど1ページの左の上でいろいろな視点を書かせていただきましたが、そのときの参考に資料を出させていただいておりますが、交通事故の状況というところでだいだい色のところでございますが、死者は1万人を切って下がってきております。ただ、これは総理の御指示で半減するんだというようなことで、これを強化しなければいかぬという事情でございます。ただ、負傷者数は117万、それから事故の件数は94万という形で、これは相変わらず厳しいものがある。減っていないというのが現状でございます。
 それから、重度の後遺障害につきましてはむしろ並行的に若干増えているというのが現状でございまして、この辺は植物人間になっているような方のことでございますが、基本的に厳しい状況だということでございます。
 その下の欄は、交通事故が要因で整備不良である場合、これは交通事故総合分析センターというところが第1要因に考えられるようなことをそれぞれの事故ごとに調べているということでございますが、全体の1%ぐらいは第1要因として整備不良が挙げられていて、その推移率というのはそんなに変わっていないのかなというところでございます。
 参考までに、米国の状況で、これはちょっと古いものでございますが、検査実施州では0.5から1.5%、検査未実施のところでは0.5から3.5だというふうなアメリカの資料が出ております。
 それから、故障の状況でございます。これはやはり路上故障で渋滞とか、あるいは事故の原因ということでございますが、これはやはり厳しい状況が続いていまして180万件、高速道路は13万件という形でむしろ増えているといいますか、微増しているということでございます。
 それから、不具合の状況でございます。これは、検査に来られたときにどういうふうな状況だったかということでございますが、自らあるいは代行者が検査場に持ち込まれるということでユーザー車検というものがございますが、この場合は4分の1ぐらいが一応検査の不合格という形になっております。それから一般の整備工場でございますが、そこで車検の全体をやられるところではないところでございますが、工場から持ち込まれた場合には5.8%という形で、全体としては11%ぐらいが検査のときに引っ掛かっているということでございます。
 街頭検査におきましても、やはり13%ぐらいこれで整備不良が見つかっております。
 それから、交通安全といいますか、事故だけではなくて最近は環境のことで、右の上は二酸化窒素あるいは浮遊粒子状物質PMなどについての厳しい状況が続いているという形で、二酸化窒素はちょっと下がってきておりますが、横並びになっているということ。粒子状物質については、やはり6割ぐらいがまだ未達成だということでございます。そういうことに基づきまして環境規制はだんだんと今、強化されておりまして、平成元年ぐらいにはPM規制がなくて窒素酸化物だけだったわけでございますが、短期、長期、新短期、新長期と、こういう形で17年からは新長期というふうに基準がだんだん厳しくなってきて、それに合わせて車の性能を上げていかなければいけないということでございます。こういう状況でございます。
 それから、やはりユーザーの負担の軽減というところがいろいろ議論になると思いますけれども、その点検整備が非常に高いんじゃないかと言われることでございます。この表で書かせていただいておりますのは、いろいろなサービスが出てきて多様化しているということと、全体に下がっているということもあるんですけれども、そういうふうないろいろな選択ができるようになってきて、少しずつ下がってきているんだよという趣旨のことでございます。
 全体の黄色のところで一番下に従来方式とありますが、これはお任せコース的なもので頼んだらこうなるということです。それで、若干黄色が濃いところはこういうふうな新しいメニューが出てきているということでございます。
 まず、検査の手数料のところはだれがやっても1,400円、あるいは1,100円という形、検査手数料の本体はこれでございます。それで、点検整備のときにいろいろな差が出ておりまして、一番下の従来方式ですと3万7,000円から9万9,000円、これはちょっと青色の右のところに書いていますけれども、上の方の少ないのは代行料だけで例えば1万円ぐらい、それから下回り洗車をすると3,500円とか4,000円とか、若干簡単なテストをすると3,500円とか、こういうことであるので、代行受検になりますと5,000円から2万円ぐらいでできるということでございます。
 それにいろいろな点検料とか、整備料とか、あるいは部品の交換、オイル代というものが付け加わってくるわけでございますが、それは従来方式で言いますと3万7,000円から9万9,000円、平均的には5万7,000円ぐらいでございますけれども、こういう数字になっております。平成5年はそれよりも1割ぐらい減っているということでございます。
 従来方式に比べまして、下の欄にニューサービスの概要というものがございます。ここで点検する場合に、車検に合格する、しないというお知らせと同時に、これはそろそろ換えた方がいいかもしれないですねというような情報をやって、今、合格はしますけれども、整備しますか、しませんかというようなことを言いながら、ユーザーの選択で整備するものはする。こういうことでいろいろな選択肢が広がるということで、こうなりますと2万5,000円から8万9,000円ぐらいという形で出てきております。
 そういうものを合わせまして、ユーザー車検というのが下の表にございます。制度的には前からあったんですけれども、この辺を広く使えるようにしようという形で、平成7、8年ぐらいから増えてきておりまして、今は200万件、10%程度がユーザー車検になっております。こういう場合、本人が持ち込まれる場合はもちろん手数料だけ、1,400円で、業者の方に代行していただくようなものは先ほど申し上げましたが、5,000円とか2万円が付け加わるということでございます。そういうものを合わせまして、1,400円からいろいろ段階があるということでございます。
 その右の欄に自動車重量税、自賠責、これは合わせてそのときに徴収されるものでございますが、これが6万5,430円という形でございまして、これも半分強ありますので、この辺が重いという人もいるわけでございます。合わせて、車検時には右の端の欄のような数字になっているということでございます。
 いずれにしても、こういう形で本人だけでもできるということから、お任せだけじゃなくていろいろなサービスが増えてきているということ。それから、お任せのところについても従来よりは1割ぐらい減っているというふうな資料でございます。
 右下の欄に、いろいろな新規参入業者の多様化というものを書いております。これは、1,600社ぐらいが毎年入って、1,000社ぐらいがつぶれていくわけでございますが、その中の新規参入のところについては、異業種のガソリンスタンド、部品用品販売、こういうところから付加価値的なサービスをしながら増えてきている。それで、こういうふうなサービスの多様化競争につながっているんだろうというようなことでございます。
 基本的に、そういう意味で全体の点検の周期については欧米と変わらないのかなというところで、むしろ強くなってきている面もあるということと、消費者の負担の面についてはいろいろな面が出てきてむしろ安くなってきているので、こういうことについては随時いろいろ御指摘も今までございましたので、そういうところを変えてきているところでございます。
 それから、別冊の方を簡単に御説明させていただきます。1、2ページは省略させていただきまして、3ページも議論ではないということだったので省略させていただきます。バス・タクシー、トラック、レンタカー、二輪車の車検の経緯等をここに出させていただいております。
 4ページは外国ですので省略させていただきまして、5ページは先ほどの従来型のお任せ的なものでどういうふうになるんだろうかということで、最高、最低、右の柱にありますが、先ほどの数字と合っているんですが、一番下のところで3万7,000円から9万9,000円で平均は5万7,000円、全体で10%ぐらい安くなってきているという表でございます。 6ページは、点検整備費用で外国比較でございます。ちょっと古くて平成5年のものでございますが、各ユーザーにアンケートをしてそれぞれのやり方でやっているわけでございますが、これを見ても日本の方はそんなに高いとは言えない。いろいろな走行距離とかそういうのもあると思いますけれども、日本が高いというのではなくて、整備点検についてはむしろ外国も高いのかなということでございます。新しい数字等については、また調べるようになっております。
 7ページは、先ほど、どんどん増えているというような話がございましたが、事業場としては8万8,000で微増しております。その代わり、保有車両数というのは今7万7,000台ですけれども、これは大分増えているということでございます。それから、整備の売上高がここのところ微減から急激に減ってきておりまして、5兆7,000億円に減ってきて、経済環境とか競争とかいろいろ厳しい面があるのかなということでございます。
 8ページは工場の新規参入と廃止というところで、右の端の欄で1,600増えて1,000減っているということで、600ぐらい微増しているということでございます。
 9ページからは、技術開発の状況でございます。これは御存じのとおりなので簡単にしますが、やはり環境面で、ハイブリッドでエンジンと電気の関係をやるだとか、あるいは燃料電池の開発をするということ。それからディーゼル用の微粒子の除去装置、これはエンジンとともに微粒子の除去装置も合わせていろいろな精密な制御等によってやっていく。こういうものが、先ほど申し上げましたような基準の強化に従って今どんどん開発されている段階で、平成17年規制に向かって新車もそろそろ出かけるというような状況でございます。
 次の10ページでは、追突時の衝撃軽減のブレーキ装置、これは前方をレーダーで感知して衝撃を和らげようとか、あるいは全体の安全性、制御装置をよくしようとか、あるいはヘッドライトが自動的に見やすくなるとか、こういう形で安全面、環境面でいろいろな技術が進んできております。そういう意味で、技術進歩というので装置が複雑化する傾向にあると思います、もちろんこれがどういう形で影響が出るかとか、そういうのはまだよくわからないところがありますので、必ずしもこれで長くしなければいけないとか、そういうつもりは全くございませんが、ただ、逆にそれぞれの車の機能面では非常によくする必要があるんですけれども、それと同時に走行の摩擦とか磨耗とか劣化、こういうものについてもちろん改善されているものもありますが、性能がよくなったというのとはまた別の問題なのかなという気はしております。またこの辺の新しいものをちょっと様子を見なければいけないところもございます。
 11ページは総合規制改革会議の資料そのものでございます。
 それで、12ページを受けてどういうことをしなければいけないか。先ほど左の端で1ページで申し上げましたけれども、基礎調査検討会ということでメンバーは次の表に書いておりますが、開かせていただくようにしております。ここでは在り方を検討する上で必要となる基礎データを収集して分析するということで、検討概要、収集するデータ等と書いておりますが、1番のところは継続検査時点の不具合状況、整備をする前に継続検査のときにどのぐらい不具合が生じているんだろうかということを70万台ぐらいやるということで、これに基づきまして将来周期を変更したらどういうふうな不具合が増えるんだろうかというような計算をするということで、予測をするということでございます。
 それから、点検整備の履歴で、前回検査から今回検査まで履歴を点検整備をどうしていたんだろうと調べながら、それで点検項目とか期間、この辺の妥当性を、今までは減らしてきておりますが、そういうものを検討するということでございます。
 あとは、保守管理が必ずしも半分ぐらいしかできていないというようなこともあります。この辺のことがどういうふうにできているんだろうかということ、費用がどうかということ、それから諸外国がどうかということ、それと同時にアウトプットとして(2)で変更した場合にどういうふうな影響が出るかということを試算する。これを目的としました基礎調査検討会をやるということで、これは1年程度、今からやるということにしております。
 それから、最後はビラ的で恐縮でございますが、先ほど申し上げました、いろいろな種類が増えてきているというところで、例えば1枚目ですと下の欄にいろいろなコースでMクラスというものがあるかと思いますが、本当に簡単なものですと2万5,000円ぐらいから、お任せコースで6万7,000円ぐらいというふうな種類がございまして、それぞれ段階ごとにいろいろなサービスチョイスができるという話です。
 それから、2枚目ですと一番上の車検に合格するよというところで、車検の基本料は赤で9,800と書いてありますが、こういうもので最低限のところがあって、あとはテスター、下を簡単に洗車するとか、こういう形でいろいろなところからいろいろなサービスが出てきているということでございまして、先ほどの申し上げた中身の補足をさせていただいたということでございます。
 以上、早くて20分だったので恐縮でございますけれども、説明を終わらせていただきます。

○宮内主査 ありがとうございました。本件は、昨年度も私どもの運輸ワーキンググループで議論が行われたものでございますが、そのときから担当主査をしておりまして、本件につきまして長年にわたりまして取り組んでおられますのが当会議の鈴木委員でございます。したがいまして、鈴木委員から当方からの考え方等、口火を切っていただければと思います。

○鈴木副主査 鈴木でございます。まさしくさっき宮内主査もおっしゃられましたけれども、車検問題というのは忘れもしません。1981年6月だったと思いますけれども、緊急答申を臨調でやろうとしたわけです。私は事務局員としてこれを担当したのですが、車検期間の延長はそのときに初めて取り上げた問題でありました。言ってみたら近代というのか、現代規制緩和史のトップを飾ったのは車検問題と運転免許証問題でした。両方とも極めて強い抵抗に遭ったという歴史を持っているわけでして、特に車検につきましては政治勢力も加わった整備業界の反対というのは非常に強くて、詳しいことは言いませんけれども、何か妙な仕組みをつくって6か月点検を廃止するというようなこともあって、土光さんが怒ってやめるといったいわく付きの話もあります。それを今日まで20年間、臨調の第2次答申のときに3年になった以外は基本的には動いていないというのが実態です。この意味で、車検期間問題は規制緩和の原点であり、かつ今日まで未解決な問題だということを御認識いただきたいということをまず申し上げておきます。
 それから、局長さんは失礼ですけれども、昨年度も局長さんであられたのですか。

○峰久局長 いえ、4月からです。

○鈴木副主査 違っておられたわけですね。御省提出資料の11ページのところで去年の答申を引用しておられまして、さっきもおっしゃられましたが、検討委員会というのをこれから立ち上げてやっていく。それ自体は結構ですけれども、去年の問題というのは何かと言ったら、8トン以上のトラックですね。特にROROだとかフェリーなどで使うものはそう走るわけではないのだから、そういう点を加味して、あるいはシャシーなどというものについての車検期間をということでお話をしたのですけれども、そこにおられる中山さん、松本さんに大変強く御抵抗いただきまして、結局イエスと言ってもらえなかった。我が審議会は大変情けない話だけれども、所管省庁がノーと言えば、それがまかり通ってしまうところなのです。薬のコンビニでの販売と同じです。
 そういうことで、仕方がないからこういうことを書いておくしかなかった。この趣旨は、臨調でも言っています。要するに、今後とも引き続いて適時見直していけということです。そういうことですから、私どもは一種の負けたということで、言葉が悪かったら、この提言は一種のプログラム規定であるということが本当のところなのです。
 しかし、それをとらえて一所懸命これから検討会を開くというふうにおっしゃっておられる、それ自体を悪いとは申しません。申しませんが、いつ結論を出すのだということになると、この下を見ると1年先だと。これはよく各省庁でお使いになる手であるわけですけれども、まず私は局長さんにお聞きしたいが、それは検討してみなければわからないという答えが返ってくるのは目に見えているが、一体、方向たるやどちらを向いているのかということについてお答えする気があったら、お答え願いたいと思います。

○峰久局長 またイメージが悪いと言われるかもしれませんが、基本的に先ほど申し上げたような資料的なところで、正直に申し上げて結果が出て、数字が出て、それで試算をして、そこのところで影響がないということの範囲内で変えていくということだろうと思います。それはいろいろ今までも御指摘いただきながら、期間の話については確かに2度くらいしか変わっていないかもしれませんが、いろいろなところの制度については御指摘があったようなことについて逐次直してきているところでございます。

○鈴木副主査 わかりました。是非天下の国土交通省、特に1996年の受給調整規制の全廃、そして免許制の廃止というところでコペルニクス的転換をなさった省なのですね。私はそういう意味で旧運輸省のビヘービアは高く評価しているのですけれども、車検に関してだけは、てこでも動かないというところがありまして、去年も大変苦労したのですが、どうか前向きに時代の変化というもの、技術の進歩というもの、これを率直に認めてやっていっていただきたい。
 もう一つついでに加えると、薬の場合でもそうだったのですが、技術の方というのはどうも技術のところに閉じこもってしまって、世の中の変化に対して余り前向きな姿勢を取らないという悪い癖があるものですから、そこら辺も局長さんはひとつ目を光らせてやっていっていただきたいと思います。
 そこで、質問ですけれども、まず御提出いただいた資料の5ページのところで費用が下がっているということをおっしゃっておられますね。それから、6ページを見ると外国よりも安いということをおっしゃっておられるわけです。それを見ていきますと、なぜそういうふうに費用がどんどん安くなっていくのかということなのです。数字というのは見方によるわけであって、費用が安くなっていく。それから、外国に比べて安い費用で済んでいるという事は何を意味するのかといったら、結局そんなに直さなくてもよろしいということを意味しているというふうにとるのが常識ですね。
 だから、この数字が物語っておるように、この20年の間に日本の車の品質の進歩が著しいものがあるというのは実際に乗っておる者の実感でもあるわけです。それをこの数字が見事に物語っています。点検整備費用が減っていく。それは何かというと、直さなくてもよろしいということを意味しているというふうに取れるわけですね。そういうことを考えると、車検期間の見直しをやっていく意義は非常に強いのではないかと思いますが、そこら辺についても後で意見を聞かせていただきたいと思います。
 更に、私どもの提出いたしました資料の中の6ページでこれを裏付けるような話になりますが、御省におきましては定期交換部品制度というものをかねてから持っておったけれども、この部品はどれだけの期間で取り換えなくてはいけないというような基準を大幅に変えておられるわけですね。後の別表のところに書いてありますが、そういうものを外しておられる。それから、取替え期間も長くしておられる。更に、平成8年と平成12年とを対比して整備を必要とした車両の割合の比較をやっているけれども、ここでもはっきりと必要とする割合が改善されている。こういう客観的なデータがあるわけです。
 こういうふうな問題を考えますと、やはり技術の進歩というものを一体どう評価しておられるのか。この辺のところの御意見を承りたいと思います。

○峰久局長 まず最初の方の費用が下がってきているということは、すなわち直さなくてもいいところがあることからそうなっているのではないかということでございます。
 ただ、車検制度のときには最初に申し上げたことで恐縮ですが、基本的にどんな不具合が生じて、それが事故になったり、あるいは環境面での影響がどうなるかとか、そんなところを基本的にチェックすることだろうと思うんです。そういう面でいくと、新しく不具合がどのように変わってきたか。
 最後におっしゃられたことは後で言うとしまして、そういうことについては、今12年から15年まで調査しておりまして、これもオープンにもちろんなっていくものでございますので、それを見て判断をするということだろうと思います。その間で、先ほど大きな方の2ページ目で申し上げましたように、事故の状況あるいは整備不良の割合、不具合の状況、故障の状況、こういうものを見ますと、そういう意味での緩めてもいい、あるいは長くしてもいいというところについては必ずしもトータルで見て、こういうものが出ているところについてはストレートに出てこないということだろうと思っております。
 基本的にいろいろな部品の向上とか、そういうものもあるとは思うんですけれども、それは基本的に性能がよくなったというところのイメージにも関わるかと思うんですが、先ほども申し上げましたようにいろいろな機能面で車が軽くなる、あるいは快適性が増えるだとかいろいろな制御装置だとか、全体の機能あるいは環境面で排出ガスが少なくなるとか、そういう意味での性能というのはもちろん高くなっていくんでしょうし、部品のところについても若干はもちろんよくなっているんでしょう。
 ただ、それは事故だとか不具合にどうつながるかということについては、必ずしも単純な意味でのゴムだとかブレーキの機械類、そういうものが時間とともに、あるいは走行距離に従って劣化するとか、そこのところについてはそう変わらない面もあるということだろうと思います。だから、それと同時に各部品というのもトータルで見なければいかぬということもございます。
 ちょっと言い訳がましいんですが、基本的にそういう性能が向上したというところと、必ずしもそういう部分、部分でよくなったというところがストレートにつながるかどうかについてはトータルのところで見なきゃいかぬのじゃないかということが1つです。
 そういう意味で、トータルで出てきているいろいろな状況を見ますと、必ずしも故障の状況とか、そういうものは厳しい面につながっているのかなと。そう見ますと、こちらの点検整備費用のところで下がってきているというのは、そういうところが当たらないかどうかということをもちろん否定するつもりはございませんが、やはり基本的には競争が厳しくなる、あるいはサービスでいろいろなものが出てくるとか、経済状況が悪いということもあるかもしれませんが、そういうことが基本だろうと思っております。
 だから、点検整備費用の話はそういう経済的、あるいはサービス、競争、そういう面からの表れではないかと思っております。不具合の状況についてはいろいろな状況を見ながら、データを取りながら調べなければいかぬのかなと思っております。
 それから、部品の関連で、後で補完してもらいますが、お示しになられています6ページの部品のところは必ずしもよくなったからやめていいよという趣旨ではないということなので、後で部長の方から御説明申し上げます。
 それから、いろいろな数字は8年と12年を見るとよくなっているじゃないかということです。これはオープンにしているものだと思いますが、ちょっと今、見たので数字がどういうふうになっているか詳細にはわかりませんけれども、基本的にオープンにされている問題だと思います。こういうものを4、5年続けて、それを平均しながらそういうデータを取って、かつそれが影響としてどういうふうに表れるんだという調査を今からやっていこうということだと思います。

○中山技術安全部長 点検整備料金が今、下がってきている表を出したわけでございますけれども、今、局長が御説明いたしましたように技術の進歩の問題と、それから競争が激しくなって下がってきたということと両方あると思います。
 それで、前段の方は実は点検の項目を技術の進歩に合わせてかなり削減をしてきております。ですから、そういう効果も合わさって料金が下がってきているのではないかと思います。
 それから定期交換部品のことでございますけれども、実は定期交換部品というのは3種類大きく分けてございます。1つはオイル類です。エンジンオイルとか、そういうものでございます。それからフィルターの類いです。それからもう一つはゴム製品でございます。これは、実は平成5年の審議会でかなり審議をやりまして検討しまして、ゴムの部分については定期交換をしなくていいと。これは、例えばゴムホースですとその亀裂を見れば悪いかどうかわかるので、定期的に交換するのではなくてその亀裂を見て交換したらどうですか。あるいは、油漏れですね。シリンダーの中などにゴム製品を使っているんですが、そういう場合も油が漏れる、あるいはにじむというようなところを見れば必ずしも定期的に交換しなくていいのではないかということで、ゴム製品ついては基本的に定期交換部品から外れております。
 ただし、オイルあるいはフィルターについてはやはり使えば汚れてくるものですから、やはり定期的な交換は必要でしょう。これは実はメーカーが推奨するものがありまして、別に強制しているものではありません。ですから、ユーザーが自分で相談して判断して交換をするというシステムに今はなっております。

○鈴木副主査 いろいろ細かいところはあるでしょうけれども、基本的にこの数字を見る限りにおいては明らかに何を言っているのかといったら、技術が進歩して物が丈夫になって交換しなくてもよくなってきているという要素は、そのほかの要素もあるでしょうが、それが色濃く入っているという事柄だと私には見えますので、それを申し上げておきます。
 それから7ページですけれども、この表がよくわからないのです。なぜ売上高がつまり整備費がこれだけ減ったのかということを聞いたら、1つは価格競争が激化したということを恐らくおっしゃりたいでしょう。
 それから、もう一つの点として当然私の方が言いたいのは、品質の向上を物語っているということを言いたいわけです。第一、整備業界への参入者はどんどん増えている。それから、自動車の売上台数も増えている。そうしたら、整備費の売上高も増えて当たり前の話なのに、これだけが下がってきているというのは、品質と、それから恐らく今のデフレの世の中ですから価格という問題があるでしょうけれども、これの分析はなさっておられますか。品質ファクターがどれだけであり、それから価格ファクターがどれだけであるということは分析なさっておられますか。

○峰久局長 ちょっとわからないです。急激な落ち込みようなので、かなり価格的な破壊の方があるのかなという感じはします。

○鈴木副主査 今なかったら、一度そこら辺についてこれからの研究もあるでしょうから調べて教えていただきたい。後でもお伺いしますけれども、あの堅固な車検業界ですから、余り価格のファクターはないのではないのか、品質ファクターの向上を物語っているそのものの資料ではないのかとも思えます。そういうことで、3つの表をそろえてよい証拠を出していただいたなというふうに私は思っているのですが、それはファクトで確かめさせてください。
 それから、このトッピングだとかお任せという表ですね。これを見るとMクラスでいくと、要するにプロの人でしょうね。車を自分でいじっている人は2万4,200円で車検が通るわけですね。ところが、お任せというと実に6万7,000円と3倍になってしまうわけです。お任せコースに入ると3倍になってしまう。我が家はまさにこの3倍の方で取られております。
 それで、何を言いたいのかというと、2万4,000円で済むのに6万7,000円というのは、要するにオーバースペックのことをやっておられるのではないですかということを、私は言いたいわけです。3倍になるわけですから。オーバースペックだって、より安全であることはよいことだと言って、それを求める人はいるでしょう。いるでしょうけれども、そういうオーバースペックなものになっているものが多いとするならば、それだけオーバースペックにしているのだから、期間は次は2年だなどということを言わなくても十分安全が保てるのではありませんかということを物語っていると思いませんか。
 ではトッピングの人はどうだと言ったら、ブレーキのライニングがあと1か月しかもたないけれども、それでもそれは通ったというときには、そのトッピングの人はそれを知っております。しかも御省は自己責任を原則として車検制度は運用すると法にも書いてあるし、この説明にも書いてある。そういう人たちなのだから、あと1か月たったら自分で代えることを前提としているから何も問題はない。そういうことから言ったら、大部分の庶民というのはこの6万7,000円口に入って、ああ安心と言っているのが普通で、我が家の女房もこのクラスのところに入っておりますので、要するに今の状況では期間延長をしても大丈夫ではないですかということを、この資料は物語っているとしか私には読めませんということを申し上げておきます。へ理屈みたいな返事が戻ってくるなら答えはもういいです。リーズナブルな返事ならば聞きますけれども。

○各務総務課長 では、リーズナブルなつもりで返事をさせていただきます。
 今おっしゃられた部分は、先生がまさしくおっしゃられるようにユーザーのチョイス、判断、選択によってどこまでどうやるのかということではないかと思っております。これは某ディーラー系のチラシなんですけれども、今おっしゃられたお任せコースなどは、例えば撥水のコートをするとか、さまざまな付加的なサービスも入っておりまして、それはやはり車を本当に大事で愛しておられて、きれいにいつもぴかぴかにしていたいという方であればこういうものを選ばれるかもしれない。しかし、それぞれのコースの中に説明がございますように、大体あなたの使い方とあなたのお好みだとここら辺だと思いますけれども、どれになさいますかということを選んでいただけるようなシステムということだろうと思っております。
 かつては、おっしゃられるように過剰整備があるのではないか。車検に出したら変えなくてもいい部分までいっぱい変わっているじゃないかという御批判がたくさんございました。そこで、我々としてはこのシステムの改正をさせていただいて、今こういう状態になっているということではないかと思っておりますし、その点ではまさしくおっしゃられるように、例えばあと何か月でだめになるかもしれないけれども、今の時点でOKだというものは車検が通るわけでございます。
 ただ、では車検がなくていいかというと、それでなければそこのところのチェック、歯止めをだれがどのようにするのかという問題もございますので、そこは冒頭に局長からも申し上げたように、交通事故の軽減も含めて安全環境問題をどうやって社会的な負担を最小限にしながら制度を構築していくべきなのか。こういう点について、我々としてはきちんと考えながら対処してまいりたいという考え方でございます。

○中山部長 ユーザーが整備を選択できるというシステムが今、導入されていますという説明をいたしましたけれども、それは民間車検工場という工場が2万8,000工場あります。そのうちの約3割の7,000工場がそういう方式を導入しておりまして、ユーザーがそこへ行ってこういうふうにしてほしいと。例えば、1か月もつものであれば交換しないでほしいということを言えば、料金は当然下がってまいるということです。そういう実態でございます。

○鈴木副主査 それは当然ですね。では、逆に言うとこのトッピングと、お手軽、お勧め、お任せのコースでそれぞれどういう割合で分布されているのですか。

○中山部長 詳細はわかりませんけれども、トップの方の要するにユーザーが選択できるというのは先ほど申し上げました数字でございます。指定工場の約3割がそういうシステムを導入しているということでございます。

○鈴木副主査 そのトッピングを選んでおるユーザーは全体の何割くらいですか。それは調べられますか。

○中山部長 ちょっと無理だと思います。

○鈴木副主査 調べられないですか。

○中山部長 検討してみたいと思います。

○鈴木副主査 モデル的でも構わないです。悉皆的な調査をしてもらう必要はないので、要するにいいサンプルというのか、サンプルの選択に偏りがなければ構いません。

○各務課長 あくまでも今日お示ししているこの資料は単なる一つの例ということで、ある特定のディーラーさんなり、ある特定の整備工場さんなりがこういうことを商品としてやっておられて、ことほどさように多様化しておりますということでございますので、例えばあるどこかのところを調べるにしても、そこの会社の分布と、それから全体の分布がどうなっているかということは必ずしも合っているとも限りませんし、そこはどこまで信頼性があるかということはありますけれども、いずれにしても検討させていただきます。

○鈴木副主査 わかりました。私の疑問は、オーバースペックでやっている我が家のようものは9割であって、そして安いのでやっているプロのような人は1割もいかないという疑問から、どういうふうに分布していますかということを聞いているということです。よろしくお願いします。

○井手総合政策局政策課長 いろいろな数字を見て今日役に立ったかと思うのは、私どもの出した6ページと、それから事務局の方でおつくりになった資料の4ページで、要はどどのぐらいの点検整備に費用をかけるかという議論を今しておられますが、6ページの平成5年の数字ではございますけれども、ドイツからアメリカ、日本と全部出ておりまして、どのくらい車検に関連して、あるいは場合によっては関連しないで点検整備の費用を国民がかけているかという平均値ですね。これは、先ほどの御質問については調べるとして、マクロの数字としてここにあると思っています。
 それで、私はたまたまここにあります平成5年の6月というのは一番高い費用が12万7,000円平均で乗っていた車を売って、ちょうど一番下のニューヨークの次に安い4万9,000円の方に変わっていったわけです。ちょうど5年の6月です。それは生活実感として、本当に自分の回りにいる車を使っている人がどれだけディーラーに持っていってそういうことにお金をかけているかという実感として、ぴたっとたまたま生活体験としてきております。
 ちなみに申し上げますと、大変面白い解析数値が出ますが、事務局の4ページの資料とこの点検整備の方でいいますと、費用が高いスイスのような国、あるいはラテン系の国、こういう費用が高い国ほど実は車検の期間は長いという結果が……。

○鈴木副主査 逆に言うと、私の方は、なぜスイスの4年・3年・2年・2年というのをおたくの方の例の中で出しておかないのですか。

○井手課長 最初にそこはちょっと気になったんですが、やはりヨーロッパと言ったら英米で。

○峰久局長 典型的なことで、スイスは車をつくっていませんから。

○鈴木副主査 まあいいです。それは言いません。要するに、費用が高いという点だけを示してもらうというのは……。

○峰久局長 私の実感として、日本の方が本当に安いのか。よく高いんじゃないかと批判されるものですから。
 それと、やはりワラントとか保証上、メーカーとの関係で保証上で点検指針に従っているとか、あるいはそれゆえに中古車が高く売れるとか、その辺で大分風土が違うのかなという感じはしています。

○鈴木副主査 結構です。音に聞こえた強腕の業界についてお伺いしたいのですが、業界団体がたしかあるはずですけれども、どういう団体ですか。

○峰久局長 業界は日本自動車整備振興会でございます。

○鈴木副主査 それが道路運送車両法の中に名称独占というような形で書いてあって、これこれの仕事をやらなければいけないと法定されている。そういうものは自動車整備振興会という名前を使ってよい、それ以外のものは使ってはいけないという余り見慣れない規定が入っているわけなんですけれども、この規定ができた意味というものを教えていただきたいと思います。

○中山部長 名称独占のところでございますが、これは当時の資料を見てみました。そうしますと、整備振興会の文字を使用制限することによって振興会の地位が悪用されることを防止するということでございます。そういう意味の解説がございます。

○鈴木副主査 どうしてわざわざこういうものを書いてあるのかという点です。要するに余り気になるのだったらそういう振興会みたいなものをつくれ、つくってこういう事柄を定款の目的にしろというふうにはっきり言って、それ以外ものは名前を使ってはいけないと真正面から出てくるならそれはそれという感じがしますが、そういう名前を使ったらこういうことをやらなければならない、そうでないものはそういう名前を使ってはいけないという誠によくわからない規定ですね。
 この振興会の結成単位はどういうふうにしているのですか。民法の法人、つまり公益法人と書いてあるけれども、単位はどういうふうにしているのですか。自由な集まりなのか、それとも県単位なのか。

○中山部長 基本的には県単位でございます。北海道は結構いっぱいありますけれども。

○鈴木副主査 加入は任意ですか、強制ですか。

○中山部長 任意です。

○鈴木副主査 何%加入していますか。

○中山部長 大体9割ぐらいです。

○鈴木副主査 100%に近いのではないのですか。

○中山部長 94%です。それで、これは、加入は任意でございますから、やはりそういうところに入っていれば情報も……。

○鈴木副主査 会費はどのくらいですか。

○中山部長 会費は所によって違いますが……。

○峰久局長 3万から20万ぐらいです。

○鈴木副主査 随分かかりますね。それで、その上に連合会という上部団体があるということですね。わかりました。
 この団体がそうだというふうに言うつもりはありませんが、何せあれだけの抵抗をされた団体だから、相当ここはその抵抗のエネルギーを蓄えておられるところだということは推測せざるを得ないわけです。この団体に対して、余り聞きたくないことだけれども聞きますと、それぞれの団体に対して運輸省の現役OBというのは何人くらい入っておられるのですか。

○峰久局長 地方がほとんどでございますが、全国レベルでは全体の理事の数が多いですから常勤だけで申し上げますと4人中2人で、各県単位でも半分ぐらいだろうということです。

○鈴木副主査 そうすると、かなりの数になりますね。

○峰久局長 それは県レベルですから。

○各務課長 県レベルだと、1人いくかいかないかだと思います。

○鈴木副主査 それから料金ですけれども、この連合会辺りで、ある程度標準料金的なものを定めておるのですか。

○中山部長 整備料金は定めていません。

○鈴木副主査 全くのフリーですか。

○中山部長 はい。

○鈴木副主査 かつて公取から何か言われたという経歴は持っておられますか。

○中山部長 あります。

○鈴木副主査 やはりあるのですか。そうでしょうね。

○中山部長 それは今は全部改善されていますから、地域的にそういう問題があってその部分は改善されております。

○鈴木副主査 それで、結論を言いますと、私の二十何年間の車検とのおつき合いの関係から言いますと、車検問題というのは車検期間の延長をするのを嫌がる皆様方、つまり国交省ですね。それを後ろ盾として、時代と技術進歩に合わない車検期間に固執する業界、それを擁護するためのもの。そういう官民一体の業界のことを我々は官製市場とニックネームを付けているのですが、まさにここに官製市場の典型があるという感じがするわけです。ですから、今回の審議の中で是非この車検期間の短縮に対して前向きに問題をとらえていただきたい。かつてコペルニクス転換をやった運輸省の他の局と同じように、体質を変えていただきたいということを是非お願いしておきたいと思います。以上でございます。

○峰久局長 ただ、先ほど御説明をさせていただいたようなところで、客観的なところでは車検期間は各国ともむしろ若干強化されているところもあるという段階だと思いますし、消費者の価格の面で言うと先ほど申し上げましたいろいろなサービスの御指摘も受けながら公開させていただいています。そういうことで相当な成果が出ていると思うので、負担の問題とか、あるいはこういう安全面から見る期間の問題とかについて、そこは我々は外国に比べて特に高いとか、そういう話ではないと思うので、そこの客観的なところについては冒頭御説明させていただいたとおりだと思っています。もちろん数字などが出てきて客観的になりますので、そういうところで変えなければいかぬところは変えるということだと思っています。

○鈴木副主査 最後にもう一つ補足させていただくと、検討会をおやりになることはさっきも言ったように結構ですけれども、検討会は1年先にしか結論を出しませんから、それまで待ってよという、この常套手段だけは是非我々に対しては使わないでいただきたい。我々の期限は今年の12月ですということを一言だけ申し上げておきますので、よろしくどうぞ。

○峰久局長 それは実質的にできないというところがございまして。

○中山部長 一言だけ申し上げますと、先ほど局長が御説明いたしましたように、70万台の調査をやって、科学的に分析をして、それで世の中に対してきちんと説明できるようにしなくちゃいけないということでございますので、それなりの時間がかかるということは御理解いただきたいと思います。

○鈴木副主査 それは理解しますが、御省がお出しになった資料が雄弁に物語っておるではありませんか。今、車検期間を延長するに足るだけのデータを十分お出しになっているではないですかということです。

○宮内主査 時間がまいりましたが、あと何かございますか。
 それでは、こちらから短目にして福井さん、安居さん、米澤さんとお願いします。

○福井専門委員 車検制度の趣旨は、恐らく交通事故を防いだり、故障を未然に防ぐということが本質的な趣旨だと思うのですけれども、その観点から見たときに、多分より重要なことは、諸外国に単に事実として何の例があるとか、あるいは過去日本でこうやってきたというよりは、次のことだと思います。一番端的なのは、車検期間が長くなったせいで、つまり検査の期間が延びたせいで、前の検査期間を超えて走っていた車に整備不良があって、その整備不良が元になって交通事故が、しかも重大なものが起きたり、あるいは故障が起きたりという、そこのまさに論理的因果関係の核心部分が知りたいと思うのです。
 それは単純に今の車の70万台を調べ上げてわかるものではなく、一番いいのは多分アメリカで現に社会実験をやっているわけです。長い州と短い州があるわけです。これは極めてプリミティブな統計的手法でちゃんと解析すれば、他の条件を一定として、例えば更新が3年のところと1年のところを比べるとして、3年のところで1年を超えて3未満で走っていた車で整備不良が原因となって事故が起きて、しかもそれが甚大であったかどうかというような観点で統計を、他の条件を一定にしてコントロールして比較すれば、有意にその検査期間を短くすることが事故を防いでいるのかどうかということは実証的に一目瞭然に出るはずです。
 だから、そこを調査しないと、その調査委員会で何をやられるかということにも関わるのですが、その点の調査、現に事例のある米国の例などで優位な防ぎ方になっているのかどうかということを端的に調べていただくということが一番重要な課題ではないかということを御指摘申し上げたいと思います。

○安居委員 今との絡みなのですけれども、せっかく調査をされるので、考え方としては例えば3年のものを4年にするとか、あるいは2年のものを3年とかという問題だろうと思うので、そういうことについてのいわゆる偏差値が出るような調べ方というものを是非お願いしたいと思います。

○米澤委員 私は4年以上アメリカにいたことがあるんですけれども、そのときの車検というのは大分昔でしたので簡単だったんですが、現在いろいろ出されていますけれども、各州によりますが、米国での法的な必要とされる点検項目ですね。日本はここに書かれているわけですけれども、それを米国のみならずもう少し出していただきたいと思います。期間のことはほかの先生方が言われたと思いますので、それだけです。

○峰久局長 基本的によく似ていると思いますが、出させていただきます。

○宮内主査 特にあとコメントはございますか。よろしゅうございましょうか。
 まだたくさん御議論させていただきたい点もありますが、こういう公開討論は問題点が浮き彫りにされるということで目的は達したんだろうと思います。したがいまして、国交省とは今後ともこの問題につきまして引き続き意見交換をさせていただきまして、消費者といいますか、国民の立場から見まして合理的、リーズナブルな形のものを形成していければと思っております。引き続き御協力のほどをお願い申し上げたいと思います。
 今日は御多用のところをおいでいただきまして大変ありがとうございました。

法務省との意見交換

○宮内主査 大変お待たせいたしました。それでは、引き続きまして2つ目のテーマでございます国際的な高度人材の移入促進、いわゆる日本版グリーンカードの創設の問題につきまして、ただいまから法務省との意見交換を行いたいと思います。本日は、大変お忙しい中、法務省から増田入国管理局長を始め幹部の皆様においでいただいております。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
 私の方から、一言申し上げさせていただきます。お手元にお配りいたしました資料3でございますが、1ページにもございますが、我が国が対内直接投資を促進し、経済を活性化するためには、優秀な外国人が我が国に腰を落ち着けて事業を行うなど、そういう環境を整備することが必要不可欠であると、このような考えを持っております。諸外国におきましても、その競争力強化のために高度人材としての外国人の確保についてさまざまな施策を講じているところであります。
 我が国におきましても、経済財政運営と構造改革に関する基本方針、あるいは対日投資会議決定などの政府決定などにおきまして、高度人材を確保していこうとする姿勢は一応、見られますが、その中で永住権などの問題につきましてはこれまで一切触れられておりません。ただいまの資料の3ページをごらんいただきましたら、我が国には現在、入管法上、22万人強の永住者が存在しているようですが、その次の4ページにありますように、法務大臣によりますこうした永住者の許可は極めて不明瞭な基準で行われているようであります。聞くところによりますと、10年以上継続して本邦に在留していることを一般原則としつつも、さまざまな分野で我が国への貢献が認められる者については、在留実績は5年以上で許可が下りるということらしいわけでございますが、こうした基準については少なくとも何らかの制度という透明な形で世の中に公表されているという事実はないようでございます。
 こうした中で、先月の政府決定におきまして、法務省は永住許可要件の明確化を図るため、来年度中に我が国への貢献が認められ、5年以上の在留実績により永住許可が与えられた具体的、主要な事例を紹介するということになっているようでございます。
 しかしながら、資料の7ページにございますが、当会議といたしましては、このような事例紹介のみであれば来年度を待つまでもなく即座に行っていただくこともできると思いますし、更に申し上げれば、我が国として優秀な外国人の受け入れを一層促進するためにも、単なる事例紹介ではなくて、永住許可要件に関する明確なガイドラインなどの策定を速やかに行っていただきたいと考えております。
 また、構造改革特区における特例措置として、先ほどの5年の在留実績を3年に引き下げることが認められ、4月から既に全国の特区で6件の適用がなされているようでございますが、当会議としましてはこうした緩和措置について特区推進本部の評価委員会とも連携しながら、その速やかな全国展開を図っていくべきであると考えております。
 更に資料の8ページでございますが、当会議としましては永住許可以外の高度人材移入促進策といたしまして、3年を原則として在留期間の延長問題も重要だと思っております。この点も特区などで少しずつ緩和措置が取られているようでございますが、法務省におかれましては是非とも抜本的な見直しに取り組んでいただきたいと考えております。そうした私どもの考えております問題点も御参考にしていただきながら、意見交換をさせていただきたいと考えております。
 まず、法務省の現在のお考えにつきまして御説明をちょうだいできればと思いますが、申し訳ございませんけれども、20分程度でお話賜れればと思います。よろしくお願い申し上げます。

○増田入国管理局長 本日は、発言の機会を与えていただきましてありがとうございます。入国管理局長の増田でございます。私の方から20分ほどお時間をいただきまして、お尋ねの件について御説明をさせていただきます。
 去る10月7日の総合規制改革会議におきまして、当面の課題として重点検討項目に追加されました国際的な高度人材の移入促進、日本版グリーンカードの創設などに関しまして、我が国の出入国管理制度における永住許可制度などについて一通り御説明をさせていただきます。
 まず永住許可制度でございますが、初めに現在どのような状況にあるかを簡単に申しますと、お手元にお配りしております「我が国の出入国管理制度における永住許可制度等について」と題する入管の10月22日付の資料がございますが、その5ページを開いていただければと思います。この5ページには「永住許可件数等の推移」と題するグラフが載っておりまして、平成4年から毎年の数の推移を折れ線グラフと棒グラフで表示しております。一番近いのが平成14年、一番右側でございまして、その折れ線グラフにあるとおり平成14年の1年間で4万2,085件、永住許可を受けておりますが、遡ること10年前、一番左が平成4年です。この平成4年当時は年間4,078件にすぎなかったわけで、過去10年間で1年当たりの許可件数が10倍に伸びているという実情が示されております。
 ちなみに、黄色い色で塗っております棒グラフは永住許可を受けて外国人登録をしている人の数でございますが、平成14年現在、先ほどもお話がございましたが、22万3,875人の方が永住者として外国人登録をしております。これも今から10年前、平成4年当時は4万5,000人にすぎませんでしたから、この10年間で永住許可を受けて外国人登録をしている人は約5倍に増加しているという状況にございまして、私どもとしては今のこの永住許可制度は制度として定着しているものと評価しているところでございます。
 ページが戻って恐縮でございますが、資料の1ページをごらんいただきたいと思います。ここには先ほどお話がございましたが、我が国の永住者の在留資格がどのような要件で与えられるのかについて簡単にまとめたものですが、法律は入管法の22条に規定がございます。具体的には資料の1ページの上の方の四角の囲みに1、2、3とございます。この3つが要件でございまして、1は素行が善良であるということ。2は独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有する者であるということ。そして3として、その者の永住が日本国の利益に合すると認められる場合であること。この3つの要件を満たせば永住許可が付与されることになっております。
 具体的には、1の素行が善良であることにつきましては、本人の経歴書であるとか、あるいは所得税、住民税等の公租公課をきちんと履行していることなどの資料を提出してもらって審査に当たっている。
 2の独立の生計を営むに足りる資産、技能を有することにつきましては、その資産を示すような資料であるとか、あるいは事業の損益計算書等を提出していただいて確認させていただいております。
 そして、3のその者の永住が日本国の利益に合すると認められることにつきましては、先ほども御指摘がございましたが、実務上は在留期間における我が国の在留状況を審査の基準としておりまして、具体的には我が国に引き続き10年以上在留していることが必要となっております。
 ただし、この資料の下の方にもう一つ四角い囲みがございます。在留期間の審査とあって、一般原則10年以上引き続き我が国に在留していることとあって、矢印で緩和措置と書いて下を向いております。高度技術者受け入れの促進ということで、高度技術者等、社会、経済、文化等の分野における我が国への貢献が認められる人については、10年以上でなくて引き続き我が国に5年以上在留していることというように、期間を5年に短縮しております。
 現にこれに該当するものとして、10年に満たない在留歴でも永住許可を付与された外国人として、例えば研究という在留資格で我が国に在留している研究者で、農業の分野で研究に実績のあった方、それから教授という在留資格で我が国に在留している大学教授で言語学の分野における研究、あるいは大学教員としての実績にかんがみ、やはり5年以上10年未満で永住許可されたケースなどがございます。
 なお、この10年とか5年というのは、外国人が我が国にいて、そこでの活動ぶり、業績、成果等でその人の我が国社会との結び付きとか定着度が相当強くなっており、我が国社会の構成員としても受け入れられていると評価し得るものとして用いられている基準でございますが、国益に合するという要件の唯一の要素ではございませんので、これに当たらなくても個々の在留状況を見て適合性が認められる場合も考えられます。現に、配偶者あるいは親が永住許可された場合、例えば旦那さんが永住許可された場合に、その奥さんについて在留5年未満で永住許可を受けたという事例もございます。
 これが永住についての一般的な定めでございますが、もう一つ、資料の2ページを見ていただきたいのですが、特区制度でございます。本年から施行されております構造改革特別区域制度におきまして、入管の関係でも幾つかこの特区制度を設けました。例えば、1つは今の入管法ですと外国人の研究者が日本に入ってきて研究活動して、その研究で何らかの成果を上げて、その成果を生かして事業を起こす。こういう場合、今の制度ですと「研究」という在留資格をまず与えられて我が国に在留する。それで、本当に成果があるから事業を起こしたいというときには、今度は「投資・経営」という在留資格に変更して、それで更に在留を継続する。
 このような仕組みになっているのですが、今般の特区制度の中で、特区内の研究施設で研究活動をして、その成果を生かして事業を起こしたいという人については、今の法律にあるような「研究」、その後に変更して「投資・経営」というのではなくて、最初から「特定活動」という在留資格で入っていただいて研究をしてもらい、成果があると思ったらそのまま事業経営してもらう。そういうことが自由にできるような在留活動を認めるという制度を実施しております。しかも、この場合には恐らく事業経営までいくには期間がある程度かかるであろうという判断から、在留期間は3年ではなくて5年に伸長するという特例措置を講じております。
 それからもう一つ、情報処理産業が先端産業の基幹技術になるということで、新事業を創出するという効果が高いということなどから、特区内の事業所で活動する情報処理技術者につきましても同じように、在留期間は技術ならば3年ですが、こういう人についても最初から在留できる期間を3年ではなくて5年に延ばすという特例措置を講じているところでございます。
 それで、資料の2ページに永住許可弾力化事業と書いてございますが、先ほど来申しましたとおり一般的には10年以上、あるいは高度技術者の受入れ促進のために緩和措置で5年以上となっておりますが、特区内におきましてはこの永住許可弾力事業の特例を認めまして、この特区において我が国への貢献があると認められる人については、5年を更に短縮して3年以上の在留で貢献がある人については永住許可を与えようというように特例措置を講じているところでございます。
 このようにして、これは特区ですから地域の活性化という観点で認められている制度でございますが、その地域における活性化に役立つような高度人材の受入れについて、私どもとしても推進しているところでございます。
 ちなみに、バイオ関係の研究をされている研究者、環境保全技術分野の研究をされている研究者の方などで、この特例措置を活用して3年以上の在留実績で既に永住許可申請をされて、私どもでそれを許可した事例がございます。
 次に専門的・技術的分野の外国人労働者の受入れについて申し上げたいと思います。本日のテーマは国際的な高度人材の移入促進ということですので、専門的・技術的分野の外国人労働者の受入れに関して若干説明させていただきたいと思うんですが、資料の3ページを開いていただければと思います。我が国の外国人労働者の受入れにつきましては、専門的・技術的分野の外国人労働者の受入れ、これは積極的に推進するという基本的な考え方がかねてからとられているわけでその推進に努めているところですが、例えば平成13年度におきまして外国人の情報処理技術者の円滑な受入れを目的といたしまして、一定の情報処理技術試験の合格者につきましては、実務経験等を問うことなく技術という在留資格で我が国に入ってもらえるような措置をとったところでございます。
 具体的には在留資格「技術」で我が国に入る場合には、学歴要件として大学を出ていること、あるいはその実務に10年以上従事していることなどが要件として定められているわけですが、これをもっと入りやすくするということで、外国人IT技術者をもっと円滑に受け入れる見地から、大卒または10年以上の実務経験という要件につきまして、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格していること、あるいは同じく告示をもって定める情報処理技術に関する資格を有している人につきましては、学歴あるいは実務経験を問うことなく、「技術」の在留資格を与えて、我が国に入れるように緩和したところでございます。
 したがって、最終学歴が高等学校卒という人でありますと、従来は大卒という学歴基準を満たさなかったわけですけれども、そういった人につきましても、一定の情報処理技術に関する試験に合格していると認められる場合には我が国に入ってこられるように緩和されたところです。現在のところ、シンガポール、韓国、中国、フィリピン、ベトナムが実施している資格、あるいは試験が法務大臣の告示によって定められておりまして、現に韓国と中国のそれらの試験を通った有資格者が、この新たな基準によって「技術」という在留資格を与えられて我が国に入ってきております。
 入管法で高度人材と考えられるのは大体、「技術」とか「技能」、あるいは「人文知識・国際業務」、そういった在留資格で我が国で活躍されることが考えられるわけですが、その14の就労目的の在留資格がございます。この14の就労目的の在留資格で現在、我が国で活躍されている方は、この資料の7ページに「就労を目的とする在留資格別外国人登録者数の推移」というグラフがございます。この平成14年の欄の一番上の方に書きましたが、合計17万9,639、約18万人の方が就労を目的とする在留資格で現在、我が国に入ってきて活躍されております。今後とも社会のニーズ、あるいは我が国の産業、国民生活に与える影響などを勘案しつつ、専門的・技術的分野と評価し得る人材については、その受入れを積極的に図っていくこととしております。
 本日は日本版グリーンカードの創設ということが掲げられておりますので、このことについて簡単に申し上げておきたいと思います。今般の重点検討事項として、日本版グリーンカードの創設ということが掲げられておりますが、アメリカのグリーンカード、あるいは永住許可制度につきまして、私どもの方でも急遽調べた範囲内ではございますが、簡単に御説明をしておきたいと思います。
 アメリカのグリーンカードは永住者だけに与えられる外国人登録カードということで、色が緑色ということでグリーンカードと呼ばれているのですが、永住者だけに与えられるカードということで、一般に永住資格そのものを指す言葉として使われているようです。アメリカの場合ですと、例えば合衆国市民の未婚の子どもにはビザの割り当て2万3千何人というふうに、あらかじめその種類とか対象者ごとに人数を決めておいて、その分は受け入れるとして定められている制度のようでして、永住権の種類としては基本的には家族統合目的のための永住権と、就労目的のための永住権、あとは多様化の枠のための永住権と、3種類に分かれているようです。
 このうち、今回検討の対象となる高度人材の移入促進に係るものとしては就労目的の永住権が関係してくると思われますので、これについて簡単に御説明しますと、就労目的の永住者については、更にその優先労働者、あるいは非凡な才能を有する労働者、熟練労働者、特殊な移民、雇用創出者、この5つに分類されております。それぞれにビザの割り当て枠があって、それが利用されなかった割り当て枠はほかの分類で消化されることが可能となっている、このようになっているようですが、具体的には優先労働者というのは優秀な大学教授、研究者、あるいは科学、芸術で卓越した能力を有する人です。
 非凡な才能を有する労働者というのは、例えば博士の学位を有する専門職種の労働者、熟練労働者は最低2年の実務経験等を有する労働者、あとは特殊な移民は宗教家などを指すようですが、雇用創出者として100万ドル以上の投資家であって、かつアメリカ人労働者を10人以上雇用する者など、このように5つ決められているようですが、そのうち非凡な才能を有する労働者とか、あるいは熟練労働者を雇用する事業主の場合には、あらかじめ州の労働局に申請して、そこで審査を受けて雇うことについて労働証明を取得するという手続が求められているようです。
 それから、アメリカのグリーンカードにおいては10年に1度の更新が求められているようです。それから、投資家につきましては投資を行う時点で2年間の条件付き永住資格が与えられるなど、その永住者につきましても一定期間内における管理は行われているようです。この点は、我が国が永住許可を与えた場合にはそれで管理などということはいたしませんので、その点では我が国とは違っているなということです。
 それから、アメリカの場合、グリーンカードを与えられた人も長期間離れると、再入国の際にアメリカとの結び付きが希薄と判断されてグリーンカードが没収されることがあり得るということのようです。この点も我が国の永住許可にはそのような制度はございませんので、法的地位の保障についてやはり異なったものがあると思われます。
 このようにいろいろ見ていきますと、日米の永住許可制度はそれぞれの歴史とか国情の違いなどを反映して種々異なっていると思いますので、単純に比較することはできないのではないかと考えているところです。
 私の方から、大ざっぱでございますけれども、以上でございます。

○宮内主査 ありがとうございました。それでは、私どもの方で本件につきましては国際経済連携ワーキンググループというものを設置しておりますが、そこにおきまして既に先行的な議論が相当行われております。担当主査をしております安居委員の方から御質問等の口火を切っていただければと思います。

○安居委員 安居でございます。どうぞよろしくお願いします。
 ビザの問題全体が実はこれからいろいろディスカッションさせていただかないといけない問題だと思っているんですが、本日は永住許可の問題ということで話をさせていただきたいと思います。
 いろいろ教えていただきたいこともあるんですけれども、基本的にやはり永住許可という観点で今までの日本というものを考えると、基本的に余り出さないというのがもともとのベースだったんじゃないかと思うほど、法律的には余りきちんと決まってきていないのではないか。さっきから3項目というものがございますけれども、それではこれを客観的に見てだれが決めるかとなると、皆、法務大臣が決めるとなっております。やはりこのこと、あるいは移民法というのも日本はないと思っております。したがって、どうもこの辺からいろいろな意味ではっきり基準がしていないというようなことを非常に感じるのでございますけれども、その辺をこれから一遍、御検討いただけるようなことが考えられないかどうかというのがまず第1点目のポイントでございます。
 2点目については今、永住許可がどんどん増えているというふうに御説明いただいたんですが、私どもの資料でも、人は増えているんですけれども、ここで見ますと例えば22万人のうち7万人が中国の方と割に偏った永住許可ということになっております。これは歴史的な部分もあるので当然ということもあると思うんですけれども、さっきから話が出ている高度人材をどうするかというような観点から見て、今までの年間の永住許可を出しておられるときにそういう点はどうなっているんだろうかということです。
 3点目は、日本の場合は期間が一つのベースになっているというふうに理解しているんですけれども、10年でということだと思うんですが、その22万人のうち10年以下といいますか、端的に言えば5年で許可されている方が何人おられるのだろうか。あるいは、特区の話で3年というのが今、出てきておりますけれども、これで許可された方が何人おられるんだろうか。これは、この許可を法務大臣がおやりになるので各支所というか、入管には下ろしておられないというふうに聞いているんですけれども、その辺もちょっとわからないんです。その3つについて御説明いただければと思います。

○増田局長 では、私の方からごく大まかに答えさせていただきます。なお、必要があれば課長の方から答えさせることにいたします。
 まず、最初の御指摘で、基準が不明確ではないか。あるいは、法務大臣だけがやるというのはどうかということで、ルールのことであろうかと思います。これはいろいろな御意見はあろうかと思いますが、我が国の永住許可制度というのは、永住を与えたらその人についてはそのまま日本にいていただくということで、一切の管理の対象からは外れることになっております。それだけにいろいろな受入れの仕方はあろうかと思いますが、やはり永住の判断をするときには、この人はこれまでの実績等から見て日本に受け入れて問題ないなという判断をする機会はやはり私どもはどうしても確保する必要があるんじゃないかと考えているわけです。
 その場合に、事柄がその外国人についても日本にこのままいていいんだという判断である以上、これはその外国人の在留について最終決定権を持つのは法務大臣ということでございますので、これは先ほど、まさに下に下ろしていないということをおっしゃったとおり下ろしていないので、これは大きな問題であるし、そしてまたそれは多分に政治の裁量ということも起こり得ると思うんです。
 どの程度入れていいのかとか、どういう人を入れていいのかとか、そういう裁量の働く範囲もあるということがあるものですから、私どもとしては今のところはこの要件で運用してきたわけで、後はこの運用の中で申請があったことについて、先ほど申し上げましたような資料などを出してもらうことで、本当に日本社会に定着して今後も問題なく在留していただける方だということをきちんと判断して対応してきたというふうに考えているものですから、今の時点で直ちに基準を変えるとか、あるいは大臣権限を下に下ろすとかということは考えておりません。
 ただ、基本的に高度人材をもっと受け入れやすくする制度を考える必要があるんじゃないかということについては異存はないわけです。したがって、そういう観点から更に受け入れやすくするための何らかの基準とか手当てが必要であるならば、それはそれで考えていかなければいけないということを思っております。
 それから、2番目のお尋ねで、実際に22万人と言ってもその中身を見たら中国が多いとか、そういう偏りの問題があるということですけれども、これは実際問題としてあくまでも申請が出たものに対して、私どもはその申請をした人が本当に我が国で永住許可を与えていいかどうかを考えているものですから、現にそうすると、例えば高度人材でも我が国に入ってきている研究者の中にはやはり中国の方が実際問題として多いということが言えようかと思います。
 そういうことで、今後、もしほかの国などから日本に腰を落ち着けて日本に永住したい、それで研究したいとか、そういう人がほかの国から増えれば当然、その国からの永住者は増えると思います。例えば今、中国に偏っているとした場合、中国人で現に我が国に住んでいる人が多くて、我が国で活躍しているのが多いからそういう人が申請するのに応じているだけの結果でございますから、別に国別でふるいをかけているとか、そんなことは一切ないわけですから、今後ほかの国から日本に入ってくる人が多くなり、日本での永住を希望する人が多くなれば、自ずとそういう偏りは解消されることになるのではないかと思います。
 それから、3番目のお尋ねで、一体5年以上で何人、3年以上で何人と、実は3年以上というのはまだ施行されて間もないんですが、私の知っている限りでは6人、今年この特区制度が動き出して3年以上で在留許可を与えるという制度になって、それの適用で永住許可された人は6人です。それで、5年以上は今、申し訳ございませんが、統計は持っておりませんのでお答えできないんですけれども。

○安居委員 その統計はないんでしょうか。

○増田局長 その統計は取っていないということです。

○高宅入国在留課長 ちょっと補足させていただきますと、10年というのも別に絶対的基準ではなくて、大体のめどとしてやっておりますものですから、別に10年で打ち切るとか、あるいは5年でそれ以上は一切だめとかという形は取っていませんので、逆に言うとそこまで細かい統計は取っていないということです。

○安居委員 10年というのは一つのルールじゃないんですか。

○高宅課長 大体10年ある場合に許可しているんですけれども、それが絶対かというといろいろな事情がありますので、例えば日本人の配偶者の方とか、そういうことになりますと短くしたり、いろいろなことをやりますので、必ずしも10年以上なければすべてだめというわけではありません。

○安居委員 だけど、10年以上継続して本邦に在留していること、これが一般原則なんでしょう。だから、それ以外は原則ではなくて特殊例ですよね。それは統計はないんですか。

○高宅課長 それは特に統計としては取ってございません。

○安居委員 要するに、そういう意味では全然、日本国にないわけですね。

○高宅課長 もちろん事例はありますけれども、統計としては取っておりません。

○安居委員 それはなぜでしょうか。普通だったら、特別の場合は取りますけれども。
 そうすると、現実には10年と言いながら、実際はもっと短い人がたくさんいるという理解でしょうか。

○高宅課長 永住というのは一律にどうとかという形で切るのはなかなか難しゅうございますので、どうしてもその人の家族の状況であるとか、生活の状況であるとか、もちろん社会の貢献度も含めて判断せざるを得ないので、10年と言っても10年ない場合でも許可することがありますし、逆に10年あっても在留状況によってはだめにすることもあるわけですけれども、そういった意味では、必ずしも絶対的に10年で打ち切るんだ、よく上陸許可基準のところで、3年以上の実務経験がなければだめだという場合のような打ち切り方はしておりませんので、そういう形ではしていないということです。

○安居委員 法務大臣がおやりになるというのはわかるので、最終の決定はもちろんそれでいいと思うんですが、やはりある程度客観的には、こういう場合に日本としてはウエルカムにするんだというような形の基準というものが、どうしても要るんじゃないかと思うんです。何か言ってきたら考えてあげるから持ってきなさいと。その結果が、さっきの話だと中国人なり韓国の方というのは昔からおられますから、そういう方が増えたということだろうと思うんですけれども、やはり基準をこれからきちんとしてワールドワイドで、しかも高度人材をもっとどんどん入れていく。
 しかし、その場合は例えば10年で私はいいと思うんですけれども、こういう客観的な基準がベースですよということをむしろはっきり外へ出して、その最終の選択は大臣がおやりになっていいし、その場合は極端に言うとあなたはこういうものを満たしていないからノーなんだということになると思うんです。だから、アカウンタビリティという観点からして、どうもその辺がはっきりわからないんです。

○高宅課長 今までの取扱いがいいか悪いかの議論はあるかと思いますが。

○安居委員 今までの話ではなくて、今後の話ですね。

○高宅課長 基本的な考え方としては、永住というのは、むしろ入ってからの状況を見てからで、その前の段階で例えば技術者として入るとか、そういうものには、客観的に例えば学歴とか経歴とか仕事内容とか、そういう基準を省令で定めまして公開してそれで入れる。ただ、その後、入ってからの在留の状況に応じて永住許可をする。こういうものはかなり個人によっていろいろな状況が違いますので、それを総合的に判断してやるというような立場をとっております。

○宮内主査 今の御質問で整理させていただきたいと思うんですけれども、法務省というお役所は最も法にのっとって行政を行っていくことが必要なところだと思うのでございますが、永住につきましてはそういう意味では完全な裁量行政でやるんだ、基準は全くないというふうにおっしゃっていると考えていいわけでございましょうか。

○増田局長 そういうことを申し上げているわけではございません。もともと法律によってこの資料の1ページに書いたとおり、素行が善良で独立の生業を営むに足りる資産又は技能を有する。そして、日本国への永住を許すことが日本国の利益に合すると認められた場合と、こうあるわけでございます。
 ただし、素行が善良というのは、例えば罪を犯していないで10年間日本でつつがなく生活を過ごしていれば自ずと大体答えは出てくることだろうと思います。それは先ほど申しましたとおり、本人の経歴書などを出してもらうことでわかることです。
 それから、独立の生計を営むに足りる資産、あるいは技能を有する。これも本人の資産に関する書類などを出してもらえば、この人は我が国でこれからも独立して生活を営める資産があるかないか、それは口で言うと抽象的に聞こえるかもしれませんが、それは自ずと常識的に分かることだろうと思います。
 それで、日本国の利益に合するというのは何だというところはあろうかと思います。だから、そういったことについて一つの原則として、引き続き10年以上日本に暮らしている人が問題なく生活しているような場合は、この人はもう日本社会に適合していると言っていいだろうということで、一応の基準といいますか、今、基準がないのかとおっしゃいましたけれども、あくまでも日本国の利益に合するという法律に対して、この一つのわかりやすい基準として10年以上ということを出しておいて、少なくとも10年間の生活ぶりに何も問題がないのか、あったのかというものを見るというのが一つの基準であると考えております。
 したがって、決して基準なしでただ出たものをその場のそのときそのときの思い付きで判断するということはあり得ません。そういうことはやっておりません。

○宮内主査 先ほど、永住権のような問題は政治的裁量が必要だ。だから、はっきりしないんだということをおっしゃいました。それと、今おっしゃったのとどういうふうな脈絡なんでしょうか。

○増田局長 なぜ大臣から下に下ろせないのかとなったときに、実際に永住を与えてよいかどうかをもし大臣から下に下ろすとなりますと、入管法上、入国審査官のレベルになると思うんです。しかし、入国審査官というのは東京にも何人もいれば大阪にも何人もいればというようなことで、我が国に永住させてよいかどうかを個々の審査官の判断に委ねていいかというと、これはこれで問題であろうかと思います。
 例えば今、我が国の経済情勢、雇用情勢、あるいはそういったことからどの程度人を入れていいか、あるいは入れることについてどれほど厳しくやるか、あるいは軽くやるか。そういったことについては、やはり上に立つ者が全体に整合性を持って、そのときそのときの国の状況なども考えながら判断を下すという制度が必要であろうということで先ほど申し上げたわけでございます。

○宮内主査 平成14年に4万2,085人永住許可を出されたわけでございますけれども、これは一人ひとり政治的裁量を法務大臣がなさったというふうに考えていいわけでございますか。

○増田局長 そのとおりでございます。

○宮内主査 それは実際上、可能なのでございましょうか。

○増田局長 どういう意味でございましょうか。

○宮内主査 法律にのっとり、政治的裁量をそこに加えて4万2,000人を一人ひとり判断するという業務を法務大臣がおやりになった。これは、私は考えられないと思うのです。恐らくこれは何らかの内部の基準があって、出入国の窓口で決めたわけではない。入管の中で何らかの基準を持ってこれを事務的に処理された。そうでないとこういうことはあり得ないと思うのですが、そうではないのですか。それとも、法務大臣が一人ひとりの書類を見て、面接でもして政治判断をされたということでございますか。

○増田局長 そういうことは申し上げておりません。

○宮内主査 では、事務的にどういうふうになさったのですか。

○増田局長 ですから、先ほど来申し上げているとおり、申請が出たものにつきまして、この人については素行の善良性は足りているのか。それから、独立の生計を営む資料が出されていて、それでこの人は生計能力があると認めていいか。この人は10年間、我が国に在留していて、その間、問題を起こしていないかどうか。そういったことを審査して判断をしたということでございます。

○宮内主査 ということは、内部でしっかりした基準をつくっておられるということですね。

○増田局長 先ほど申し上げたとおりの判断でございます。つまり、先ほど来私が申し上げている以外に何らかのこういう基準があるということだとしたら、それはそうではございません。

○宮内主査 法にのっとって、ガイドラインあるいは基準にのっとって処理をなさっているのか。それとも、これは法律の及ばない政治的判断だとおっしゃっておられるのか。そこのところをはっきりしていただきたいのです。

○増田局長 二者択一とは考えていないのでございます。あくまでも私どもはもちろん法にのっとり、この法の定める要件の中の日本国の利益に合すると認めたときや、10年以上在留ということでございますけれども、そういったことを踏まえて判断をしているということでございます。

○宮内主査 日本国に利益になる、貢献しているということはいろいろな判断の仕方があるのですね。政治的にこういうことを判断していいことかどうかということもわからないわけです。政治的に法務大臣が好ましくないと思っていることが、ひょっとして日本国に非常に貢献しているというようなこともあり得るわけです。したがいまして、そういうことを含めて、いや全部政治的に判断するのだとおっしゃるのか。法にのっとってお決めになっておられるのか。法にのっとってお決めになっておられるのだったら、その具体的内容はどうなのかと。

○増田局長 まさにおっしゃるとおり、場合によってはこれは政治的な判断から入れた方がいいとか、入れない方がいいとかということもあり得るでしょうから、だからこそ大臣の権限として残しておかなければいけないという考えでございます。

○宮内主査 私はまことにわからないのですが、4万2,085人を許可しておりながら、その方々が日本へ入って何年たって許可を得たかという数字もない。わからないとおっしゃる。まことに不思議な行政ではないのでしょうか。

○高宅課長 要するに、10年というのは基準でないと申し上げているのではなくて、基本的に基準なのですが、ただ、いわゆる足切りみたいに10年以下だったら1日欠けてもだめだ、10年以上だったらすべて許可するんだというような意味での絶対的な基準としていないというだけでございます。

○宮内主査 では、私の質問ですが、4万2,085人のうち日本へ入られて何年たった人が何人、永住権の許可を取ったか、これについては把握されておられるわけですか。

○高宅課長 特に統計は取っておりませんで、10年をめどにして大体その人の生活状況とか、いろいろな貢献とか、まさに総合的判断をしているということになるかと思います。

○宮内主査 その結果です。許可を与えた人で何年いた人が何年許可されたとか、そういう数字も把握されていないということですか。

○高宅課長 数字的には把握しておりません。

○福井専門委員 そうしますと、特に裁量が大きいのは日本国の利益だというふうにおっしゃりたいようなんですが、例えば高度の学術とか、さっき言語学とか農学の例を出されました。だれが具体的にどういう学識を持って日本国の利益に合致すると判断されるのですか。

○高宅課長 それは法務大臣がということになるわけですが……。

○福井専門委員 法務大臣の中の部局の法務省の入管局の中に高度の学識について、言語学や農学や、あるいは経済学や物理学について判断できる人がいるのですか。それとも、いないとしたらどこかへ外注しているのですか。

○高宅課長 これは結論としてはうちの中でやるんですが、基本的に本人の側から功績等を示すものが出された場合、特にそれが一般人として判断して合理性があれば、それで功績があるんだということになるかと思います。

○福井専門委員 一般人としての判断というのがよくわからないのですが、例えば物理学でも経済学でもそうですが、載るジャーナルによって全く評価が違うというのは学術の世界の常識です。どのジャーナルに何本くらい書いているのかとか、商業誌に書いても意味がないとか、そういうことはちゃんとわかって審査しておられるのですか。

○高宅課長 確かに論文の審査というような意味で、例えば物理学のこの部分についてこうだというような審査をするということではなくて、本人が例えばこの論文がこういったところに載ってこういう評価を得ていますというような話があれば……。

○福井専門委員 だから、その申告ベースのものが本当に価値あるものかどうかというのはだれがどうやって判断しているのですか。

○高宅課長 それは我々というか、法務省の職員で判断しています。

○福井専門委員 後ほどで結構ですが、法務省の職員がそれを判断できるという証拠を見せていただけませんか。
 それからもう一つ、ph.D.とかでもいろいろあります。どこの大学でどういう分野で取っているのかということで、日本の大学でもそうですけれども、何大学のどういう分野のph.D.はどれぐらいの値打ちのものだというのは、一種のアカデミックな世界の専門家の間ではちゃんと相場観があるのです。そういうことについても審査される能力をお持ちの方が直接の担当者にいらっしゃるのかどうか。あるいは、もしいないのであればだれかに意見を聞くという適切な手続きを取っておられるのかどうか。これは学術だけではなくてすべて同じだと思います。専門家でない方がどうやって専門家の知見を判断しておられるのか、誠に不思議だというのが先ほど来のお話を伺っての印象です。
 それから、続けてお伺いします。統計がないということですが、さっき法務大臣の政治的裁量が必要だから統一的に本省でやっておられるのだというお話でしたが、統一的にやられる、本省としていわば過不足のない、公正で比例原則にも合致した運用をしておられるという意味でおっしゃっているわけですか。

○高宅課長 そういうことでございます。

○福井専門委員 だとしたら、要するに恣意的でなくて適切に平等原則や比例原則に合致した裁量権を行使していると胸を張られるのであれば、その結果としての先ほど来議長が申し上げているような統計ですね。何年でどういう事情の人については永住許可を与えたとか与えなかったということについて、個別というのではなくて統計的に処理して出せないはずがないと思いますが、いかがでしょうか。

○高宅課長 それが先ほどの話のように、まさに同じph.D.でも違うとか、そういうことがありますので、それぞれの個別事例としてこういう事例で許可になったとかというものはもちろんあるわけですけれども、統計的にph.D.を取っている人間は何人とか、統計的に9年5か月の人間は何人とか、そういう形では取っていないということでございます。

○福井専門委員 失礼ながら、ph.D.の中身の審査能力がないとおっしゃっておきながら個別事例しか出せないというのは矛盾じゃないですか。
 だったら、例えばph.D.を基準にして認めた学者はどれだけだとか、あるいは高度なジャーナルに載せて何本書いた人を認めたのが何人とか、それがなければおかしいということになりませんか。もし統一的基準でやっておられるのならばです。

○高宅課長 ph.D.の中身の審査能力がないとは申し上げておりませんで、ただ、個々の論文の内容について例えばこの論文の適否を審査するところまではできませんけれども、ph.D.というか、むしろその人が行ってきた業績の評価というのは一般通常の判断として行っているということです。

○福井専門委員 一般通常の判断でできるというならば、そのやり方を後ほど、例えばどういう学者のどの業績をどうやって専門家の判断と齟齬がないように法務省の職員の方が直接に判断し得たのかということを具体的にわかるように教えていただけませんか。どの分野でも結構です。
 それから、続けてお聞きします。先ほども制度として定着というのが冒頭にございましたが、10年以上とか5年以上ということの年限の意味がよくわからないのです。なぜ日本に住んで何年以上というものが国益ということの裏返しの基準になるのでしょうか。例えばの話、外国でノーベル賞を取られたとか、あるいは日本に常駐して住んでいるわけではないけれども、非常に日本でも高い評価を得ている芸術家や学者がいる。その方が何らかの都合で日本に永住されたいという希望を出したときに、3年も5年もなく、なぜすぐ認めてはいけないのかということです。

○高宅課長 それは先ほどから申し上げているとおり、10年というのはあくまでも絶対的基準ではなくて、それぞれの個々の事情に応じては10年より短いものでも許可になる。だか、多分ノーベル賞を取られたような学者がおられた場合には、それはもっと短い期間でということもあり得るわけでございます。

○福井専門委員 短いというのは、例えば何年ですか。

○高宅課長 特に年数ということで決めておりませんし、人によっても違ってくるだろうと思います。

○福井専門委員 そういうことがわかるようにどうして外に出せないのですか。どうして10年と5年の基準しか外に出せないのですか。もっとある意味ではデリケートな部分も含めて、定性的には少なくともまとめられる部分があるように思いますけれども、どうしてそれを公表できないのですか。

○増田局長 今の御指摘で、例えばノーベル賞の場合に、ノーベル賞ならば何年というような決め方というのはなかなかできないと思うんです。結局、これまでの生活態度あるいは日本における仕事ぶり、生活ぶりから見て、この人は日本に適合しているな、溶け込んでいるな、この人ならば今後も大丈夫だなということが利益に合するで、ではそれは何だというときに引き続き10年暮らしていて、それで問題のない人ならばこれはそれに当たるでしょう。
 しかし、10年ではちょっと長過ぎるではないかということから、では高度人材を受け入れるには10年ではなしに5年以上ということにしましょうというようなことでやっていることであって、細かに、ではノーベル賞は何年だ。半年でもいいじゃないか。ノーベル賞はすぐでもいいじゃないかとか、そういう議論は起こると思うんですけれども、個々のケースはまさに個々のケースですから、それはちょっと……。

○福井専門委員 個々じゃないのです。申し上げているのは、要するに日本国の利益に合するということを一律に10年か5年かで切るのを原則基準として公表されている点に対する懸念です。
 そうではなくて、日本に現に住んでいる常駐年数いかんによってではなくて、すぐに判断できるケースで日本国の利益に合するというものがあり得るということは先ほど来の議論の前提になっているわけですから、そういうケースについても一律に年限が原則基準になるかのような形で公表されること自体に問題があるのではないかという趣旨です。

○高宅課長 うちの方も一律に10年とか5年という形での公表ということは特にしておりませんし、原則として大体このぐらいをめどと言っているだけでございます。特に10年でなければだめだよという言い方で公表しているというようなことはございませんし……。

○福井専門委員 だったら、具体的な学識の審査の仕方の客観性なり、あるいは専門家の知見にかなうかどうかも含めて、まともにわかるような形で対外的に公表していただくのがまず先決ではないでしょうか。法務大臣の政治的裁量という一言で、いわば専門家の知見についての基準もなくやっておられる運用が全部正当化されるというふうにお考えになるのは大間違いだと思います。
 それから更に追加ですけれども、アメリカと違って日本は一旦永住許可を与えると管理対象から外れてしまう。だから慎重になさりたいのだとおっしゃりたいように伺いましたが、慎重にやるからといって、基準なく、あるいはその基準に関する実証的根拠なく、いわば裁量権を自由自在に行使してもいいということにはならないわけでありまして、慎重であればあるほどそれについての客観基準は非常に重要ではないかということが1つです。
 それからもう一つは、だったらなぜ10年に1回とか、あるいは永住権を一旦与えたとしても後ほどの素行いかん等によっては取り消すこともあり得るとか、そういう形の永住権を考えられないのでしょうかということです。

○増田局長 まず、永住を与えた人がその後、我が国社会で問題を起こして、これは困るから出ていってもらおうというような人が出ることは、むしろ制度として好ましくないというのがこちらの考えです。だからこそ、この人は本当にずっと日本にいてもらっていいんだという人について永住許可を与えるということですから、それは法律の制度として永住を与えた人でも例えば何かその後、問題を起こした、あるいは独立生計を営めるはずの人が独立生計の能力も失ってホームレスみたいになっているから、こんな人はいいのかとか、それは制度として、法律として取り消す制度をつくることは可能ではあろうと思いますけれども、そういう人は本来永住許可の対象とはそもそもならないんです。

○福井専門委員 わかりました。聞きたいのは、今まで永住許可を与えた類型の中で犯罪を起こしたり、あるいは税金が払えなくなったり、あるいはホームレスになったり、最初にそれがわかっていたら許可しなかったであろうという人は何人いるのですか。

○増田局長 恐らくいないと思います。ただ、これは統計を取っているわけではございませんが。

○福井専門委員 確認しますが、永住許可を取った人の中で租税滞納になったり、犯罪を起こした人は一人もいないということですか。

○増田局長 絶対にいないかどうか、これまた統計を取っているわけではございませんが、そういう問題が起こってこれは困ったなというような例は、過分にして聞いたことはございません。

○福井専門委員 しかし、永住許可を出す以上はそういう人が出てもらっては困るとおっしゃるのだったら、困るようなことが発生していないという事実も認識できていなくてどうしてそういうことが言えるんですか。

○増田局長 先ほどから申し上げていますとおり、永住の許可をした人は管理の対象としておりませんので。

○福井専門委員 なぜ管理の対象としないということを前提にするのですかということがここの議論の争点です。要するに、管理の対象とするのであれば、最初にそれほど大きな議論をしなくても、あるいは恣意的な裁量を行使しなくても、例えば10年に1回のチェックということだってあり得るわけです。それを、後のチェックもしていないのにとにかく永住権だからということで管理の対象としないという論は倒錯していませんか。

○増田局長 むしろ永住制度というのは、我が国では永住とは別に定住という制度がございます。定住は、例えば最大限3年間という在留資格を与えます。そういうことを3年間続けていく。問題がないから3回繰り返せば9年になる。もう一回繰り返して10年目のところで永住申請をなさる方が多くございます。要するに、そういう審査の機会を何回も積み重ね、トータルして10年になった段階でそれなりの生活ぶりなどから、この人はもう大丈夫だなということで、この人についてはもういいんだという制度として永住という制度をつくっているわけでございます。

○福井専門委員 その人が現実にいい人たちばかりであったということの事実すら把握していない責任者の方がどうしてそういうことが言えるのか、全く理解に苦しみます。

○増田局長 その事実すら把握していないというのは、おっしゃる意味がよくわかりませんけれども。

○福井専門委員 犯罪の例については統計を取っていないとか、あるいは租税滞納の例も統計を取っていないから正確にはわからないとおっしゃったのじゃないですか。

○増田局長 多分ないだろうと思います。

○福井専門委員 調べていただいた方がいいのじゃないでしょうか。

○増田局長 永住者については管理しておりませんので、調べようがないと思います。

○福井専門委員 管理しないといって開き直るというと失礼かもしれませんが、管理をすることを前提にすれば、もっと適切な永住権の運用制度ができるんじゃないのですか。

○増田局長 それはかなり議論の余地があるんじゃないかと思います。つまり、何で日本は永住を与えておきながら、永住だからこのまま安心して日本にいられるかと思ったら、管理となりますと先ほどおっしゃったとおり、場合によっては取り消しとか、そんなことも出てくるかもしれません。そうすると、一体何のための安定的に末長くパーマネントで日本にいられるという資格を与えたんだということになりかねません。ですから、今の先生のおっしゃるような御意見もあると思いますが、そこは永住制度のそもそもの根本の在り方について議論は分かれると思います。

○福井専門委員 それは当人の利益になるかどうかという当人たちの判断でもあり、あるいは日本の国益という観点の判断でもあると思います。

○安居委員 1つよろしいでしょうか。何も法務省にクレームをするのが私たちの仕事ではないので、むしろ問題はいろいろな環境変化が出てきて、これからどんどん変わっていく中でビザの問題をどういうふうに考えるか。それは短期の問題もあるし、就労の問題もありますし、永住の問題もあると思うんですけれども、そうした中で今までの法律のままで本当にいけるのか、私は非常に素朴な疑問を持っております。
 そういう意味で、できたらそういうことでいろいろなディスカッションをさせていただいて前向きの形に持っていっていただければ非常にありがたいなというのが基本的なところなので、是非それはひとつ御考慮いただければと思います。

○増田局長 最初に申し上げましたとおり、私どもとしても特に今回のテーマである国際的な高度人材の受け入れ、これが日本にとって有益であるという認識は持っているし、そのために皆様方から見ればまだこんなものはやっているうちに入らないとか、いろいろな御批判はあろうかと思いますが、例えば一般基準の年数であれ、あるいは特区制度の実施であれ、いろいろと手を打ってきているわけです。したがって、今おっしゃるとおり今後ももちろん高度人材が受け入れやすくなるような制度をどうやったらつくれるのか。それはもちろんこれからも考えていくことに何の異存もございません。

○宮内主査 ほかにコメントをどうぞ。

○村山委員 今まで永住権のことについて割と議論の中心になってきているんですけれども、先ほどもおっしゃいましたが、高度な人材を受け入れる措置に関して努力なさっているということなんですが、具体的にはどの程度のことを今なさっているのか、簡単で結構ですから説明していただけますか。
 それからこれは意見なんですけれども、高度な人材という話をするときに、この資料でもそうですが、外国人労働者の受入れ方針というような形のとらえ方をなさることが往々にして多いようにお見受けしますけれども、労働者というよりも例えば外資系企業などですとマネジメントがもう少し落ち着いて長くいられるとか、そういったようなことであるので、少し枠のとらえ方を変えていただければという意見があります。
 それから国益、国の利益というようなお話をなさいましたけれども、そのカテゴリゼーションに関しても見直しというのをおやりにならないのかということに関してちょっと聞いてみたいです。というのは、子育て等で、外国人のナニーであるとか、そういったものの受入れが非常に限られていて、英語をしゃべれる人材がこれだけ多くなっている中で外国人のナニーを使える人たちが外国人の登録を持っている人に限られるということもございまして、ここで余りこの議論をする必要はないと思いますけれども、そのカテゴリーの与え方というものに関してはずっと前につくってから変えていないんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがですか。先ほど法学とかおっしゃっていましたけれども。

○高宅課長 まず、最初の技術者の受入れについてでございますが、入管法では非常に包括的に、理科系でいえば自然科学、人文科学系で言えば人文社会科学の分野に属する知識なり技術なり、そういうものを必要とする業務であれば包括的に入れるような形をとっております。ただ、そこに基準があって、例えば学歴とかが定まっていますが、それについていろいろな工夫をしております。具体的に言えば先ほど若干御説明しましたけれども、IT技術者などは必ずしも専攻分野が違う場合もあるということで、専攻分野について柔軟に扱うというような措置をとったり、あるいはITについては大卒でなくても資格試験で受かった者をよしとするとか、あるいは特に日本の資格でなくても外国の資格でもいいような相互認証と言っておりますが、そういった措置をとるとか、そういった形をとっております。ただ、かなり包括的に定まっておりますので、今の段階でどこかが入りにくいという形ではないだろうと思っております。
 それから、外国人労働者という枠組みですが、これは入管では労働者という言い方をよくしてしまうんですが、マネジメントの方は「投資・経営」でいらっしゃることもありまして、要するに働く外国人の方、働かない外国人の方という大きい分類になっていまして、働く外国人の方の中にはいわゆる労働者の方もいれば、そういう「投資・経営」のマネジメントの方もいる。「投資・経営」も別に入れていないわけではなくてもちろん入る形になっております。

○村山委員 滞在の期間に関しての緩和というのはしているんですか。

○高宅課長 滞在期間に関しましては、3年以内の複数の在留期間があるわけですが、何年前かは忘れましたが、基本的に最長の3年を与えるというような措置をまずしておりますし、特区では5年というようなものもつくっているということであります。
 ただ、非常に幅が広うございまして、そういう意味では転職とかいろいろな形があり得ますので、余りチェックをしないと難しいので、特区の場合にはその範囲を狭める代わりに期間も長くすると、そんなような措置をとったところでございます。

○村山委員 3年の前提というのはどういうことでしょうか。どうして3年なんですか。

○高宅課長 これは、3年か、1年か、5年か、特に何かという根拠は余りないかもしれませんが、基本的に外国でも3年というのは結構ありますし、3年くらいをめどにその在留の状況をチェックしているということです。

○村山委員 3年というのはほとんどメイクセンスしなくて、慣れるのに1年くらいかかって、使えるようになったら2年で終わりというのはほとんど意味がないと思いますけれども。

○高宅課長 3年たったらすぐ出て行きなさいということではなくて、3年のところでチェックをしているだけであって、そのまま同じ活動が継続して問題がなければそれはそのまま更新という形でどんどん延びていきますので、そこはそんなに問題はないと思います。

○鈴木副主査 感想なのですけれども、ちょっと中座したので全部聞いていないのですが、おっしゃっていることが全くよくわからない。10年間で国益に合致する、大丈夫だということにしたら、どうして残りの30年、40年というのはその人が保証できるというふうに信じておられるのか。そこがさっぱりわからないです。人間というのは常にいろいろ変わっていくことがあり得るわけなんだから、10年間でよかったら残りの20年、30年は保証される。したがってチェックする必要もなければ何のフォローもしていないとおっしゃるけれども、その前の10年間で何が将来を保証できるのか。考え方がおかしいのではないですかということを私は聞いていて思います。

○上原総務課入国管理企画官 先ほどもお話がございましたように、永住許可の性格からしまして、我が国で生活の根拠があることを前提に、最も法的に安定した在留資格が与えられるということになるんだろうと思います。少なくともそういう意味におきまして、我が国で実際に生活されていて、その間の状況を見るにはある一定期間の在留実績が必要であろうということで、一応の目安として在留実績、在留期間というものがあるというふうにこれまで説明があったわけです。
 その中でも、一律に10年とか5年ということを申し上げているわけではなくて、その中にいろいろなケース、それぞれ日本との有機的な結び付きだとか、いろいろなケースがあろうかと思います。あるいは日本の家族の方もたくさんあるんだろうと思います。それぞれにある程度の目安としての在留経歴を見るという形では目安としてあるわけでございまして、更にその中でもって細分化ということになりますと、それはいろいろなケースがあると思いますので。

○鈴木副主査 時間がありますのであれだけれども、要するにその後をチェックしないというところが……。

○上原企画官 あとは、もともと御本人が我が国で長期に定住ないし永住するという御意思があって、それが我が国の利益に合するとして、その上で最も優遇された法的地位である永住ということになりますから、それが全くほかの永住許可を取っていない者と同じような扱いになるということよりは、かえって御本人の法的地位の安定、あるいは我が国における活動というものについて、むしろその方が本人にとって非常に有益なことであろうし、我が国にとってもそれは有益であろうと考えております。

○鈴木副主査 安定という意味ではそうかもしれないけれども、いろいろな非行その他ということも起こるわけです。昔、聖者であっても今は悪人になるということも人間だからあり得るわけです。そういうときに、それに対して適切な措置をとってしかるべきというのは私は常識ではないかと思うのです。そこのところを放置してチェックもしないで、入り口を10年とか何とかでながめるというのは、この変化の激しい時代にもっと早く優秀な人材を入れていきたいということを妨げている原因になっていませんか。
 だから、後ろの方を信用し過ぎて、それが前を慎重にさせ過ぎて、そしてタイムリーな対応を遅らせているという愚を犯しておりませんか。さっきから聞いていると、なぜそういう考え方をするのか、さっぱりわからないということです。

○上原企画官 先ほどもお話がございましたように、一定期間日本に入った後に永住許可という形になるわけでして、当初から高度な人材の活動、我が国にとって期待される効果のあるような技術・技能等を持っておられる方については積極的に進めるんだと、そこの部分につきましては同じような考え方を持っているわけでございます。
 それで、永住の許可を一旦した後に全くチェックしないじゃないかというお話につきましてはいろいろな見方があると思いますけれども、それであるがゆえに永住許可を与える前にいろいろな総合的な考慮をして判断をするんだということであります。それで、その後、もちろん在留期間を定めて一定期間ごとのチェックというのは永住許可の性格上してはございません。ございませんが、仮に重大な犯罪とかということになりますと、それはまた別途退去強制というような形もあり得るわけでございます。そういう趣旨でございます。

○鈴木副主査 重大な犯罪を起こしたときには、チェックして永住権を取り消すのでしょう。

○上原企画官 その場合は、我が国にとってどうなのかということをその時点で判断します。

○鈴木副主査 さっきからおっしゃっているのはフォローしていません、何をやっているのかわかりませんと。

○上原企画官 在留期間で一定期間ごと、例えば10年ごとにチェックするとか、そういう趣旨でのチェックというのはないという趣旨でございます。

○宮内主査 時間も迫ってまいりましたが、特にあと発言がございましたらどうぞ。

○福井専門委員 今のことにも関係しますが、フォローもしないということであればなおさら逆に言えばフォローしていただいて、後々の例えば取消し等も含めて考えて、その代わり入り口のところはもうちょっと客観的で迅速にやるというのが普通の常識だろうと思います。さっきから幾つかお願いしたことは是非お願いしたいと思いますが、特に例えば最近の四半期とか統計が取れるところはどこでもいいのですけれども、少なくとも学術分野等について一体高度な政治的裁量と称される権限をどういう事例についてどのように行使したのか。落としたもの、認めたもの、具体的なものについて恣意的に選ばれずに何年の何月から何月までということで取れる範囲で結構ですが、すべてお示ししていただけませんか。具体的にどのような高度な政治的裁量を行使されたのか。パスした例とパスしなかった例とで知りたいと存じますので、お願いします。

○宮内主査 まだいろいろ御議論もございますけれども、私どもこの資料3の1ページ、2ページに問題意識ということで書かせていただいておりますので、こういう問題意識につきまして是非、入管局の対応の変化というようなことを期待しているわけでございます。特に2ページの最後にアンダーラインで書かせていただいておりますけれども、高度技術を有する者に対して永住権を優先権に付与するための透明性の高い措置の構築を図る。そして、それによって国際的高度人材の移入促進をしたい。これが大きな意味の日本の国益にかなうんだろうということは、政府も最近この上のところに書いてございますようにいろいろな形で推進したいというふうに考えているわけでございます。
 そういう意味で、今日のお話をお伺いいたしましたけれども、透明性ということにつきましてどこまで迫れるのかということについて、今日のお話では非常に不安を持たざるを得ないような感じがいたします。引き続きこういう点を中心に意見交換の機会を持たせていただきたいと思いますので、前向きな対応を是非お考えいただければ大変ありがたいと思います。よろしくお願い申し上げたいと思います。

○増田局長 今日は、お忙しいところ時間を取っていただきましてありがとうございました。

○宮内主査 ありがとうございました。それでは、以上をもちまして法務省との意見交換を終了させていただきたいと思います。委員の方は事務局から連絡事項がございますので、お残りいただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、以上で終わらせていただきます


内閣府 総合規制改革会議