第14回アクションプラン実行WG 議事概要

1. 日時

平成15年11月6日(木) 9:00〜11:10

2. 場所

永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室

3. テーマ
国土交通省との意見交換

「公共施設・サービスの民間開放の促進(いわゆる「公物管理」の見直しなど)について」

4. 出席者
(国土交通省)

総合政策局 井手政策課長

都市・地域整備局 増田官房審議官、高梨公園緑地課長、春田下水道部下水道企画課下水道管理指導室長

河川局 中島次長、福本水政課長

道路局 榊次長、林部路政課長

住宅局 高井市街地建築課長

航空局 鈴木官房審議官

港湾局 大村官房技術参事官

(委員、専門委員)

宮内主査、鈴木副主査、八代委員、森委員、稲葉専門委員、福井専門委員

(内閣官房構造改革特区推進室)

檜木参事官

(事務局)

内閣府 小平統括官、河野審議官、浅野間審議官
総合規制改革会議事務室 宮川室長 他


議事内容

○宮内主査 おはようございます。定刻でございますので、ただいまから第14回のアクションプラン実行ワーキンググループを開始いたします。
 本日は、10月7日の本会議におきましてアクションプランに追加いたしました5つの重点検討事項の中の公共施設、サービスの民間開放の促進、いわゆる公物管理の見直し、これにつきまして、ただいまから11時まで、約2時間にわたりまして国土交通省との意見交換を行いたいと思います。
 本日は、同省から御担当の幹部の皆様においでいただいております。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 これまでの規制改革は、個別規制の撤廃・緩和から規制制度、システムの改革や、いわゆる社会的分野を中心とした官製市場の民間開放へと対象が広がってまいっております。そうした流れの中で必然的に官の行う事業といいますか、官業そのものの改革が射程内に入ってまいっております。そのような意味で、本日のテーマは資料1の1ページにございますように、民間参入や民間経済の拡大を拒んでおります官業の民営化、民間譲渡、民間委託などの規制改革周辺領域といいますか、いわば次世代の規制改革というところに属する問題でございます。来年4月以降の後継組織への円滑な移行につなげるためにも、当会議を挙げまして横断的、包括的に取り組むべき最重要事項であると、このような認識をしております。
 なお、参考にございますように、既に昨年12月12日に取りまとめました当会議の第2次答申におきましても、政府部門の事務事業全般について民営化、民間への事業譲渡や委託により、民間参入を積極的に推進するため、推進体制の一元化や推進計画の策定により、総合的、包括的に進めることが重要であると、このような提言をしているところでございます。
 さて、本日のテーマにおきます論点につきまして申し上げますと、資料1−1から4までの4点ございます。本日は時間の都合もございまして、特にその中で国土交通省との関係では論点を1の公共施設の民間による管理運営の推進と、2の公共施設の民間による使用、利活用の推進、この2点に絞って行いたいと存じます。それぞれの論点の詳細な御説明につきましては特区・官製市場ワーキンググループの担当主査でございます八代委員から、まず問題点といいますか、論点につきまして解説をお願いしたい。その後、国土交通省からお話をお伺いするという順序でまいりたいと思います。

○八代委員 この問題はかなり技術的、専門的でございますので、私の方から簡単に配布しております会議資料に基づいて論点を御説明させていただきたいと思います。 まず会議資料の2ページ目の「具体的施策」というところでございますが、公共施設の民間による管理運営、ひいては建設所有というものは、いわゆる公物管理規定ということで定められています。道路とか河川、空港、港湾、都市公園、下水道など、本日議論をいたします公共施設については、その管理等を定めた法律というもの自体の中に、管理者はいても事業者はいない。事業という概念がもともと欠けているわけでありまして、しかもそれらの管理とか運営の主体は国や地方公共団体、特殊法人等の公的主体が原則となる。もちろん例外はございますが、基本的に民間企業等が参入できないというような主体規制があるわけです。
 これはいわば医療とか福祉、教育、農業等の分野における企業の参入禁止と似たようなものでありまして、その主体を制限することによってサービスの質を維持しようという考え方だと思います。これを経営主体の参入規制は撤廃し、逆に行為規制といいますか、こういう利用の仕方をしなければいけないという、より事後チェック型の規制に変えていくべきではないだろうかという問題意識であります。
 既にそういう問題意識からPFI等、あるいは3ページにあります地方自治法の中で指定管理者制度というものが拡充されています。この指定管理者制度ではこれまで地方公共団体の有する公共施設の管理運営というのは第三セクターしか認められなかったものが、昨年度の当会議の提言を受けて民間事業者一般がこれを管理運営することができるようになったわけです。
 しかし、せっかくこういう規制緩和ができたにもかかわらず、それぞれの業法の中で厳しい規制があるために、こういう指定管理者制度が活用できない。先ほどの平成11年にできたPFI法も同じでして、PFI選定事業者にせっかくなった民間事業者が、いざ公共施設の管理運営をやろうとすると、業法によって妨げられている。したがって、こういう個別の業法についても、まさに本来の目的に支障がない限りは、幅広く民間事業者に管理運営を認めるという方向に持っていかなければいけないのではないか。そういう形で調整というものが必要になるという考え方です。
 2番目は、使用の推進ということであります。現在でも限られた範囲において公物管理規定に基づいて占有を認めるということがあるわけですが、そのときにさまざまな厳しい規制があってなかなか円滑に使えない。この辺りは規制自体の内容が明確ではないわけですが、それによって民間が道路とか河川等を活用するときに、ごく例外的な形でしかなされないわけでして、それを弾力的に考えていこうということでございます。 それから、ちょっと戻りますが、3ページの指定管理者制度との関係でいいますと、具体的な問題意識としては後に述べますけれども、道路等があるわけです。道路というのは当然ながら車とか人が使うものでありますけれども、その上部とか下部空間というものが空いているわけでありまして、仮に企業を含む民間主体がその管理運営そのものに関与することができれば、当然それに対して賃貸料みたいなものが出るわけで、その費用を公的部門が新たな道路の建設、維持費用の一部に当てるというようなことも可能になるのではないかということであります。
 道路というのは我々素人から見れば1つでありますが、現在法律的には2種類の道路があります。1つは道路法に基づく道路でありますが、それ以外に道路法の対象にならない、道路運送法上の道路というものがあります。これは、お手元の資料の後ろの方の13−1というところに道路運送法上に基づく道路というものがありまして、全国で44路線あるわけであります。 これは昔はたくさんできたのですが、最近は余りない。平成6年に大分の方でぽつっとできるだけで余り活用されていない。ただ、この道路運送法上の道路というのは極めてユニークなもので、例えば東京で最初の自動車専用道路として昭和41年にできた東京高速道路というのがあります。これは数寄屋橋の辺りを走っているもので、道路の下部空間を商店街として利用することによってその賃貸料収入だけで道路の建設・管理・維持が行われている。したがって、これは無料で自動車専用道路が運営されているわけであります。
 これは類似の首都高速道路が道路法に基づく道路であるために、貴重な空間を有効に活用せず、専ら通行料金の値上げによって運営されていることと非常に対照的である。そういう意味では、道路運送法上の道路というものが民間活用ということの一つのいい例でありまして、これをもっと建設しやすいように促進する必要があるのではないかという問題意識もあるわけです。
 ちょっと飛びましたけれども、戻りまして5ページであります。既に特定の道路とか河川については、今それぞれ占有の弾力化に向けて政府としていろいろな取組みがされているわけで、道路についてはイベント等に伴う占有許可の弾力化というものがなされているわけですが、それでも道路の管理者と警察等の重複的な規制があって、なかなか有効にできない。河川についても、大阪の道頓堀とか広島の太田川等において、これは都市再生プロジェクトの一環として、いわば特区的な手法に基づいてオープンカフェとかイベント等が行われており、所定の成果を収めているわけです。これをこういうアドホックベースで例外的にするのではなくて、一般的に一定の利用条件を定めることによって河川とか道路をもっと民間がより活用できるようにならないかどうかということでございます。
 それから、6ページも道路でありますが、既に国土交通省の方で平成元年でしたかに立体道路制度というものを設けておられまして、道路以外の空間を効率的に活用しようという試み、制度が既にできているわけであります。ただ、この立体道路制度というのは極めて限定されておりまして、新設または改築の自動車専用道路に限るという厳しい限定があるわけであります。そういう限定の下で初めて道路の上部空間あるいは下部空間を既存のほかの建築物と一緒に一体的に使えるということなのですが、この立体道路の制度をもっと、例えば自動車専用道路以外の一般道路についても、あるいは自動車専用道路については既存の道路についても活用することができないだろうかということであります。それらを一般的な利用をすることによって、例えば都市部における貴重な道路空間がもっと効率的に使える。
 例えば、渋谷とか新宿の駅前などとには広大なスペースがあるわけで、あれをもっと立体的に使うことによって多くの価値が生まれる。そうであれば、それを民間が活用することによって賃貸収入も入るわけで、それで更に都市開発あるいは道路の建設等ができるのではないだろうか。そういうふうにもっと貴重な空間というものを活用するという事業者的なインセンティブを与えるような仕組みに、この立体道路を活用できないだろうかということでございます。
 それから、立体公園については、これも政府決定によって今年の9月にできたばかりですが、都市公園の地下利用を拡大する。これは民間事業者が使ってもいい。既存の都市公園の地下にレストランをつくったり、あるいは商店街の上に都市公園をつくったりということが自由にできる。これは非常に大きな進歩だと思いますが、もし公園でできるのであれば、なぜ類似の公共施設でこういうことができないのだろうか。下水道処理場の上部空間とか、多様な可能性があるわけです。そういう意味では、もっと公共施設というものを単に本来の目的だけに使うのではなくて、他の用途にも使うことによって、より社会で効率的に使うという発想が必要なのではないかということでございます。
 8ページの「公共サービスの民間による実施(「民間委託・アウトソーシング」)」というのは民間活力の有効活用という形で経済財政諮問会議でもやられているわけであります。国・地方公共団体が公共サービスを民間でやろうというときにはさまざまな規定がある。取り扱える者が公務員でなければならないとか、あるいは各省の関連する指定法人でなければならないとか、そういう規制がある。これを一般的な民間参入を認めるべきで、もっと競争を促進したりして、効率的なサービスが提供できるのではないかということでございます。
 9ページは直接本日の国交省とは関係ないかもしれませんが、間接的にやはり国交省の業務の多くにも関連するのが「公共施設・サービスの民間開放促進のための「手段」としての「市場化テスト」」ということでございまして、これは世界各国で実施されていて、特に米国では活用されている。これは、官が提供しているサービスと同種のサービスを提供する民間事業者がいる場合には、公平な競争条件の下で官と民とが競争入札をする。それで、価格と質の面でより優れたものが落札するということで、これは先進国の公共部門改革における一つの切り札になっているわけであって、日本でもこれを真剣に検討する必要があるのではないか。
 10ページには、こういう公共サービスの民間移譲をするときには、単に漠然とやるということではなくて、一定の数値目標を置いてやるという考え方もあるわけで、現に米国では連邦行政管理予算局が主体となってこういう一定の数値目標をつくってやろうとしているわけで、こういうような施策をやることによって日本でも公共施設について民間活力を活用することができるのではないだろうかということです。
 基本的な問題意識としては既に申し上げましたけれども、やはり公共事業の削減ということが避けられない中で、必要な公共施設をもっとつくるためには民間の資金を導入しなければいけない。そういう時期にきているわけですから、既存の考え方にこだわらず、今の公共施設の持っているさまざまなスペースであるとか、あるいは多様な用途というものを積極的に活用することによって、民間資金を活用した公共資本の整備といいますか、そういう形に発想を転換していく時期ではないだろうかということでございます。

○宮内主査 ありがとうございました。八代委員のお話の点も参考にしていただきながら、後ほど意見交換をさせていただきたいと思いますが、まず国土交通省からお考えにつきまして御説明をお願いしたいと思います。ただいまのお話のようにかなり専門性のあるものでございますので、非常に詳細に御説明いただくと大変長いことになると思いますけれども、申し訳ございませんが、40分くらいで御説明いただければと思っております。よろしくお願いいたします。

○井手政策課長 では、これから各担当局の幹部の方から分野ごとに御説明を申し上げますが、御説明に入ります前に1点だけ申し訳ないのですが、先ほど八代先生の方から詳しく御説明をいただきました事務局の方につくっていただいた資料についてでございます。
 先ほど御説明いただいた2ページのPFIのところでございますが、1点だけ議論に入ります前に申し上げます。このPFI法でございますが、PFI選定事業者であっても各種公物管理法が関係する公共施設の場合、その管理運営ができない。したがってPFI法の改正などが必要ではないかという論点の提起をしていただいておりますが、これはPFI法の7条の2項によりますと、選定事業者がこういった施設の整備等と「等」と書いておりますが、これは定義上、管理運営を含めた概念でございますので、現行のPFI法で既にこういうことができると明記されているのではないかと思いますが。

○八代委員 PFI法自体にそういうことが明記されていたとしても実態がうまく進まないのは、その下のいろいろな通達とか解釈等によって現実にはなかなかそれができないという問題があると聞いておりますので、法自体の改正ということまでいくかどうかは別として、法に関連する通達とか規則とか、そういうものがもっと民間が使えるようにできればどうだろうかというようなことでございます。
 PFI法自体の議論はここでは避けまして、別途官製市場の方で細かい点については議論したいと思いますが、いかがでしょうか。

○井手政策課長 細かい議論というつもりで申し上げたわけではございませんで、事実関係の間違いだと思ったものです。法律上はできることになっています。
 あとは御参考までに、PFI法に関係するところは幾つか省があり、各省でそうかと思いますが、少なくとも国土交通省に関しましてはおっしゃったような通知を既に出しており、できるということを関係者に明記しておりまして、現にそういう実例も多々出ておりますので、そこはこの資料の誤りという意味で御指摘させていただきます。

○宮内主査 では、よろしくお願いいたします。

○井手政策課長 それでは、道路からお願いします。

○榊道路局次長 国土交通省の道路局でございますけれども、資料に基づきまして御説明をさせていただきます。
 まず「制度の現状」でございますけれども、「施設を管理することのできる者に関する規定」というのは、道路法上、道路を管理することができる者というのは道路法とか高速国道法に基づきまして高速国道、一般国道の指定区間内では大臣、一般国道の指定区間外と都道府県道は都道府県、市町村道は市町村というふうになっておりまして、恐らくどこの外国へ行きましても国道、県道、市町村道といったような形で公共側が管理をするというふうなシステムになっていると思っております。先ほど八代委員からも御指摘がございましたように、私道の中で一般自動車道という形で道路運送法に基づく自動車道という形で全国で44あるということも事実ではございます。
 資料の1−5に基づきまして御説明をさせていただきたいと思っております。皆さん御存じのように、道路というのは道路がないと家が建たないとか、そういうこともございまして、あらゆる経済社会活動に不可欠な社会基盤ということでございまして、だれもがいつでも安全に利用できるように道路管理者、すなわち国土交通大臣、都道府県、市町村が責任を持って整備をして管理をしていくところでございまして、その設置管理に瑕疵があった場合には賠償責任を負うということだけではなくて刑事責任も問われる。
 例えば、大雨で道が壊れてバスが流れて人が死んでしまったというような場合には、当然のことながら管理瑕疵ということで賠償責任のみならず刑事責任も問われるということでございますし、道路に穴が空いていて自転車が転んで人がけがをしたというと、これもまた管理瑕疵ということで賠償責任と、こんな感じになっております。
 特に地震・大雨によります道路災害の対応とか、落石に対する緊急対策といったようなことでございますと、全国の一般国道、都道府県道で約6万か所そういう必要なところがございまして、そういったところに対する社会的要請も高いということでございます。
 道路管理事務の中身を見ますと、一般交通の用に供するという道路本来の機能を確保する観点から、占用許可とか通行規制といったような行政権の行使が含まれております。すなわち、建設、維持管理というような事実行為に加えまして、いざというときに通行規制をしなければいかぬという意味の行政責任というものが生じておるということでございます。
 一方、交通警察の方では交通の安全、円滑を図る観点から、交通規制、使用許可といったような事務を実施しているということでございます。
 「民間開放に向けての取組み」ということでございますけれども、私どもの道路管理の中身というのは、計画の策定から工事の発注といったような行政判断を伴う業務とか、占用許可とか通行規制といったような行政権の行使を伴う業務、こういう業務は道路管理者が自ら行っておりますが、端的に申し上げますと建設工事というのは建設業者に請負を出しておりますし、維持修繕というのも自らやっているわけではなくて民間にアウトソーシングしているということでございまして、従前から民間業者へ委託しているというのが実態でございまして、今後ともその範囲を広めながらやっていこうということでございます。 PFI事業につきましては、有料駐車場の整備について既に複数の事業を実施中でございまして、地方道路公社による有料道路事業についても、有料道路PFI事業の実施方針のひな形というものをつくりまして、今後ともPFI事業の展開について検討を進めまして積極的に導入していきたいというふうに思っております。
 道路の占用制度のことでございますけれども、一般交通の用に供するという道路の本来的機能を確保するために、道路上における物件の無秩序な設置による道路の構造や交通への支障を防止するということが必要でございまして、これに対して占用許可制度ということで道路の本来的な機能の確保と、それ以外の道路空間の有効活用との調整をやっております。
 一方、警察の方では物件の設置の有無を問わず、道路交通の安全・円滑を確保するために道路使用許可の事務を実施しているということでございます。重畳的という御指摘がございましたけれども、今のところ許可申請者がいずれかの一方の申請窓口に申請すれば他方の手続も進むようにワンストップサービスを実施しておりまして、どちらかに申請をしていただくとちゃんと連絡、協調体系が取れるという形にいたしております。
 「民間開放に向けての取組み」ですけれども、法令上、占用主体の限定はございません。それから、道路構造の保全とか交通の危険の防止に支障のない範囲で、その時々の地域や社会のニーズに対応いたしまして、弾力的な占用許可の運用による道路空間の民間開放を推進するというようなことをやっております。
 最近における民間開放の推進事例ということでは、光ファイバーの収容空間を民間事業者に開放いたしましたし、ちょっと細かいことになるかもしれませんが、バス停の上屋の新規整備をするといったときに、一体的に行われる路上広告も開放するという形にいたしております。それから、地域が一体となって実施するイベント等におきますオープンカフェといったものも占用許可できるという形でやっているところでございます。
 「地域の活性化に資する『オープンカフェ』の推進」というようなことを見ますと、自治体とか商店街とか商工会議所といったような地域が一体となりまして取り組むオープンカフェというようなものにつきましては、道路占用許可によって実施しようということでやっておりまして、この道路空間を活用するような社会実験の取組みを積極的に支援するということで、本年度は大阪御堂筋を含めまして4か所ぐらいで実施をいたしております。例えば、山口県の宇部市というようなところでもこういうような形でやっております。それから、地域活性化の社会実験ということで福岡の博多区でございますけれども、こういうようなところでも実施をしているところでございます。以上でございます。

○井手政策課長 引き続き、河川局お願いします。

○中島河川局次長 続いての資料で、「2.河川」と書いてあるところから御説明いたします。河川局次長の中島でございます。
 2−1のところは、河川管理の制度のことを簡単に書いております。一級河川が大臣で、二級河川が知事で、準用河川が市町村ということであります。それで、原則この3者で河川を管理するんだということです。
 (2)の民間の管理の規定は、丸の最初の方は事実上委託しているということだけでありますが、次のところに河川法20条とあります。これはいろいろな規定があるんですが、承認工事といいますか、河川の工事を民間がやってもいいよと書いてあります。それで、例えばダムをつくったり、諸施設をつくったりするのは占用工事で別の規定でして、ここは本来の河川施設になるものはつくってもいいよということでありますが、例は余りありません。したがって、河川法上は民間の奇特な方が私財を投げうって堤防を整備するという制度はあるんですけれども、現実には余り起こらないということです。
 例として、堤防がまだないところで、湖沼なども河川法の適用があったりして、そういうところにマリーナをつくろうという人がいて、ついでに堤防も整備するというような場合には堤防もやってもらっていいよというような例が書いてありますけれども、かつて砂利採集のときに砂利採集に合わせて堤防をつくった方が便利だというようなときにつくってもらったことはあるようですが、現実には余り行われておりません。
 軽微な河川の工事と維持、これは河川管理の一つの代表的な形態ですが、河川の工事については民間はできる。特に簡単なものは承認も要らないという規定もあります。これは後ほど御説明しますが、これでやっていると思えば思えないことは世の中にたくさんあります。
 それの開放の取組みということで、一定の地域での河川の計画、整備、管理とか、維持管理、清掃みたいなことをいろいろやってもらっています。これは後で御説明します。原則公共団体ということになっているけれども、民間にやらせるという規定はあるということでございます。
 2−2のページで、2つ目は占用の問題であります。占用は24条に許可を受けなさいという規定がございます。占用は主体と物と両方でして、主体は原則公共的な団体だというふうになっています。民間は例外的だということになっていまして、最近まさにプレジャーボートのマリーナみたいな施設を想定した規定を入れたりしましたけれども、原則は公共的な主体に限っています。
 ただ、それも今回、先ほど八代さんからも御紹介がありましたけれども、道頓堀川、太田川みたいなことで次の展開、取組みの実験を始めていますので、後ほどそれも御説明します。
 2−3、2−4はその制度の参考の条文ですので後ほどごらんください。
 2−5まで進みまして、次に「河川管理について」という横長の資料を見ていただきたいと思います。法律上は公的主体がと書いてあって、民間開放の取組みをいろいろしているという例をこれからお話ししますけれども、河川管理者というのは世の中の相場観で言えば、私が言うのも変ですけれども、頭が堅いといいますか、うるさいといいますか、そういうことになっていたと思うんです。民間開放などという話をしていますけれども、それ以前の問題としては公共サイドに対しても実は道路とか、鉄道とか、電気、ガス、水道というものがいっぱい河川を横断するんですが、その度に河川協議というものが必要でして、河川管理者はうるさいことを言うというのが大体通り相場になっていたと思うんです。我々としては、それはそれでそれなりの背景と理由があったと思ってはいるんですけれども、世の中の評価としてはうるさいやつらだということになっていたと思うんです。ここひと昔といいますか、もう少し前ぐらいから徐々にいろいろな社会的背景なり、自分たちの考え方も変わってきていると思います。皆さん方から見ればまだまだかもしれませんが、そういうことの一端を御紹介したいと思います。
 まずは最初のページで、「民間開放に向けての取組み」ということで、「NPO等の河川管理への参画」ということであります。1枚めくっていただくと、荒川の例が書いてあります。今、全国で川とか水に関していろいろな活動をしておられる団体ですね。今はやりの言葉で言うとNPOと言うのかもしれませんが、3,000以上の団体がいらして活動をしております。多摩川だけで300くらいあります。そのいろいろな活動をしておられる方の活動のフィールドとして河川空間を使われるということが現場的にといいますか、自然発生的にいろいろ起きていて、河川サイド、河川に関してもそれを前向きにというか、積極的に受け止めようということであります。
 ほかにはNPOみたいな河川とか水に関係する団体以外にも、学校が教育の場として植物とか動生物、水質の観測とかに使われたり、川とは全然関係ない団体のイベントとか、伝統的にはスポーツでいろいろな競技で使ったりとかがあるわけです。もともと自然のものでありますから、自由市場といいますか、人に迷惑をかけなければ使ってもいいよというのが原則なのでありますが、そういう中で近年河川環境などをテーマにしたいろいろな取組みが起こってきています。
 そのうち、若干管理っぽいものをここに写真にしています。左側のものは河川敷に湿地をつくろうということで、もともとここの自然の植生はこうだったんじゃないか、ここは湿地にしたいという運動をされる団体がいる。それで、河川管理者としてはそういう意識が潜在的にあったわけでもないんだけれども、お話を聞いて、ではやってみましょうかということにしてやってもらっている。そのときに、行政でやれというのではなくて自分でやるという感じもありましてやられる。
 右側のものは清掃でありまして、掃除をする。したがって、八代さんが最初に言われた問題意識と、民間の企業活動とかビジネスとかというのとちょっと違うかもしれませんので余り御関心がないのかもしれませんけれども、こういう動きがあります。これを河川法上どう理解するかというのは、実はよくわからないところもたくさんあります。左側のものなどは、まさに河川の高水敷の計画から、あるいは整備そのものをやっている。全く同じようなことを国がお金を出してやることもあるわけであります。右側のものもお金を出して委託をして掃除をすることはままあるわけでありまして、それをやってもらっている。別に頼んでやってもらっているわけではないです。
 現場の関係も、頼む頼まれるというわけでもないんです。もう少し緊張感がありまして、ちょっと違うと公共事業実施主体対それに反対する環境運動みたいな感じにもなりかねないような潜在的な思いとパワーの中でやっているというわけで、我々としてはいろいろ今後につながるものとして大事にしたいと思っていますけれども、河川法上、これがさっきの20条の承認工事を受けないでやっている形態だと言うことに今の段階では余り意味がないのではないかと思っています。いろいろなことがあって、現場主義といいますか、もう少し実例なり実験、経験を積み重ねていって、今は正直に言うとこういう活動を通じてこういう団体の方からも、河川管理者も少しは話がわかるなというくらいの評価はもらえつつあるのではないかと思っていますけれども、いろいろな取組みが行われているということだと思います。
 次のページの河川アドプト、これは同じ清掃の活動であります。実態上は承認とか何とかよりも協定みたいな感じですね。活動する団体と、河川管理者と、地元の市町村みたいな話をして、では年に何回掃除をしましょう、そのときの費用負担はどうしますか、全部自分でやられますか、では少し資材は出しましょうかとか、ここに看板を立てましょうかとか、そういうお話し合いをして約束事としてやっているということです。だから、我々霞ヶ関的に言うと制度化と言うと変ですけれども、これ自体を新しい制度にするということを考えないでもないのだけれども、現場の感じとしてはもう少し様子を見てくれというような感じになっています。
 次をめくっていただくと占用の話です。これも冒頭に御紹介のあった道頓堀川、太田川の例ですが、1枚めくっていただいてまず大阪の例でお話をしたいと思います。道頓堀川という川が大阪の真ん中にあります。阪神タイガースが優勝してたくさん飛び込んで有名になった川でありますが、ここに戎橋という、これまた一番飛び込む橋がありまして、その戎橋から太左衛門橋というところまで170メートルくらいあるんですが、この区間の話です。
 右上に絵が出ていまして、左下にも鳥観図が出ていますけれども、現状はテレビでごらんになったように余りきれいでないことがよくわかる川でありますが、周りも建物は川に背中を向けて建っていまして、とてもこんな感じにすぐになるとは思えない状況であります。

○八代委員 恐縮ですが、時間もないので、具体例はよくこちらも承知しておりますので、なぜそれが一般的に使えないのか、できないのかという点についてできれば御説明願えますか。

○中島河川局次長 こういうことができるのは、今までの流れというか、歴史などのお話をしましたけれども、我々も発展途上だということもあるのですが、まず何よりも、広島もそうですが、東横堀川、道頓堀川という河川を一応治水上の負担がない状態にしないとこういうことはできません。デッキをつくりますが、これは洪水がきてもここまで水がくるという計画水位の上に突き出してつくります。
 しかも、日本の河川というのは水がない普段と洪水のときでは全然違いまして、東海道の大井川などを普段走られると広い河川敷があって、どこに水があるのかという川がありますけれども、雨が降ったときにいっぱいになって流れるわけです。ですから、その空いているところは使えないかと思われるのですけれども、実はあれは使えない。それで、ここはどんなに降ってもというと大げさですけれども、とんでもないことが起こったらだめなのですが、とりあえず計画している範囲は使える。水がこない。両側に水門をつくりまして、特に大阪湾は地震があると高潮がきてずっと市内に津波が押し寄せる。川を上ってくるということになっていますが、それがこないようになっている。ですから、大阪市は淀川全体の治水の中で、ここの空間は治水の負担を免れている。こういうことができるのは淀川全流域の皆さんのお陰であると思ってやっているということであります。
 それと、地域で受け止めるというか、現状を見ていただくとわかるのですが、ここでこんなことをできそうな雰囲気は余りないのでございますが、大阪市ではそれなりの努力をして、基盤整備をやって、その後に民間開放をするという仕組みであります。
 広島も同じでありまして、この太田川というのも大変治水で苦労をした川であります。現状の写真が真ん中の下に出ていますけれども、こんなにきれいになったのは戦後大変な努力を市と県がされて、直轄の区間もされて、終戦直後は堤防、河川敷たるべきところは未整備で、そこにいっぱい人が張り付いた状態でありまして、それも含めてそういうものをずっと撤去してきてこうなったわけであります。広島としては縦の河川空間と横の広い道路が有名ですけれども、それを組み合わせて都市計画を一生懸命やってこられた。その成果を今、享受しているということで、そういうところでないとできない。したがって、太田川放水路が一番外れにありますが、上流に温井ダムという大きなダムができたりして、高水敷は普通のときより河川敷を嵩上げしまして、この川の負担としては旧太田川、元安川という川には洪水がきても普通は高水敷に水が付かないという状態までしてやっているということであります。
 それで、基本はまず洪水の負担から空間を開放するという治水努力をして初めてできるということと、あとは地元での合意形成といいますか、河川空間はだれでも使えるはずで、私が行って泳いでも魚釣りをしてもいいはずなのに、特定の人が店を出してしまっているということを皆が許容する。そこがポイントだと思います。以上でございます。

○井手政策課長 では、続きまして航空局お願いします。

○鈴木官房審議官 航空局で空港担当をしております鈴木でございます。お手元の資料で御説明させていただきます。
 我が国の民間航空は御承知のように終戦直後はGHQの管轄下に置かれまして、航空法が公布され、羽田が返還されたのが昭和27年でございます。その昭和27年から50年ちょっとの間でここまで発展を遂げたわけでありますが、公共事業の世界では新参者でございます。御承知のようにシェアも非常に少のうございまして、徐々に増やしておりますが、分母が小さいものですのでなかなか一気にはいかないということで、そういう限られた財源の中で空港の整備などを進めておりますので、もともと民間でできることは民間でというような発想でやっております。
 したがいまして、1番のところにありますように空港を設置するのは民間でもできます。国土交通大臣の許可を取れば民間でもできるということで、現在全国221施設、ヘリポートも含んでおりますが、そのうち51か所民間の飛行場がございます。
 それから、空港整備法で言いますと一種空港、二種空港、三種空港というようなランクがありますが、これは主として航空運送の用に供する公共飛行場ということで、国なり地方公共団体が整備しているものであります。あとは、成田とか関空は特殊法人がやっているというものでありますけれども、この国、地方公共団体が整備管理する空港においても旅客ターミナル事業とか駐車場事業等について、国有財産法に基づく使用の許可、あるいは構内営業の承認というものを行いまして民間事業者にやっていただいている部分がございます。空港は限られた土地でありますので、何でもかんでもというわけにはいきませんが、民間活用できるものは十分活用しておるという状況にございます。
 その後に関連条文が2つ付いておりますが、2ページ飛ばしていただいてポンチ絵が付いておりますけれども、「空港における民間事業の概要」ということで、例えば一番大事な鉄道で言えば駅に当たりますターミナルにつきましては、空港ごとに民間のビル会社ができておりまして、これがやっておる。その中のテナントなどには飲食業とか物販業の事業者が入っておるというような状況で進めてございます。以上でございます。

○井手政策課長 では、港湾局お願いします。

○大村官房技術参事官 港湾局の大村でございます。よろしくお願いします。
 資料の4−1でございますけれども、まず施設を管理することのできる者に関する規定につきましては、公共施設である港湾施設の管理については港湾管理者、これは港務局または地方公共団体ということで港湾法で規定されておりますけれども、ほとんどの場合は地方公共団体が管理を行っております。
 ただ、実際に港湾施設というのは港湾区域内において民間の企業の方が生産活動を行っておりますので、原材料の搬入あるいは製品の出荷、そういうことに関わります港湾施設について、個々の企業が自ら施設の保有管理をするということは多数存在をしているところでございます。
 それから、地方公共団体が設けます公の施設の管理につきましては、従来第三セクターにその委託を行っておりました。これは主としてヨットとかプレジャーボートを使用しますマリーナ、あるいは複数のフェリー会社等が利用しますヨットターミナル、そういったものについて第三セクターを設立をして、そこが管理を行っていたところでございます。 先ほど御説明がありましたように、地方自治法の一部改正によりまして指定管理者制度が導入されておりますので、それぞれの港湾管理者の港湾管理条例によりまして指定管理者にその委託をするということが可能になってございます。
 それから、PFI法に基づきます港湾施設の建設管理運営、これは資料は飛びますけれども4−5ページです。これが現在、全国で2件、PFIの事業が計画または稼動中でございます。1つは常陸那珂港のコンテナターミナルにつきましてPFI事業者がガントリークレーン等の公共荷さばき施設等の整備、それからターミナル施設全体の一体的管理運営を行うということで既に始まっております。
 その次の4−6ページは現在計画中でございますけれども、北九州港のひびきコンテナターミナルです。ここにつきましては中ほどにございますけれども、PSAというシンガポールの民間の港湾の企業でございますが、こちらの方を中核者とする企業と契約を締結をしているところでございます。平成16年からは供用開始予定をされております。
 恐縮でございますけれども、元に戻っていただきまして、資料4−1の2の2でございます。これは構造改革特別区域法によります行政財産の貸付けというのを現在始めるべく作業を行っているところでございます。
 これは、また恐縮でございますが、資料の4−8でございます。従来、現状は左側にございますように、港湾管理者が行政財産の使用許可を個々の民間事業者に行っていたわけでございます。それで、中段の括弧の中にありますように使用許可についても、背後のヤードについては1年でありますとか、岸壁については12時間単位でありますとか、港湾管理者がそういった形での使用許可をしていたわけでございますけれども、企業活動をもう少し柔軟に行うために、右側にありますように一体的に港湾管理者が民間企業に貸し付けるということで、期間につきましても長期30年の貸付けを行う。そのことによりまして、民間企業は料金設定等、非常に柔軟に対応できるということでございます。これにつきましては現在、岡山県の水島港、それから博多港、沖縄の那覇港で申請中、あるいは申請予定でございます。
 また資料4−1に戻っていただきます。「公共施設の占用・使用に関する規定」でございますけれども、これは港湾管理者が定める条例、港湾施設管理条例に基づいて制限なく占用・使用許可を与えている。
 それから「民間開放の取組み状況」につきましては、港湾施設というのは民間の事業者が広く活動をされるための社会資本でありますので、実態上も船首、あるいは航運事業者等の民間事業者が許可を得て企業活動をなさっておるということでございます。以上です。

○井手政策課長 それでは、都市計画と下水道を続けてお願いします。

○増田官房審議官 都市地域整備局審議官の増田でございます。私からは、都市公園と下水道につきまして御説明をさせていただきます。
 同じ資料の5というところをお開きいただきたいと思います。まず都市公園についてでありますけれども、「管理に関する事務の民間開放」のところですが、都市公園の管理は国または公共団体が行うということで、都市公園法上の都市公園の管理はそういう限定がされております。ただ、御案内のように都市公園法の都市公園というのはまさに国または公共団体が管理している公園のことでございまして、民間の管理する類似の施設はたくさんございます。いわゆるテーマパークということで、ディズニーランドでもありますし、あるいはさまざまな同様の類似の機能を持った施設を民間がおやりになることは全く参入障壁はございません。
 それから、都市計画という観点でも、既に都市計画決定された公園も民間事業者が都市計画事業として行っている例も幾つかございます。東京の例でいいますと、東京ドームのある後楽園公園ですが、これは都市計画公園の中に東京ドームができております。それから芝公園、これは例の打ちっ放しのあるところでありますけれども、あそこも都市計画決定されている公園でありますが、民間がされているということでございまして、そういった意味のいわゆる都市公園的なものを民間がおつくりになることは全く自由でございます。
 では、次に都市公園法の都市公園管理の民間開放はどうなっているかということでございます。1つは先ほど八代先生からもお話がありましたが、自治法の改正がございまして指定管理者制度というのがこの9月から施行されております。そういったものを考えれば、もっともっと包括的な管理委託ができると思っておりますが、現状でもかなり公益法人等々に包括的な管理委託が行われております。
 それからもう一つ大事なことは、この公園の中に公園施設というものがございます。公園施設につきましては、現在の法規定上は公園管理者が自ら設置管理することが不適当または困難な場合に限りまして許可をして行わせるということでやらせております。ただ、限定的に書いておりますが、これまで全国で約1万5,000件、民間といいますか、公園施設として許可した事例がございます。卑近な例では日比谷公園の松本楼等々、かなり多くの者が公園施設として公園管理者以外の者が設置管理を行っております。現状はそんな状況でございます。
 それから、(ローマ数字)2の占使用の問題でございます。今、申し上げましたように公園の中の施設につきましては公園施設としての許可制度を持っておりまして、これも類似の制度を改善しておりましてかなり広範囲に公園施設として読めるようになっておりますので、基本的には私どもとしては公園施設としてこの都市公園法の5条を受けた施設としてやっていただきたいということでございまして、公園施設以外の工作物の占使用許可につきましては、現状はかなり限定的な運用をさせていただいております。
 例えば、線的な施設ですね。下水管でありますとか、水道管でありますとか、ガス管でありますとか、そういった公共公益施設が地下に埋設されているものであるとか、あるいは公園の維持増進のために必要な施設でありますとか、場合によっては仮設の使用、一時使用みたいなものは許可しておりますが、かなり厳しい運用をさせていただいております。これが現状でございます。
 ただ、1ページめくっていただきまして、許可を受ける主体には全く制限はございませんので、これは必要があれば民間でも対象になるということでございます。
 ただ、現状はそうでございますけれども、先ほどお話がありましたように、地下空間をもっと効率的に使おうと、非常に都市内の貴重なオープンスペースということで、先ほど御紹介がありました立体公園制度というものにつきまして、次期通常国会に都市公園法の改正を予定しております。
 合わせまして、先ほど公園施設はかなり広めにやっているというお話をさせていただきましたけれども、法律上はかなり限定が付いています。自ら設置管理することは不適当または困難となっていますので、このところの改正を今、検討しておりまして、もっと広く積極的に当該都市公園の機能の増進に資する施設を認めていこうということで、できるだけそういった形の開放をしていきたいということで考えております。公園関係は以上でございます。
 続きまして、下水道でございます。何枚かめくっていただきまして「6.下水道」の関係でございます。私どものいわゆる法律で所管しております下水道法の下水道は、汚水の処理ということとともに雨水の排水ですね。都市内雨水の排水というのは非常に大きな機能でありまして、雨水、汚水排水という両機能を持っているわけでございますけれども、ここで言う民間開放としては汚水の処理ということに限定してお話をさせていただきたいと思います。
 実は、汚水処理そのものの業態は民間が自由にできます。これは浄化槽法という法律がございますけれども、それに基づいて例えば合併浄化槽みたいなものもおやりになっていますし、あるエリアではコミュニティプラントということで一定のエリアで民間事業者が行っている例も全国的に少なからずございます。
 ここで問題になるのは、いわゆる下水道法に規定する下水道です。これは3種類ありまして、流域下水道と公共下水道と都市下水道とあるわけですが、主に汚水排水を民間開放という観点から議論されていくとすれば公共下水道というふうに思っております。そういった意味で公共下水道について主としてお話をさせていただきますが、これにつきましても実はここ数年来、いろいろ御指導をいただきまして、ここに掲げましたように平成14年の12月12日には総合規制改革会議から第2次答申でも御答申をいただいておりますし、その後、本年になりまして3月28日に規制改革推進3か年計画ということで、既に取扱いの基本的な枠組みにつきましては閣議において決定をいただいております。
 内容はその四角の中でございまして、簡単に申し上げますと、いわゆる下水道法の下で公権力の行使、先ほど言いましたコミュニティプラントでありますとか、さまざまな浄化槽法を適用する汚水処理事業があるわけですが、それではない下水道事業につきましては、例えばその排水区域内につきましては利用の義務づけがなされるでありますとか、あるいはその水域に特定の工場、事業所等が汚水排水をする場合に事前処理を義務づけられている等々、公権力の行使があるわけでございますけれども、そこのところはまさに公権力そのものでありますので民間開放というわけにはいきませんが、それを除きました実務的な事実管理につきましては既にほとんど民間委託がなされております。公共下水道の、例えば下水処理場の維持管理の件数、案件がありますけれども、ほぼ9割が既に民間に委託されておりまして、民間の業態でも既に下水道管理業という業界もできておりまして、下水道管理そのものが今、民間の大きなお仕事になってきております。
 ただ、これにつきましても、どうしてもやはり本来管理者が発注をする。発注を受けてやるということになっていますので、できるだけそこも包括的な民間委託ができないかということで、今まではかなり細かい仕様を決めて個別の発注を積み重ねていたのですが、これを今、性能発注という形でできるだけ民間の下水道管理事業者に包括的な管理委託ができないかということで検討を進めておりまして、できるだけ早くそれにつきましても実行をしていきたいということでございまして、いわゆる事実管理そのものは9割ほど民間に委託がなされているということでございます。
 次は占使用の問題でありますが、大きく2つございます。1つはいわゆるパイプ、下水道管渠の問題でございます。これもここ数年来、盛んにいろいろ御議論をいただきました。平成13年ごろにはIT戦略会議、IT戦略本部でも下水道管渠に光ファイバーを敷設するというようなことがございまして、事実私どもも管理用の敷設ファイバーをどんどん今、敷設をしておりまして、それにつきまして後ろの方に簡単に資料を付けておりますけれども、既にIT戦略本部でお示しいただきました方針に基づきましてガイドラインというものができておりまして、着実に現在、下水道管渠への光ファイバーの敷設を行っております。
 ただ、現状を申し上げますと、現在、下水道管理延長が全国で34万5,000キロございます。うち光ファイバーの敷設がもう既に済んでいるところがたった1,192キロということでございまして、ファイバー・ツー・ザ・ホームということもありますので、できるだけ推進してまいりたいということで考えております。
 それからもう一点、占使用の関係で出てまいりますのは先ほど八代委員からもお話がありましたが、処理場の上部空間でございます。簡単に申し上げますと、処理場の上部空間そのものを下水道法で規制しているということは具体の規制はございません。ですから、簡単に申し上げますと、下水道の管理者は公共下水道の場合には公共団体でございますから、公共団体が管理しているいわゆる行政財産ですね。公共財産の占使用を公平・公正の観点からどのような形で民間の方々にお使いいただくのかという一般の原則をきちんとやってお使いいただければいいというふうに私ども思っております。
 もちろん前提は、本来管理に支障があってはいけませんから、本来管理にもちろん支障がない場合という限定でありますけれども、それはいわゆる行政財産の一般則を御活用していただければいいのかなと思います。
 ただ、事実、現状もかなりございまして、東京都の例でございますけれども、これはポンプ場ができた後で上部空間を占使用させたということではなくて、既にポンプ場をつくる段階から民間事業者を想定して、いわゆる合築の形ですね。当然、合築ということになれば下水道の建設コストが削減されるわけですから、そんな形でやった例も幾つか報告をされておりますので、そんな状況になっております。
 ただ、問題は補助金適化法の問題が最終的に残ってまいります。私ども公共下水道の処理場の建設については補助金を出しておりますので、補助金を受けた施設を目的外に使用した場合に、都が補助金についてどういう処理をするかということにつきまして、これは財政当局等も含めた議論をきちんしておきませんと、そこの問題はまだまだ不透明な部分がありますけれども、実態上はそんな形で、現状も有効に利活用している例もございますし、案件があれば、これも一律に基準をつくってというわけにはなかなかまいりませんので、具体のお話があれば前向きに私どもも公共団体から相談があれば乗っていきたいというふうに思っております。以上でございます。

○八代委員 冒頭に井手政策課長からこちらの資料について、PFI事業について現行でもできるのではないか、この認識は間違っているということでした。これは単なる確認でございますが、今、井手課長がおっしゃったことはPFIの7条の2項の各業法と調整規定がなくてもPFI事業の規定だけで国交省の所管する道路や下水道その他、いろいろな施設については無条件に民間参入ができるという趣旨だということで理解してよろしいわけですね。

○井手政策課長 7条の2項に書いてあるとおりだと思っております。

○八代委員 わかりました。ありがとうございました。

○宮内主査 ありがとうございました。大変広範囲にわたります御説明を規定の時間に終えていただきましてありがとうございました。
 それでは、これから意見交換を始めさせていただきたいと思いますが、私どもの方では八代さんが御担当ということもありますので口火を切っていただければと思います。

○八代委員 では、まず道路についてでありますけれども、御説明があったように道路の建設とか修理を国自らがやっているなどというのはめったにないわけで、それは昔から民間会社に委託されていると思うんですけれども、問題はもう少し発注段階から民間の知恵を活用するということも必要なのではないかということを申し上げているわけです。
 結局、民間の知恵を活用すれば先ほど下水道の方でお話があったように、本来の道路の機能を損なわない範囲でもっと付加的な利用ができるんじゃないか。先ほどまさに下水道で言われていたように、合築することによって下水道の建設費用自体を節約することができる。それは今、立体道路とか、ごく特殊な例でやられているわけで、それをもっと一般的に活用できないのかという視点について必ずしもお答えがなかったと思いますが、いかがでしょうか。

○榊道路局次長 もう一つ御質問の趣旨がよくわからないんですが。

○八代委員 具体的に言いますと、立体道路制度をせっかくつくっていただいたわけですが、それをなぜ新築の自動車専用道路だけに限らなければいけないかという質問です。

○榊道路局次長 1つは、変な話かもしれませんけれども、道路というのまさに見上げると空があるということが大前提でございますし、道路があるからこそ家が建てられるということは……。

○八代委員 それは、車や人が通れるから家が建てられるわけで、見上げると空があるということがそんなに大事なことだろうかということです。

○榊道路局次長 そういうことが前提で、土地利用というものが決まっている。要するに、既存の道路というのは上に建物がつくられないということが前提につくられているはずなんです。

○八代委員 その発想をなぜ変えられないかということを聞いているわけです。

○榊道路局次長 土地利用の秩序というのはちょっと違うんじゃないかという気がしているんですけれども。

○八代委員 具体的に道路の上には空を見上げなければいけないということはなぜ必要かということです。

○榊道路局次長 どこでも道路にふたをしていいんだということにはならないのではないか。道路があるからこそ斜線制限とか、そういう話があるわけですね。そこをふたをしてしまったら、では消防車はどこから入るのという話もありますね。

○八代委員 それは消防車の出口をきちんとつくっておけばいいわけであって。

○森委員 高速道路を道路の上につくっているではないですか。

○榊道路局次長 もちろん、それは道路の上に道路をつくっているだけの話ですから。

○森委員 道路の下にはいろいろなインフラが入っているし、あるいは河川を含めて道路の上にだっていろいろな施設ができているので、何も立体的に使わないことが前提だなどというのはおかしいので、むしろ立体的に使うことが前提なのではないですか。

○榊道路局次長 既設の道路というのは、例えばそこにある道路をトンネル状にしてもいいよということを前提に考えるわけにはいかないと申し上げているんです。この道路があるからこそ、この建物が建っているということでしょう。

○森委員 それは建築側の問題であって道路側の問題ではないでしょう。道路は道路の機能を充足すればいいのであって、建築は建築側の要請があるからこそ道路の上を使いたいということになるわけですね。ですから、どちらが優先するかというより、双方の利害が合うように、つまり空間はその目的に合うように使えばいいのであって、道路があるからそのほかに使ってはいけないとか、飛行機が飛ぶから建物を建ててはいけないとか、それはどちらが優先するかではなくて総合的に考えていかなければいけないということです。

○榊道路局次長 まさに総合的に考えて、この前の道路にふたをしてもいいと思いますか。

○森委員 いいと思います。

○榊道路局次長 どうやってふたをしたら家が建つんですか。

○森委員 新しい工法は幾らでもありますよね。線路の上でも建てられるのですから、道路の上にも建てられると思います。

○榊道路局次長 とても道路管理で道路を離れて考えて社会的に見ても、そんなことはおかしいと私は思いますけれども。

○森委員 私はおかしいとは思いませんけれども。

○榊道路局次長 私はおかしいと思います。

○林部路政課長 道路のサイドから立体道路制度をつくったのは、釈迦に説法かもしれませんけれども、当時の地価の高騰とかがあって、用地取得難とかがあって、全面買収して道路をつくることができないという事情があって立体的に区域を設定して、それで地権者の土地利用は確保したままに道路をつくれるように、幹線道路の整備の必要性のためにつくった制度なんです。そのときに、合理的な土地利用ということで制限を図る観点で建築基準法とか都市計画とセットでそういう仕組みをつくりました。
 これは次長がつくられた制度なんですけれども、既存道路ということになると現に地下から地上まで道路空間であって道路管理権が及ぶものに、あえて事後的にわざわざ立体的に道路区域を限定してしまうということに合理性があるのかという問題が大きくあると思うんです。残った部分をどうやって処分できるのかという問題もあるかと思うんですけれども。
 一方、基本的には住宅行政とか都市計画行政で道路内建築制限を緩和すべきという場合には、道路でも対応できるようにそういうものについては議論になっていますけれども、占用許可で対応できるという仕組みにもなっているわけです。だから、道路と建築物の一体的利用というのは立体道路制度とそういう占用制度と両方あるわけなんですけれども、いわゆる狭義の立体道路制度を既設の道路にということは、そもそも制度をつくった趣旨からすると難しい問題があるなと思っています。これは今、関係部局の中でいろいろと見直しを検討しているところでございます。

○森委員 道路そのものも立体的につくっていらっしゃるわけで、例えば交差点なども既存の街路が混んでくれば立体化をなさる。そうすると、周辺の道路を前提として建っている家なども影響を受ける。したがって、周辺と一緒に考えていかなければならないということになるわけですね。道路の拡幅で変えられればいいのでしょうけれども、そうもいかない場合もあるでしょうし、何も道路だから立体にしないのが前提だなどということはないのではないですか。

○八代委員 追加的に言うと、おっしゃったように立体道路の趣旨は別に道路空間の効率的利用ということではなくて、土地収用を円滑にするために考えられたということはよくわかっております。

○林部路政課長 道路のサイドからすればですね。

○八代委員 それは、道路は道路のためだけにあるという考え方から出ているわけで、我々はもう少しその趣旨を活用して既存の空間利用をできないか。車というのはまだ空を飛べないわけですから、別に道路の上に人工基盤を使っても道路の交通には何ら支障がないのではないかということです。おっしゃった消防車の問題とか、そういうものは別途、緊急的に上がる口を幾つか付けておけばいいわけで、そういうような技術的なことで対応できるのではないですか。 大事なのは、バブル期の話をされましたが、今はまさにそれと同じ状況であって、財政が非常に厳しくて新たに公共工事ができないというときに、従来のように財政資金がふんだんにあったときと同じような考え方でやっていいのかということです。

○林部路政課長 既存道路でもう道路はできているわけですから、道路をつくることに関しては何のメリットもないわけですね。

○八代委員 ただ、道路の補修とか新たに別のところに道路をつくるための一つの財源として、例えば公共財産をきちんと活用するような知恵というのは意味がないと思われますか。

○林部路政課長 それは仕組み方で、行政サイドとしては一般財源になるだけですから仕組み方の問題ではあろうかと思いますけれども。

○八代委員 仮に特定財源のような制度になったらどうなりますか。

○林部路政課長 今いろいろ検討はしているんだけれども、道路空間というのは御存じのように貴重なオープンスペースでして、それを前提に土地利用秩序が成り立っているわけですから。

○八代委員 何も高層ビルを建てるのではなくて、人工基盤の上に公園でもいいし、低層の住宅や商業施設をつくればいいということですが。

○林部路政課長 少なくともいわゆる立体道路制度ということに限定しなくても、占用制度ということの対応もあるわけですから、そこはいろいろと幅広く考えていく必要があるのではないかと思います。

○森委員 このごろ、特にアメリカなども、道路の上に公園をつくったり、立体的に美術館をつくったり、かなりそういう意味で道路を今までの用途に限定せず、道路の上下の空間、あるいは両側の空間、その他の空間も市街地の一部として一番有効に活用するという方向に進んでいると思うのです。それ対して日本では、特に街路の場合などはジオフロントに高速道路も入れなければならないというようなことになってきて、そのときにジオフロントに入れるのと、建物の中に渡すのとどちらがいいかとか、いろいろ議論している時代になっているわけなので、道路があるので他で考えてくれという考え方では成り立っていかないと思うのです。

○林部路政課長 規制改革計画の中でも決まっていることなので、今、関係部局といろいろと検討させていただいているところでございます。

○稲葉専門委員 先ほど道路本来の機能というのは一般交通の用に供するものという説明をされていたわけなんだけれども、当然今の御説明にもあったようにオープンスペースとしての機能も十分にあるわけですね。これはちょっと分けて考える必要があると思います。私たちはオープンスペースを皆つぶしてしまえと言っているわけではなくて、そこのところはその街々が一番住みよいような形で設計していけばいいわけなので、もう既に道路としてあるものだから、これは既得権なので一切いじってはいけないという議論はちょっと乱暴なんじゃないですか。

○榊道路局次長 既得権と思っているわけではなくて、むしろ例えば都市計画とか、そういうところでの位置付けがきちんとされてくるとか、土地利用の秩序が混乱しないとか、そういう条件整備というものがいろいろあるんだろうと思うんです。
 それで、実はこの立体道路制度というのは私が補佐のときに一生懸命条文を書いてつくった制度ではあるんです。そのときにも、改正するとしたら次はどういう開放をしなきゃいかぬのかなということも考えているんです。例えば、立体道路制度で建物ができますよね。それで10年たてば、あんな建物ができているのに何でここではこんなことができないんだろうと言われるに違いないということは我々も百も承知をしてこの制度はつくっているわけです。
 そのときに思ったのは、今の道路というのは例えば所有権なども含めまして、この道路を前提にいろいろな建物が建って、採光だとか、オープンスペースとか、そういうものも含めて町ができ上がっているのではないか。そこをわざわざつぶすというのには何らかのインパクトというか、説明とか、市民に対する説得性とか、そういうものが要るだろう。だから、単純にはできないというふうに私どもは思っていまして、それがどういうものなのかということを今、勉強しているということだと思うんです。

○稲葉専門委員 それはすぐにはできないとおっしゃったけれども、そういう計画を立てる方が公共主体であろうと民間であろうと、住まれている方に、あるいは利用されている方にとって一番いい設計をしていけばいいので、その際に道路だからこの上は使わせないとか、下は使わせないとか、そういう理屈が出てくる必要はないんじゃないかということです。

○林部路政課長 そこはおっしゃるとおりですから、占用制度について御説明させていただきましたように、本来的機能に支障がない、あるいは道路構造に影響がないとか、交通の危険がないという範囲で民間にも大いに開放してきているということでございます。これは建築物も含めて、占用という形ですね。

○森委員 もう1点確認なのですが、平成15年3月28日の閣議決定で4−3に条文がありまして、最後に都市計画上の位置付けを明確にすること等により、道路空間と建築物の立体的な利用を図ることについて検討するとなっていますね。これはどうなっているのかということを今、聞いているわけですので、御返事が少しずれているように思います。

○高井市街地建築課長 これにつきましては今、関係道路サイドと私ども建築サイドと一緒になって全国の公共団体にアンケートを取りまして、どんなニーズがあるのかといったことについて調査をさせていただいております。

○森委員 もっと積極的に進めていただかないと、都市計画は進展しないということがありますので、よろしくお願いしたいと思います。

○宮内主査 あとは御質問、御意見はいかがですか。

○稲葉専門委員 道路だけではなくて河川の方もそうなんですけれども、占使用許可で民間に積極的に使わせている、こういういい事例があるというお話はいっぱいあるんですが、これをめぐって2つあるように感じられるんです。
 1つは占使用をさせる基準が明確になっているのかどうか。つまり、個別の申請を受けて、それについて許可しますというような形でやっておられるのが一般じゃないかと思うんですけれども、見ていると、特に河川などは随分いろいろな形で占使用されているわけですね。代表的なものはゴルフ場ですけれども、それを悪いと言っているんじゃないんです。そういう利用ができるんだったら、いろいろな形でもっと高度に利用ができるはずです。
 特に遊水地みたいなところがたくさん河川にはあるわけですから、河川管理の本来の機能を妨げないような形で利用できるところはたくさんある。
 だけど、それをある人たちにはいろいろな形で利用させているけれども、他の人たちには利用させていない。利用させていないのかどうかはわかりませんけれども、利用できるかどうかがわからない。この辺は一般的に空港でも何でも皆そうなので、民間の人がいっぱい入っていますよと言うけれども、本当に公正な基準で競争的に利用されているのかどうか。そこのところが不透明だと、一方で高度利用を妨げると同時に、一方で既得権みたいな形になり公共施設の上に建っている店では高い値段のものを食べさせられるということになってしまいます。その辺がどうなっているのかという問題は道路、河川あるいは空港、公園、皆、非常に関係があるんです。例えばさっき松本楼という話があったけれども、あれは何年くらいの契約でやっていらっしゃるのか、後でまたお答えいただきたいと思います。

○福本水政課長 ゴルフ場についてお答えいたします。

○稲葉専門委員 ゴルフ場についてではなくて、こういうふうに使わせますよという基準があるのかどうかです。

○福本水政課長 基準は、先ほどの資料の事務次官通達に基づいて一元的に行っております。ただ、過去ゴルフ場については認めたこともございますが、結局その利用が特定の人に限られるということもございますので、現時点では新規は今は認めていない運用にしております。したがって、準則にも入っておりません。

○八代委員 なぜ昔は認めて今はだめなんですか。昔は公共的に使う場所である河川を特定の業者に使わせたわけで、なぜその基準が変わったのですか。

○福本水政課長 昭和39年に現在の河川法ができていますが、旧河川法のまだこういう準則がなかった時代に個別に認めた例がございまして、その認めている例が一部残存しているという状況です。

○中島河川局次長 今の御質問で私の知識の及ぶ範囲で総括的にお答えしますと、基準は資料2−4に示されているとおりで、主体の規制が第6で、物の規制が第7なんです。それで、原則民間はだめだ、公共的主体にしか占用させないと、これは河川法が多分一番きついと思いますけれども、そういう世界になっています。
 したがって、私があたかもいろいろなことをやられているような説明をしたとしたら大変失礼だったかもしれませんが、大阪と広島で初めてで、まだやっていないんです。これからやりますという話をしただけで、あれも間に公共団体をかませていまして2段付きになっているんですけれども、初めておそるおそるやっているという状態でございます。
 それと、既得権的な印象が、ゴルフ場はそういうことなんですが、河川法よりも河川の方が歴史が長いものですから、典型的に既得権的に不公平な例でいうと、例えば京都に行きますと貴船川という川がありまして、貴船川では納涼床とか言って川の中に店を出してお酒を飲んでいるんです。あんなものはどうして河川法でできるのかという話をすると、ほとんどよくわからないんですが、鴨川などでも川に向いて屋台を出して料亭さんがやられますね。あとは、簗(やな)などというものがあちこちにありますけれども、要するに我々よりも向こう様の方が歴史が古いというだけの理由でやっているものがたくさん実はあります。
 農業の取水だって、要するに農業の歴史の方が河川法より古いんだということになっています。そういう意味では若干不公平感があるかもしれませんが、それはそちら様に言わせると、あんたは後からきたじゃないかという世界になっているんだと思います。それをどうやって近代的に解釈するかということが課題だと思っております。

○稲葉専門委員 貴船川でも鴨川でも、むしろ好感を持って国民の皆さんには認められているわけです。そういう利用がされているんだから、ほかでもそういう基準をつくってどんどん利用させたらいいんじゃなかろうかというようなお話です。
 それからもう一つついでにお伺いしますけれども、先ほど洪水があった場合のリスクがあるのでと、それは事業者がそのリスクを負担すれば別に規制する必要はないんじゃないかと思いますが。

○中島河川局次長 事業者が水が付くという問題ではなくて、その流域に被害が及ぶということです。例えば、この前も北海道で雨が降りまして上流から物が流れてくるんです。それで、それが橋にかかりまして瞬間的にダムができるんですね。そこから水がどんどんあふれてしまった。だから、河川敷にいろいろなものが置いてありますけれども、野球のグラウンドのネットは雨が降ったら畳めということを言っていまして、日本の川はさっきも言いましたけれども、普段は本当に広々としているように見えるものですから、ちょっとぐらいいいじゃないかという話になるんですけれども、雨が降るとあれがぴたぴたになりますので、事業者のリスクではなくて流域のリスクですから、それは事業者は負えないと思います。
 それと、これしかないのでこればかり言っていますけれども、貴船川やまさに鴨川でやっているようなことを一定の条件をクリアしてやろうということで大阪と広島でやり始めたということで、まだまだかもしれませんが、まだ始まっていない。これからまさにやることなので、もう少し暖かく見守っていただければありがたいと思っています。

○鈴木官房審議官 空港のターミナルビルでありますけれども、あれは国なり公共団体の方でお金が回らないもので、実際に民間のビル会社が自分で整備をして管理をしている。それで、国は例えばその使用許可をして土地の使用料を取っているという状況であります。 羽田のビルなどは結構食べ物などが高いじゃないかみたいな御批判も一部週刊誌などでいただいていますが、これもかなり店によって幅がありまして、ビルに入っているテナントのグレードもいろいろありまして高いところと安いところとあるんですが、御批判もいただいていますので、例えばビル会社が直接出している店などでは値下げをしたり、いろいろ努力はしております。
 それから、国が貸し付けている使用料が安いんじゃないかというような御質問をいただいております。これについては、財務省の通達で相続税評価額の3.05%とか基準が一応あるんですが、それに加えてこういう収益にもなるような部分についてはもう少し何か工夫できないのかというような検討を今しております。

○森委員 河川局も前向きにいろいろと有効利活用についてのスタンスをお持ちのようで大変結構だと思うのですが、大分テクノロジーや技術も進歩して信頼度が上っているので、同じ鴨川のものでも鉄骨か何かでつくり直して流れる心配はないというレベルであればどんどん許可しますよと。つまり、何もつくらせないのが原則で例外だけ認めるというのではなくて、安全基準さえ満たせばどんどん使ってもいいですよという方向がいいと思います。
 例えば、海外などでもいろいろあると思います。シカゴなどは河川から建物の中に引き込んでモーターボートなどの格納庫があって、そこから順次出してやれるようになっていますけれども、ああいうことを日本で許したということを聞いたことはないですが、そういった海外でどんどんやっているような事例は日本でもできるようにお願いして、楽しく町でエンジョイできるようにしていただきたいとものだと、そんなふうに思っています。

○福本水政課長 資料2−4で船舶の上下架施設は既に認めておりまして、ボートを楽しまれて、それを自宅まで持って帰る場合の上下架施設については占用を前回の平成11年の改正で認めております。

○森委員 私が申し上げているのは、河川からそのまま引き込んで、例えば大きな建物の中の駐停場に持ち上げて格納するといったようなことをしないと、河川のところから持ち上げて持って入るというのではいろいろな支障があるし、また景観上も良くないというようなこともありますので、そういったことを弾力的に考えていただけないかということです。

○福本政課長 別途工事の手続を取っていただければ、それは認める余地はあると思います。先ほど申し上げた治水上の問題がなければですね。
 全般として限定列挙に書いてございますが、運用的に認められるものは治水上の問題がなければ原則として認めていくということですから、御趣旨は体現しているつもりでございます。

○中島河川局次長 河川行政も治水、利水と並んで皆、川が好きですから、川を愛してもらうといいますか、そういう状態をつくることは非常に大事なことだと思っています。それと、治水とか利水が矛盾するときというのはある程度技術的設計の問題でクリアできることもありますし、そういう方向でと思っていますが、ただ、未経験なものですから何が起こるかわからない。ちょっとおっかなびっくりですが、いろいろな部隊がいることはいますし、せっかくやるものですからいろいろな経験を踏まえて次の課題を見つけてクリアしていきたいと思っております。

○高梨公園緑地課長 稲葉先生の方から御質問がございました松本楼のような公園施設の設置の期間に関わる点でございます。これは都市公園法上、10年を超えない範囲ということで定めているところでございます。御承知のように、今年日比谷公園が100周年ということでございます。都市公園法ができましたのは昭和31年でございますが、松本楼はそれ以前からある施設でございますので、具体的な運用については東京都の方が適切にやっているというふうに理解しているところでございます。

○福井専門委員 河川についてなんですけれども、先ほど来のやりとりにも少し関わります。現在の河川はやはり既得権益的なもので、今ならば河川管理上、危ないから認めないはず、という部分が現実にかなりあるわけですね。もちろんおっしゃったように、河川管理より前からあったということはなかなか政治的には難しい事情だということはよくわかるのですが、川にとって危ないかどうか、あるいは河川管理上支障がないかという観点で見れば、前からあってもこれからできても危なさに変わりはないわけです。そうすると、そういったものが危ないかもしれないにもかかわらずそこに存続しているということは、国民にとって余り好ましいことではないかもしれない。
 なぜそれがうまく整理できないかというと、私自身が現場で河川管理をやっていた感覚も踏まえて申し上げると、やはり格安だからというのが非常に大きいわけです。ほとんどただ同然の占用料金に近いわけですから、一旦その権利を取得したらほかに移転する、または、引き払うなどという動機は全くなくて、いわばしがみ付いてでもそこで営業するというレストランやゴルフ場は多いわけですね。
 危ないのだったらその占用者には出ていってもらわないといけないけれども、出ていってもらうときの一つのインセンティブはやはり利用料だと思います。先般の土地・住宅ワーキングでこの辺りの議論は大分あったので今日は余り繰り返しませんけれども、一種の価格機構をうまく使うことで、危なくないという前提であれば、本当に必要度が高い、満足度の高い人が、河川空間なりを占用できる可能性が高まるわけですから、うまく占用料の在り方を見直すことで、もっとにぎわいの創出や、あるいは既得権化して必ずしも安全ではないものについての一種の新陳代謝措置もとり得る可能性が高まる、という議論が前回もかなり延々とあったのです。そういう方向での見直しも是非検討項目に入れていただけると意味があると思います。
 現在の占用許可準則は、基本的には非常に河川の利用ニーズが高いわけですが、高いからいろいろ縛るといいますか、制約するために、例えば公的主体に限定するとか、あるいは公共目的に限定するという、一種の割当ての手段として公共性という旗印を使っている側面があるわけです。これも一種の料金なり価格機構と関わるわけですけれども、要するに河川の安全性ということからすると、使うのが民間でも公共でも危なさに変わりはない。そうすると、安全性が絶対確保できているという前提であれば、それをだれが使うのかというときに公共性が前面に出てくるというのは、本当は河川管理の原理原則から言うとちょっとずれているわけです。ここもまさに価格なり占用料と関係するわけで、うんと安いから超過需要がある。超過需要があるからさばかないといけないということで、割当手段として公共性とか公共主体ということが出てこざるを得ないわけですね。
 そうだとしたら、危なさという観点から見たことをコントロールさえしていれば、あとは透明度が高くて客観的で不公平だという批判を招かないような、しかるべき基準で占用させるのであれば、やはり民間がもっと入って、創意工夫をして自由に使える、という方向は望ましいわけです。そういう意味での占用許可の基準と、その基準がなぜあるのかというところで恐らく対価と結び付いているという点も視野に入れて御検討いただければと思います。

○中島河川局次長 私も今、初めてお話を聞いたのであれかもしれませんが、いろいろ議論をしていますけれども、貴重な財といいますか、空間を需要に対して割り振る手段として何か必要だと。抽選とか何かが必要だ。それは価格を使うというのも一つの方法だ。それをしないで公共的主体に限っているというふうに、物事を市場機構擬似的に見ると見えるかもしれないけれども、そういう解釈についてちょっと異論があります。
 つまり、それはしょせん使わせるべき空間にたくさんの人が来るので、だれを選ぶかという問題としてやっているのではなくて、合意形成というと変ですけれども、世の中の常識としてあそこはどういう状態であればいいかという合意形成の手段を公共団体にゆだねているのではないかというのが私の感じです。
 例えば、さっきの道頓堀川で言うと、ここはカフェテラスだよと決めれば、その後だれか高い人というのはあるかもしれません。そこは第三セクターの喫茶店しかだめで民間はだめだというのは余り合理性はないかもしれませんけれども、そもそもこの空いている空間を空けておくのか、ゴルフ場にするのか、公園にするのかという判断をどこでしているかというところが問題なのではないか。
 河川空間は広いですから、そこのところの判断としてここにこういうものが欲しいというところの合意形成を公共団体にゆだねている。だから、市が自分の市のここには公園をつくりたいと言えば信用しようと思うし、そういう意味で皆がいいと思っているというふうに判断する。それを某民間の方が、私はゴルフ場をつくりたいと言ってきてもそれは皆が納得しているとは思わないということだと思うので、完全に財を割り振る手段としてどうかというふうには一般的にはならないかもしれないと今は思います。
 ただ、福井さんが言われたように、ある程度積み重なった後であれば、例えば道頓堀川のさっき言ったカフェテリアのレベルになれば使えるのかもしれないと思います。

○福井専門委員 もちろんおっしゃるとおりで、何でも市場で割り当てるのが河川空間の利用の在り方として望ましいということを申し上げているわけではなくて、割当ての手段が公的主体なり、非常に限定された公共目的の列挙された中だけのいわば自治体の裁量なり、自治体の創意工夫では限界があるのではないでしょうか、という趣旨で申し上げているわけです。
 もちろん原則として公共性という錦の御旗は捨てられないと思うんですが、まさに道頓堀川等で実験されておられるのも、地域の住民なりが納得できる一種の公共性の一環としての民間活用ですね。そういう意味で既に第1歩、第2歩を踏み出されているわけですから、その延長線上で一種の割当ての問題ということも当然出てくるだろうし、割当ての問題が出てきたときの対価の問題も出てくるし、あるいは民間の創意工夫という意味ではコンペというようなやり方もあると思うんですが、どういうものだと市民の納得性が確保されて、だけど主体はひょっとしたら民間でよいのかもしれなくても、皆が納得するものがあるのかどうか。選択肢をできるだけ多く土俵に載せていただくと、よりよいものができるという趣旨です。

○福本水政課長 占用料が格安でないかという御指摘があったので、その事実関係だけですが、ちょっと御指摘がありましたので調べてみました。これは地方自治体の方で条例で定めておりまして、基本的には固定資産税評価額で定めております。ただ、河川の敷地ですので水に濡れるおそれがあるということで評価額は下がってきますので、実際に低いのは事実ですが、やり方としては他の土地と同じようなやり方で評価しております。

○森委員 先ほどの御回答で考えたのですけれども、その人が特別なことをしたために物が流れてしまうと、その人の損害だけではなくてほかに及ぶというお話がありましたね。それはそうなのですが、100年に1度とか1,000年に1度とかのことを考えていたらそれもこれも皆、流れてくるので、占用物件だけが被害を及ぼすことにはならないはずです。
 ですから、とにかく使えるときは使わせる。地震があったら仕方がないという部分もあるので、河川だけは絶対守るというものではないのではないかという気がします。
 河川が皆100年、1,000年の許可基準でできているならばいいのですけれども、そうではないし、また特別のゾーンが一般的な生活環境の改善に役に立つようになるとか、そういうケースの場合の利用基準と、それからやるべき管理基準みたいなものをお作りいただいてどんどん許可していただくというのがいい方向なのではないかと考えましたので、申し上げます。

○稲葉専門委員 非常に前向きに御努力されて、道頓堀とか広島の辺りもされていることはわかるんです。だから、全国でそういうようなことをこれからやっていこうとするときに、私は詳細に見ていませんけれども、許可基準みたいなものがポジリストみたいにつくってあると非常に現場での創意を妨げるわけです。
 かつ、この話ばかりではないんだけれども、ここでは非常に弾力的なことをおっしゃるんですが、実際に事務をやっておられる現場の方は非常に硬直的に基準を適用する。それから、公的主体に発案者といいますか、管理者をゆだねますと、その公的主体、つまり市町村レベルはまだまだそういうアイデアをいっぱい出して、非常に経済的にも効率で、かつ市民にも役立つようなものをつくっていこうという気分じゃなくて、これを建設省あるいはその出先に持っていったらまず断られる。そうすると、この範囲でしかできないというようなことになってしまうんです。
 そういう状況を打破するために、基準につきましてもまさにもう少し行為規制に近いような形に、あるいはトータルとしての管理上の問題点もあると思うんですけれども、明確にもう少しされていって、現場でいろいろアイデアが出やすいような形にしていっていただきたいということを非常に考えます。
 それからもう一つは、今の客観的な評価といいますか、そういうものをきちんとそれぞれでやっていただいて、その情報が住民の方々にオープンになっていくというプロセスを通じて、どういうふうに利用していったらいいかということが、これは河川ばかりではないんですけれども、そういう国民の合意というのが形成されてくるんじゃないかと思うんですが。

○中島河川局次長 最後におっしゃった、いろいろな経験を情報公開して、それから皆がということはおっしゃるとおりだと思います。
 それと、一般的に規制緩和について今おっしゃったようなネガリスト、あるいは現場の動きをとか、いろいろな課題があると思うんですけれども、これもまさにおっかなびっくりで半歩、1歩出たところなものですから、またこっちに来いこっちに来いと言われて引っ込んでしまってもいけませんので、合意形成の問題だと思いますけれども、やはり水害が実際に起こると非常に悲惨な状態でございますので、現に今年も何十人の方が死んでいるわけです。そういうことからすると、道頓堀川も国の予算でああいうデッキをつくっているわけですけれども、そんなことをする金があったらおれのところをこうしてくれという感情はわからないでもないという状況にあるわけでして、そう余りはしゃいでやることでもないのかなという空気もあるんです。
 おっしゃるように、その局面で言えばそれ自体を評価されると思うんです。だから、ほかとのバランスでまあいいじゃないかというか、コモンセンスというか、常識としてだんだん許容されていく。
 例えば昔、河川空間占用で、首都高が東京の川の上を走り回っている状態を今は非常に批判する人も多いわけです。しかし、そのときは河川管理者はうるさいことを言って、黙れ、ばかやろうと言ってやったところもあるわけです。だから、その時代時代の常識というか、それは間違うこともあるんですけれども、積み重ねていくしかないのかなと思います。

○森委員 結局、環境整備がされてきて河川が頑張らなくても流域の含水とか貯水とか、そういうことが進んできているので、このごろちっとも荒川が荒れないではないかと思います。焼け野原の時代とは違うのです。ですから、周辺状況を計算し直してみる必要があるのではないかというのが今ダム論争が盛んになっているゆえんだと思います。それが1つです。
 それから、都市内などの河川については、我々のような開発ですと事業上も有利だということもあるのですけれども、大きな雨水槽をつくって、その地域での雨水はできるだけためてしまう。そういうこともありますし、あるいは河川そのものを頑丈にするよりも流水地というか、遊水地みたいなものを積極的につくらせる。そういう都市づくりをするというような方法で積極的に水を楽しめるようにしていくとか、その辺も合わせて河川局だけの問題ではないと思いますけれども、都市計画的に考えていただくような方向が望ましいのではないかと思います。

○福井専門委員 今の洪水の件に関連してなんですけれども、確かに河川の区域内に何か工作物ができたり、あるいは土地の区画が変更すると危険性が高まるということは常にあるわけですね。結局、その場合の判断も一種の洪水のリスクと、リスクで発生する損害の期待値、それからもう一つはその占用なり別の用途外使用、目的外使用をすることでのメリットという、一種の費用便益分析だと思います。
 占用の場合には確かに公共性とか公共主体という概念は非常に便利な基準ですが、本当にそれでどれぐらい皆の満足度が高まったかというと、これは必ずしも反映されていない。本当はそこで適切な賃料を取ったら、例えば河川管理の特定財源になってもいいわけですから、そういうシステムだってあり得るし、そこで上がった賃料だけではなくて、多分にぎわい施設のようなものができると河川の堤防の外の民地だって価格が上がるかもしれない。そうすると、そういうのはヘドニック法で還元できるわけですから、どれぐらいその市場価値が上がったかがわかります。
 反面、リスクとしてどれぐらい洪水の損害の可能性なり、損害額の可能性が高まったかということがある。それはもちろん、BバイCが1を超えればやるべきだということには必ずしもならないとは思いますが、少なくともそういう認識を持った上で、例えばこういう施設にコンペならばコンペで選ばれて地元も納得した、民間も参入した施設にこういう許可を与えたら、周辺も含めてこれくらい回りが活性化するよということに対して、少しは洪水のリスクが高まるかもしれないけれども、かなり無視できる程度だというのであれば、優先順位の付け方は客観的にできると思います。
 その上で、市民にとってもそんな川の上に物をつくってどうするのだ、といった議論に対しては、一種の事実なり評価のできるだけ客観的なものをお示しした上で、あとは民主主義的に決断していただくというのが一番望ましいと思います。そういう道筋もあり得るということを申し添えておきます。

○中島河川局次長 時間もあれでしょうし、言いたいことはたくさんあるんですけれども、森委員がおっしゃった遊水地あるいはビルの下の貯水槽みたいなものを治水上、有効評価する、法的に位置付けるというのは先の国会で法律を出しまして、そういう手当てをしたところであります。お時間があれば、また御説明させていただきます。
 それから、河川全体の安全度が上がっていることは上がっていると思いますが、それは周辺の状況よりも治水投資の効果が圧倒的に多いと私は思います。東京でも昔、何人も人が死ぬような台風がきて、キャサリン台風などというのがきましたが、あれクラスの高潮はきているんです。何事もないように過ごしていますけれども、それは完全に治水投資の効果だと思います。
 ただ、それを超えるものがくれば何かあるというのは、それも話せば長いんですが、要するにいろいろなことを想定していろいろな手段を取って河川治水をやるということです。 それで、福井さんのおっしゃったのはトートロジーかもしれませんけれども、そんな合意がありますかということに尽きるんです。現場でそういう話になっていれば道頓堀川でも起こるし、なっていなければ起こらないということです。ただ、その場合に少なくとも市なり現場の公共団体の立場の人も、ある程度洪水はあるかもしれないけれども、これをやろうよというのはなかなか踏み切れないんじゃないかと私は思います。ただ、それを議論として排除するなということであればそうします。それは排除しようとしても、妨害しようとしてもできない問題ですけれども、もともと水害を起こさないためにつくった施設のところに何でわざわざ喫茶店をつくらなければいけないかという議論にはなかなか耐えないだろうと思うんです。ですから、設計の問題といいますか、水辺にそういう空間をつくることが非常に価値があるという評価を地域ということが前提だと思います。

○森委員 私が申し上げているのはどちらかというと立体利用の方で、河川の上に差し出してつくってもいいのではないかということです。そういう類のものも、さっきの道路の話と同じで、河川の上は原則何も作らせないということがあるように思いますけれども。

○中島河川局次長 それを森委員はいいとおっしゃる。ただ、それをいいと思わない人がたくさんいるというのも私の認識なんです。河原というのは子どもが泳いだりするところで、自然派というか、そういう方はたくさんいらして、さっき3,000と言いましたけれども、多摩川でも300の団体があり、多摩川の上に何か物をつくるなどということは恐らくだれも賛成しないんじゃないかと思います。
 だから、河川空間利用というのはもともと河川法以前の問題としての公共合意みたいな問題じゃないかと思います。ただ、それを河川管理者が河川管理者の名においてアプリオリに排除するなということであれば、それはそれで戒めますけれども、要は現場の合意がどうかということだと思います。

○鈴木副主査 主に広域河川や道路の活用をめぐって議論されたと思いますけれども、もう一つの議論があるのです。それは何かというと、それを活用させる人、管理者ですね。その人はだれかいいのかという問題で、これは私は去年、約66、国税から始まって国などの事務事業について民間移管の問題をやったのですけれども、一番疑問に感じたのは皆さん国家権力に由来するものであるとおっしゃられる。今日もおっしゃられました。そういう国家権力に由来する仕事は、国家公務員がやらないといけないという大合唱が出ました。この発想はどうなのか。さっき八代委員から説明がありましたけれども、諸外国ではいろいろな市場テストというものまでやられている。これは、今後の方向として大きな転換点に入っているのではないかと思うのです。
 その中でも、最後まで頑張られた人もたくさんいました。しかし、例えば、警察の違法駐車の取締りだとか、あるいはさっきの下水の問題などは合格点側に入ってくる問題だろうと思います。どなたがやるかという問題については、やる方のプランニング能力が誰が強いかという問題であって、そういう能力必ずしも官が強いとは限らない。官が強いか、民が強いかは市場テストにかけてみる。この考え方というのは私は今後そういう方向で進んでいくべきだし、またいくと思っています。そういう時代感覚で今後は対処された方がよいのではないかというのが去年の経験を通じての意見です。それから地方自治法の改正、いわゆる公の施設の管理は公的主体ではなくてはならないという規制を取り外したというのも一つ大きな成果だったと思います。
 そこで、合格者だけれども合格者とは言えない下水についてお伺いしたいのですが、6−1を見ると、去年は私どもは包括的な民間委託をする。それは料金決定を含めてというふうにやりたかったのです。やりたかったけれども、度重なる折衝の上で、料金設定の関与等という、わかったようなわからないような話になったが、関与というのはどういうふうに今させているのか。それから、その関与ではなく、任せきってはいけないのか。
 要するに、料金のアッパーリミットを決めておけばよいわけですね。アッパーリミットを決めておけば、これは下水のケースですけれども、例えば何かのホールだったらホールを貸した場合に余りはやらないようだったら、料金を下げてもう少しはやるものにするとか、そういう自由性というものがこの運営をする者に与えられなければ活用にはならないわけです。ですから、料金の決定への関与ではなくて、料金の決定を含めてと、もちろん高いものを吹っ掛けられては困るからアッパーリミットを決めるということなんだけれども、下水の場合にはどういうふうに料金についての関与を認めておられるのかを教えてください。

○春田下水道管理指導室長 今、鈴木委員から御指摘のありましたとおり、表現ぶりがちょっと中間的なものになっているということでございますけれども、昨年来の議論では具体的にはある村なんですが、包括的民間委託を実施することによって料金の引上げを回避する。料金自体は処理施設だけではなくて管渠を埋めるのにどれぐらいかかったかとか、料金徴収経費とか、そういうものすべてを包含するなど、総合して料金を決定いたしますので、料金決定に際して包括的民間委託で若干コストダウンを図ることによって料金引上げを回避できた例もあるということを御紹介してこのような表現ぶりになったというふうに承知しております。
 そういう意味で、現行法では条例に基づいて使用料を定めることになっておりますけれども、それを全面的におっしゃるような形で民間側が決めるということは現在考えておりません。

○鈴木副主査 考えていないけれども、考えてくださいと言ったら、料金決定権だけは留保させてもらいたいが、しかし業者の側、つまり管理委託をする側に対しても料金決定への関与を認めますから、そこら辺で折り合いましょうというのがあなたの方の言い分で、そこで折り合ったのだから、何らかの関与を全然考えておりませんと言うのだったら、去年は何を言ってくれたのかという問題になりますよ。

○春田下水道管理指導室長 その意味では、実際に民間が非常に低い価格を提案をいただいて、それで料金が引き下げられるようになったというような状況には、まだ包括的民間委託自体がそこまで進んでおりませんし、少しずつ努力をしているという状況でございますので御理解いただきたいと思います。

○鈴木副主査 関与させる意思はあるのですね。

○春田下水道管理指導室長 この文章のとおりでございます。

○鈴木副主査 これは閣議決定されていますから、料金に立ち入るべからずと言ったら閣議決定違反であるし、約束違反であるということは認識されているということですね。

○春田下水道管理指導室長 はい。この文章のとおりだというふうに認識しております。

○福井専門委員 簡単ですが、洪水の話です。多分、道頓堀川だって太田川だって、今度つくられる施設はわずかかもしれないけれども、何がしかは洪水の発生確率を高めるわけです。そこでのある意味では前提ないし割り切りは、うんと危ないものをつくるのでなければ、微細な範囲であれば、今までもそうであったようにある程度許容範囲があるという前提だと思います。
 あとは結局おっしゃるのは納得性の確保ですね。納得性の確保のときに、選ぶメニューが狭い中からしか選べないというよりは、安全性ということを大前提の大枠としても、その前提の下での選び得るメニューが多い方が地域の人にとっても納得度は高くなるんじゃないか。そのときの手段として、申し上げたようないろいろなやり方があるということを申し上げたわけです。

○中島河川局次長 いろいろ議論したらいいと思いますけれども、少なくとも道頓堀川と太田川は洪水負担は超過洪水といいますか、計画高水の外につくっている。これは言い出すと長くなって恐縮ですが、要するにここまで水がくるかもしれないということで、実際にはそれ以上のものがくるかもしれないですけれども、100年確率を超えた世界でつくっているということなので、ある程度これで水害率が高まるということにはなっていないんです。
 あとの点は、今後議論したいと思います。

○事務局(藤原室長補佐) 事務局から1点だけ確認なのでございますけれども、5−1の資料の都市公園の方なんですけれども、1の(1)の1のところで地方自治法上、特に都市公園法との調整規定等はないと思うんですが、現行でも料金設定を含めた包括的な民間委託ができるというふうに理解してよろしいのでございましょうか。

○高梨公園緑地課長 都市公園法上、地方公共団体が設置します都市公園の利用料金の徴収規定というものはございませんので、これは条例で定めることになっております。そういった意味で、地方自治法に基づくという考え方でございます。

○事務局(藤原室長補佐) 料金の設定の方もそう考えてよろしいんでしょうか。

○高梨公園緑地課長 それも含めてということでございます。

○事務局(藤原室長補佐) ありがとうございました。

○宮内主査 これは非常に大きな問題でございますので議論が尽きないのでございますけれども、予定しました時間がまいりましたので、この辺りで、また個別具体的には我々委員との間でお話をさせていただきたいと思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、去年の閣議決定で大きなテーマとして出てまいりまして、私どもとしましては官製市場と言われるものの中に、これは地方自治体も含めましてでございますけれども、民間の総意というもの、もっと民間の需要というようなものを持ち込むという部分があるんだろう。あるいは、一つひとつの目標をもって公共財というようなものが管理されている。これを複合的な形で見るというようなこともできるのではなかろうか。もっと言いますと、官による管理というようなものから、言うならば非効率とか既得権益というようなものが官によってつくられてしまっている部分があるのではなかろうか。そういうところをもっと議論をいたしまして、いわゆる新しい経済活動の場というものが持てるのではないか。公共目的と新しい経済活動というようなものの接点を求めてまいるという、非常にこれまでになかったテーマでございます。
 したがいまして、議論が今後も続くと思いますけれども、いろいろ知恵をお互いに出させていただくというような形にさせていただければと思います。
 本日は御担当の皆様方、非常に広範囲にわたりまして、長時間おいでいただきましたことにお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして国土交通省との意見交換を終わらせていただきます。


内閣府 総合規制改革会議